第8話

それから数日後のこと............私は、王宮内の医務室へと足を運んでいた。今日は、王妃様の専属魔術師さんに会うことになっているのだ。緊張しながら扉を開けると、そこには若い女性の姿があった。彼女は私に気が付くと、笑顔で迎えてくれる。「ようこそいらっしゃいました、レイラ様ですね?」

私は、自分の名前を言い頭を下げた後、自己紹介をしたのだった。すると、彼女も丁寧に名前を教えてくださったのである。

彼女の名前は、カエラ様というらしい............早速私は、事情を話すことにしたのだが、彼女が言うには実はこの薬はごく一部の貴族にしか出回っていない特殊なものであり、在庫も少ないようだと言うことが分かったのである。

落胆する私に、カエラ様は優しく声をかけてくれたのである。「大丈夫ですよ、この薬はまだ半分ほど残っていますから............」と言ってくれたのだ!私はその言葉に安心し、お礼を言った後に帰ることにしたのだった。


ーーしかし、その後に起こった出来事が私の運命を大きく変えることになるとは、思いもしなかった...........。



城からの帰り道、突然目の前にルシアンが現れたのである!彼は私の顔を見るなり、嬉しそうに話しかけてきたのだ。「レイラじゃないか!会えて嬉しいよ...........ん?なんだかちょっと雰囲気が違う?」

私は、戸惑いながらも答えた。「ちょっと出かけていて、そのせいだと思うわ」

すると、ルシアンは納得してくれたようだったが、それでも気になるようでまじまじと見つめてくる。

私は恥ずかしくなって、目を逸らすしかなかったのである。

(うぅ............どうかバレませんように...........)そう願いながら、その場を立ち去ることにしたのだった。しかし、ルシアンが追いかけてきたのだ!彼は私に追いつくと、腕を掴んで引き止めたのである。

「伝え忘れていたよ!今日のレイラも、とても可愛いね」と。

私はどう答えればいいのか分からず、ただその場で固まってしまうことしかできなかった。

しかし、ルシアンは気にすることなく話を続けたのである。

「そうだ!これからゆっくり、一緒にお茶でも飲みながら話さないか?最近話せていなかったし」

私は断ることもできず、彼に連れて行かれることになったのである。


連れてこられたのは、ルシアンの私室であった。

部屋に入ると、小綺麗にされた部屋が目に入る。

ルシアンは私をソファに座らせると、お茶の準備を始めたのだった。

彼は、慣れた手つきで紅茶を淹れていく。

その様子をぼんやりと眺めながら待っていると、目の前にカップが置かれたのだ。

(うわぁ、いい香りね............ルシアンは、王太子なのに紅茶の心得もあるのね)

と感心していると、彼は隣に座ってきて話し始めた。

「今日は、何をしていたんだい?」私は素直に、王妃様の専属魔術師に会いに行ったことを伝える。

すると、彼は大層驚いたような顔をしていた。

「母上が申し訳ない.............ちゃんと、私からも伝えておくよ」

と、申し訳なさそうな顔をするルシアンだったが、私は首を横に振った。

「いえ、いいんです!私が勝手にしたことです」そう言って微笑むと、彼も安心したのか微笑んでくれたのだった。それからしばらく二人でお茶を楽しんだ後、ふと思い出したかのように彼は言ったのだ。「そういえば、最近リリアナさんにレイラのことを聞いたけど............」

私はドキッとしたが、平静を装って聞き返した。すると、彼は真剣な眼差しでこちらを見つめながら話し出したのである。

(どうしよう、魔法のこととかバレてしまったのかしら?)不安になりながら、彼の言葉を待っていたのだが、彼が発した言葉は意外なものだった。

「イメチェンの話をしてね。レイラはどんな髪型が好き?ポニーテール、ツインテール、三つ編み...........どれが好きかな?」

(どういうことだろう?)

