「勝てたら、教えてあげますよ」
私の言葉にヒャッカ少年はぽかんとしていましたがキッと睨んできます……ふむ。
「"ユギト"のおっちゃんがあのドクロのねーちゃん達の上司って事は、辻ファイト仕掛けて来たりとか"
その通りです!
なんて言えばフルボッコ確定ですし……しかし、こんな絶好のシチュエーションでお茶を濁してはいさよならというもの勿体ないです……となれば、
「"ヒャッカ"少年、"ギアスファイト"しましょうか……勝てたら、教えてあげますよ」
にっこりと笑った私に警戒心剥き出しで対応してくるヒャッカ少年が新鮮で可愛らしいですね……
「なんでファイトしなきゃいけないんだよ……」
「こういう揉め事を解決するのはいつも"ギアスファイト"だったじゃないですか、ミト嬢と喧嘩した時も決着はいつも"ギアスファイト"でしたよね"ヒャッカ"少年」
「それとこれとは話が「断るなら、彼らに実力行使させましょうか」!?」
私の実力行使という言葉に
「実力行使って……何する気だよ」
「キミの持つ反逆の六英雄カード【
息を飲むヒャッカ少年、そこにミト嬢が走ってきます。
「"ユギト"さん何言ってるんですか!!カードを奪うなんて……"
「……いいぜ」
「"
「俺が勝ったら、アンタの事話してもらうからな……"ユギト"!!」
背筋がゾクゾクしてきました……見知った顔からの敵意、初めての経験ですがイイものですね。
口角も上がってきましたよ。
「それでこそ"ヒャッカ"少年ですよ……さあ、遊びましょうか」
「「"ギアスファイト"レディセット!」」
白掟 優義徒【仮作■■■■使徒】
VS
炎柳 百火【継承する火炎】
ヒャッカ少年の方は……【クリカラ】ですね。まあ、見せるだけでラストアタックを躊躇させられますからね。
真っ直ぐな視線には迷いが感じられません……スランプは脱しているようですね、そうでなくちゃ楽しくありません。
「「スタートアップ!!」」
「先行は……私ですね、ドローせずにカウンターブーストです」
優義徒 第一ターン
ライフ:10
手札:5 ターンカウンター:2
「さて、今回は機嫌が良いみたいですし新しい動きを試してみましょう……【浄罪の白鴉】をサモン」
【浄罪の白鴉】
白・黒 コスト:2 使徒
A:0 B:1
このモンスターが破棄された時に発動出来る。
デッキから使徒カード一枚を手札に加える。
カーと一声鳴きながら真っ白なカラスが私の肩の上にとまりました。その頭を指で撫でてやれば気持ち良さそうに目を細めていますね。
「スペルカード【黒の生贄】を発動します、対象は【浄罪の白鴉】です」
【黒の生贄】
黒 コスト:1 スペル
自分の場の黒のモンスター一体を破棄して発動出来る。
その破棄したモンスターの
私の肩から飛び去った白鴉はそのまま白い羽根を残して消えていきました。
手の上に残った羽根はそのまま一枚のカードとなって私の手札に加わります。
優義徒 ライフ:10→11
「【浄罪の白鴉】の効果でデッキから【
初動からサーチが出来るようになったのは心強いです……黒を混ぜたお陰で除去の手段が増えたのも使いやすさの向上に繋がっています。
「俺のターン、ドロー!!」
百火 第一ターン
ライフ:10
手札:6 ターンカウンター:1
「【烈火ネズミ】をサモン!!そのままバトルだ!」
【烈火ネズミ】
火 コスト:1 野獣・火
A:1 B:1
このモンスターがバトルする時に発動出来る。デッキから火または炎カード一枚を選択して破棄する。
しっぽどころか背中にも炎が燃え盛るネズミが現れます……【火ネズミ】では無いですね、強化体でしょうか?
