シーズン1ー京都修行編ー
「なんだよあれ」/「さあ、行きましょうか」
電車と新幹線を乗り継いで遂に来たぜ京都!!
駅の中もだけど、外もすんげぇ人が多くて外国の人も沢山でめちゃくちゃびっくりしたぜ。
「"
「おう!でもすっげぇ人の数だなー!!」
「そりゃそうよ、日本に来たらまずはここってガイドにも載ってるんだから!」
「
ショックを受けてる
「はい、みんなこっち来てねー」
「なんや、その子らかウチに鍛えて欲しいっちゅうんわ」
店長の近くに行くと、知らない白髪に赤い髪がちょこんと生えたおば……お姉さんがやってきた。
この人が店長の言ってた人なのか?
俺たちの顔をしげしげと見てからニッと笑ってくる。
「ウチは"
「
「「「よろしくお願いしまーす!」」っぺ!」
「元気があってええな!飴ちゃんいるか?ほれ、あげたろ」
そう言って
「そんなら、混む前に行くでみんな。車用意しとるさかいな」
「混むって、今ガラガラですよ道」
「今はな……でもな
そう言って
真っ白な服に真っ白な仮面の奴らとその後ろを着いてく同じく真っ白な服にこっちは色んな種類の仮面を被った奴らがぞろぞろと歩いていた。
「なんだよあれ」
「あれはな、
「…………なるほどね」
静かに店長が呟いたのが妙に気になったけど、俺はそれについて聞く前に
ーーーーー
遠目にヒャッカ少年達御一行が見知らぬ女性に連れられて移動している姿が見えました。
私達はこの仮面の大名行列の最後尾にいます……大司教の中では私が最も若く実績が無い為にこの位置に収まるのが通例です。
わざわざゆっくり歩いている為にこの行列は凄まじく他の通行人の邪魔になっていて、それに対する抗議の視線が最後尾の私達のグループに突き刺さります。
「かったりぃ……"
「"レイカ"嬢、流石に他の大司教達に不敬ですしそんな愉快なお神輿は……私も遠慮したいですね」
小声で話したのですがすぐ前を行く大司教グループの護衛の皆さんがギョッとした雰囲気でこちらを見てきます……どうぞお構いなく、実行はさせませんから。
しばらくしてようやく私達のグループも用意されていた車に乗り込む事が出来ました。後部座席が延長された黒塗りの車……いわゆるリムジンですね。
比較的小柄なレンカ嬢、私、タクミくんは三人並んで座り、対面にはオニマルくんとジュンくんがいます。
夏の京都は湿気が酷く、仮面を外せばポタリと汗が流れます。
「暑かったですね、皆さんも楽にして下さい」
声を掛ければレンカ嬢とオニマルくんは直ぐに、ジュンくんは少し悩んでから西洋の兜を模した仮面を外しました。
タクミくんは蛇を模した仮面を被ったままですね……暑いでしょうが、被ったままの方が彼は気が楽だから仕方ないのでしょう。パタパタと持ってきていた扇子で扇いであげれば『デシ〜』と嬉しそうな鳴き声を出しています。
「"
「だって大司教サマから扇子盗る方が不敬だと思うデシー」
「それは一理ある……いや、だがな」
「私が好きでしている事なので良いのですよ……ああ、"ジュン"くんも暑かったですもんね?」
というわけでジュンくんも扇いであげると面白いくらいに固まってしまいました。
順繰りにレイカ嬢、オニマルくんも扇いであげれば『ありがとうございます!めっちゃ涼しいっす!』『……恐縮、です』と喜んで(?)くれました。
「この後は定例会……その後に昼食会が有ります。最低でも一人には着いてきてもらわないといけませんが……」
「アタシ行きたいっす!」
「ボクサマもー!」
無言でオニマルくんも手を挙げましたね……こういう時に真っ先に名乗り出るジュンくんが来ないのは意外でしたね。
「おう、"ジュン"てめぇなんで行かねぇんだよ!こういう時てめぇ真っ先に行くじゃねぇか」
「……先程、京都駅で例のカードを所持している子供を見掛けた」
「「「!!?」」」
「定例会には着いていきたいが……
『"ジュン"くん、定例会でもしもの事って何が起きると思っているのですか……?』という内心は飲み込んでおきます。
「げっ、てことはあの赤坊主がいんのかよ……」
「それ、多分ボクサマお手製のデッキ持ち逃げした子もいるデシなー」
「……なら、
「だったら、ボクサマが騎士サマのサポートに回るデシ。京都の土地勘無いから騎士サマきっと迷うデシ」
私が声を掛ける前に自主的に役割を決めていってますね、素晴らしいです。
そうこうしている間に定例会の会場である
ジュンくんとタクミくんとは別れました、仮面を被り直した二人は気合い十分なようです。
残された私達も仮面を付け直して、案内の神父に誘われて総本部へと足を踏み入れました。
室内はエアコンが効いていて涼しく、何人かが私の到着と同時にこちらに歩いてきます。
「これはこれは、重役出勤ですね
「お待たせして申し訳ないです
私の物と似たデザインの仮面を付けた、でっぷりと肥えた中年男性に声を掛けられて仮面をズラして微笑みます。
その後も周りの人からねちねちと嫌味を投げられますがその全てに微笑みを持って返します……彼らの目的は私の失言。彼とその一派は父の日本支部長の座を狙っています。
父がその権力を持って大司教に据え置いた息子である私の失態はそのまま父の失態となります……だからこそ、私を彼らは狙うのです。直接本人を狙わない所がいやらしく、かつ効果的です。
「……
「おお、これは確かに。若者との会話は楽しくて仕方がない……向こうでまた会いましょうか」
会釈をする私に鼻を鳴らして、彼とその取り巻き達は会議室へと向かいました……良かった、これ以上会話が長引けば背後の二人、というかレイカ嬢が爆発する所でした。
「なんだよ、遅れたのはアイツらがチンタラ移動してたのが悪いんじゃねぇかよ」
「"レイカ"嬢、抑えて抑えて」
「……しかも、なんかチラチラアタシの方見てヤラシイ顔してたしマジ無理、生理的に無理。"
「"レイカ"嬢に不快な思いをさせたのは申し訳ないですが、女の子が男に向かってばっちこいはちょっと……」
『すんません』と謝ってきますが間違いなく本心では謝ってません。暴走するのはファイトの時だけでお願いします。
オニマルくんに視線で『いざとなれば"レイカ"嬢を抑えるのは任せます』と訴えれば黙礼で答えてくれました……貴方が
「定例会では私が何を言われても黙っていて下さい……ここでは感情を抑える事が私への忠誠の印と肝に命じるように、いいですね?」
「「はい」」
エレベーターの中で最後の確認を取りました、ジュンくんは何度か経験しているので言い含める必要はありませんが、この二人は初めてですからね……
「さあ、行きましょうか」
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