私は困惑しながらも、質問に答えた。「私はどれでも好きですよ」と答えると、彼は満足そうに頷いたのである。そして立ち上がると、私の後ろに立ち髪を触り始めたのである。

(何?一体何が起こっているの!?)私がパニックになっている間も、彼の手は止まらない。

そして、器用に私の髪を編んで行って、楽しそうな声を上げるルシアンであった。

そしてしばらくして鏡を見せてもらうと、そこには編み込みを綺麗に施された私が、映っていたのである。

私は、唖然としていた。

まさか、こんな短時間でここまで変えられてしまうとは、思わなかったからだ。

そして同時に、感心もしていたのである。

「ルシアンは器用なのね、すごいわ!」

と褒めると彼は照れたように笑うのだった。

その後も、ルシアンに色々な髪型を試させてもらいながら、時間を過ごしていた。なんだか自分が自分ではないみたいで、不思議な感覚であったが、それもまた楽しかったのである。

結局その日は、一日中髪を弄ばされていたのだが、不思議と嫌な感じはしなかったし、むしろ心が満たされる思いであったのだった...........。

そしてその日の夜は、カエラ様に渡された薬を飲んで一晩夜を過ごした。

翌朝、私の部屋の前にはルシアンが立っていたのだ!私は、驚きのあまり固まってしまう。

しかし、ルシアンはいつも通りの笑顔で話しかけてきたのである。

「レイラ、おはよう!」と言われ、慌てて挨拶を返す私。そして、彼は私の手を引いて歩き出したのだった。

どこに行くつもりなのかと尋ねると、彼は秘密だと言って教えてくれなかった。

そうしてたどり着いた先は、なんと謁見の間であった!彼が言うには、王妃様が私達に会いたがっているらしいのだが...........一体何のために呼ばれたのかがさっぱりわからなかったのだ。

困惑しながらも、手を引かれるままに付いていくと、謁見の間へと通されたのである。

私は、緊張しながらも部屋の中に入ったのだが、そこには王妃様だけではなく、国王陛下ともう一人見知らぬ男性の姿があったのだった。

その男性は、私を見るなり驚いたような表情を浮かべる。

「そなたは...........」と言うと、彼は近づいてきて私を見つめる。

(この人は、私のことを知っているのかしら?)私は、不安になりながらも挨拶をすることにしたのである。

「初めまして、レイラ・アルスベルと申します」と名乗ると、彼も同じように名乗ったのだ。そして握手を求められてしまったので、おずおずと手を差し出すと、彼は私の手を強く握ってきたのだった。

「なるほど、確かにルシアン殿下の言う通りだな...........」彼が呟くと、国王陛下は何かを察したように頷いていた。

その様子を見ていた王妃様が、微笑みながら話しかけてきたのである。「レイラちゃん、突然呼び出してごめんなさいね」彼女は申し訳なさそうに言うが、私は慌てて首を横に振って否定したのだ。

王妃様は、優しく微笑みながら言葉を続ける。

「実は、あなたにお願いしたいことがあるのよ」と言った瞬間、私は緊張してしまった。

一体どんなことを言われるのか、不安だったのだ...........しかし、彼女は予想に反して意外なことを言い始めたのである!

「実は、あなたに私の専属の調合師になってもらいたいのよ」

私は、驚きのあまり声が出せなくなってしまった。

まさか、そんなことを言われるとは、夢にも思わなかったからだ。しかし、王妃様は構わず話を続ける。

「この薬があと僅かしか残っていないのは、知っていたわよね?」と問いかけてきたので、私は黙って頷いたのである。

すると、彼女は申し訳なさそうな表情で言うのだ!

(やっぱり本当に残り少なかったんだ............)と、心の中で思いながら聞いている私に向かって、話し出したのである。「それでね、あなたに調合を手伝ってもらいたいのよ。もちろん、報酬は払うわ!どうかしら?引き受けてくれる?」

私は、戸惑ってしまった。こんな私が.王妃様の専属の調合師になっていいのだろうか?

