第24話

「私は、あなた達が後日控えている試験の訓練の下見に来ました。頑張ってくださいね」

ニコッと笑いかけると、青年は少し戸惑いながらも「お、おう、任せておけ!」と言ってくれた。

訓練場を後にして騎士団長室へ戻る道すがら、ラルフは私の背中を叩いて言った。「よくやったな!おかげでみんなやる気満々になったぞ」

私は、彼の言葉に感謝しながら微笑んだのだった...........。

その後、試験当日がやってきた。大勢の騎士たちが広場に集まり、各々の技を披露していた。私は彼らを見つめながらラルフに話しかけた。「こんなに大勢いるのですね」

彼は、頷きながら言った。「ああ、そうだ。みんな、君に見られていることを意識しているからな」

私はドキドキしながらも彼らの実力を見定めていた。すると一人の男性が名乗り出た。彼は他の騎士よりも背が高く、堂々とした立ち振る舞いをしていた。「これで終わりです、ありがとうございました。」彼は私に話しかけてきたので、私は答えた。

「はい、とても素晴らしかったですよ。」

私はそう答えながら彼の方を見た。すると彼は少し照れたようにしながら礼を言い、その場を去っていった。

そして次の騎士を見た時、あっと声を上げてしまった。

最初に声をかけてきた、若い青年だったからだ。

「君は..........あの時の..........」彼も私を見て、驚いたような表情を浮かべていた。

私は彼の技を見ながら、感心していた。彼は、他の騎士たちと比べても一際目立っていたからだ。彼は、まるで別人のような鋭い動きで剣を振り回し、最後には見事な投げ技を披露してくれたのだ。

周りからも拍手喝采を浴びながら、剣を収める彼に向かって私は言った。「素晴らしい剣技ですね、あなたはきっと、将来有望な騎士になりますよ」と褒めると、彼は嬉しそうな顔をしていたが、すぐに冷静な顔に戻り「ありがとうございます」とら丁寧にお礼を言ってくれた。


試験が終わった後、ラルフに呼び出されて部屋へと行くと、彼は満足げな表情を浮かべていた。「よくやったな、レイラ!お前の目利きはすごいぞ」

私は嬉しかったが、照れくさくて俯いてしまった。しかし、彼に褒められると自信が湧いてくるような気がした。

「ありがとうございます..........ラルフのおかげですよ」というと彼は首を横に振った。そして真面目な表情をして私を見つめた。「いや.........お前の努力の結果だよ。俺はただ、君の背中を押しただけだ」

私は彼の言葉に感動し、涙が出そうになったがぐっと堪えた。そして彼の手を握り返しながら言った。「ラルフ、これからもよろしくお願いしますね」と伝えると、彼は優しく微笑んでくれた。

それからというもの、私は騎士団の訓練に参加するようになった。最初は緊張していたものの、次第に慣れてくると、彼らとも打ち解けることができた。


私はラルフとともに、彼らの実力を測っていた。

そして結果発表の時が来た...........1位から10位までの順位が発表されたのだが、あの青年が1位に輝き、他の騎士たちから歓声が上がった。彼は、照れ臭そうな表情を浮かべていたが、私を見つけると「ありがとう」と言って手を差し出してきた。私は彼の手を握り返しながら感謝の気持ちを伝えた。

