第4話

そう言いながらも、優しい眼差しを向けてくる彼に見つめられた私は、胸が高鳴るのを感じていた。しばらく見つめ合った後で、我に返ると慌てて顔を背けたが、顔が真っ赤になっていることに気付くと、恥ずかしくて仕方がなかったのである.............。

そんな私の様子を、不思議に思ったのか首を傾げている彼に、何とか平静を装いつつ、私は話題を変えることにした。「そういえばルシアン、何かお困りごとはありませんか?私がお力になれることがあれば、何でも仰ってくださいね」と言ってみたのだが、ルシアンは考え込んだ後で、私を見つめてきた。「...............それならば、一つお願いしたいことがあるのですが、よろしいですか?」と言われてしまい、私は緊張しながらも頷いた。

そして、彼が口にした言葉に驚愕することになったのである。

「実は、レイラにしかお話しできないことなのですが.............」

そう言われて、どんな内容なのかと身構えていると、彼は予想外のことを口にしたのだった。

その言葉に驚きつつも、私は冷静な態度を保つように努めた。「...............リリアナさんの恋のお手伝いですか?」と聞き返すと、彼は大きく頷いてから続けたのである。 「はい、そうです。レイラも知っている通り彼女は非常に魅力的で美しい人です。

そんなリリアナさんには、好きな人ができたとか噂を聞いたのです。」 その言葉に、私は思わずドキッとしたが、すぐに落ち着きを取り戻すと、彼の提案について考え始めたのだ。確かに、ルシアンの言う通り、彼女の美しさや魅力に惹かれる男性は数多くいるだろう。しかし、その人たちの中から彼女に相応しい男性を見つけ出すのは、困難を極めるに違いない...............そう考えた私は、どうすればよいか考えを巡らせていた。 (でも、ここで私が判断しても大丈夫なのだろうか?)と不安に思い始めていたのだが、ルシアンの真剣な眼差しを見ていると、断ることはできなかったのである。

「わかりました。私にできることであれば、お手伝いいたします」と答えたものの、内心では不安でいっぱいだったことは言うまでもないだろう..............そんな私の気持ちを汲み取ったのか、ルシアンは優しい言葉をかけてくれた。

「大丈夫です、レイラならきっと上手くやってくれます。自信を持ってください」その言葉に勇気づけられた私は、決意を固めると力強く頷くのだった。 こうして、私の新たな挑戦が始まったのである! ルシアンと別れた後、王宮の廊下を歩いていると、突然後ろから声をかけられたので振り向くとそこにはリリアナさんが立っていた。「レイラさん!」と嬉しそうな表情を浮かべながら、駆け寄ってきた彼女を見て、私も自然と笑顔になったのであった。 それからしばらくの間、二人で立ち話をしていたのだが、やがて彼女が話題を変えてきたことで、話は恋の話になっていった。

どうやら、リリアナさんに好きな人がいるという噂は、本当だったらしい。

しかも、相手は王宮の騎士だというから驚きだ! 私は、彼女から話を聞きながら相槌を打ったりしていた。「その方の、どんなところが好きなんですか?」と尋ねると、彼女は頰を赤く染めつつ答えたのだ。 「実は一目惚れだったの...............彼の姿を見た瞬間に、恋に落ちてしまったのよ。それからというもの、彼のことが頭から離れなくて困っているの..............」と言って恥ずかしそうにしている姿は、本当に可愛らしいものだった。そんな彼女を見ていると応援したくなる気持ちになってきたので、私は彼女にエールを送ったのである! すると彼女は嬉しそうに笑ってくれたので、私も嬉しくなったしくなったのである。 翌日から、私はリリアナさんの恋のお手伝いをすることになった。まずは、彼女のことをよく知ることが大事だと思い、少しずつ彼女と仲良くなることに努めた。そして、彼女から色々な話を聞くうちにだんだんと相手の男性のことも、分かってきたのである。しかし、それは同時にリリアナさんを困らせる原因にもなるわけである! というのも、彼女が想いを寄せている男性というのは他でもない、ルシアンの直属の部下で幼馴染でもあるラルフだったからだ!

