「ちゃっかり一ドローしてるんじゃないですよ」
「「"ギアスファイト"レディセット!」」
ディスクを構えた【カイエン】の背後には"ギアスモンスター"らしき存在はいません……恐らくは彼自身が"ギアスモンスター"なのでしょう。
私の背後にはいつも通りに【
「「スタートアップ!!」」
白掟 優義徒【白き使徒】
VS
カイエン【
「先行はいただきます、ドローフェイズをスキップしてカウンターブースト」
ユギト 第一ターン
ライフ:10
手札:5 ターンカウンター:2
"ドレッドギアス"の現在の環境は速攻が有利です。その中でも
私のデッキでは向こうよりも早く動かなければ一気に轢き潰されるのが関の山でしょう。
「スペルカード【
【
白 コスト:2 スペル・天使
このスペルが発動した時に手札を一枚破棄する。
その後、以下の効果から一つまたは二つを使用する事が出来る。
・破棄した手札が白のカードならばライフを2回復する。
・破棄した手札が天使モンスターならばデッキからそのコスト未満の天使モンスター一体を選択して手札に加える。
「手札から白の天使モンスターである【
ユギト ライフ10→12
「そして効果によりコストが1下がった【祝福の愛天使】をサモンします」
【祝福の愛天使】
白 コスト:3 天使
A:1 B:3
このモンスターのコストは自分ターン中に自分のライフが回復した回数だけ下がる。
相手ターン中にモンスターがサモンされる度にライフを1回復する。
桃色のハートを紙吹雪のように撒き散らしながら、露出の激しい……有り体に言えば痴女のような天使が現れます。そして、私やその後ろの【ルシフェリオン】に向かって投げキッスをしてきますが……振り返りませんよ、背後から凄まじい怒気を感じますから振り返りませんよ。
「ターン終了です」
「我のターン、ドロー」
カイエン 第一ターン
ライフ:10
手札:6 ターンカウンター:1
「そのような小娘で時間稼ぎか?ぬる過ぎるな……【
【
赤・黒 コスト:1 炎・骸骨
A:1 B:1
このモンスターが手札から場に出た時、場に【
髑髏を模したゴーグルを付けたツナギ姿の男は辺りを見渡したかと思うと、どこからともなく燃える髑髏のイラストが書かれた巨大な旗を地面に突き刺しました。
【
赤・黒 コスト:4 アーティファクト・炎・骸骨
このアーティファクトが場に存在する限り、自分の場の
自分のターン終了時にこのターン戦闘を行っていない
「【
「どうぞ、こちらは【祝福の愛天使】の効果でライフを回復します」
ユギト ライフ:12→13
「好きにしろ……バトルだ、
レンチを振りかぶってツナギの男が痴女天使を殴ろうとした瞬間に天使はうるうると涙ぐんでみせました。
女の涙に弱いとみえるツナギの男は固まり、その隙に痴女天使が頬にビンタをかまして吹き飛ばしてしまいました。
「【
【
赤・黒 コスト:2 炎・冥王
A:1 B:1
このモンスターは
このモンスターが手札から場に出された時、場に同じ名称の存在しない
冴えない感じのサラリーマン風の男が出てきました。彼は暫くはペコペコと携帯電話を片手に頭を下げていましたが途中から携帯を投げ捨てました。その勢いのまま、背広を脱ぎ捨てデカデカと背中に刻まれた髑髏を模したタトゥーを見せつけます。
タトゥーから炎が吹き出し、身体中を舐めるも気にせず、金属バットを構えて振り回し始めました。
「その効果で再度【
「その前に【祝福の愛天使】の効果でライフを回復させていただきます」
ユギト ライフ:13→14→15
【シンコウ】が振るった金属バットを軽々と【祝福の愛天使】は受け止め、お返しとばかりに顔面を踏み付けるように蹴り抜いていきました。
カイエンの手札へと帰っていく彼の姿を鼻で笑う彼女のどこが愛なのでしょうか……?
