第9話

「これは、一体どうやって作ったんですか?」と質問すると、彼女は嬉しそうに答えてくれたのである。

「この料理は、私のオリジナルレシピなんですよ〜!砂糖の代わりに、果物を使ってみたんです。甘味が引き立ちますよ〜!」と言って、微笑んでくれたのだ。

(なんて素晴らしいレシピなんだ!)と思いながら感激していると、不意にラルフがポツリと言ったのである。

それは、彼の声であったのだ!

「やっぱり、リリアナの料理は美味しいなぁ...........」と言っているのがわかった私は、思わず笑みを浮かべてしまったのだ。

その後も、私たちは楽しい食事会を過ごした後、家路についたのである。


その日の晩、私はベッドの上で考え込んでいた。(ラルフは、本当にリリアナさんのことが好きなんだなぁ、いつか結婚したりする日が来るのかな...........?きっとお2人のウェディングは、綺麗だろうなあ)と思いながらも、私はいつの間にか眠りに落ちていったのだった。


翌朝、いつものように朝食を食べに行くために部屋を出ると、今度はラルフとばったり会ったのである!彼は、私の顔を見るなり嬉しそうな表情を浮かべて駆け寄ってくると、挨拶をしてくれたのだ!私も、笑顔で応えて一緒に食堂へと向かった。

「レイラ、今日は遅いお目覚めだったんだな」と聞いてくる彼に、私は微笑みつつ答えることにした。

「ええ、昨日はなかなか眠れなくて...........」と答える私に、彼は微笑みながら言ったのである。それは、まさに天使の微笑みで、とても美しい表情だったのだ。

そんなことを考えていると、ふとある疑問が浮かんだので尋ねてみた。

「そういえば、ラルフは最近ルシアンと話してる?」

すると彼は少し考え込んだ後、答えてくれた。

「ああ、ルシアン王太子殿下にはよくお世話になっているよ。 騎士団の武器の資産調整とか、人員配置とか色々良くしてくれているんだ。」

「へぇ〜そうなんだ!やっぱり男性同士は、仲が良さそうだね」と、相槌を打ちながら話を聞いていたら、不意にラルフが何かを思い出したかのように呟いた。

そして、真剣な眼差しで私を見つめて言ったのである。

それは、衝撃的な言葉だった。

なんと、ルシアンはラルフと私の関係について誤解していたというのだ...........。

思わず、面白おかしくて吹き出してしまった私は、必死に笑いを押し殺して「違う違う!」と言った後、丁寧に説明しようと思ったのだが、果たしてルシアンに信じてもらえるのだろうか..........?

そんな心配をしていたが、ラルフは笑いながら言ったのである。

「知ってるよ、リリアナから聞いたんだ。彼女がちゃんと説明してくれるはずだ。」と!(まさかリリアナさんが喋ったの!?)と思いながらも、私は平静を装ってこう言った。

「良かった、誤解が解けるのなら!」すると、彼は微笑みながら言ったのだが、その表情は少し寂しげに見えた気がした。(一体どうしたんだろう............?)と思っているうちに、食堂の前まで来てしまったので、それ以上聞くことはできなかったのである。

結局、その日はそのまま別れてしまったが、その日の夜は悶々としてなかなか眠りにつくことができなかった。

(一体、リリアナさんは何を話したんだろう?)という疑問だけが、胸の中に残ったままであった!


数日後、私はいつものように調合をしていたのだが、どうしてもルシアンのことが気になって仕方がなかったのだ。

(今頃、何をしているのだろう...........?)そんなことを考えているうちに、私の脳裏にはある考えが浮かんだのである!

(もしかしたら、二人っきりでデートしていたら...........!?)と思ったのだ!そう思った瞬間、いても立っても居られなくなった私は、調合室を飛び出してルシアンの元に向かうことに決めたのである。

しかし、いざ部屋に入る前にノックしようとした瞬間、中から声が聞こえてきて思わず手を止めたのだ。

その声は、聞き覚えのあるものだった。それは間違いなくリリアナさんの声だった!