「おめでとうございます、あなたは素晴らしい実力をお持ちですね」

すると、彼は照れたように笑いながら答えた。「いや、俺なんてまだまだです..........でも、あなたのおかげで自信が持てました」

彼の言葉に感動しているとラルフがやってきたので、紹介してもらった。アドニスというらしい。

彼は微笑みながら、握手を求めてきた。私は、笑顔で答えながら彼と握手を交わしたのだった..........。

その後も騎士団の訓練に毎日通うようになり、私もだんだん上達していった。

ある日、私が訓練場で剣の素振りをしていると、アドニスがやってきた。「こんにちは!あの時の.....レイラ.........さんですよね?」

私は、驚きながらも彼に挨拶した。「はい、そうですが」

すると、彼は笑顔で話しかけてきた。「あの、もし良かったら一緒に訓練しませんか?」

私は、彼の提案に嬉しくなりながら答えた。「もちろんですよ!よろしくお願いします」

それから私たちは、2人で剣の打ち合いを始めた。

最初はぎこちなかったが次第にお互いの動きが読めるようになり、徐々に強くなっていった。そして、ついには彼の動きに対応できるようになった。

「レイラさん、すごいですね!俺の動きについてくるなんて」アドニスは、驚きと喜びが入り混じった表情で私を見た。

私も、同じ気持ちだった。「あなたの剣技がとても素晴らしいからですよ!」と返すと、彼は照れたように頭を掻いた。それから、私たちは時間を忘れて打ち合いを続けたのだった。

数ヶ月後、アドニスは騎士団の中でも一二を争うほどの実力の持ち主として認められた。私はそんな彼を誇らしく思ったが、同時に少し寂しさも感じた。なぜなら、彼とは訓練場以外でも会うようになったからだ。最初は、ただの会話だけだったのだが、最近ではカフェで食事をしたり、街で遊んだりするようになったのだ。

そんなある日、アドニスが急に真剣な眼差しで私を見つめながら話しかけてきた。「レイラさん、あなたに伝えたいことがあります」「えっ.........何でしょうか?」

私が聞き返すと、彼は照れたように顔を逸らしながら言った。「実は俺..........」彼は、そこで言葉を詰まらせたが、やがて覚悟を決めたように口を開いた。「あなたのことが好きです!付き合ってください!」

私は突然の告白に驚いたが、私は突然の告白に驚いたが、丁重にお断りをすることにした。

「ごめんなさい、隠していたのですが、私は王太子妃なんです..........」

私が頭を下げると彼はとても残念そうな表情をしていた。

「そうですか.........でも、これからもあなたと仲良くしたいです」

アドニスの言葉に私は少し迷っていたが、最終的には頷きながら答えた。「はい、もちろんです!」すると、彼は嬉しそうに笑ったのだった。

「今日はありがとうございました!また、お会いしましょう」とアドニスは笑顔で手を振っていた。私も手を振り返すと、その場を後にしたのだった。

それからも騎士団の訓練に通ったが、時折アドニスの姿を見つけることもあった。

その度に、私は緊張を感じた。しかし、私は王太子妃なのだ。いつかはアドニスも結婚する日が来るだろうし、その時に誤解なんかされたら大変だ。

でも、私はアドニスと今までのように楽しい日々を過ごしたかったのだ。

そんなある日、私はラルフに呼び出された。「レイラ、最近何かあったか?」

いきなりの質問に戸惑いながらも答えた。「いえ、特に何もありませんけど...........」すると彼は怪訝そうな顔をした後言った。「そうか...........ならいいんだ」とだけ言って、立ち去った彼の後ろ姿を見つめながら、私は首を傾げたのだった。

それから数日後、私が王宮でくつろいでいると、突然扉を叩く音が聞こえてきた。私は、誰だろうと思いながら扉を開けると、そこにはアドニスが立っていた。「こんばんは、レイラさん。入ってもいいですか?」