そう思ったからである。

しかし、悩んでいる時間はなかった。

王妃様は私の返事を待っているのだ。

私は、意を決して答えることにしたのである。

(よし!もうこうなったらやってやるわ!!)覚悟を決めると、私は大きく息を吸うとはっきりとした口調で言ったのである!「分かりました!私で良ければ、お手伝いさせてください!」と答えると、彼女は嬉しそうに微笑んでくれたのである。

それからというもの、私は王妃様の専属調合師として王城で過ごすことになったのだった。最初のうちは、失敗ばかりで大変なこともあったが、少しずつ上達していくうちに、自信がついていったのである。

そんな日々を過ごすうちに、いつの間にか数ヶ月の月日が流れていた...........そしてある日のこと、王妃様が私を呼ぶ声が聞こえたのだ!何事かと思い急いで駆けつけると、そこには王妃様と国王陛下の姿があったのである。二人は、私の顔を見るなり笑顔を浮かべて出迎えてくれたのだった。

「レイラちゃん、長い間ここでよく頑張ってくれたわね」

と言い王妃様は、私の頭を撫でてくれたのである。私は、嬉しさのあまり泣いてしまいそうになったのだが、ぐっと堪えて笑顔でお礼を言ったのである。

「ありがとうございます!でも、まだまだ未熟者なのでこれからも頑張ります!」と言うと、国王陛下も褒めてくれたのだ!そして「本当に良く頑張ったな、レイラ殿」と言ってくれたので、私はさらに嬉しくなってしまったのだった。

その後、王妃様からご褒美として新しい調合のレシピを教えてもらうことができたのだ!これからは、一人でも作れるようになるだろうと思い、とてもワクワクした気持ちになったのである。

それから調合をしようと思い、早速新しい薬草を手に入れるため、私は森の中に出かける準備をしていた。

そうしていると、突然扉が開いて一人の男性が入ってくるのが見えた。

驚いてそちらを見ると、そこにはラルフの姿があったのである。彼は、私の姿を見るなり嬉しそうに駆け寄ってきたのだ!そして言ったのである。「レイラ、久しぶりだな。どこへ行くんだ?」私は、戸惑いながらも答えるしかなかった。

「お久しぶりね!............えっと、ちょっと調合のための薬草を、取りにいこうとおもって」と答えると、彼は目を輝かせながら言ってきたのだ!「それなら俺も手伝うよ!1人じゃ危険だ」と言われてしまったので、私は断ることもできず、一緒に行くことになったのだった。

(でも、なんでいきなりこんなことになったんだろう?確かに、ラルフは騎士団の中ではトップを争うほど強いけど...........)と考えていたのだが答えが出るはずもなく、彼と一緒に森へ向かうことにしたのだった。


森の中に入ると、早速薬草探しを2人で手分けして始めたのである。しかし、なかなか見つからずにいると、突然ラルフが声をかけてきたのだ!「なあレイラ、ちょっと休憩しないか?」と言ってきたのだ!

私は頷くと、近くの木陰に腰を下ろしたのである。

しばらくすると、ラルフは何かを思いついたかのように口を開いたのだ。

「そういえばさ...........レイラは、最近ルシアン殿下と話しているか?」と聞いてきたのである……!突然のことで驚いたものの、特に隠す必要もないと思い素直に答えることにした。

「ええ、たまにだけどね!」と私が答えると、彼は嬉しそうに笑みを浮かべていたのだ。

一体何がそんなに嬉しいのだろうか?よく分からないまま首を傾げていると、ラルフは続けて言う。

「そうか、それならいいんだ!」

(なんでそんなことを聞くんだろう..........?)と疑問に思ったが、それ以上深く追求するのはやめておくことにした。

その後、しばらく二人で雑談をしていると、薬草の群生地を見つけることができたので、早速調合することにしたのである。ラルフの手を借りつつ、順調に調合を進めていくうちに、時間はどんどん過ぎていった...........そして、ついに完成したのだ!!

