本作は、ほのぼの系ダークグロテスクショッキングファンタジー「どうせみんな死ぬ。」シリーズの第3弾です。
魔法が存在する異世界が舞台の物語は、今回は勇者として現代から召喚された少年を主人公に綴られます。
彼を蝕む凄惨に尽きる過去、愛憎に塗れた双子の妹、願いの魔法を秘めた少女、そして全てを失ってもなお、失いたくなかった最愛の女性……様々な想いが交錯する中、彼の戦いと苦悩の日々はどこまでも続いていきます。
冒頭ではグロテスクでエロティックでショッキングなシーンが展開されますが、全体を通してみれば切なく感動的な物語です。
その全てを受け入れることは難しいかも知れませんが、決して読んで損のない作品だと断言できます。
章によって目まぐるしく変化する「んなしぬ」シリーズに、あなたもハマってみてはいかがですか?
(第3章のみ読了のレビューです)
凄惨な過去を持つ少年榎下朱音(あかね)は、妹の朱里(あかり)と共に異世界へと召喚され、勇者として世界を救って欲しいと頼まれるが……?
出だしはテンプレ異世界転生物に見えますが、別に世界を救うために努力するわけでもなく、(表面上は)学園風ラブコメを通じて世界の謎に迫っていきます。それは高度に練り込まれたストーリー構成であり、また極めてオリジナリティの高い作品と言えます。ただしタグにもある通り、序盤にはグロ含む過激な描写があるため、耐性の無い方は適宜該当箇所を読み飛ばすことをオススメします(本筋にそこまで影響はないハズです)。グロ描写で逃げ帰るのはもったいない作品です。
本作のみどころは、次第に紐解かれる主人公の心と世界の謎でしょう。
主人公は性格破綻者と言って良いほどの人物であり、彼を主人公として起用したこと自体がとんでもないことです(彼を主人公として話を書けと言われたら、私なら匙をブン投げます)。そのため、中盤頃までは彼が何を考えて行動しているのかさっぱり理解できませんが、読み進めて彼との付き合いが長くなってくると、次第にですが理解できるようになり……それが嬉しく感じられると思います。
また平行して、彼らはナゼ転生したのか、そこで生きる意味とは何か、そういった世界の背景が徐々に明らかにされ、伏線が回収されていきます。それには、作品タイトルにある「死」、それと「愛」が大きなテーマとして関わっています。こういったミステリー要素も多分に含まれており、特に考察好きな方は楽しめることでしょう。
他にも、ヤンデレ妹やツン過剰なヒロインズなど魅力的なキャラが多く、上記の難しいことはさておいてラブコメとして楽しむこともできます。
皆様もぜひご一読ください!