私は、驚きながらも彼を招き入れた。彼は、部屋に入るなり辺りを見渡しながら話しかけてきた。

「レイラさんって、このお部屋一人で住んでいるんですか?」「ええ..........そうなんですけれど..........」

私が答えると、アドニスは紅茶をいれてくれた。

「どうぞ、飲んでください」と勧められたので私はお礼を言ってからカップを口に運んだ。すると彼は微笑みながら言った。「美味しいですか?」

私が頷くと、彼はさらに微笑みを深めた。

そして私は、戸惑いながらも尋ねた。「あの.........今日は、どうされたのですか?」

アドニスは真剣な表情になりながら言った。「実は話があって来たんです」それから彼は、自分の過去を語り始めたのだった.........。

アドニスは元々平民の出身で、貧しい生活を送っていたこと、ある日たまたま試験に受かったことで騎士団に入ることができたことなどを、話してくれた。

私が興味津々で聞いていると、アドニスは照れたように頭を搔いていた。

「本当に、アドニスは才能があると思いますよ」

私が褒めると、彼は照れくさそうに笑っていた。それからしばらく雑談した後、彼は真面目な顔をして言った。

「それでですね.........実は、レイラさんに伝えたいことがあります」私は心臓がドキドキしてくるのを感じながら、彼の言葉を待った。

アドニスは、真剣な眼差しで私を見つめながら口を開いた。「今度、騎士団で演目をするのです。よろしかったら、ぜひ来ていただけませんか?」

私はら彼の申し出に嬉しくなりながら頷いた。「もちろんです!楽しみにしていますね」と笑顔で伝えると、彼は嬉しそうな表情を浮かべながら口を開いた。「良かったです、それともう一つお願いがあるのですが..........。」

私が首を傾げると、彼は少し言いにくそうにしながらも言った。

「実は今度の演目で、レイラさんと一緒に演技をしたいと思っています!」私は驚きながらも、了承したのだった。

翌日から稽古が始まったが、アドニスの演技は素晴らしかった。

彼との練習はとても楽しかったし、彼が私をリードしてくれたおかげで、私も何とかうまくこなすことができた。そしてついに迎えた本番では、アドニスの隣で演技をすることになった。彼の演技を間近で見るたびに、景色がキラキラして見えた。

公演が終わった後も、興奮冷めやらぬ状態でアドニスに話しかけていた。

すると、彼は少し恥ずかしそうにしながら言った。

「レイラさん........ご一緒してくださりありがとうございました、すごく楽しかったです!」

私は嬉しくて、笑顔になりながら答えた。「こちらこそ、ありがとうございました!」アドニスとの時間は、私にとって楽しいものとなったのだった。


そんなある日のこと、私はラルフから呼び出された。「レイラ、アドニスのことなのだが..........大丈夫か?」

私は、驚きながらも答えた。「えっ、何がですか?」すると、ラルフは真剣な眼差しで私を見た後言った。「最近、アドニスと親密になっているようだが、あまり親しくしすぎるのは..........。」

私は戸惑いながらも、聞き返した。「どうしてでしょうか?」

ラルフは、少し迷ったような素振りを見せてから口を開いた。「君は、王太子妃なんだぞ?それに、アドニスとは身分が違うだろう?」

そう言って立ち去ろうとするラルフに向かって、私は叫んだ。「待ってください!彼とは同じ騎士団の仲間です..........身分なんて関係ないじゃないですか!」すると、ラルフは振り返った。「レイラ..........もう子供じゃないんだぞ?それに、アドニスとは今日で終わりにするべきだ」

私は、納得がいかなかった。なぜ、ラルフがそんなことを言うのか分からなかったからだ。でも、これ以上食い下がっても無駄だと悟った私は、渋々了承したのだった.........。

それから数日後の朝、私はアドニスを王宮の庭園に呼んだ。彼は珍しそうにきょろきょろと辺りを見渡し、感心しているようだった。

「レイラさん!おはようございます!」彼は嬉しそうに庭園入ってくると、私に向かって微笑んだ後、椅子に座った。私も向かい側に座ってから、口を開いた。

「アドニス、実はあなたに伝えたいことがあります」

私が真剣な顔で言うと、彼は不思議そうに首を傾げた。「なんですか?」私は緊張しながら彼に告げた。「実は私.........あなたの事を、大切な仲間だと思っています」アドニスは驚いた表情を浮かべていたが、すぐに嬉しそうな顔になった。「本当ですか!?嬉しいです!」

私は微笑みながら言った。「でも........ラルフが..........」私は躊躇したが、意を決して続けた。「彼は、身分が違うと言いました」

すると、アドニスは困惑したような表情になった後言った。「レイラさん、確かにあなたは王太子妃です。この国のトップの存在です。でも、身分なんて関係ないと思います!それに、俺はあなたという1人の人間に惹かれているんです」

彼の言葉に、胸が熱くなった。私も、アドニスのことを大切な仲間だと思うが余り、身分の差を考えて自分の気持ちを抑えていたのだ。しかし、彼の告白で抑えていた感情が溢れ出してきた。

