第6話

それからしばらく経ったある日、私は久しぶりにリリアナさんと顔を合わせる機会に恵まれ、シャルロッテさんとも会うことになったのである。「こんにちは、またお会いしましたね」と言ったシャルロッテさんは、以前と変わらない笑顔を浮かべていたのだが.............どこか、違和感を感じるような感じがした。そして、それはすぐに分かったのである。彼女の話し方や仕草などが、以前と全く違っていたからである。

彼女が言うには、手術後に記憶を失ってしまったというのだが、それが嘘でない事は明白であった。

リリアナさんはその一件以降、あまり元気がないように感じる。

でも、その原因はきっとシャルロッテさんなのだろう。彼女はまだ記憶が戻っておらず、その不安や寂しさが、彼女を苦しめているのだと思う。

しかし、それでも彼女はシャルロッテさんへの愛を貫くことに決めたそうで。

たとえ記憶が戻らなかったとしても、彼女と最後まで共に過ごすことを決めたのだ。

シャルロッテさんは、そんなリリアナさんの覚悟を見て、自分もしっかりと受け止めなければならないと感じたようである。彼女もまた、リリアナさんに支えられていることに感謝しながら前向きに生きようと決めたそうだ。

2人の関係はとても複雑だったが............それでもお互いにお互いを支え合うことで、なんとか乗り越えようと努力しているようであった。


そしてそんなある日、私はシャルロッテさんと2人きりで話す機会が訪れたのだ。彼女は、私の顔を見るなり微笑みながら「お久しぶりですね」と声を掛けてきたのだが.............やはり、どこか違う雰囲気を醸し出していたのである。まるで、別人と話しているかのような錯覚に陥りそうになる程だったのだが、それでも彼女の笑顔は変わっていなかったのである。

それからしばらく雑談をした後で、私は彼女に尋ねたのだった。「シャルロッテさん...........貴方は今、幸せですか?」と。

すると彼女は少し考えた後、微笑みながらこう答えたのである。「えぇ、幸せですよ」と。

私はその言葉を聞いた瞬間、胸の奥に痛みを感じたような気がしたが、それでも彼女の笑顔を見られるだけで、十分だと自分に言い聞かせながら、彼女と別れたのであった。


しかしある日、私は偶然にも彼女の秘密を知ってしまう事になってしまったのである。

私は街で買い物をしていたのだが、その時たまたまシャルロッテさんの姿を見かけたのである。彼女は、誰かと話しながら歩いているようだったが............相手の顔を見た瞬間、背筋が凍るような感覚に襲われたのだ。

その相手とは、ラルフだったのだから............。

ラルフは、彼女に対して優しく微笑みながら話しかけていたが、シャルロッテさんの方は何故か辛そうな表情をしていた。

私は、その様子を不思議に思いながら見守っていたのだが、2人はそのまま人混みの中へと消えていったのである。


そして数日後の事、私はリリアナさんと街で偶然にも出会った。「あら!レイラじゃない」「こんにちは、リリアナさん............!」と挨拶を交わした後で、私達は近くのカフェでお茶をすることにしたのである。しばらく会話をしていると、彼女は突然こんな話を切り出したのだ。それは驚くべき内容だった.............。

なんとシャルロッテさんは、記憶喪失になってから、ラルフのことが好きになってしまったという…

私は驚きを隠せなかったが、彼女の話を最後まで聞くことにした。彼女は悩みながらも少しずつ自分の気持ちを受け入れて、彼への思いを打ち明けたのだという。そして、ラルフもまたそんな彼女の気持ちを受け止めたが、リリアナさんのことが1番大切だと、お付き合いは断ったのである。「そう...........だったのですね」と私が呟くように言うと、彼女は笑いながら言ったのだ。「でも、良かったと思っていますわ.............関係はどうであれ、シャルロッテにとってラルフさんは、心の支えになっていますから」と言った彼女の目は、とても優しげで慈愛に満ちたものだったのだが、どこか悲しさも感じさせる不思議な表情を浮かべていたのだった。