同時に、二人の関係性にも疑問を抱いたのである。 リリアナさんの恋の相手はラルフだという話を聞いてからというもの、私は彼のことを調べることにした。まずはラルフについて徹底的に調べ上げることから始めたのである! すると意外な事実が次々と明らかになっていったのだ。まず、ルシアンがラルフを推薦して彼女を訓練に参加させたことは知っていたのだが、まさか二人が幼馴染だったとは知らなかったのだ.............。

しかも、二人は子供の頃からお互いに惹かれ合っていたのだというではないか!その話を聞いて、納得してしまった私がいた。

何故ならば、リリアナさんが彼を好きになった理由が何となく分かってきたからだった。 それからというもの、私はリリアナさんに協力しつつ、彼女の恋の成就に向けて頑張っていた!彼女は、ラルフに対して積極的に関わろうとしていたのだが、なかなか上手くいかない様子だった。そこで、私は彼女と相談した結果、一緒に行動する機会を増やすことにしたのだ! 例えば訓練中は頻繁に話しかけに行き、休憩中には差し入れを持って行ったりと彼女にできる範囲の努力をしていたのである。さらに騎士団長であるルシアンとも積極的に関わりを持ちながら情報を収集していたのである.............そして、ついにその時がやってきたのだった!

それはリリアナさんがラルフをデートに誘った日のことだった。私が見守る中、リリアナさんとラルフは二人っきりで街に出掛けていったのだ!その様子を陰から見守っていた私はホッと胸を撫で下ろしたのだった。

これでようやく、彼女の恋が実るかと思った矢先、思わぬ出来事が起こったのである..............何とそこに現れたのは、ルシアンだったのだ!!しかも、彼は二人に向かって何やら話しかけているようだった。一体、どういうことだろうか? 呆然とその光景を眺めていた私に、ルシアンは言った「実は偶然にもお二人を見つけたので、二人の仲が進展するきっかけになればと思ったのです。」と。

要するに、ルシアンはリリアナさんがラルフのことを好きだということを知っていて、二人をくっつけるために動いていたということらしい.............。

あまりにも大胆な行動ではあるが、彼のおかげで二人は無事付き合うことになったのだ! その後、私とルシアンはリリアナさんに謝罪をした後で、彼女を祝福したのだ。そして最後に、三人で記念写真を撮った後で別れたのだった。ルシアンが裏で何か動いていることには薄々気づいていたのだが、まさかここまでするとは予想外だったわ.............まあでも結果的に二人が幸せになったのだから、良かったのかしら?

リリアナさんの、恋のお手伝いを始めてからというもの、彼女のラルフに対する想いの強さや、一途さが伝わってきて、私も彼女の力になりたくて必死だったわ!でも、まさか恋敵であるルシアンが裏で動いていたなんて、思いもよらなかったけどね.............まあ、とにかく彼女が幸せそうで、本当に良かったと思うわ!

「本当に、お二人が付き合えてよかったです」 今回の計画を企てたルシアンが、しみじみと笑って言った。「そうね.............リリアナさんとラルフはお似合いだし、結ばれて本当に良かったわ!」 「ええ、お二人の幸せそうな姿を見たら、僕も嬉しくなってきました。」 ルシアンはそう言うと穏やかな微笑みを浮かべた。私は彼の優しい眼差しを見ながら心が温かくなるのを感じた。 (やっぱりルシアンには敵わないな..............)と心の中で思いながらも、彼への想いがどんどん強くなっていく自分を、感じていたのだ。