そして敵討ちとばかりにツナギの男が駆け出します。もはや彼には作り物の涙は効きません。
痴女天使の拳と彼のレンチが交差し、ダブルノックアウトで二人とも退場していきました。
「【シンコウ】を再び場へ!そしてその効果により【
【
赤・黒 コスト:2 炎・冥王
A:0 B:2
このモンスターが手札から場に出された時に発動出来る、手札の
舞い戻った半裸の炎男はメガネをかけた青年を引き連れていました。メガネの青年は髑髏を模したマークの刻まれたノートパソコンを使い、ツナギの男を呼び出します。
そのまま呼び出された男に指示を出すと、男はどこかへと走り去っていきました。
「【ソウテイ】の効果で【
【
赤・黒 コスト:2 炎・冥王
A:1 B:1
このモンスターが存在する限り、自分の場の
炎のように揺らめく朱色の髪を髑髏を模した髪留めで纏めたライダースーツの女性が場に出たかと思うと何やら薬品を空中へとぶちまけました。
ソレを吸った【シンコウ】【ソウテイ】そして【タイザン】自身の目に怪しい光が灯ります。
「凄まじい回り方してますね……何回モンスターが出たり入ったりしているのですかこれ」
「6回だ……貴様のターンカウンターはまだ2だからな、今のうちに攻めさせてもらう。追撃だ、喰らえ!!」
炎を纏った金属バットが、ノートパソコンの角が、薬品が詰め込まれた瓶がそれぞれ私に向かって投擲されます……回復した分がこれでチャラですよ、本当にもう。
ユギト ライフ:15→13→12→10
「我はこれでターン終了だ……この瞬間、戦闘を行った我が配下は手札へ帰る」
「きっちり回収していきましたか……さあここから巻き返しますよ、私のターン。ドローフェイズをスキップしてカウンターブースト」
ユギト 第二ターン
ライフ:10
手札3 ターンカウンター:4
墓地に仕込んだ【カマエイドス】は出す事が出来ず、他のアンチカラー
「私は【
【
白 コスト:4 天使
A:0 B:4
このモンスターがサモンされた時または
このモンスターが場を離れた時、手札から
薄桃色の髪の子供の天使がちょこんと場に降り立ちますが強面な
「【
「【ミカエリス】……先程のあやつか、我のターン。ドローフェイズを飛ばし、カウンターブースト!」
カイエン 第二ターン
ライフ:10
手札6 ターンカウンター:3
彼の手札は性質上、減る事はほぼ有りませんが内容は固定化されやすいです。
六枚のうち三枚は先程のカードなので動きも分かりやすいですね。
「我が副官【
【
赤・黒 コスト:3 炎・冥王
A:2 B:2
このモンスターが手札から場に出た時、デッキから
このモンスターがアタックする時発動出来る。墓地から
恰幅の良い髑髏を模したヘルメットの男性が肩に担いだ鉄骨を地面へと叩きつけると地面に亀裂が走ります。
その亀裂に向けてポケットから出した赤黒い人魂を落としてから亀裂を塞いでいますね。
「【
【
赤・黒 コスト:1 炎・骸骨
A:1 B:1
このカードが破棄される時にカードを一枚ドローする
亀裂から腕が伸びてカイエンのデッキの一番上を取り、ソレをカイエンに差し出していますね。