それを瓶に詰めて、持ち帰ることにした。

「ありがとう、ラルフ!あなたのおかげで、無事に調合することができたわ」と言うと、彼は照れ臭そうに笑ったのだった。それから私たちは、一緒に城へ戻ることにしたのだが、途中でラルフが立ち止まって言ったのである。

「レイラ、実はさ...........最近リリアナと話せてなくて。彼女は元気そうか?」

私は、彼の言葉を聞いてドキッとした。

そして少し悩んでから、答えることにしたのである。「えっと、私の記憶では元気そうだったわよ?」と言うと、彼はホッとしたような表情を浮かべていた。それを見て、なぜか胸が苦しくなるような感覚に襲われてしまったのだ。

(なぜだろう?)と考え込んでいると、突然ラルフが立ち止まった。そして、私の方を振り向き真剣な眼差しで見つめてきたのである。

私は思わず固まってしまった。

しかし、ラルフは何も言わずにただ黙って立っているだけだ。

私は意を決して、口を開くことにしたのである。「えっと、どうかしたのかしら...........?」と聞くと、彼はハッとした様子で我に返ったのか、慌てふためくような様子を見せた。

「あ、いや!何でもないんだ。ただちょっと聞きたいことがあっただけで...........ごめんな」と言って、申し訳なさそうに謝ってくるのだった。

その様子を見て、私はますます不安になってしまったのである。

その後ラルフは、何も話さずに黙って歩いていたため、私は話しかけることもできなかったのだが、それでもどうしても先ほどのことが気になって、仕方がなかったのである。

そんなことを考えているうちに、いつの間にか城に戻ってきていたようだ。私たちは、馬車から降りるとそのまま部屋へと向かったのだった。

「じゃあまたな、レイラ!」と言って、去っていく彼を見送った後も、私の心はモヤモヤしたままだった。(ラルフの様子がおかしかったけど、一体どうしたんだろう.............)と考えていると、突然部屋の扉がノックされたのだ!私は驚いて返事をすると、中に入ってきた人物を見てさらに驚いてしまった。そこに立っていたのはラルフだったのだ。

彼は私の顔を見るなり、申し訳なさそうに頭を下げて言ったのである。「さっきはすまなかったレイラ」と言って、謝る彼に対して私は何も言えずに呆然としていた。

すると、彼は続けて話し出したのである。

「言い忘れていた。リリアナのことなんだが...........」と言って、言葉に詰まってしまったようだ。私が首を傾げていると、彼は決心したかのように口を開き始めた。

「実は彼女...........俺の前では、最近元気がないんだ」と言ったかと思うと、今度は黙り込んでしまった。そして、何かを決意したかのように顔を上げると私に向かって言ってきたのだ!「レイラ、君はリリアナから何か聞いていないか?些細なことでもいい」私は驚いたものの、冷静に考えた後、ゆっくりと首を横に振ったのである。

すると、ラルフはホッとした表情を一瞬だけ浮かべたものの、すぐに暗い表情に戻ってしまう...........。

「そっかぁ、そうだよな.........」と言う彼の言葉を聞いて、胸が痛んだような気がしたのだ。

(どうしてそんなことを聞いてきたんだろう?それに、リリアナさんは元気そうに見えたのだけれどつ実際はそうではなかったのかしら..........?)と思いながらも、私はそれ以上深く追求しないことに決めたのだった。

ラルフは、その後も何か言いたげな様子だったが、結局何も言わずに去って行ってしまった。その後しばらくの間、私は彼のことを考えていたのだが結局答えは出なかった。

一体、2人の間に何があったのだろうと、頭を悩ませるばかりであった。

それから数日経っても、ラルフの様子は相変わらずおかしかった。

私が話しかけても、どこか上の空といった感じでぼーっとしていることが多くなった気がするのだ。そんな様子を見ていると、私もなんだか心配になってくるほどだった..........。

そしてとうとう我慢できずに、聞いてしまったのだ!「最近どうしたの?また何かあった?」すると彼は考え込んだ後、答えてくれたのである。

「実は..........」と言いかけると、そのまま黙り込んでしまう。

そして、真剣な表情になり口を開いたのだ!