それから数日後のこと、ルシアンと私は王宮の中を歩いていたのだが、その時突然声をかけられたのである!驚いて振り返るとそこにいたのは、リリアナさんだった。「あら、お二人共こんなところで何をしているのですか?」と、彼女は首を傾げながら尋ねてきた。 ルシアンは微笑みながら答えた。「今日はレイラと一緒に散歩をしていたんです」すると、彼女は少し驚いたような表情をした後で言った。「そうだったのですね!では、私もご一緒させて頂いても、よろしいですか?」と言って微笑んできたのだが、断る理由もなかったので一緒に歩くことになったのだ。 それから私たちは楽しく会話をしながら目的地へと向かっていたのだが、途中でリリアナさんが立ち止まったかと思うと、私に声をかけてきたのである。

「あの..............最近、ラルフが忙しくて」と恥ずかしそうな表情を浮かべながら言う、リリアナさんの姿に思わずキュンとした私だったが、すぐに気を取り直して答えた。 「そうなんですか?」

答えた。 「そうなんですか?」「はい............訓練が忙しいみたいで............」というリリアナさんの言葉を聞いて、私は納得した。彼女は、ラルフのことが好きで、訓練に参加している間にもずっと彼の姿を目で追っていたに違いないと思ったからだ。 だがそんな私の予想は外れていたようで、どうやら彼女もラルフと会えずに寂しがっている様子だったのだ。

その様子を見た私は、彼女に提案したのである。「では今から会いに行ってみてはいかがでしょう?遠目からなら邪魔にもならないし、見守る感じなら大丈夫ですよ!」と提案すると彼女は目を輝かせながら言った。「ありがとうございます!早速行ってみようと思います!」そう言うとリリアナさんは駆け出すようにして去っていった。 「これで良かったのでしょうか?」と私が聞くとルシアンは微笑みながら答えた。「ええ、きっと大丈夫ですよ.............きっと上手くいくでしょう」 それからしばらくの間、リリアナさんとラルフの様子を見守っていると二人は楽しそうに話をしており、その様子はまさしく恋人同士だったのである。その様子を見守っていた私たちは、自然と笑顔になっていたのだった。

それからしばらく経ったある日のこと..............私とルシアンはリリアナさんに呼び止められ、彼女から相談を受けたのである。「実は最近、ラルフが私を避けているような気がするんです.............」と彼女は不安げな表情で言ってきたので、私は心配になった。 「それは、どうしてそう思うのですか?」と私が尋ねると彼女は俯きがちに話し始めた。「実は、二人で会おうとすると、いつも断られてしまうんです。忙しいとか、ら用事があるとか言って.............」という彼女の目には、薄っすら涙が浮かんでいるように見えたため、私は慌ててハンカチを差し出した。

すると彼女は涙を拭いつつも続けた。「私、本当にラルフのことが好きなんです。彼のことを思うと胸が苦しくなって夜も眠れないくらいなんです..............なのにどうして.............」という彼女の姿を見て、私は心が締め付けられるような気持ちになった。 (どうにかしてあげたいけど、どうすればいいかしら)と悩んでいるうちにルシアンと目が合いお互いに頷きあったのだった!そして、私たちはリリアナさんを励ましつつ彼女と別れると、今後の作戦を考え始めたのである! まず、最初に私たちが取った行動は、リリアナさんを勇気づけることだった!

彼女を色々な場所に連れ出してリフレッシュさせてあげたり、彼女の魅力を伝えて自信を取り戻させることにしたのである。 そして、次に私たちはラルフを呼び出し、二人きりで話し合いの場を設けることにした。そこで、ルシアンはラルフに対して「最近、リリアナさんが寂しがっているのは知っているか?」と尋ねたところ、彼は驚いた様子で固まってしまった。その様子を見たルシアンは続けて言ったのである。

「................リリアナさんは、本当に君のことを大切に思っている。ラルフも大変なのはわかっているのだが、少しでも話を聞いてあげてくれないか?」という言葉を聞いたラルフは、ようやく意を決したようで口を開いたのだ。

それから数日後、私はラルフとリリアナさんと一緒に、ピクニックに行くことになった。その場所は私とルシアンと三人でよく行く場所で、とても思い出深い場所だった。

そこで私たちは、楽しく会話をしながら時間を過ごしていたが、途中でラルフが真剣な表情で、リリアナさんに話しかけたのである。 「実は、君に伝えたいことがあるんだ...........聞いてくれるか?」という彼の言葉に、リリアナさんは一瞬驚いたような表情を浮かべた後で、ニッコリ笑って頷いたのである!そして、二人はお互い見つめ合った後で、お互いに自分の気持ちを言葉に表したのである!