(リリアナさん?どうしてここに..........?)と思っている間にも会話は続いていたので、そっと耳を澄ましてみると、私の話をしている気がした。

「レイラは、本当に可愛いんだよ!」

という声が聞こえてくると、私はなぜかとても嬉しい気持ちになったのだが、それと同時に恥ずかしくも感じてしまったのである。

その後しばらくの間沈黙が続いた後、再び声が聞こえてきた。「ラルフは、レイラのことをどう思っているのかな?」という質問に対して、リリアナさんはこう答えたのである。

「彼は、レイラのことが好きですよ!ただそれは、一緒に戦う親友的な意味でです」という言葉に、私はほっとした。

ちゃんとリリアナさんは、誤解のないように言ってくれたようね。

そう思った矢先である!ルシアンの声が、聞こえてきたのだ。

「僕も、レイラのことが好きだよ」と言った後、二人は黙り込んでしまった。

(何があったのかしら?)と思いながらも、しばらく様子を伺っていると、突然扉が開いたのである。

いきなりだったので、驚いてしまった私だったが、目の前にいたのはラルフであった!彼は、私の顔を見ると嬉しそうに微笑んで言った。

「レイラじゃないか!ここでどうしたんだい?リリアナとルシアン殿下がいらっしゃるけど、庭に行かないの?」と聞いてきたので、私は慌てて答えた。「いえ、大丈夫!特に用事はないけれど..........」と答えると、彼は不思議そうに首を傾げた後、「そうか、じゃあ一緒に行こう!」と言って、私の手を取ったのである。

しばらく歩くと、ラルフは突然立ち止まった。どうしたのだろう?と思って振り返ると、彼は真剣な顔つきで私を見つめて言った。

「そうだ、今度騎士団で親睦会があるんだが、レイラは来るか?」

と尋ねられた私は、思わず首を傾げてしまった。一体なんのことだろうと思っていると、彼は説明してくれた。

どうやら、騎士団の団員同士で交流を深めるため、定期的に開催しているらしい。私の存在も、知れ渡っているということでお誘いを受けたのだという。

(確かに、私も騎士団員と交流を深めておきたいし...........)と思い、参加することにしたのである!


「レイラとラルフじゃないか、ここに来てどうしたんだい?」

ルシアンが、不思議そうな表情を浮かべて聞いてきたので、私は答えることにした。

「はい、実はラルフに誘われたんです!私も、皆と交流を深めたいと思っていて............」と言いながら視線を向けると、彼はにっこり笑って頷いてくれた。「そうか、それなら良かったよ!レイラも楽しんでくれるといいな!」と言って、喜んでくれたのである。


その後日、親睦会当日を迎えた私は、会場であるレストランへ向かったのだった。

そこはとても豪華なお店で、美味しい料理が揃っていると聞いていたので期待していたのだが、実際に来てみると本当に素晴らしい場所だった。

まず、最初に目に入ったのは巨大な円卓で、その上には大量の料理が並んでいたのである。

どれも美味しそうなものばかりで、思わず涎が出そうになった!

(さて、どれから食べようかな...........)と迷っているうちに、ラルフがこちらにやってきて、一緒に食事をすることになったのだ。そして、お互いに料理を一口ずつ交換しながら、食べ進めていったのである。

(それにしても、ラルフは本当に素敵な人ね!)と思いながら彼の顔を眺めていると、目が合ってしまった。

なんだか恥ずかしくなって目を逸らす私に、彼は微笑みながら言ったのだった。「どうしたんだ?俺の顔に何かついているか?」私は慌てて首を振って否定すると、彼は続けて言った。

「ふふっ、レイラは面白いな」と言って、私の頭を優しく撫でてくれた。


それからしばらくの間、私たちは一緒に食事を楽しんでいたのだが...........途中でルシアンがやってきたのである!「やあ、君たちも来てたんだね!」と言って笑いかけてくる彼に、私たちは揃って挨拶をしたのだった。

それから、しばらくの間3人で話をしていたのだが、話が途切れたタイミングで突然ルシアンが立ち上がって言った。「せっかくだから、ラルフとレイラの2人で、何か演し物をしてほしいな!」という彼の言葉に、私とラルフは顔を見合わせたが、断る理由もないので、承諾することにしたのである。

そして、ステージに上がった私とラルフはお互いに見つめ合いながら、即興で劇を披露することになったのだ..........最初は、戸惑いながらも即興劇を始めたのだが、途中から段々と楽しくなってきたのである。

というのも、お互いのアドリブによって、意外な展開になっていくからだ。

そんな私たちの演技を見た騎士団の団員たちは、大盛り上がりであった!特に、ルシアンは手を叩いて喜んでいたようだ。(良かった!喜んでもらえたみたい...........!!)と思いながら、私はラルフと笑い合ったのだった。