私は、そんなリリアナさんの様子に疑問を抱きながらも、それ以上深く聞くことはしなかったのである。

それから更に、月日が経ったある日のこと。

私は、街中で偶然にもシャルロッテさんと再会することが出来たのだ。彼女は、いつも通りの明るい笑顔で挨拶をしてくれたのだが.............どこか、違和感を覚える部分もあったのである。彼女の笑顔が以前のように戻った気がしたのだが、きっと気のせいだろうと自分に言い聞かせて、その場を立ち去ったのである。

しかしその後、私の不安は的中することとなったのだ。なんと、彼女が突然倒れてしまい病院に運ばれたという連絡が、入ったのである。私は急いで病院に向かい彼女の無事を確かめに行ったのだが.............そこで私が目にしたものは、あまりにも衝撃的な光景だった。

彼女はベッドで横になっており、顔色も悪くなってしまっていた。

私はその光景を見て、言葉を失ってしまったのである。

そんな私を察してか、シャルロッテさんは弱々しい声でこう言ったのだ。「レイラさん、心配を掛けさせてしまってすみません...........でも、全部思い出しました」と申し訳なさそうな表情を浮かべて、謝罪の言葉を口にする彼女に、私は胸を締め付けられるような思いを感じながらも、何とか平静を保ちつつ彼女の手を握った。そして、励ましの言葉を掛けることしかできなかったのだが.............それでも、彼女は微笑んでくれたのだ。

それからしばらくして、退院した後のある日のこと、シャルロッテさんへの退院祝いを、選んでいた。

(確か、シャルロッテさんは甘いものが好きだけど、病み上がりだから、リラックスできるようなバスボールとかの方がいいのかしら.............)

と考えながらお店の中を散策していると、ある物が目についた。それは、アロマキャンドルのセットであった。

私は店員さんに声を掛けて購入すると、早速シャルロッテさんの家に向かうことにしたのだ。

彼女の家に辿り着くと、玄関先でリリアナさんが出迎えてくれた。彼女は私を見るなり、笑顔を浮かべながら「あら!レイラさん!いらっしゃいませ!」と言った後で、家の中に招き入れてくれたのである。リビングに入るとシャルロッテさんはソファに座っていたのだが、私の顔を見ると嬉しそうに微笑んでくれたのである。

(良かった...........元気そうだわ)

と思った私が安堵していると、彼女は突然こんなことを言い出したのだ。

シャルロッテさんは「レイラさん............本当に貴女に助けてもらってばかりで...........本当にありがとうございます」とお礼を言い出したのである。私は、彼女の真剣な表情から本気だということを、悟ったのである。そして、同時に嬉しさも込み上げてきたのである。

リリアナさんも、元の記憶を取り戻したことを心から喜んだのだ。

「良かったです..........本当に、本当に..........良かった.............!」と、私は涙ぐみながら、そう伝えたのである。

すると、彼女はにっこりと微笑みながら言ったのだった。「はい...........!全部思い出したんです。」と。その笑顔は以前のシャルロッテさんの笑顔そのもので、とても美しく輝いていたのである。そして、シャルロッテさんは続けてこう言ったのだ。「ふとした時に、リリアナお姉様と一緒に過ごした日々や、ラルフさんやレイラさんやルシアン様との想い出などを思い出したのです...........」と語る彼女の目には涙が溢れていたが、それでも笑顔は絶やさなかった。そして、彼女は続けてこう言ったのだ。「私の記憶が失われても、お姉様はずっと私を待っていてくれました...........。

それに、ラルフさんやレイラさんやルシアン様も、支えてくださったお陰で今の私がいるのです」と語り掛けるように話す彼女の姿は、凛々しく見えたのである。私は、そんな彼女の言葉を聞きながら感動していたのだが、シャルロッテさんが急に勢いよく泣き出してしまったのだ。

