「月がキレイですね?」
「私のターン、ドロー……っ」
優義徒 第三ターン
ライフ:3
手札:3 ターンカウンター:5
ズキリと背中が傷んで息が詰まりました。ドローカードは……上々。しかし、これは使う順をきっちり考えないと行けませんね。
「…………」
『「どうした?引きが良くて無くて困っておるか?今なら、降参すれば……肉奴隷程度で許してやっても構わんぞ?」』
「……お断りですよ、私が勝つのですから降参する必要なんてありません」
流れは決まりました。緑は妨害には長けてませんから邪魔はされないと思いますが……まあ、やってみましょう。
「スペルカード【
『「小癪な真似を……!」』
ここで一息つき、次の展開を行います。
身内に見られていますからね、噛んだり下手なプレイをしては恥ずかしいです。
「更にスペルカード【
『「貴様ァ!!妾を分身とはいえ封じるとは……万死に値すると思え!!」』
「アハハハ、一度も二度も同じでしょう?続けますよ……
『さあ、私の出番だ!!者共ひれ伏せぃ、ハハハハハ!!!』
元気そうで何よりです【ルシフェリオン】……私はちょっと、背中が痛いですね。
【ルシフェリオン】が現れると【ラファルガ】、【レミュリエス】が跪いて一番目立つポジションを譲っています……やっぱり、ロードって付いてるだけあって偉いのですね貴方。
どうやらお気に召したらしくそのポジションで両手を広げてポージングしていますね……しかし
『「…………」』
視線だけで刺し殺しそうな勢いのタマモノマエに気づくとスっと手を下ろして大人しくなりました。
「そんなに彼女が怖いのですか【ルシフェリオン】?ふふふ、貴方にも苦手なものがあるなんて面白いですねー?もう、怒らないでくださいよ。ほら、バトルに入りますよ」
苛立っている様子の【ルシフェリオン】をなだめてから、【ヌラリヒョン】の方を指差します。
「【ルシフェリオン】で【ヌラリヒョン】を攻撃する際に効果発動、戦闘を行う前に【ヌラリヒョン】を封印します」
光の槍を生み出した【ルシフェリオン】ですが、少し考えてからそれを薄く広げた布のような形状に変えました。そのまま【ヌラリヒョン】に光の布を被せると気持ちが良かったのかその場ですやすやと眠ってしまいます……それでいいのですか封印って?
「えー……まあ、いいですよね多分。気を取り直して、【レミュリエス】でスネコスリトークンを、【ラファルガ】で【かまいたち】を攻撃です」
スネコスリトークンを抱き上げた【レミュリエス】はそのまま頬ずりをしてしばらくその毛並みを堪能した後に放しました所、疲れたのかぐったりしたスネコスリトークンが消えていきます。
そんなほのぼのの裏では緑がかった白いローブの老人と【かまいたち】による戦闘が行われています……【かまいたち】が放つ風の刃を手に持った長い棍棒で全てうち払いながらジリジリと近づく【ラファルガ】。
ついに痺れを切らして直接攻撃してきた【かまいたち】を雷のような速度で打ち下ろした棍棒による一撃が迎撃しました。
「ターン終了です」
『「おのれぇ……!!妾のターン!!!妾自身と【ヌラリヒョン】を解放!さらにドローじゃ!!」』
タマモノマエ 第三ターン
ライフ:10
手札:1 ターンカウンター:2
色を失い、動きを止めていた【タマモノマエ】と眠っていた【ヌラリヒョン】が解放されますが……ドローカードを見てタマモノマエが目を見開いています。
『「何故こやつがここに……【ヌラリヒョン】よ、スネコスリトークンを場へ!」』
タマモノマエの言葉に困ったような顔をしながらもスネコスリトークンを呼び出す【ヌラリヒョン】
呼び出されたスネコスリトークンは陣に入ると再び旋風を纏って【かまいたち】へと姿を変えました。
『「スネコスリトークンよ【かまいたち】となれ!!効果発動じゃ!」』
三度振るわれる風の刃。
私に襲い掛かるそれを【ルシフェリオン】が握り潰して止めてしまいます。
『悪足掻きか狐よ……これ以上は我が召喚者を傷つけさせん!!』
「私が発動したスペルカード【白夜創成】の効果ですけどね止めたのは……【かまいたち】の効果を無効にして封印します」
完全に打てる手が無くなったようでタマモノマエは俯いてしまいます……動けないならターンを早く渡してくれませんかねぇ?