「実はさ、リリアナが俺のことを避けてるんだ。今までは普通に話ができたんだけど、最近は全然話せなくてさ...........」と言ったかと思うと、再び黙り込んでしまったのである。

その表情からは、悲しみや寂しさといった感情が伝わってきた。

(なるほど、そういうことだったのか)と、心の中で納得した私だった。

しかし、問題は解決していないため、ラルフはますます落ち込んでしまうこととなったのだった。そんな彼の姿を見ていて、私も胸が痛くなってきたのだが、どうすることもできずにいたのである..........。

しばらくして、ラルフは立ち直りつつあるようだったが、それでもまだ完全に元気になったわけではないため、心配なことには変わりない。

どうしたものかと考えていたある日のこと、私は調合師見習いとして、国王陛下の専属魔術師であるカエラさんに薬の調合方法を教えてもらうことになった。

「カエラさん、今日もよろしくお願いします!」と元気よく挨拶すると、彼女は笑顔で応えてくれたのだ。そして、早速調合を始めることにしたのだった!「まずは、薬草を乾燥させるために釜に入れます」と言われ、私が釜を覗き込むと中には乾燥した薬草が入っていた。それを手に取ってみると、ほのかに暖かさを感じたのだ! 私は嬉しくなって思わず微笑んでしまう。

すると、カエラさんは感心した様子で私を見つめて言ったのである。「レイラさん、あなたは本当に優秀ですね!教え甲斐があります!」と言ってもらえて、私はますますやる気になったのだった。

それから、しばらくカエラさんの手ほどきを受けながら調合を続けていたのだが、突然彼女は手を止めると言ってきたのである。「レイラさん、少し休憩しましょうか?」と言われ、時計を見るとちょうどお昼時だったため、私たちは休憩することにしたのだ。

食堂に、向かい席に着くとカエラさんが尋ねてきた。

「レイラさん、最近悩み事があるのではないですか?」と。

私は、図星を突かれてドキッとしたが、平静を装って答えることにした。「...........いえ、特にありませんよ?」と言うと、彼女はにっこりと笑って言ったのである。「そうですか?でも、何か困ったことがあったらいつでも相談してくださいね」と言ってくれたのだった。

(さすがは先輩だな)と思いながらも、私は感謝の気持ちでいっぱいになったのである。


その夜、部屋で一人考え込んでいると、やはり考えるのはリリアナさんとラルフの関係のことだった。

最近、リリアナさんとあまり会うことがなく、彼女が元気がないというお話を、ラルフから聞いていたからだ。

(どうして避けられているんだろう?)と考え込んでいると、ふとある疑問が浮かんだのである。

(もしかして、リリアナさんはラルフについてなにか思うところがあるから、避けているのかもしれないな)そう思うと、なぜか胸がチクッと痛くなったのだ。

この痛みが何なのかわからないまま、私は眠りにつくのだった...........。

翌朝、いつものように朝食を食べに行くために部屋を出たところで、リリアナさんと出会ったのである。彼女は、私の顔を見るなり顔を背けて立ち去ろうとするのだが、私は咄嗟に彼女の手を掴んでしまった。

すると、彼女は驚いた表情でこちらを振り返ったのである。私は、勇気を振り絞って問いかけたのだ!

「どうして、ラルフを避けているのですか?」と。

すると、彼女は困ったような表情を浮かべて、黙り込んでしまったのである..........その様子を見て、私はますます不安になってしまったのだが、そこで救いの手を差し伸べてくれた人物がいたのだ。

それは、カエラさんだった!「リリアナさん、ちょっとお話があるんだけど」と言って、彼女を連れ去ってしまったのだった..........!(一体、どんな話をするんだろう?)と思っていると、しばらくして戻ってきた時には、二人とも晴れやかな表情になっていたので、安心した反面不思議に思ってしまったのだった。

