第17話

でも時折思い出すんです、あの不敵な笑みを浮かべる魔女の姿を。

またいつか出会うかもしれないと感じつつも、私は前を向いて、進んでいくと決めたのでした..........。


「レイラさん、どちらのアクセサリーが似合うでしょうか?」

今日は、ルシアンの妹であるガーベラちゃんに連れられて、次の舞踏会に向けての装飾品選びをしている。

私は彼女の目の前に二つのアクセサリーを並べてみた。

「うーん、そうだね...........こっちかな?」と片方の髪飾りを指さした。すると彼女は嬉しそうに笑って言った。「私も、こっちにしようと思っていました!ではこれにします!」

その後、私たちはお会計を済ませて店を後にしたのだが、帰り道でふと疑問に思ったことを口にした。

「ガーベラちゃんはどうして急に舞踏会に参加しようと思ったの?今まで興味なさそうだったのに」そう尋ねると彼女は少し考えてから答えてくれた。

「実はこの前、お店に来てくださった貴族の方から招待状を頂いたんです。

でも、私には舞踏会に参加するような綺麗めなドレスもないし、お作法もわからないから不安だったんですけど...........兄上が、私にこの機会を使ってお作法を身につければいいよって勧めてくれたんですよ」

私はルシアンらしい考えだと思いながらも、彼女の成長を喜ぶと同時に複雑な気持ちになった。

(ガーベラちゃんは、舞踏会で色んな貴族に紹介されるだろうし..........きっと素敵な人と出会うんだろうな)と想像してしまったのだ。

そんなことを考えているうちに屋敷へ到着したので、一旦考えるのをやめることにしたのだった……。

そして舞踏会当日がやってきた。

私とルシアンは、昼過ぎに会場である城へ向かった。

到着するとすぐに大広間に案内された。そこにはすでに多くの人が集まっており、とても華やかだった。私たちは貴族達に挨拶を済ませると、そのまま談笑を始めた。そしてしばらくすると音楽が流れ始めたのでダンスの時間が始まったようだ……。しかし私達が踊ろうとした矢先、一人の男性が私に声をかけてきたのだ。

「よろしければ僕と踊って頂けませんか?」と……その男性は背が高く顔立ちも整っていて紳士的な印象を受けたので、断ることができずにそのままホールへ進み出た。

ルシアンを見ると、いっておいでと言わんばかりに笑顔で見つめられた。

すると彼は私の腰に手を当てると、優しくリードしてくれたおかげで、自然と踊れるようになったのだった。しかし踊り始めてしばらくすると彼の視線が私の顔から首元へ移ったような気がした……そして彼は囁いたのだ。

「そのアクセサリー、とても素敵ですね。どこで手に入れたのですか?」

私は驚いて彼の顔を見たが、笑顔のまま見つめ返してくるだけだったので正直に話した。

「先程の彼の妹さんと、街にあるお店で買ったものです。」

と……。すると彼は満足したようにうなずき、また踊り続けたのだった。

結局その後も何度か声をかけられたが、その都度うまくごまかしてダンスを踊り続けた。

そして舞踏会が終了間近になった頃、ようやくルシアンのいる場所へ戻り一安心したのだが……何やら彼の様子がおかしい気がした。

「ルシアン?」私が声をかけると彼はハッとした様子でこちらを見たあと、慌てた様子で謝罪の言葉を口にした。「ああ、ごめん!ついボーッとしてしまって...........」と言ってきたので、私は慌てて否定したのだ。

と尋ねると彼は少し悩んだ後、話し始めた。

「実は……君に言いづらいことがあるんだけど……実は今日の舞踏会で……」と言って話を続けようとした時、ルシアンの名前を呼ぶ声が聞こえたのだ。振り返るとそこには一人の男性が立っていた。そして男性と目が合った瞬間、背筋が凍るような感覚がした……!