「まだそちらのターンですよ?宣言をどうぞ」
『「……ターン、終了じゃ」』
「では、私のターン……ふふふ、カウンターブーストですよ」
優義徒 第四ターン
ライフ:3
手札:1 ターンカウンター:8
ターンカウンター8……それは私のデッキが本領を発揮する合図です。
可愛らしい白髪の少女と頭髪の無いつるりとした頭の老人が並んで祈りました。
降り注ぐのは白と緑の極光。
白と緑の六枚翼を生やして【レミュエル】と【ラファエル】が顕現します。
【
白・緑 コスト:8 使徒・天使
A:6 B:6
このモンスターは【
このモンスターが場に出た時、自分のターンカウンターの数だけライフを回復する。さらに相手の場に緑のモンスターがいるならば、このモンスターが居る限り相手はターンカウンターを増やせない。
このモンスターは相手の緑のカードの効果を受け付けず、緑のモンスターとのバトルでダメージを受けない。
このモンスターが場に出た時、コストが8以下になるように相手の場の緑のカードを封印する事が出来る。
「【ラファエル】の効果で先ずはコスト8の【タマモノマエ】を封印し、さらに私のターンカウンターの分だけライフを回復します」
『「一度ならず二度も……!!」』
優義徒 ライフ:3→11
一息つけました……ライフが回復するとどうやら傷も治るようでズキズキと傷んでいた背中を中心に痛みが薄れて楽になっていきます。
右手の方も違和感が無いのでついでに治ったようです……これは良い誤算ですね。
「さらに、【
再び現れたと同時に振るわれる炎から逃げるようにスネコスリトークンが姿を消して【ヌラリヒョン】は残念そうな顔になっています。
そして赤い極光が【ミカエリス】を貫きますが……他の子達と違って、彼女は恍惚の表情を浮かべていますね。
赤い六枚翼を翻した彼女は嗜虐的な笑みのままに燃え盛る二本の剣を掲げます。
【
白・赤 コスト:8 使徒・天使
A:6 B:6
このモンスターは【
このモンスターが場に出た時、相手の場のモンスター全てに2ダメージを与える。この効果は自分の場の使徒モンスターの数だけ発動する。
相手の場に赤のモンスターがいるならば相手はバトル中に効果を使えない。
このモンスターは相手の赤のカードの効果を受け付けず、赤のモンスターとのバトルでダメージを受けない。
このモンスターが場に出た時、コストが8以下になるように相手の場の赤のカードを封印する事が出来る。
三度振るわれる双剣から炎が放たれます。
スンと表情から感情を無くした【ヌラリヒョン】は一抜けたと言わんばかりに姿をくらませます……何も焼き尽くせ無かったのでだいぶ【ミカエル】は不機嫌そうですね。
「さて……立場が逆転しましたが、降参するならば私の物になる事と引き換えに助けてあげましょうか?」
『「妾は……タマモノマエぞ?貴様如きが扱えると思うな!!」』
交渉決裂のようです……体はマイバラ嬢の物なので傷つけたくありませんでしたが、まあ仕方ないですよね?
素直に従ってくれない彼女が悪いのです。
「では、バトルと行きましょう……【ミカエル】、行ってください」
弾けるように炎で軌跡を描きながら飛ぶ【ミカエル】
双剣がタマモノマエにバツの字の斬撃を刻みます。
タマモノマエ ライフ:10→4
『「ぐぅっ!!」』
「さあ、トドメです……【ルシフェリオン】!!」
『悪く思うなよ狐……出来るだけ楽に死ねるようにしよう』
【ルシフェリオン】は作り上げた光の槍の切っ先をタマモノマエに向けると、それを全力で投げつけました。
ミト嬢の制止の声と関西弁の女性が何かを投げようとしているのが見えましたが……もう遅いです。
こんな絶体絶命の時に彼女を助けられる存在がいるとすれば……それはきっと
「【ゴウエン】来てくれ!!!!」
タマモノマエ ライフ:4→0
──放たれた光の槍を赤い武者鎧を纏った男性が大剣を使って必死の形相で受け止めています。
ドクロの仮面を被った状態のレイカ嬢が運転するバイクから飛び降りたヒャッカ少年はさらに追加のモンスターを"ギアスディスク"に出します。
「【ヒモリ】!【バンカ】!二人も【ゴウエン】を手伝ってくれ!!」
大盾を持った女性が武者鎧の男性に加勢して完全に光の槍が進むのを止めると、ハンマーを担いだ男性がそのハンマーで光の槍をかち上げて空の彼方へと進路を変えました……素晴らしいですね。
倒れ伏したタマモノマエはマイバラ嬢の姿に戻っており、近くにはカードが二枚が落ちていますね。
さらに、私の足元にもカードが一枚落ちておりそれを拾いあげれば案の定、
サブケースにそれをしまっている間にどうやらファイト中の妨害を防ぐ結界が解かれたようで
「ご無事ですか
「ええ、ほら見て下さいよ。また一枚
「怪我……してない、ですね」
ぺたぺたと体を触って確認してくるオニマルくんがくすぐったくて、くすくすと笑い声が漏れてしまいます。
……どうやら向こうも話が終わったようでヒャッカ少年がこちらに歩いてきます。
「なぁ……アンタ、"ユギト"のおっちゃんなのか?」
普段は見せないような神妙な表情で聞いてくるヒャッカ少年に……思わず吹き出して笑ってしまいます。
怪我が治っていて良かったです、そうでなければ今頃傷口が完全に開いて悶え苦しんでいたでしょうから。
笑いの発作が終わった頃に、苛ついたような声でヒャッカ少年が叫びます。
「笑ってないで答えろよ!!アンタは誰なんだよ!!!」
「ハー……ハー……ああ、失敬。嬉しい事があると笑う事が多くなるのですよ、どうしてもね。ふふふ、質問の答えとしては……これでどうでしょうか」
ゆっくりと仮面を外せば、息を飲む音が聞こえます。
夜風が火照った頬を撫でて心地よいです……どうしても仮面の中は蒸れますからね。
目を見開いて固まっているヒャッカ少年に私は微笑みかけました。
「こんばんは、"ヒャッカ"少年。月がキレイですね?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます