未来診断士

　「未来診断士」という不思議な資格と、ミステリという謳い文句とに惹かれて読み始めました。
　学校内でありながら日常と分離した空間。相談内容の秘密は必ず守られる約束。一対一の、じゃまの入らない場所。
　こんな縛りを、相談される主人公あをいだけではなく、相談者もまた「利用」することを考えていたりする――

　最初の相談者からサスペンスとアクションに満ちていて、「この先はどうなるんだろう？」と引っ張られていきました。
　パズルのピースが埋まっていって、ほんの少しせつない終わりに、なっているかもしれません。

　休憩をはさみつつ、一気に読み終えてしまいました。たのしいひとときでした。

国家資格『未来診断士』のある世界。一人の少年が、様々な問題や不安を抱えた同世代の人々の悩みを解消していく連作短編です。

少年には何か特殊な能力があるわけではありません。ですが、人間観察力に優れています。未来を的確に診断し、秘密は厳守します。

――しかし、少年には生傷がたえません。どうして？