その男性は先程私と踊っていた男性だったのだ……!彼は私達の前に来ると、微笑みながら話しかけてきた。

「君が先程のレイラさんだね?噂通りとても可愛らしい方だった……是非とも一度お話しをしたいと思っていたんだ。」

私は突然のことで戸惑いながらも、何とか言葉を絞り出した。

「…お褒め頂き光栄です」そう答えると彼は嬉しそうな表情を浮かべた後、私の手を取って歩き始めたのだ!するとルシアンは険しい表情をして止めようとしたが、男性は気にする様子もなく歩みを止めなかった……。そしてそのままバルコニーへ連れて行かれると、、彼はこちらに向き直った。

「改めて自己紹介をさせてもらうよ。私の名はカルセドニー・ワイルド侯爵……以後お見知りおきを……」と言って手を差し出してきた。私は慌てて握手に応じたのだが、その手は震えていた……。すると彼はニヤリと笑った。

「そんなに怖がらないでくれたまえ……君と話すためにこんな夜更けにわざわざ訪ねてきただけじゃないか」と……

その言葉にゾクッとした感覚に襲われたが、すぐに平静を取り戻したフリをして質問した。

(これ以上この男のペースに乗せられるわけにはいかない……!)

私は意を決して問いかけた……。「私に何の用でしょうか?」すると彼は真剣な眼差しでこちらを見つめ返してきた。

「レイラさん、率直に言おう……私とお付き合いしてくれないか?」一瞬何を言っているのか理解できずにいたが、すぐに我に返り聞き返した。

「えっと........どういう意味でしょうか..........?」すると、彼はさらに続けたのだ。

「そのままの意味さ、私は君に惹かれてしまったんだ」

その言葉を聞き終わると同時に私は逃げるようにして走り出した!そしてルシアンがいる方に向かって走った!

しかし次の瞬間、私はドレスのすそを踏んでしまって躓いて転んでしまった……。

「痛た……」と呟きながら顔を上げると、目の前にはカルセドニーがいたのだ!彼は不敵な笑みを浮かべていた。「大丈夫かい?」と呟き、私を無理やり立たせると壁際に追い込んだのだ……!そして私の顎を掴むと強引に上を向かせてこう言ったのだ。

「さあ、レイラさん……私と一緒に来てくれるかい?」その言葉に背筋がゾッとするような恐怖を覚えたが、ここで諦めるわけにはいかないと思い叫んだ!「いやよ!私には大切なルシアンがいるんだから!」

「それなら仕方がない……力ずくで連れて行くことにするよ」

その言葉を言い終わると同時に、カルセドニーは私に手を伸ばしてきた……! 私は咄嵯に身を守ろうとしたが間に合わず、そのまま手首を掴まれてしまった……!

意識が朦朧としてきたその時、ルシアンの声が聞こえた気がした……しかしその声はすぐにかき消されてしまった……。

その後、私は気を失ってしまったのだった……。

しばらくして目を覚ますとそこは見慣れない部屋の中だった。起き上がろうとしたが身体が思うように動かなかったので、周囲を見渡すと、部屋の隅には椅子がありその上に誰かが座っていたのが見えた。それは紛れもなくカルセドニーだったのだ……!彼は私が起きたことに気づくとゆっくりと立ち上がり近づいてきたのだ!そして「やっと目を覚ましたようだね……」と言って笑みを浮かべた後、私の頰を撫でてきた……その瞬間ゾクッとした感覚が全身を駆け巡った……!恐怖で声も出せなかったが何とかして逃げようと思った時、彼が話しかけてきた。

「どうして私がここにいるのか不思議かい?」と聞かれ、私はコクリとうなずいた。すると彼は微笑みながら話し始めたのだ……!

「実は以前から君のことを見ていたんだ……街で見かけた時からね……」そして彼は私の頰を優しく撫でながら言った。「君はとても美しい……その瞳も髪も全てが愛おしいんだ……ぜひモデルになってくれないか?」

「はい?」

私は耳を疑った……!しかし彼はさらに続けたのだ……!

「君を見た瞬間に思いついたんだ……私の作品に君を描きたいと……どうだい?悪い話ではないと思うんだが……」

私は彼の言葉を聞きながらも、言葉を返した。

「ならば最初からそういえばいいのに良かったのでは?」

すると彼は笑って答えたのだ……!