「変な態度とってしまってごめんね、でもリリアナのこと本当に好きだから。信じてほしい。」 そして最後には、抱き合ったのだった! その光景を見ていた私たちは、思わず拍手喝采を送っていたのである。その後、二人は手を繫ぎながら歩き始めており、幸せそうな表情を浮かべていた。 「おめでとう!」と私が言うとルシアンとリリアナさんも、嬉しそうな表情を浮かべていた。「ありがとうございます!お二人のおかげです!」

と、リリアナさんは笑顔で言った後、改めてお礼を言ってくれたのである。私も彼女に微笑み返すと、ルシアンと顔を見合わせて笑ったのだった。

「................これで、もう大丈夫そうですね」

と私が言うと、ルシアンも笑顔で答えた。 「ええ、きっと大丈夫ですよ」と彼が言うと、リリアナさんが私の方を見ながら言った。「レイラさんにも、本当にお世話になりました!これからもよろしくお願いしますね!」と満面の笑みを浮かべながら言う彼女の姿に、私は思わずドキッとしたのであった。 (やっぱり彼女は可愛らしいわ............!)と思いながらも、私は彼女に微笑みかけた。

その後、私たちは再び三人で談笑しながら歩いていき、途中でルシアンとラルフは別れた後、リリアナさんと一緒に家路についたのである。

帰る途中には他愛のない話をしていたのだが、その際に、ふと私はあることを思い出した。それは、以前ルシアンと交わした約束のことだった。 (そういえば.............)と思い出し、私は彼女に話しかけたのである。

「実は、ルシアンからプレゼントがあるんですよ」と言うと、彼女は不思議そうな表情を浮かべたが、すぐに笑顔になって、言った。「そうなんですか?楽しみです!」 家に着くと早速私は部屋にルシアンからのプレゼントを取りに行ったのだ............するとそこには、白くて美味しそうなケーキがあったのである!それを見たリリアナさんは、目を大きく見開きながらも言葉を詰まらせて、しばらく呆然と

としていたのだが、やがてゆっくりと口を開いたのである。「これは一体............?」という彼女の問いに、私は微笑みながら答えた。 「実はルシアンはリリアナさんの好物を知っていたみたいで、事前に私が頼んでいたんですよ!特別な日に、一緒に食べて欲しいって」と私が言うと、彼女は感動のあまり泣き出してしまったのだった。

そして、泣きながらケーキを食べ始めた彼女は、何度も「美味しい!」と言いながら、食べ続けていたのだが、その様子は本当に幸せそうだったのだ。

そんな彼女の姿を見ることができた私は、本当に嬉しかったのである!

そして食べ終わった後、彼女は目を真っ赤に腫らしながらも、満面の笑みを浮かべていたのである。

私はそんな彼女を見ながら、思わず微笑んでいた。「ルシアンに頼んでよかったわ!」と話しながら彼女の幸せそうな笑顔を見て、私も幸せな気持ちになっていたのである。

それから私たちは、しばらく話をした後で解散することになったのだが、その時になって、リリアナさんが私に声をかけてきたのである。 「あの..............もし良ければ、また一緒にお出かけしてくれますか?」と不安そうに聞いてくる彼女に、私は笑顔で答えた。「もちろんよ!」と答えると、彼女も安心した様子を見せた後に、ニッコリ笑って言った。「ありがとうございます!またよろしくお願いしますね!」と満面の笑みを浮かべながら言う彼女を見て、私は改めてルシアンに感謝したのだった。