アドニスは立ち上がると、私に近づきながら口を開いた。

「レイラさん...........打ち明けてくださりありがとうございます、俺はあなたの決断に任せます」

彼はそう言って私の目を見つめた。

私は戸惑いながらも口を開いた。「あの、本当にいいんですか?」私が尋ねると、アドニスは笑顔で答えた。「もちろんです!どんな決断でも受け止めますから」

私は彼の言葉に涙を流した..........それから私たちは庭園の中で二人でお菓子を食べながら過ごしたのだった。

翌日、騎士団の稽古場でアドニスと会った私は、彼に話しかけた。「こんにちは、アドニス」私が挨拶すると彼は微笑みながら言った。「レイラさん、おはようございます!」私も微笑み返すと、彼はさらに笑みを深くした。

アドニスは、私のことを心から信頼してくれているようだった。「レイラさん、今度の公演は成功させましょうね!」

私は笑顔で頷くと、稽古に励むのだった。そしてついに公演の日がやってきた.........会場には多くの人が詰めかけていた。私たちは舞台裏から客席の様子を眺めていたが、その熱気に圧倒された。舞台袖で出番を待っていると、アドニスが話しかけてきた。「レイラさん!頑張りましょうね!」私が頷くと、彼は微笑んでから口を開いた。

「レイラさん.........今日は素敵な衣装ですね」そう言って、彼は私のドレス姿を見つめながら言った。私は照れ臭くなりながらも、感謝の気持ちを込めて微笑んだ。「アドニスも素敵ですよ」

すると、彼は照れくさそうに頭を掻いた。「ありがとうございます」

私たちは緊張しながらも、お互いに励まし合っていた。そしてついに舞台に上がる時が来た..........アドニスが先に舞台に上がり、私はその後に続くように続いた。観客から拍手と歓声が上がる中、私たちは演技を始めた。

アドニスの演技は素晴らしく、私も負けじと頑張った。アドニスとは長く一緒に練習してきただけあって、息ピッタリだった。

公演が終わった後は観客からの拍手が鳴り止まなかった。「レイラさん、お疲れ様でした!とても素晴らしかったですよ!」アドニスは興奮した様子で話しかけてきたが、私も同じくらい嬉しかったのだ。公演が終わった後の帰り道で、私たちは自然とカフェに寄っていた。

そこで私たちはお互いの演技について語り合い、笑い合った。そしてこの時、私は改めてアドニスと一緒にいるのが楽しいと感じたのだ。

数日後のこと、私は騎士団の訓練所でアドニスと会話を楽しんでいた。

その時、ラルフが現れたのだ。「レイラ、何をしているんだ?」

ラルフは険しい表情を浮かべてこちらを見ていた。私は戸惑いながらも口を開いた。「あの........アドニスとお話をしていただけですが...........」私が答えると、彼は鋭い目つきで私を見た後言った。

「君は王太子妃だ!ルシアン殿下以外の他の男性と勘違いされるような距離感にいるのは、間違っている!」私は彼の言葉にショックを受けたが、同時に悲しみも覚えた。「何を言っているのですか?アドニスは大切な仲間です!」私は思わず声を荒らげた。すると、ラルフは私の腕を掴んだ。「レイラ、君は王太子妃なんだぞ!自覚を持て!」そう言って私を連れて行こうとしたが、アドニスが割って入ったのだ。「待ってください!レイラさんは嫌がっていますよ」

ラルフは苛立ちながらも言った。「これは彼女の問題だ..........邪魔をするな」私はそんな彼を見て叫んだ。「ラルフ、いい加減にして!私はアドニスとは何もないし、私たちは友達なのよ!」

するとラルフは険しい表情で私を見た後、アドニスに向かって叫んだ。「アドニス!君はレイラのことをどう思っているんだ?正直に答えろ」彼は、真剣な眼差しで私を見つめた。

アドニスは少し躊躇う様子を見せた後、口を開いた。「俺は.........レイラさんのことが好きです。彼女の演技も心も全てに惹かれています」彼がそう答えると、ラルフは顔を真っ青にしながら叫んだ。

「誰が許すものか、ルシアン殿下に伝わったらどうなるか..........!」私は、そんな彼を見て悲しくなった。

結局、この日の出来事がきっかけで、私とラルフの関係は悪化してしまった。

その後、アドニスは私を避けるようになり、私は孤独感に苛まれる日々が、続いたのだった.........。


数ヶ月後のある日のこと。私は、王宮での仕事を終え自分の部屋に戻ろうとしたところ、突然声をかけられた。振り返ると、そこにはアドニスが立っていたのだ。彼は、以前よりもさらに大人びており、優雅な雰囲気を身にまとっていた。

「レイラさん...........」彼は、遠慮がちに話しかけてきたが、私は彼の目を見ることができなかった。「ごめんなさい.........今日は急いでいるので..........」私がそう言うと、彼は悲しげな表情を浮かべた後言った。「そうですか...........また今度ゆっくりとお話ができれば嬉しいです」

アドニスはそれだけ言うと、その場を去っていった。


それから数日間、私は彼に会うことはなかったが、私の気持ちは晴れることはなかった........そしてある日のこと、再び彼に会う機会が訪れたのだ。それは王宮の噴水広場でのことだった。私が散歩をしていると突然現れたアドニスに声をかけられたのだ。彼は真剣な表情でこちらを見つめながら口を開いた。「レイラさん.........」彼が口を開いた瞬間、私はドキドキしてしまい思わず目を逸らしたが、彼は気にせず話を続けた。「あの、もしよろしければ一緒にお話ししませんか?」

私は驚きながらも彼の誘いを受け入れた。「..........ええ、もちろん!喜んで」

アドニスは嬉しそうな笑みを浮かべて頷いた後、私たちは噴水の周りを歩きながら話をした。彼は色々なことを話してくれたが、私は緊張していてほとんど言葉が出てこなかった。

それでも、彼は優しく微笑んでくれたのだった............。

それからというもの、アドニスとはよく会うようになった。彼が会いに来てくれる度に、私の心は嬉しさで満たされていった。しかしそれと同時に、ラルフの冷たい態度が私の心を締めつけた。「レイラさん.........︿ ﹀大丈夫ですか?」アドニスは、心配そうな表情を浮かべながら聞いてきた。「ええ、大丈夫よ、ありがとう」私は、ぎこちない笑顔を浮かべると、その場を立ち去った。


そんなある日のこと、ラルフから呼び出しがあったのだ。

呼び出された場所は、騎士団の訓練所だった。私は、重い足取りで中に入って行くとラルフの姿を見つけた。彼は険しい表情でこちらを見ていた。そして、私を見ると口を開いた。「レイラ.........」彼はそう言って、私のことをじっと見つめていた。私は、戸惑いながらも口を開いた。

「何のご用かしら?」

私が尋ねると彼は冷たい口調で言った。「君との関係について、話し合いたいと思ってね」私は困惑しながらも尋ねた。「私との関係って、何なの?」すると、ラルフは怒りを含んだ声で言った。「とぼけるつもりか?君と、アドニスの関係だよ」

私は驚きながらもた。「何を言っているの?アドニスとはただの友達よ!」私は、納得できなかった。「アドニスは、ずっと君のことばかり話しているぞ!それに、君は最近騎士団の連中とも親しくしているようだが、それがどういう意味か分かっているのか?」私は、戸惑いながらも答えた。「騎士団の人達と仲良くすることは、いけないことなの?」

すると、ラルフは呆れたように深いため息をついた後言った。「君は、王太子妃としての立場を忘れているのか?他の男性と親しくするのは、自分の立場を危うくするんだぞ」ラルフの言葉を聞いて、私は愕然とした..........。