「それはすまなかったね……では改めて聞こうか?モデルになってくれるかい?」と言われたので私は少し考えた後、答えを出した。「分かりました……」そしてこの日からしばらくの間、彼と過ごすことになったのだ……! そしてある日のこと……カルセドニーの部屋に呼び出された私は、彼の目の前ではにかむポーズをとっていた。というのも先日の舞踏会での出来事が原因で彼の芸術魂に火をつけてしまったのだ!その結果として今のような状況に陥っているというわけである!

しかし私が嫌々ながらも付き合っていたのは理由がある。

実は彼が描いた作品を見るのが楽しみになったからだ……!というのも、彼は本当に凄い芸術家で、様々な作品が生み出されるたびに私に見せてくれたのだ!特に風景画の美しさには目を奪われてしまったほどである。そんなこともあってか私は次第に彼の作品に惹かれていったのである……。

ある日のこと……私がいつものように彼の部屋で待っていると、ドアが開いたかと思うとカルセドニーが入ってきた!彼は私を見ると嬉しそうに微笑みかけてきた!「やあ、おはよう!」と言われ私も挨拶を返した。

「おはようございます、...........今日は、ハニートーストなんですね」

そう尋ねると彼は微笑みながら言った。

「ああ、君の喜ぶ顔が見たくてね!」その言葉を聞いた瞬間、私は面白くて顔を背けてしまった……!

彼は笑いながら言った。「さあ座ってくれたまえ……朝食にしよう」と促されたので私は彼の向かい側の椅子に座った。そして二人で食事をしながら会話を楽しんだ後、彼は真剣な眼差しで私に語りかけた。

「レイラ……今日は君に大事な話があるんだ……」

その言葉にドキッとしたが、平静を装って尋ねた。「なんでしょうか……?」すると彼は真剣な表情のまま口を開いたのだ。

「今日で最終日だ。最高の作品を作り上げることを、約束するよ。」

と言って手を差し出してきたので、私は迷わず握り返した。「はい!楽しみにしています!」

そう答えると彼は満足げな表情を浮かべた後、私に向かって微笑んだのだった……!そして彼が部屋から出ていった後、私は期待に胸を膨らませながら彼が戻ってくるのを待ち続けたのである……。

するとしばらくしてドアが開き彼が戻ってきたのだが、その手の中には一枚の絵があったのだ!それはまるで写真のようなリアルさでありながらも優しさや温かさを感じる不思議な魅力を持った絵だった……!そして彼は微笑みながら言った。

「これが……僕の最高傑作だよ……」私はその絵を見た瞬間、思わず涙が出そうになった……!それほどまでに美しい作品だったのだ!そして彼は私の隣に座り直すと、絵を差し出してきた。

「受け取ってくれるかい……?」

私は迷うことなく受け取ると、笑顔で答えた……。

すると彼は安心したように笑うと、私に近づいてきて言ったのだ……。

「レイラ……本当にありがとう」その言葉に胸がぎゅっとなる感覚を覚えたが、何とか抑え込み平静を装って返事をした。その後彼と別れ自室に戻ったのだが、しばらくの間余韻に浸っていた……! そして数日後、彼から完成した絵が送られてきた!早速手に取って見てみると、そこには笑顔の私の姿が描かれていたのだ!しかも細かなところまで丁寧に描かれており、まるで写真を見ているかのようだった……!私は感動し夢中で眺めていたのだが……ふとあることに気づいた……。それは絵の中に写っている私が着ている服が舞踏会で着ていたドレスなのだ!さらによく見ると胸元のデザインまで同じになっているではないか……!それを見て確信した……彼はあの時からこの絵を描くために私をモデルにしていたのだと……!!しかしそれと同時に新たな疑問が生まれた。一体なぜそこまでして絵を描いたのだろうか……?そんなことを考えているうちに、あることに気がついた……。

それは絵の中の私の表情が全く変わらないということだ!普通ならもっと変化があるはずなのに、絵の中の私はまるで時が止まっているかのように変わらぬ笑顔のままなのだ!! このことに気づいてからというもの、ますます彼のことが気になってきてしまったのである……。


そんなある日のこと……

カルセドニーが屋敷を訪れてきたのだ!私は嬉しくて仕方がなく笑顔で出迎えたのだが……彼は浮かない表情をしていたのだ……!一体どうしたのだろうか……?心配になって話しかけると彼は唐突にこう言ったのだ!

「実は君に頼みたいことがあるんだ……」

その言葉にドキッとしたが平静を装って聞き返した。「なんでしょうか……?」すると彼は真剣な眼差しで私を見つめてきたのだ!そして意を決して口を開いたのだ……!

「もう一度、君の絵を描かせてくれないか?実はあの絵が受賞してね、記念にと思って」と聞かれたので私は驚きすぎてキョトンとしてしまった。しかしすぐに理解すると笑顔で了承したのだ!それからというもの、毎日のようにカルセドニーが私の部屋に訪ねてきては様々なポーズをとったり、表情を作るように指示されたりするようになった……最初は戸惑いもあったが徐々に慣れてくると楽しくなってきたのだ……!

そんなある日のこと……いつものようにカルセドニーが訪ねてきたのだが、様子がおかしかったのだ……。どうしたのかと尋ねると彼は申し訳なさそうな表情を浮かべて謝ってきたのだ!

「すまない!実は、これから旅に出なければならなくなったんだ...........」それを聞いて私は悲しい気持ちになったが、彼に心配をかけまいと平静を装って答えた。「わかりました...........気をつけて行ってらっしゃいませ」そう言うと彼はホッとした表情を浮かべて微笑んだ後、一枚の封筒を手渡してきた。その中には私の絵が入っていたのだ!それを見てさらに嬉しくなったのだが、それと同時に寂しさを感じた……。しかし彼は何も言わずに立ち去ってしまったため、私は寂しさを押し殺しながら絵を眺めることにした……。すると突然、胸の辺りがざわつき始めたのだ!一体何が起こったというのだろうか……? そう思いながら胸を押さえていると今度は全身が熱くなり始めた……!そして次の瞬間には、意識が遠のいてしまったのだった……!目が覚めるとそこは見覚えのある場所だった!そう、私が倒れていたのは自室だったのだ!不思議に思いながら立ち上がるとふと足元に違和感を覚えたのである……そこには一枚の紙が落ちていたのだ!恐る恐る拾い上げて見てみるとそれはカルセドニーからの置き手紙だったのだ……! その内容は次のようなものだった。

『レイラ、君は私の最高傑作だ。だからこれから旅に出る。目的は君の絵を完成させることと私自身の成長だ』という内容だったのだ!その手紙を読み終わった後、私は泣き崩れてしまった……こんなにも私を想ってくれていたなんて……!そう思うと嬉しさが込み上げてきたのだが同時に悲しくなった……なぜなら彼はもういないからだ……私は一人になってしまったのだ……!! しかし、いつまでも泣いてばかりいられない!そう思い立ち上がった時のことだった!突然部屋のドアが開いたかと思うとルシアンが入ってきたのだ!彼は心配そうに声をかけてくれた。「どうしたの?何かあったのですか?」

私は咄嗟に誤魔化そうとしたが、彼に嘘をつくことはできないと思い正直に話した……。すると彼は私を強く抱きしめてくれた。そして優しく頭を撫でてくれたおかげで心が安らいでいったのだった……。

その後、私とルシアンは一緒にカルセドニーの部屋に行くことになったのだが、そこで見たものは驚くべきものだった……!部屋中に私の絵が飾ってあり、さらに机の上には完成したばかりの私の絵が置かれていたのだ!そして手紙も添えられていた!その内容は、

『レイラ……君は私の最高のパートナーだ。君がいるからこそ私は絵を描き続けることができるんだ』というものだったのだ……!その手紙を読み終わった後、私は思わず泣き出してしまった……!そして彼に対して感謝の気持ちを伝えるために彼の絵を抱きしめたのだった……。

数日後、私とルシアンはカルセドニーの部屋を後にしたのである。別れ際にルシアンは優しく微笑んでくれたが、なぜだか少し寂しげな表情を浮かべていたように思えたのは私だけなのだろうか……? それからというもの私たちは幸せな日々を過ごしていた。そんなある日のこと……ルシアンは突然私に言ったのだ!

「レイラ……実は大事な話があるんだけど……」

私は首を傾げながらも彼の話に耳を傾けることにした。すると彼は真剣な眼差しで話し始めたのである……!その言葉を聞いた瞬間、私は言葉を失ってしまった……!というのも、カルセドニーが異国の地で次々と絵が受賞されたというのだ!しかもその作品はどれも素晴らしいものばかりで、ついには世界的に有名な賞を受賞したのである……!それを聞いた私は嬉しくて仕方がなかったが、それと同時に寂しさを感じた……なぜならばもうカルセドニーに会うことができないと思ったからだ!しかしルシアンはこう言ってくれたのだ!

「大丈夫さ……きっと会える日が来るよ」

その言葉を聞いた瞬間、私はホッと胸を撫で下ろした……!なぜなら彼の言う通りだと思ったからである……!それから私たちはカルセドニーの絵画について語り合いながら日々を過ごしたのだった。

彼の絵は私の部屋にあるガラスケースに飾られており、いつでも見られるようになっていた! そしてある日のこと……

私はいつものように部屋で絵を描いていた。しかしその時、突然部屋に誰かが入ってきたのだ!驚いて振り向くとそこにはルシアンと見知らぬ女性がいたのだ。二人は微笑みながら話しかけてきた。「レイラ……紹介するよ」とルシアンは言い隣にいる女性を紹介し始めたのだ……!どうやら彼女はカルセドニーの師匠であり、彼の屋敷に住んでいるということだった……!それを聞いた瞬間、私は嬉しさのあまり飛び上がらずにはいられなかった……!!なぜなら彼女はカルセドニーの作品の素晴らしさについて語り合える相手だと確信していたからだ! それからというもの、私たちは三人でカルセドニーの思い出や作品のことなどを語り合ったのだった……。

それからというもの私は毎日のように屋敷を訪れるようになったのだ……ルシアンと師匠と一緒に過ごす時間は私にとってかけがえのないものとなったのである……。そんなある日のこと、私は彼の部屋である一枚の絵を見つけたのだ……!それはなんと私が描かれた絵だったのだ!驚きながらも手に取ってみると、その絵の私は涙を流していた。

不思議に思い近くを探してみるが、何も手がかりは見つからない。

以前見た時の絵の中の私は、笑顔だったはずなのに…

私は怖くなって思わず絵を元の場所に戻した……

するとその時、後ろから声が聞こえてきたのだ!驚いて振り返るとそこには師匠が立っていた……。彼女は微笑みながら話しかけてきたのだ……

「レイラ、そろそろ屋敷に戻らなくても大丈夫?」と……。

「ええ、そうするわ!また来るわね!」

私は不安になりながらもその日は帰ることにした。

絵の表情が変わっていたのも、もしかしたら見間違えかもしれないと思い、、深く考えないようにしたのだった……。

次の日、私はまたカルセドニーの屋敷を訪れたのだが、そこで見たものは驚くべきものだった!

なんと彼の絵が一枚残らず全ておかしかったのだ。

あんなにも笑顔だった表情は、涙で悲しんでいる表情になっている。

「どういうことなの…!?」

私はあまりのショックにその場で泣き崩れてしまった……。

その後、師匠からカルセドニーがスランプであることについて聞かされたのだった……。

彼の絵は私と同様に、涙を流す表情になっていたということを……

私は辛くて辛くて仕方がなかったのだが、それでも彼との思い出を忘れないようにすると決めたのだ……! そして私は今日もまた彼の絵を眺め続ける日々を過ごすのだった……。

それにしても、いくら待てども泣いている私しか見当たらない。

奇妙なことに、誰も彼の絵には手をつけていないだという。

もしかして、カルセドニーは孤独だったのでしょうか? 一人ぼっちの彼の絵は、嘆き悲しんでいる表情に描かれている。

彼がこの屋敷で孤独に過ごしてきたことを物語っているようでした。

そんな時、師匠が私に声を掛けてきたのです……「レイラ、彼はあなたに恋をしていたのよ.............」と……私は驚きましたが同時に嬉しくも思いました!