その後、私とリリアナさんは定期的に一緒に出かけるようになったのだが、その度に彼女は幸せそうな表情を浮かべており、私もそんな彼女の笑顔を見ることが楽しみになっていたのである。 (やっぱり恋って素敵ね.............!)と心の中で呟きながら、私は彼女の幸せそうな表情を前に、自然と笑みを浮かべるのだった。


「おはようございます!」 元気よくメイド達に挨拶を済ませると、私はいつものように仕事を始めた。まずは掃除から始めることにした私は、部屋の中を丁寧に拭いていくことにしたのである。隅々まで、汚れがないか確認しながら作業を進めていき、全てが終わった時にはすっかり汗をかいてしまっていた。その後で休憩室に向かい、お茶を飲みながら一息ついた後で、今度は料理の準備に取り掛かることにした。今日のメニューは、パスタを作ることに決めていたのだが、材料を確認して準備を始めていく。


まずは鍋にお湯を沸かして、塩を入れるとパスタを茹で始めた後、その間にソースを作ることにした。 フライパンにオリーブオイルとみじん切りにしたニンニクを入れて火にかけると、香りが立つまで炒め続けることにした。そして、香りが立ってきた頃にベーコンを加えて更に炒めると、色が変わってきたタイミングでパスタが茹で上がったので一旦取り出しておく。その後で別の鍋を用意してお湯を沸かし始めながらパスタの水を切り、軽く水気をきったらフライパンに入れて具材と絡めていく................そして、最後に塩・胡椒で味を整えてから完成である!


出来上がったパスタを皿に盛り付けると、その上に刻んだイタリアンパセリを散らして飾りつけた。

出来上がったパスタを食べてみると、我ながら美味しくできたことに満足しながら食べ進めていく。

あっという間に完食してしまうと、再び料理に挑戦するべく冷蔵庫に向かったのだが、その前に水分補給をしようと思いコップに水を注いでいく。

それを一気に飲み干すと再びキッチンに戻り、今度はデザートのアップルパイを作ることにした。

まず最初に、リンゴの皮むきから始めたのだが、包丁で一つ一つ皮を剥いてはボウルの中に入れて塩水につける作業を、黙々と続けた。

しばらくして全ての皮をむき終わると、今度は芯を取り除いたリンゴに、砂糖をまぶしていく作業に取り掛かることにしたのだが、量が多いこともあって、少々手間取ってしまった。それでも、何とか全ての皮をむき終えることができたので、次はタルト生地作りに取り掛かることにした。ボウルの中に小麦粉やバターを入れて混ぜ合わせた後、溶き卵を加えて更に混ぜ合わせる.............そして最後にリンゴの果汁を加えてよく混ぜ合わせれば、完成である!あとは生地を型に流し込んだ後、オーブンで焼くだけとなった。


「レイラ、すごく美味しそうなものを作っているね。いい匂いだ」

ルシアンに声をかけられて、私は初めて我に返った。

「ルシアン、おはようございます。今日はアップルパイを焼こうと予定していたんです!」

寝起きのルシアンは隣で紅茶を淹れながら、鼻歌をうたっている。


幸せだなあと思いながら、しばらく待っていると、香ばしい香りが漂ってくると同時に、オーブンからはパイが焼き上がった音が鳴り響く。蓋を開けるとアップルパイの美味しそうな匂いが部屋に広がり、思わず頬が緩んでしまった。

そして、早速切り分けて味見してみると、程よい甘さに仕上がっており大満足することができた。

(今度は、どんなケーキを作ろうかな?)と考えながら、私は次の料理に挑戦したいなと思っていた。

なぜなら、大切な人が私の作った料理を美味しそうに食べてくれるから。

料理も愛情表現の一つだと、私は思う。

だから私は今日も、自分の想いを込めながら料理を作るのだ。

ルシアンへの想いを込めて.............。


「最近、リリアナお姉様の惚気話がすごいんです。」

とある日、シャルロッテさんが訪ねてきてくれた。

私の顔を見たら1番に、リリアナさんが惚気ているという話を聞かせられた。

「でも、今までにお姉様からそういったお話を聞いたことなくて。 だから、お話を聞くのがちょっと楽しみになっているんです」と、シャルロッテさんが言ったので、私は思わず微笑んでしまった。

(確かに、リリアナさんは素直で可愛い人だもんなあ.............)と思いながら、彼女の幸せそうな笑顔を想像する。

「それでですね、レイラさんも一緒に聞いてくれませんか?以前伺ったカフェのケーキも、ご用意してありますよ!」と言われてしまい、甘いもの好きの私は断れないので、喜んで承諾することにしたのだ。

すると、彼女は嬉しそうな表情を浮かべながら「では早速行きましょう!」と言って歩き出したので、私もその後について行くことにしたのである。

「こちらです」と言って、ドアノブに手をかけた。

部屋の中に入ると、そこにはテーブルが用意されており、既にリリアナさんとラルフさんが座っていた。

私はシャルロッテさんと一緒に空いている席に座ると、早速運ばれてきたケーキを食べ始めたのだが、一口食べるごとに頬が緩んでしまうほど、美味しいものであった。そんな私の様子を、リリアナさんが微笑みながら見ていたので、私も微笑んで返すことにしたのだが、彼女は更に嬉しそうに笑ったのだった。

(なんだか心が温まるなあ............)と思いながらもケーキを口に運ぶ手が止まらない私なのであった。

「あ、けど...........ご一緒してお邪魔じゃなかった?」

恐る恐るリリアナさんとラルフにそう聞くと、2人はぶんぶんと首を横に振って、答えた。

「そんなことないわ、最近レイラと会えてなかったからすごく嬉しいの!」

そう言って笑うリリアナさんを見て、私も思わず微笑んでしまった。

「うん、そうだね。レイラさんと一緒にいると楽しいから。」

とラルフが言うと、私はちょっと照れくさくなってしまいながらもお礼を言った。

「そう言ってもらえると嬉しいな............」

と私が答えると、3人はクスッと笑った後にそれぞれ好きなことをし始めたようだ。

(そうだ...........!)と思った私は、最近ルシアンと一緒に作った料理について話してみることにしたのであった。そうしたら、リリアナさんに「実は私も料理を始めたんです!良ければ、皆で食べてみませんか?」

と言われ、皆も満場一致で頷き、どきどきと彼女の料理を待っていたのである。

どんな料理がやってくるのだろう?楽しみだ。


「..............え?えっと、」

「さあ召し上がれ!」

目の前の料理を見た瞬間、私はぎょっと驚いてしまった。

だって、料理の色がどれも水色だったからだ。リリアナさんが作った料理は、グラタンやらサラダやら豊富だったのだが.............全て、淡い水色をしていたのである。

「あの、リリアナさん?」

「はい?」と首を傾げる彼女を見て、私は思わず苦笑してしまった。

(もしかしてこれって..............)と思った私は、恐る恐る聞いてみた。「これ、味見の方は.............?」と言った瞬間、彼女は笑顔で答えたのであった。

「してませんよ!早く皆に食べてもらいたくて!」

それを聞いて頭が痛くなった私だが、作ってくれた彼女の気持ちを無下には出来ないのでとりあえず一口だけ食べてみることにしたのである。


ゆっくりと料理を口に含むと、その瞬間、今まで食べたことがないほどの美味しさが、口の中いっぱいに広がった。

「美味しい!!」と私は思わず叫んでしまった。それを聞いたリリアナさんは、満足げに微笑んでいた。

「レイラに喜んでもらえて良かったわ!」と言う彼女にお礼を言ってから、私は改めて彼女の手料理を口に運んだ。

(すごい...........本当に美味しい!!色は不思議だけど!)

私が感動している様子を見ていた2人も、次第にその美味しさに気づいたようで、次々と手を伸ばしていく様子であった。それを見ていたリリアナさんが嬉しそうに笑っている姿を見て、私も幸せな気分になったのである。

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