それから数日後、私は騎士団の鍛錬に参加することになった。

というのも、騎士団では定期的に訓練を行っているらしく、私も参加して欲しいと言われたのである。最初は不安だったが、いざ始まってみると案外楽しいものだった。

他の騎士たちと一緒に、汗を流しながら剣を振るうことは、私にとって新鮮だったのだ! 特に嬉しかったのは、ラルフとペアを組んで一緒に戦えることだった!(ラルフの動きには無駄がないわね..........!)と思いながらも、私は必死に食らいついていったのである。

そして訓練が終わった後、私とラルフはお互いに健闘を讃えあうように握手をしたのだった。

「ラルフ、ありがとう!とても楽しかったわ!」

私がお礼を言うと、彼は笑顔を浮かべながら答えてくれた。「こちらこそ、レイラのお陰でいつもより良い訓練ができた気がするよ」と言ってくれた!私は、嬉しくなって思わず笑顔になった。

するとラルフは、それはとても小さな声であったので、よく聞こえなかったのだが、何かを呟いた。

(どうしたのかしら?)と思っているうちにも彼、は続けて言った。「良ければ、また今度一緒に訓練しよう」「もちろん!喜んで!」と答える私であった。


その後、騎士団の皆さんと別れてから家路につく途中に、リリアナさんに出会った。彼女は、笑顔で会釈すると話しかけてきたのである。

「レイラ、今日はお疲れさまでした」と言いながら微笑む彼女に、私は感謝の言葉を伝えた。

それから、しばらく彼女と世間話をした後、別れることにしたのだった。

(それにしても、リリアナさんが元気になって良かったわ............!)

と思ったところで私はふとある疑問が浮かんだのであった。

(そういえば、ラルフはリリアナさんと何を話したんだろう?)と思いながらも、私は考えることを止めにした。

そして家についた後、今日のことを振り返ってみることにした。(今日は本当に楽しかったなあ............またラルフとペアを組んで、訓練できるといいな!)と考えているうちに、自然と笑みが溢れてしまった。

そんな幸せいっぱいの気持ちで、眠りにつく私なのだった。


いつものように研究室で調合をしていた私のところに、ラルフが現れた。「やあ、レイラ」と言いながら、ニコニコと微笑む彼の顔を見るだけで何だか癒やされる気分になった。

(今日もラルフは完璧だな)と思いながら見つめていると、彼は言った。

「実は、レイラに見せたいものがあるんだ」

という彼の言葉を聞いた瞬間、私は驚きを隠せなかった。

まさかまた騎士団の訓練場に連れて行ってもらえるとは思っていなかったからだ。

思わずら胸が高鳴るのを感じた。

(............ついにラルフの本気の訓練が見れるんだわ!)そう思いながらも平静を装って返事をする。

「本当?是非見学させてもらいたいわ!」

すると、ラルフはにっこり笑いながら言った。「もちろんさ、君が望むならいつでも歓迎するよ」と言って、私の手をギュッと握ってくれたのである。その手はとても温かくて、安心感を覚えたのであった。

(やっぱり、ラルフの手は訓練のおかげで豆ができているわ!)と思いながら、私も彼の手を強く握り返し握手をしたのである。

それから私たちは騎士団の訓練場へ向かった! そして到着するとすぐに中へ入るよう促されたので、私は、ドキドキしながらも足を踏み入れたのだった!

(訓練場は、最近ぶりね) と思いながら、辺りを見回すと、大勢の騎士たちが鍛錬に励んでいる姿が目に入ってきた。その中には、ルシアンの姿もあった。どうやら彼は、王宮内の見回りをしているようだ。

そしてラルフが私に見せてくれたものは、彼が剣技を披露している姿であった!彼の動きは洗練されていて美しく、とても迫力のあるものだった!私は、思わず感嘆の声を漏らしたほどだ。

(すごい............!ラルフは本当にカッコいいわね...........!!)と感動していると不意に声をかけられた。

「レイラ殿下、お疲れ様です」

次々に騎士団の方たちがお声をかけてくれて、私はペコリと頭を下げることしかできなかった。皆優しく微笑んでくれたり、手を振ってくれたりする人ばかりで、とても嬉しかった。

(みんな素敵な人ばかりだわ...........!)と感動していると、突然ラルフがこちらにやってきた。「レイラ、どうだった?」と聞かれたので私は思わず興奮しながら言った。

「本当に凄かったわ!特に剣技の面では、一瞬たりとも目が離せなかったくらいよ!」と答えた後、少し恥ずかしくなりながらも言葉を続けた。

「ありがとう!ラルフのおかげで騎士団の訓練場の見学もできて、本当に良かった!また一緒に訓練しましょうね!」

私がそう言うと、ラルフは嬉しそうに微笑んだ後で手を差し伸べてきたので、私もそれに応えるように手を出した。すると彼は優しく私の手を包み込んでくれたのである。

その温もりを感じながら、私は幸せな気分に包まれていたのだった............。


ある日のこと、私は王宮の廊下を歩いていたところ突然背後から声をかけられたのである。

振り返ると、そこにはリリアナさんの姿があった!「レイラ...........」と呟いている彼女の表情は、どこか暗かったが、私にはその理由が分からなかった。とりあえず話しかけてみることにして、声をかけることにした。

「リリアナさん、何かあったんですか?」と尋ねると、彼女はハッと我に返った様子で、慌てて首を振った。「いえ、なんでもありませんわ!」と言って笑った彼女だったが、やはりどこか無理をしているような感じがしたので、心配になった私は思い切って尋ねてみたのである。

「もし私でよければ力になりますよ!」と言ったのだが、彼女はしばらく沈黙した後で、ようやく口を開いた。

どうやら悩み事があるらしく、それを誰かに聞いて欲しかったらしい。そして、私が話を聞くことになったのだ! それから私たちは、場所を移動することにしたのだが、その際にリリアナさんが私の手をギュッと握ってきたのである。

その手はとても冷たくて、まるで彼女の不安や緊張が伝わってくるようだった。私たちは、無言のまま歩き続けた。

そして、人気のない場所に辿り着いたところで、彼女は立ち止まって私を見つめると言った。


「実は、最近ラルフとの婚約解消しなければならないのかな、と考えていたんです..........」と言われた瞬間、私は驚いてしまった。

まさか彼女が、そこまで悩んでいたとは思いもしなかったからである! 私は、彼女に向き直って真剣に話を聞くことにした。まず最初に尋ねたのは、彼女の気持ちである。本当にこのままでいいと思っているのかという点である。すると、彼女は涙を流しながら言ったのである。

「もちろん、このままでは嫌ですわ..........!」と答えた彼女の目には、決意の光が宿っていた。 私は、そんな彼女の勇気を称えると共に、応援することに決めたのだった! そして次の日、私はリリアナさんと一緒に、王宮内の庭園へと向かうことにしたのである。そこでラルフに会う予定なのである!

(きっと上手くいくはず...........!)と心の中で呟きながら彼女を励まし続けたのであった。

庭園に着くと、そこにはラルフの姿があった!

彼は、私たちを見ると笑顔を見せてくれたのだが、リリアナさんは少し緊張気味の様子だった。私は.勇気づけるように、彼女の背中を軽く叩いてあげたのである。

すると、彼女は覚悟を決めたように一歩前に踏み出すと、ラルフに向かって話しかけたのである!「ラルフ、私の話を聞いてほしいの」

すると、ラルフは不思議そうな表情で言った。「もちろん聞くけど...........」と言われたので、リリアナさんは慌て始めたのだった。

(私が説明する必要なんて無いよね?リリアナさんの覚悟を、見届けることにしよう。)と思いながらも、リリアナさんが全てを打ち明けるまで静かに見守ることにしたのである。

そして、ついにその時が来たのである!彼女は勇気を振り絞って、話し始めた。

「私は、ラルフと結婚をしたいと思っています...........。でも、現時点では色々問題があるから.........けど、どうか許していただけないでしょうか?」

それを聞いたラルフは、驚いた様子でしばらく黙り込んでいたが、やがて真剣な表情になって答えた。「リリアナ、俺も君と一緒にいたいと思っているんだ。だから、喜んで君の申し出を受け入れよう」と言って、手を差し伸べてくれたのである。

その言葉を聞いた瞬間、リリアナさんは涙を流しながらラルフの胸に飛び込んでいった。

彼は、彼女を優しく抱きしめると愛おしそうに頭を撫でていた。

そんな二人の姿を見ていたら、私も幸せな気分になったのであった。

(良かったね!リリアナさん...........!)と心の中で呟きつつ、拍手を送る私であった。


それからしばらく経ったある日のこと、私は王宮内の庭園で一人で散歩を楽しんでいたのだが、突然声をかけられたのである。

振り返ると、そこにはルシアンの姿があった!(誰かと一緒にいないなんて、珍しいわね..........?)と思いながらも、声をかけた。「こんにちは、ルシアン!」と言うと、彼も挨拶を返してくれた後で、少し戸惑いながら尋ねてきたのである。