「【烈火ネズミ】で"ユギト"を攻撃だ!!その時に効果発動!デッキから火カードの【
今日も今日とて調理されて行く【
百火 ライフ:10→12
優義徒 ライフ:11→10
腕をネズミにかじられて服に穴が空きましたが……少し血が滲む程度なのでまあ、大丈夫です。
追撃もなく、このターンはお互いに平和に終わりましたね。
「ターン終了だ……その腕、やっぱり」
「モンスターの攻撃が実体化しているのですよ……ふふふ、ちょっとくらい刺激的な方が遊びはより盛り上がりますからね」
「遊びって……真剣にやれよ!!」
「遊びだから真剣なんですよ、それに私の体なんですから……どれだけ傷ついても構わないじゃないですか」
視界の端に映ったジュンくんが憎しみに満ちた視線を一瞬向けてきますが、気のせいでしょう……そう思われる心当たりはありませんし。
それよりも、私の遊びだから真剣という発言にヒャッカ少年は目を瞬かせています。
「遊びだから真剣って……」
「中途半端にすれば遊びってつまらなくなりますからね……それならやらない方がマシですよ。さあ、私のターンです。カウンターブースト」
優義徒 第二ターン
ライフ:10
手札:4 ターンカウンター:4
【ウリゾラス】を出すにはもう少し手札を整えたい所です……ここは彼女にお願いしましょう。
「【
いつもならばここで使徒モンスターを出すところですが、初めてのヒャッカ少年との本気のファイトですからね。丁寧に行きましょう。
「
「
『最も信頼する』という言葉にご満悦なのか両手を腰に当ててえっへんと言わんばかりに誇らしげにする【ザドキエル】
……【ルシフェリオン】、貴方も同じポーズをするのではありません。少女がすると可愛いのですが大人がやっても痛々しく見えるだけですよ。
「……俺のターン、ドローだ!」
百火 第二ターン
ライフ:12
手札:6 ターンカウンター:2
「俺はアーティファクト【
【
赤 コスト:2 アーティファクト・炎
このアーティファクトが存在する限り、戦闘を行い、破棄されなかったモンスターは破棄される。
このアーティファクトは発動して次の自分のターン終了時に破棄される。
展開されたのは巨大な円形の壁、それが私とヒャッカ少年を取り囲むように設置されてかがり火が等間隔に置かれています……どのサイズのモンスターでも確実に私の場のモンスターを討ち取る事が出来るアーティファクトですか、厄介ですね。
「【烈火ネズミ】で【ザドキエル】を攻撃!!」
燃え盛るネズミが来たのに驚いて飛び退いた【ザドキエル】はあっかんべーと舌を出してから消えていきます。
そして【烈火ネズミ】の方はそのまま燃え尽きてしまいましたね……
「【ザドキエル】の効果により手札から【
【
白 コスト:4 使徒・信者
A:3 B:3
このモンスターが場に出た時、自分の場にこのモンスター以外のモンスターが居なければ手札から白のコスト4以下のモンスター一体を場に出せる。この効果で出したモンスターは場にいる限り効果が無効になる。
相手の場に黄のモンスターがいるならば手札の代わりにデッキから選んでも良い。
このモンスターは黄のモンスターとのバトルでダメージを受けない。
このモンスターはターンカウンターが8以上の時に場から破棄する事で【
【ザドキエル】の代わりに場に出たのは黄色がかった白いローブを纏った男性、しかしその手や顔はよく見れば作り物めいた輝きをしています。
そんな【ウリゾラス】が手招きをすると少し疲れたような顔をしながら【ミカエリス】が姿を見せます。
「さらに【ウリゾラス】の効果で【ミカエリス】を場へ……ふふ、ピンチですね"ヒャッカ"少年」
「そうでもないぜ?俺はこの瞬間スペルカード【炎熱の弔い合戦】を発動するぜ!!」
【炎熱の弔い合戦】
赤 コスト:2 スペル・火
自分の場にモンスターがおらず、相手の場にコスト3以上のモンスターがいる時に発動出来る。
自分は相手の場の最もコストが低いモンスターのコスト以下になるように手札から
火柱が立ち上り、そこからハンマーを担いだ男性が現れます……なるほど、やりますね。
「俺は【
カイエン……?いや、今は置いておきましょう。
ハンマーが地面に叩きつけられた衝撃で疲れた様子の【ミカエリス】は倒れます、そしてそのままバトルが続行されて【バンカ】と【ウリゾラス】が破壊されます……どちらか片方は残る予定でしたがヒャッカ少年の方も良い回り方してますね。
「これでターン終了だぜ」
「素晴らしい……ほんの数日顔を合わせないだけでここまで成長しているなんて……さあ、もっと楽しみましょう」
本当に素晴らしい……思わず漏れる吐息にも熱が帯びてしまいます。
一進一退とはこういう事でしょうか……勝つにしても負けるにしても、忘れられないファイトになりそうです。
「さあ、私のターン……カウンターブーストです」
優義徒 第三ターン
ライフ:10
手札:2 ターンカウンター:6
さあ、本日二度目の出番ですよ【ルシフェリオン】
「
滑るように浮遊しながら場に出てくる【ルシフェリオン】ですが、少々浮かない雰囲気ですね。
『貴様、最近私を気軽に召喚し過ぎてないか?』
「頼りになるからこそ、つい喚んでしまうのですよ【ルシフェリオン】」
『頼りになる……モンスター心が分かっているな、この口の上手いヤツめ。そう言われても騙されてやらんからな!!だが今日の所は見逃してやる!』
チョロいです。
明らかに嬉しいという感情丸出しの雰囲気となった【ルシフェリオン】にヒャッカ少年やギャラリーの面々から生暖かい視線が向けられています……自然に皆さん受け入れてますけど、モンスターが喋っている事にツッコミはないのですね。
「気を取り直してバトルです。【ルシフェリオン】でダイレクトアタック」
『頼りになる私の一撃を受けるがいい!!』
生成された光の槍が投げつけられ、ヒャッカ少年の目の前で爆発します。
爆風に煽られた少年の体がゴロゴロと地面を転がりますが直ぐに立ち上がった所を見るにそこまで変な当たり方はしてないようです。
百火 ライフ12→8
「ターン終了です」
「いってぇ……けどまだまだ行くぜ!俺のターン、ドローせずにカウンターブースト!!」
百火 第三ターン
ライフ:8
手札:3 ターンカウンター:4
ターンカウンター4……今の彼ならば出すモンスターはアレと決まっています。
勢い良く手札から引き抜かれたカードは彼がもっとも大事にしている相棒でした。
「来てくれ相棒!!【
火柱が立ち上り、それを切り裂いて大剣を背負った赤い武者鎧を纏った青年が現れます。
ヒャッカ少年に拳を向け、それに応えるように少年に拳を合わせられるとニッカリ笑ってこちらに刃を向けてきます……良いですね、ああいう関係も。
「俺の墓地に赤のモンスターが4体以上いるから【ゴウエン】はパワーアップ!バトルだ!【ゴウエン】で【ルシフェリオン】を攻撃!」
大剣が【ルシフェリオン】に向かって振るわれますが、触れる直前で【ゴウエン】諸共動きが停止します。
「【ルシフェリオン】は戦闘しようとした相手モンスターを封印しますよ"ヒャッカ"少年」
「でも、アーティファクトの効果忘れてないか?戦闘で破棄されなかった【ルシフェリオン】は破棄だ!!」
決闘場のかがり火から炎が幾つも放たれて【ルシフェリオン】を焼き尽くしますが……極彩色の光の柱が炎を貫きます。
「残念ですが……【ルシフェリオン】は破棄された時に私のライフの半分を生け贄に新たな姿を得て再臨します……顕現しなさい、【
優義徒 ライフ:10→5
六色の色鮮やかな六対十二枚の翼を広げ、【ルシフェル】が舞い降ります。
ライフを搾り取られ、久しぶりのその痛みに思わず膝を着くと心配そうな声が耳に飛び込んできました。
「「"
ああ……うるさい。今良いところなのに……水を差さないで欲しいな。