私は慌ててハンカチを差し出したのだが、それでも泣き止まなかった彼女に対して、どう声を掛けて良いのかわからず困り果ててしまったのである。

シャルロッテさんの頭をリリアナさんは優しく撫でながら、こう言ったのだ。「いいのよ..........もう我慢しなくて良いのよ」と言いながら。

その言葉を聞いたシャルロッテさんは、号泣し始めてしまったのである。そんな彼女を、リリアナさんは抱きしめてあげていた。

(ああ............やっと元通りの日々に戻ったんだなぁ)と、私は心の中でしみじみ思いながら、安堵の溜息を漏らしていたのであった。

それからしばらくして落ち着いた後、シャルロッテさんは私とリリアナさんに改めてお礼の言葉を述べた後にこう続けたのだ。

「でも、支え続けてくださり、本当にありがとうございました!」私は、彼女の言葉をしっかりと受け止めることにしたのである。

リリアナさんは微笑みながら、シャルロッテさんの手を取りながら言ったのだ。「シャルロッテ、貴方は私の大切な妹よ............だから、どんな時でもずっと傍にいるわ」と。そして私も続けて言ったのである。「私も、貴方の事を妹のように思っていますから..........」と告げたのだった。すると、彼女は私達に対して笑顔を見せながら、こう言ってくれたのである。「ありがとうございます............私は幸せ者ですと。

そしてその後、私達はしばらくの間雑談を楽しんだ後で解散する事になったのだ。「レイラさん、今日は本当にありがとうございました!またお会い出来る日を、楽しみにしていますね!」と言って別れ際に手を振りながら去って行く彼女を見送った後で、私は自宅に戻る事にしたのだった。

(シャルロッテさんが元気になってくれて、本当に良かったわ)と思いながら帰路についた私だったのであるが、その際に私はある事を思い出して慌てて引き返したのである。それはアロマキャンドルの事だったのだが............渡すのを忘れてしまっていたのである。

(しまった、どうしよう。今から戻るのもあれだしなぁ)と思った私は、仕方なく諦める事にした。

(まぁいいか.............また今度会った時に渡そう)と自分に言い聞かせてその場を後にしたのである。

後日、シャルロッテさんの家を訪れると玄関先でリリアナさんと偶然再会する事ができたのである。

私は「おはようございます」と言いながら挨拶をすると、彼女も「おはようレイラ!ちょうど良いタイミングで来てくれたわ」と言って招き入れてくれたのだ。

リビングに入るとシャルロッテさんがソファの上で横になりながら編み物をしていたのである。

私はシャルロッテさんを見つけるなり、手に持っていたアロマキャンドルを彼女に渡した。

「これ、以前渡そうと思っていたんですが...........遅くなってしまって申し訳ありません」と言うと、シャルロッテさんは嬉しそうに微笑んでくれたのだ。

「わぁ!ありがとうレイラさん!ぜひ寝る前に使わせていただきますね!」と言って、喜ぶ彼女の姿を見て私も嬉しくなったのである。そして、しばらくの間彼女と談笑していた後で別れ際、私は彼女にもう一度お礼を言ったのである。「本当にありがとうございます、助かりました!」と伝えると、彼女もまた笑顔で応えてくれたのだ。

(良かった...........やっぱりシャルロッテさんは笑顔が一番似合うわ)と思いながら、私は帰宅するのであった。

それからしばらくして、私は再びシャルロッテさんと会う機会が訪れたのである。

その時の彼女は、いつも通り明るく元気な姿で私に話しかけてきたのだが、その日は珍しくリリアナさんが一緒にいなかったのだ。

不思議に思った私が尋ねると、彼女は微笑みながら答えたのである。「実は、お姉様は今お取り込み中なので............その代わりに私が来ました」と言ってくれたのだ。

そして、その後で彼女は続けてこう言った。「今日は、レイラさんに大切なお話があるんです」と。

私は不思議に思いながらも、彼女の話に耳を傾ける事にしたのである。シャルロッテさんは、真剣な表情で私を見つめながらこう言ったのだ。「レイラさん、実はリリアナお姉様は、今継承で揉めているんです」と。私は、彼女の言っている意味が分からずに困惑していたのだが、そんな彼女に対して彼女は続けて言ったのである。「ラウルさんは伯爵になられて、国境の統治をするのですが............でも、それが上手くいかなくて............」と。

私は、更に困惑した表情を浮かべながら、彼女を見つめる事しか出来なかったのだ。彼女は、私の目を見つめながら、更にこう続けた。「私、どうすればいいのかわからなくて...........ただ、お姉様が困っているのを見ている事しか出来ない自分が情けなくて..........」と、悲しげに語ってくれたのである。そんな彼女に対して、私は何も言えなかったのだが、それでも、シャルロッテさんは語り続けたのである。

「でも、レイラさんになら相談できると思って............」と。そして、彼女は私に対して、頭を下げてきたのだ。「どうか、リリアナお姉様を助けて下さいませんか?」と懇願してきたのである。私は彼女の言葉を聞きながらも、頭の中で様々な思考が入り乱れていたのである。

(伯爵が継承で揉めているなんて...........どういう事なの?)と思いながら、私は混乱していたのであった。

それからしばらくして、冷静さを取り戻した後で、私はシャルロッテさんの手を握って、こう答えたのだ。「わかりました。私に出来ることなら何でもします............!」と、力強く宣言したのである。するとシャルロッテさんは、泣きながら私の手を握りしめて来て、何度も何度も「ありがとうございます.............!」と言ってくれたのである。その姿を見た私は、彼女を助ける事を改めて決意したのである。

その後、シャルロッテさんは落ち着いた後、私に事情を説明してくれたのだ。伯爵が継承問題で揉めていることから、それがリリアナさんへの嫌がらせに繋がっているという事を、話してくれたのである。

私はそれを聞き、ラルフ伯爵に対して心配の念を抱いたのだが............それ以上に、リリアナさんが困っている姿を見たくないという気持ちの方が、強かったのだ。

そして、私はシャルロッテさんから事情を聞きながらも、どうすれば問題を解決できるのかを、考える事にしたのである。

(まずは、ラルフにお会いしてみないとね)と思った私が思いついたのは、直接会って話し合う事だった。そこで私はシャルロッテさんと別れて、ラルフの屋敷へと向かったのである。

門の前に立つと、門番の一人が私に近付いてきた。どうやら身分を証明する必要があるようだと思い、ポケットからペンダントを取り出して見せようとしたのだが..............何故か門番は、私の行動に戸惑ってしまったのである。どうしたのかと思い尋ねてみると、どうやら私の事を知っていたらしい。

私は改めて自己紹介をしてから、事情を説明した上で、ラルフに会いたい旨を伝えたのである。すると、門番の一人が屋敷の中に入っていき、しばらくすると戻ってきて、私を中へと案内してくれたのである。

(一体どうなっているんだろう?)と思いながら廊下を歩いていると、一人の男性が歩いてくるのが見えたのだ。その人物こそがラルフだったわけだが............なんだか元気がなさそうだ。そんな彼に対して、私は声を掛けたのである。

「お久しぶりですねラルフ、少しお話がしたいのですが、お時間よろしいですか?」と尋ねると、彼は静かに頷いてくれたのである。そして、私達は場所を変えて話をする事になった。

ラルフが案内してくれたのは、応接室のような部屋であり、私達はそこで向かい合うような形で座ったのである。そして、私が早速本題を切り出すと、彼は驚いた様子を見せながらも、真剣な眼差しで見つめてきた。そして、私は続けてこう言ったのだ。「リリアナさんの妹さんである、シャルロッテさんからお話を伺いました.........。伯爵継承問題で揉めているそうですね?」と。すると、ラルフは険しい表情を浮かべながら大きく溜息をついた後で、ゆっくりと口を開いた。