その日の夜、私はいつものように調合をしていたら、不意に扉がノックされた。扉を開けると、そこにはラルフの姿があったのである!私は驚きながらも、彼を部屋の中へ招き入れたのだが、彼はどこか思い詰めたような様子だったので心配になった。

そこで尋ねてみると、彼は重い口を開いたのである。

その内容は、驚くべきものだった!なんと、リリアナさんがラルフを避けていた理由は、料理が毎回水色だから、カエラさんになぜなのか理由を聞いていたかららしい。

リリアナさんは、ラルフに手料理を振る舞っていたらしいのだが、以前と同様に水色のまま変わらなかったらしい...........そこでリリアナさんが不思議に思い、水色の料理しか作れないわけをカエラさんに聞いていたところ、ラルフを避けていたと勘違いさせてしまっていたらしい。それを聞いた私は、思わず笑ってしまった!(なんだ、そうだったんだ............!)と思いながらも、安心して胸を撫で下ろすことができたのである。

次の日から、ラルフは積極的にリリアナさんに話しかけたりするようになり、二人の関係は少しずつ良い方向へ向かっていったようだ。

その様子を見守っていた私も、一安心していたのである。

その日の夜も、私は調合をしていたのだが、ふと手を止めて考えてしまう。

(あの二人は、本当にお似合いだな..........)と思いながらも、(なぜ水色の料理になってしまうんだろう)と、胸のどこか奥底にあるモヤモヤとした気持ちは、一体何なのだろう?と考え込んでいると、再び扉がノックされたのだ!

「どうぞ」と返事をすると、現れたのはカエラさんだったのだ。彼女は、私の顔を見るなり笑顔で言ったのである。

「レイラさん、少しお話をしましょうか?」と言われた私は、驚きながらも頷くしかなかったのだった。

私たちは椅子に座ると、話し始めた。まず最初に口を開いたのは、カエラさんの方であった!

「レイラさん、あなたは最近悩んでいませんか?もしよろしければ、相談に乗りますよ」と言われてしまったので、私は素直に自分の気持ちを打ち明けることにしたのである。

「実は、最近気になることがあるんです。

以前、私もリリアナさんの料理を食べたことがあるんですが、彼女の料理は美味しいにも関わらず全て水色のものでした。 カエラさんは、ご事情は知りませんか?」

と尋ねると、彼女は少し考えてから答えた。「リリアナさんが料理を作る際に、使用する食材について聞いたことがあります。彼女は、特定の食材を使うと水色になってしまうのだそうです..........具体的には砂糖などですね!それと、彼女の持つ魔力が強すぎるので、その関係もあると思います。」と言うのである。それを聞いた私は、驚きつつも納得したのだった。

(なるほど、そういうことだったのね...........)と思いながらも、カエラさんにお礼を言ったのである。


次の日、私はラルフと一緒にリリアナさんのところへ向かったのであった!すると案の定、キッチンからは明るい鼻歌が聞こえてくるではないか!私とラルフは、顔を見合わせて微笑んでから、リリアナさんに声をかけたのだ!

「こんにちは、リリアナさん。今日も素敵な歌声ですね!」と。

すると彼女は振り向いて、笑顔で答えてくれたのである!

「あら、レイラにラルフも来たんですね!さあさあ、中へ入ってくださいな!」と言って手招きしてくれたので、私たちはお言葉に甘えて中に入ったのである。

部屋の中に入ると、テーブルの上には色とりどりの料理が並べられていた。その料理は、決して水色ではなかった。

砂糖の量を、調整したのだろうか。

それを見て、私とラルフは思わず感嘆の声を上げてしまったのだ。

「うわぁ〜っすごいなぁ!」と感心している私に、彼女は嬉しそうな表情を浮かべながら「さあ、冷めないうちに召し上がってください!」と言ったのだ!

私たちは、早速手をつけることにしたのだが、どの料理も絶品だった!特に私が気に入ったのは、甘いデザートである。

しかし、甘いものには砂糖が必須だが、見た感じ水色になっていないから、砂糖は使われていないのだろうか?

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