「ほう……良き力だ。スペルカード【
【
赤・黒 コスト:2 スペル・火
自分の場の
再び現れた【タイザン】が【ザドキエル】に薬品を掛けようとして、震える彼女に憐れみを感じたのかデコピンに留めましたね。
「【タイザン】が相手モンスターとバトルをしたので【シンコウ】を出し、その効果で【ソウテイ】を出す。更に【ソウテイ】の効果で手札から二枚目の【
「ちゃっかり一ドローしてるんじゃないですよ、これだからブン回ってる
【
赤・黒 コスト:2 炎・冥王
A:1 B:1
このモンスターが存在する限り、自分の場の
朱色のボブカットの女性は巨大なコンテナを担いでいました。
その扉を蹴り開けますと、中から新品の装備が飛び出して他の
「切り所はここです……スペルカード【
【
白 コスト:4 スペル・天使
自分の場の
真っ赤になったおでこを抑えてぴゃーぴゃー泣き喚きながら【ザドキエル】が手札とデッキからそれぞれ一体ずつを場に引っ張り出して戻ってきました。
「【
【
白 コスト:4 使徒・信者
A:3 B:3
このモンスターが場に出た時、相手の場のモンスター全てに1ダメージを与える。相手の場に赤のモンスターがいるならばこの時与えるダメージを二点にして相手プレイヤーにも同じ点数のダメージを与える。
このカードは赤のモンスターとのバトルでダメージを受けない。
このカードはターンカウンターが8以上の時に場から破棄する事で【
青い髪の女性が私にカードを一枚差し出し、真紅の髪の少女が燃え盛る剣を暴走族達へと振るいました。
【エンマ】は【ヘンジョウ】から仕入れた装備を犠牲に生き残りましたが他の面々は全滅していますね。
カイエン ライフ:10→8
「やってくれる……!【エンマ】で【ガブリリス】を攻撃する!」
「ダメですよ……【ミカエリス】で防衛」
【エンマ】の振り回した鉄骨を炎で断ち切り、そのまま【ミカエリス】が本体も真っ二つにしました……が、【エンマ】は笑い、地面から誰かを掴み投げつけました。
「【エンマ】の効果で墓地から【ソウテイ】を出し、効果発動だ!手札に戻った【エンマ】を破棄し……来い、我自身よ!!」
【
赤 コスト:4 勇者・炎
A:4 B:2
このカードが場に出た時またはターン開始時にデッキの一番上を確認する。
それが
カイエンそっくりの見た目のモンスターがバイクに乗り、場に現れます……"ギアスモンスター"と同名のモンスターはデッキに複数枚入れる事は出来ません。つまり、私が対戦しているカイエンは別のモンスターだったという事になりますね……
「効果発動だ、デッキトップは……【
【カイエン】のバイクが火を吹きながら加速します。必死に【ガブリリス】が水をぶつけますが止まる気配は無く、そのまま正面衝突して盛大な爆発を起こします。
「ターン終了だ、そしてこの【ソウテイ】は攻撃を行っていないので墓地へ破棄される」
「やっとターンが終わりましたか……私のターン、ドローフェイズをスキップしてカウンターブースト」
ユギト 第三ターン
ライフ:10
手札:3 ターンカウンター:6
カウンターは十分、そして今日はやる気満々のようなので久しぶりに出しましょうか……!