「ああ、その通りだ...........」と答えたのだが、その後で彼は続けてこう教えてくれたのである。「君の事はリリアナから聞いているよ。感謝しなくてはならないね...........」と。私は、その言葉に対して微笑んで見せた後で続けてこう言ったのだ。「それで、一体どうして揉めているのでしょうか?詳しい事情を、教えていただけますか?」と尋ねると、彼は頷きながら言ったのである。

彼が言うには、伯爵家の後継ぎ問題を巡って対立が起きてしまい、その結果として彼の兄であるルドルフ伯爵と、対立してしまったらしい。

そして彼が言うには、リリアナ家は後継者として弟のラルフを推しているそうなのだが............それに対して兄のルドルフ伯爵が反発しているのだとか。

更には周囲の貴族達までもが彼を支持しているらしく、それが余計にラルフを悩ませているのだと言う。

私は彼の話を聞きながら、何度も頷いた後で言ったのである。「なるほど...........そういう事があったのですね.........」と呟いてから、改めて言ったのである。「それでしたら、私が力になれるかもしれません。私に出来る事があれば何でも仰って下さい!」と。

すると、ラルフは嬉しそうな表情を浮かべながらお礼を言ってくれたのだ。「ありがとう............!君には本当に感謝しているよ」と言って、握手をしてくれたのである。そして、彼は続けて言ったのである。「実は、私はどうしても伯爵になりたいんだ。大切な人を守るためにも」と。

私は、彼の気持ちを理解してあげる事にした。何故なら私も同じ境遇に陥った事があったからだ。だからこそ、彼の気持ちが痛いほど理解できたのである。

それからしばらくして、ラルフは決心を固めた表情で立ち上がった後、私に向かって手を差し伸べながら「一緒に戦ってくれるかい?」と尋ねてきたのである。私は迷わずに彼の手を取った後、彼に微笑みながら答えたのであった。「勿論です............貴方の力になりましょう!」と。

こうして私はラルフと協力してリリアナさんを救うために協力することになったのである。(絶対に助けてみせる!)と思いながらも、心の中で強く誓ったのであった。

その後、私はラルフと共にリリアナさんに会いに行ったのだ。そして、彼女と面会した後に私達は話し合った結果、私の今の立場を利用して、ラルフは伯爵として、名乗りを上げる事になったのだ。

そして、ついにその日がやってきた。私がラルフの屋敷に駆けつけると、そこには大勢の貴族達や兵士達が集まっており、皆緊張した表情を浮かべながら私を見つめていたのである。

私はそんな状況の中、ラルフの元に向かっていったのである。彼は私に気付くと微笑みながら手招きしてくれたのだ。私は周りの視線を気にしながらも、彼の前に進み出てから言ったのである。「お久しぶりですねラルフ」と。すると、彼は笑顔を浮かべた後で手を差し伸べてきたのである。

私達は、お互い手を握り合いながら、こう宣言したのである。

「王太子妃である私の意見としては、ラルフさんを伯爵とします。彼の素直さや一生懸命さは、皆さまもよくおわかりでしょう?」

そして、ラルフさんはルドルフ伯爵に向かって宣言したのである。「私こそが、正当な後継者だ!貴方達に従うつもりはない!」と。すると、周囲からは大きな歓声が湧き上がり、皆興奮しながら喜んでいたのである。

(これで良かったんだよね.............)と思いながら

、私はほっと胸を撫で下ろすのであった。

そして数日後には、正式に継承が完了してラルフは伯爵となり、更にシャルロッテさんは、その補佐役として彼の右腕として取り立てられたのである。

リリアナさんは、そんな私達に対して感謝の言葉を述べてくれた上に、改めてお茶会を開く事を提案してくれたのである。

そして私達は、リリアナさんのお屋敷に招かれて、久しぶりに楽しい時間を過ごしたのである。ラルフはリリアナさんに対して感謝の気持ちを伝えると共に、改めてお礼を言ったのである。「本当にありがとう!君がいてくれたおかげで助かったよ..........!心の支えになっているよ」と言ってもらえた事で、彼女はとても嬉しそうだった。