でもそれと同時に複雑な気持ちにもなりました……何故なら、私は彼のことを何も知らなかったから……。

それからというもの、私は毎日のように彼の絵を眺め続けました。

そしてある日のこと、突然屋敷を訪れた私に師匠が言ったのです!「レイラ……あなたに折り入って頼みがあります……」と……彼女は真剣な表情で話を続けました。その内容はこうでした……!「あなたの元気な姿を、彼に見せてあげて欲しいの...........」それを聞いて私は驚きを隠せませんでしたが同時に疑問を抱きました……!

今まで見てきた彼の絵はどれも笑顔だったからです……!

そんな疑問に答えるかのように師匠は語り始めたのです……。

「あなたがいないと、スランプ気味で大変みたいなの。」それを聞いた瞬間、私は胸が張り裂けそうなほど苦しくなりました……なぜなら今まで私が見ていた絵は全て彼を悲しませていたことに気付いたからです!そして私は決意しました!カルセドニーに会いに行くと!!しかしどうやって会うのか方法がわからず途方に暮れていると、師匠が一枚の手紙を渡してくれました!

その手紙にはカルセドニーがいる場所の地図が書かれており、そこに行けば彼に会えると書かれていたのです!! 私は喜び勇んでその場所へと向かいました! しかしそこで待ち受けていたのは過酷な現実だったのです……! 私が到着した場所は洋館の前だったのですが、そこはとても不気味な雰囲気に包まれていたのです……!今にも壊れそうな外観で、外から見ても中は真っ暗でした……。恐る恐る足を踏み入れてみると床が軋む音が響き渡ります……!その音を聞く度に怖くなりながらも先へ進むことにしました……!

そして最深部にある部屋に入るとそこには驚くべき光景が広がっていました……なんとそこには絵が一枚だけ飾られているのです!しかしそれは私が知っている彼の絵とはかけ離れたものでした……! よく見ると涙を流しながら叫んでいるような姿が描かれているではありませんか!彼は孤独の苦しみから絶望に打ちひしがれてしまっているようでした……!!私はその姿を見て悲しみを感じました。彼がこんなにも苦しんでいる姿なんて見たくなかったのです。

私はどうすればいいのかわからなくなってしまいました。そこで師匠の言葉を思い出したのです!「レイラ……彼のことを理解してあげてほしいの。決して責めることなく、受け入れてあげて。」という言葉を思い出し、決意しました。

「...........カルセドニー、いらっしゃいますか?」

声をかけるも返事がなく静寂だけが広がっていました。それでも諦めずに何度も呼び掛け続けた結果、突然目の前にカルセドニーが姿を現したのです!彼は酷く怯えた表情を浮かべているようでした。そんな彼を見て私は思わず抱きしめました……!!その瞬間、彼の目から一筋の涙が流れ落ちたのです……!そして彼は私の胸の中で泣き崩れてしまいました……。

彼の口から吐き出される苦しみの声はとても悲痛で、聞いているだけで胸が張り裂けそうでした……でも私は必死に彼を抱きしめ続けました……! しばらくして落ち着きを取り戻した後、彼はゆっくりと話し始めました。

「レイラ...........どうしてここに?」と彼は聞いてきたのです。私は微笑みながら答えました……「あなたの絵がとても悲しんでいるように見えたから!」するとカルセドニーは驚いた表情を浮かべていました。そして彼は私に質問してきたのです!

「どうしてわかったんだい……?」私は正直に答えました……!すると彼は笑顔で話してくれたのです!「ありがとう..........!」そう言ってくれるだけで私も嬉しくなりました……!!

その後も私たちは仲良く過ごすことができ、彼の絵にも笑顔が戻ってきました。そんな彼を見て、安心した私は、その後も定期的に屋敷を訪れては彼に会いに行くことにしたのです! そしてある日のこと、私は彼に尋ねました……「どうして私を選んだの?他の子もたくさんいるのに。」すると彼は微笑みながら答えてくれたのです……!

「レイラは僕を理解してくれたからだよ!他の人達はみんな自分のことしか考えていないけど、君は違ったんだ!」そう言ってくれるだけで私はとても幸せでした……!

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