「行きますよ……
【
白 コスト:6 天使
A:4 B:4
このモンスターが場に存在する限り、相手の場のモンスターは全ての色を持っている物として扱う。
このモンスターがバトルを行う時に発動出来る。バトルの対象となった相手モンスターを封印する。
このモンスターが場を離れる時、ライフを半分(切り上げ)支払って【
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
白い羽根を撒き散らして降り立った【ルシフェリオン】が手から六色の光の玉を放ちました。
相手の場に落ちたソレにより、地面が怪しく輝き始めます。
『貴様、何故その姿をしている?』
「これはおかしな事を聞く……我は初めからこの姿だが?」
『惚けるな、私の目を誤魔化せると思ったか【レヴィアタン】』
なんか勝手に【ルシフェリオン】が喋り始めています……そしてその言葉がおかしかったのかカイエンは……いえ、カイエンだと思っていた存在は腹を抱えて笑い始めました。
「は、ハハハハハ!!!【レヴィアタン】!それも確かに我だ!だが、だがこの我も心地よい嫉妬を抱えていたからなぁ……実に馴染む、馴染み過ぎて同一化したわ」
『なるほど、ならばその体を滅すれば貴様は元に戻るな?よし召喚者よ、さっさとアレを消すぞ』
「はぁ……?流石にこのターンで決めるのは厳しいですよ……?」
『知らん、何とかするのは貴様だ召喚者』
理不尽です……初めて聞いた彼なのか彼女なのか分かりづらい声は理不尽の塊でした。
【ミカエリス】が3【ルシフェリオン】は4……あと一点を無理やり捻出しなければいけません。
そこで手札を再確認してから手順を脳内で繰り返してみます……正直嫌ですがまあ、行けるでしょう。
「バトルです、先ずは【ルシフェリオン】で攻撃」
光の槍が【ルシフェリオン】の手により生み出され、カイエンへと投げつけられました。
カイエン ライフ:8→4
「次に【ミカエリス】で攻撃宣言時にスペルカード【天地再生】を発動します」
【天地再生】
白 コスト:6 スペル
モンスターの攻撃時に発動出来る。
このカードが発動した時、互いの場と墓地のカードを全て選択する。選択された場のカードを全て墓地へ破棄し、選択されたの墓地のモンスターを全て場に出す。
地震が発生し、地割れに【ミカエリス】と【ルシフェリオン】、そしてカイエンの場の旗が飲み込まれました……【ルシフェリオン】が恨みを込めた視線を送りますが必要経費なので許して下さい。
その直後に今度は逆に【カマエイドス】に【祝福の愛天使】そして大量の
「ほう……打点を稼いだつもりかもしれんが我の配下も潤沢よ、どうやって通すつもりだ」
「無論、無理やりにですよ。破棄された【ルシフェリオン】の効果発動」
私の場に極彩色の光が降り注ぎます。
舞い降りたのは赤青緑黄黒白の六枚の翼を広げた【ルシフェリオン】……服装は変わらず、仮面も付けたままですね。
「場を離れた際に私のライフの半分を生け贄に捧げて【
【
白・赤・青・緑・黄・黒 コスト:10 神
A:4 B:4
このモンスターは【
このモンスターが場に出た時、コスト7以下の場のモンスターを全て封印する。
このモンスターは場を離れる代わりにライフを半分(切り上げ)支払って場に留まる。
このモンスターが存在する限り、相手の場のモンスターの
ユギト ライフ:10→5
【ルシフェル】が腕を上げた瞬間、場の全てのモンスターが色素を失い、動きを止めました。
「【ルシフェル】の効果で互いのコスト7以下のモンスターは全て封印されます……数だけ揃えても、粒が無ければただの有象無象ですからね」
「ハハハハハ!流石は
「……【ルシフェル】トドメを」
極彩色の光の槍がカイエンを貫き、そのまま目を開けていられない程の閃光を放ちました。
カイエン ライフ:4→0
ファイトが終わり、辺りに静寂が戻りました。
一息つこうと深呼吸をした瞬間、胸の奥で鋭い痛みが走ります。
立っていられ無い程の痛みに膝と手をつき、早鐘の如く打ち鳴らされる心臓に思わず呼吸が浅くなります……しばらくして、痛みが引いてきたタイミングで少しづつ呼吸を整えました。
強力なカードの代償……と言うやつでしょうか?【ルシフェル】まで使うといつもこの痛みが走ります……初めて使った時は泣き叫んでいましたが今は慣れたのかそこまで取り乱す事もなくなりましたが……痛いのは嫌なので出したくなかったですね。
改めて、カイエンが立っていた辺りに視線を向けますと二枚のカードが落ちていました。
「【
後者はレイカ嬢向けで前者は……彼の言葉に従うならば私が使うべきなのでしょうかね。
カードを懐へしまい、私はその場を離れます……夜の祈りには出なければ行けませんし、何よりも疲れましたからね。
そのまま足取り重く進む私を見つめる青髪の少女の存在に気づくことはありませんでした……
「"ユギト"さん……?」
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