こうして私は、無事に問題を解決する事ができたのであった。




ここは大きな街にある教会。そこでは、シスターたちが孤児達の世話をしている。

孤児達を世話しているのは、シスターたちだけでは無い、少女も協力しているのだ。

少女はユナという名前で、とても美しく優しい女性であった。

彼女は毎日欠かさず教会に訪れて、孤児達の面倒をみていたのである。

そして今日も教会を訪れて、子供達の世話をしていた。


「レイラ様、お久しぶりです!お元気でしたか?」

「ユナ様、お久しぶりでございます。忙しい日々が続いていますが、なんとか元気でやっていますよ」

「最近ずっといらっしゃらないので、心配していたんですよ。もし宜しければ、また孤児院に来てくださいませんか?子供達も喜びますから!」

ユナは、優しい微笑みを浮かべながら言った。その言葉に私は少し躊躇するが、ゆっくりと口を開く。

「.............申し訳ありませんが、これからしばらくは教会に来ることはできなくなりそうなんです」

申し訳なさそうに答える私に対して、ユナは残念そうにしながらも微笑み続けるのであった。

それからしばらくの時間が経つと、教会の中で子供達は遊び始める。そんな子供達の姿を、慈しみ笑顔で見つめるユナ。

「本当に可愛らしいですねれ」

「はい、皆良い子ばかりです」

私も子供達を見守りながら答える。

しかしその時、教会の中に一人の女性が入ってきたのだ。その女性は黒い髪を持ち、年齢は40代半ば程度だろうか?服装は、貴族のような豪華な服装をしている。

女性は周囲を見渡すと、ユナの姿を見つけるなり近寄ってきたのである。「初めまして、私は領主のマーリンと申します」と丁寧に挨拶する女性に対して、ユナは頭を下げる。

「初めまして領主様、私はユナと申します」

「それで貴方は、ここで何をされているのですか?」

マーリンという女性は無表情のまま尋ねる。

「私は、教会で子供達の世話をしております」

ユナの言葉に少し考え込む様子を見せた後で、マーリンは口を開く。「孤児院に、こんな綺麗な方がいるなんて珍しいですね、それにこの教会もいつも清潔にしてありますし...........」と独り言のように呟いていたのだが、急に何かを思いついたのか明るい表情になり言葉を口にする。

「もしよろしければ、私の屋敷で働きませんか?待遇は良くしますよ」

マーリンの申し出に対して、ユナは困った表情を浮かべる。「申し訳ございませんが、私はまだ仕事が残っておりますので...........」と答えると、彼女は残念そうな表情を浮かべた後で、諦めたような表情に変わり口を開く。

「わかりました。でも、気が向いたらいつでも言ってくださいね」

マーリンの言葉に、ユナは少し考える様子を見せてから答える。「............はい、機会があれば是非お願い致します」

こうして私は、再び教会へ訪れるようになったのである。教会の子供達は私になついてくれており、毎日が楽しく笑顔に溢れた生活を送っている。

「レイラお姉ちゃんまた遊ぼうね!」

子供達が笑顔で話しかけてくる。私も笑顔を浮かべて「また来るからね」と言って、教会を後にするのであった。

その後、私は暇を見つけたらなんとか教会を訪れるようになり、子供達ともより親しくなったのである。そしてある日のこと、私が教会の外へ出たときのことだった。ふと視線を向けると、一人の女性が教会の中に入って行く姿を見つけたのだ。私はその女性の後を追いかけるようにして、教会の中へ入っていくと、シスターの一人が困った表情で話をしているのが、聞こえたのである。

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