皆との関係で、私は精神的に追い詰められた状態になっていた。


その日の夜遅くのこと、私の元に一通の手紙が届いた。

いなかった。不審に思いながらも封を開けると、中には紙が入っていた。その内容を見て私は衝撃を受けた.........。

手紙には、こう書かれていたのだ。『レイラさん、最近ラルフとの仲がうまくいってないようですね』

私は驚きながらも、次の文章を読んだ瞬間、絶句してしまった。

『こんなことではいけないですよ、もしあなたが私の忠告を聞かなかったら、どうなるか分かりますか?』その手紙には、恐怖心を煽るような言葉が書かれていたのだ。

私は、ラルフに相談しようと思ったが思いとどまった。「これ以上、彼に迷惑をかけたくない..........」私はそう思ったのだ。

それから数日間、私はこの手紙を誰にも相談できなかったが、手紙の恐怖心は日に日に増していった。「どうしたら良いんだろう?」私は悩み続けたが答えは見つからなかった..........。


そんなある夜のことだった。私が一人部屋で過ごしていると突然部屋のドアがノックされたのだ。こんな時間に誰だろうと思い恐る恐るドアを開けると、そこに立っていたのはラルフだった。彼は険しい表情を浮かべながら口を開いた。「レイラ..........君に話があって来た」彼の声を聞いた瞬間、私の心臓は激しく高鳴った。

「話って、何かしら?」私は平静を装いながら尋ねた。「レイラ、最近君は何を隠しているんだ?その手紙には心当たりがあるんじゃないか?」彼の言葉を聞いた瞬間、私の心臓はバクンと音を立てた。「それは...........」私が言い淀んでいると彼は鋭い口調で言った。「レイラ、正直に話せ!何があったんだ?」

私は、俯いたまま言葉を失ってしまったが、このままではいけないと思い口を開いた。

「..........実は、この手紙のことなんだけど」私が全て話し終わると、ラルフは手紙を睨みつけた。そして、冷静さを含んだ声で言った。「レイラ、一緒に差出人を探すぞ。後、そういうことは早く言ってくれ、友達だろ。」

ラルフはそう言うと、私の手を握った。私は彼の温もりを感じながらも、この手紙の主のことが気になって仕方がなかった..........。

その後、私たちは差出人を探し始めたがなかなか見つからず難航していた。そんなある日のこと、再び私のもとに一通の手紙が届いたのだ。恐る恐る開けてみると、そこには衝撃的な内容が書かれてあった。

『レイラさん、どうして嘘をつくんですか?本当はわかっているんでしょう?これ以上嘘をついたら、覚悟しておいてくださいね』

手紙に書かれた言葉を読んだ瞬間、私の心は恐怖心に蝕まれていった。

「どうすればいいのかしら.........」

私は悩んだ末、ラルフに相談することにした。「ラルフ、また手紙が届いたわ。差出人は同じ方だと思う。」

すると、彼は険しい表情で口を開いた。「レイラ、それは本当か?」私はコクリとうなずいた。

「ええ、本当よ。でもまだ誰なのかは分かっていないの」

すると、ラルフは考え込むように腕を組んでいたが、やがて口を開いた。「レイラ、俺は君が心配なんだ。その手紙の差出人が誰だか分からない以上、俺も君を守ってやれるとは限らない」私は彼の言葉に戸惑ったが、同時に胸の奥で温かいものを感じたのだ。


そんな時、王宮で舞踏会が開催されることになった。私は楽しみ半分怖さ半分という心境だった。そんな中、私たちは怪しい者がいないか警戒しながら舞踏会に参加した。

舞踏会が始まると、私はラルフと一緒に行動していた。「レイラ、何か変わったことはないか?」ラルフは心配そうに聞いてきたが、私は首を横に振った。

しかし、その時突然後ろから声をかけられた。振り返ると、そこにはアドニスが立っていたのだ!「レイラさん..........お久しぶりです」彼は、微笑みながら言った。

アドニスの顔を見た瞬間、私は思わず固まってしまったが、すぐに冷静さを取り戻して口を開いた。

「アドニス、お久しぶりね、あなたも参加していたのね」私が答えると、彼は少し悲しげに微笑んだ後言った。

「ええ、お互いこのパーティーを楽しみましょう!」

そう言って、アドニスは騎士団の方達に挨拶に行ったのであった。

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