私は少し呼吸を整えてから立ち上がります。
「まだ何かありますか……?無いならばターンを渡して下さい」
「ターンをって……明らかにヤバい苦しみ方してんのにまだ続けんのかよ!?」
「続けるに決まっているでしょう!?命を掛け金にしてやるゲームなんて楽しい事この上なしですよ!!こんな楽しい事を途中で終わらせたくありません!!ほら早くターンを進めて下さいよ、ねぇ!!!」
私の勢いに押されて、ヒャッカ少年がターンの終了を宣言します……少し責めすぎましたかね?でも、遅延行為は褒められた行いではありません……主人公がするべき事では無いですからね。
ついでに邪魔だった決闘場も破棄されて行きました……かがり火、暑かったんですよね。
「私のターン!カウンターブースト!!」
優義徒 第四ターン
ライフ:5
手札:2 ターンカウンター:8
手札は……追加のモンスターは出せませんがまあ良いでしょう。
「バトル!【ルシフェル】で攻撃!!」
光の柱がヒャッカ少年を打ち上げて地面へと叩きつけます。
百火 ライフ:8→4
じわじわと削れていってますね、次のターンで彼はどう攻めてくるのか……ふふふ、楽しみです。
ゆっくりと起き上がったヒャッカ少年の目はまだ死んではいませんしね。
「ターン終了……【ルシフェル】は場にいる限り、そちらのモンスターの
「俺は……コイツらを信じるだけだ!!俺のターン……ターンカウンターを消費して【ゴウエン】を解放!!」
封印から解き放たれた【ゴウエン】が心配そうにヒャッカ少年を見つめます。
その視線に無言で大丈夫だと親指を立てる少年……そのままデッキトップに手を掛けて目を閉じています。
「俺は……一人じゃない、みんなと一緒に戦ってるんだ!!ドロー!!」
百火 第四ターン
ライフ:4
手札:3 ターンカウンター:4
光り輝くデッキトップ、そしてドローされたカードはこの局面を変える為の切り札でした。
「これって……そうだよな、【ゴウエン】はまだまだ戦えるんだよな!!行くぜ、ユニオンカード【獄炎刀:カイエン】を【ゴウエン】にユナイト!!」
【獄炎刀:カイエン】
赤 コスト:4 ユニオン
このユニオンは【ゴウエン】モンスターにユナイト出来る。
このユニオンをユナイトしたモンスターは
・このモンスターは相手モンスターとバトルする時に自分の墓地の赤のモンスターの数だけ
紫色の炎を纏った刀が【ゴウエン】の目の前に突き刺さります。
意を決してソレを引き抜いた【ゴウエン】の全身が炎に焼かれるも、次の瞬間にはそれを振り払って少し黒っぽくなるも、大剣と刀の二刀流姿となります。
しかし……ここでユニオンカードですか。
「バトル!!【ゴウエン】で【ルシフェル】を攻撃!【カイエン】をユナイトされたカード【ゴウエン】は
紫色の炎が【ルシフェル】の身を炙り、その力を奪っていきます。
大剣による一撃が袈裟に入りますが……それでは【ルシフェル】は倒れませんよ。
優義徒 ライフ:5→2
「【ルシフェル】は破棄される代わりに私のライフの半分には場に残ります……っ残念、でしたね?」
「まだだ!!まだ【ゴウエン】には効果が残っている!攻撃後にデッキトップを破棄し、それが
「都合良く引けますか!?二回も引き当て無ければ私にトドメはさせませんよ!!」
私の中の冷静な部分が囁いています……これは負けたと。
「引いてやるさ!!一枚目!【
優義徒 ライフ:2→1
【ルシフェル】に再び襲い掛かる斬撃、私の命を吸い上げて【ルシフェル】は耐えますが……仮面の奥の瞳が無念の色を見せながら、私の視線とぶつかります。
「もう一度!!引いたのは……【
【ゴウエン】が投げつけた投げつけた刀が私の腹部を貫通します。
痛みと灼熱感が襲いますが、それよりも私という
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