その言葉に私はドキッとしたが、平静を装って答えた。

「そっか、よかったぁ!リリアナさんが変わりたいって言ってから、しばらく様子見てたけど..........うまくいったんだね!」と言って、私の頭を撫でてくれたのである。

予想外の出来事に驚きながらも、彼の優しさを感じた私だった。

その後、しばらくの間私たちは談笑していたのだが、不意にルシアンが言ったのである!「ところでレイラ、これから何か予定はある?」と聞かれたので、私は戸惑いながらも答えた。「いえ、特にないけど...........どうしたの?」と聞き返す私に向かって彼は言った。

「実は、一緒に王都を散策したいと思ってさ」と言う彼の言葉を聞いた瞬間、心臓の鼓動が大きくなった気がした。

まさかこんな形で、デートの誘いを受けるとは思っていなかったからだ!(本当に?夢じゃないよね?)と思いながらも、彼の言葉に答えることにしたのである! そして私たちは、2人で街へと繰り出したわけだが、途中で立ち寄ったお店でルシアンがプレゼントしてくれた物を見て、私は喜びを隠せなかった!なぜなら、それは私が欲しかった髪飾りだったからである。

彼は「レイラには、これが似合うと思って..........」と言いながら、微笑む姿を見て私はますます彼のことが好きになってしまった。

こうして、2人で楽しい時間を過ごした私たちは、王宮へ戻った後、お互いの部屋へと戻ったわけなのだが、別れ際ルシアンに抱きしめられた時には、心臓がバクバク鳴っていた。

(やっぱり好きだなぁ、他の人とはまた違った優しさを感じるんだよね...........)と思いながらも、幸せな気分に包まれていた私なのだった。

(ルシアン、今日はありがとう!また一緒にお出かけしようね!)と思いつつ、眠りにつく私であった。


「おはよう、レイラ」と笑顔で挨拶をしてくる彼に、ドキドキしながらも平静を装って、挨拶を返す私なのだった。その後私たちは、一緒に朝食を食べることになったのだが、向かい合って座っているだけで緊張してしまい、会話はほとんどできなかったのである。でもそんな状況でも、私の心は満たされていた。何故なら、こうして彼と時間を共に過ごせるだけでも、本当に幸せだったからである。

(今日もルシアンと一緒の時間を過ごせるなんて、嬉しいな..........!)と心の中で呟きつつ、幸せな気分に浸りながら朝食を食べ終えると、彼は立ち上がって私に手を差し伸べてきた。

「そろそろ行こうか」と言って、微笑む彼に対して私はドキドキしながらも、自分の手を重ねたのだった。

こうして私たちは講演会に出かけることになったのだが、途中で立ち寄ったお店で彼がネックレスをプレゼントしてくれた時には、驚きのあまり言葉を失ってしまった。

まさか、また私のために買ってくれたとは思ってもみなかったので、思わず泣きそうになってしまったが、何とか堪えて笑顔を見せることができたのである。

その後、講演会場に着いて席に着くと、周りからは見られていたためか注目を浴びることになったのだが、ルシアンが隣にいてくれるおかげで、あまり緊張せずに講演を楽しむことができたのだった。

(ルシアンのおかげで、救われたなぁ...........)と思いながら、彼の横顔を見つめているうちに、改めて彼のことが好きなんだと実感させられた私なのであった。


その後、私たちは会場を出てからしばらく街を散策することにしたのだが、ふとルシアンの知り合いであるリーシー嬢の顔がお目見えになった。

「あら、ルシアン殿下じゃないですか!」と言って、歩み寄ってくる彼女に私は警戒していたのだが、彼女が話しかけてきた内容は意外なものだった。「こんにちはレイラちゃん、あら?今日は1人じゃないのね?」と言われたので、私は思わず動揺してしまった。

というのも、このご令嬢は以前から私とラルフの関係について変に色々と聞いてくることがあり、ルシアンにも事実無根なことを伝えていたようなので、警戒していたのである...........。しかし、今回はルシアンがいる手前、下手なことを言えないと思い黙っていることにしたのだが、そんな私の心を見透かしたように、彼女は言ったのである。

「お2人ともお似合いよ!これからも、仲良くしてね!」

と言って、ウインクをして去って行ったのである。(やっぱり苦手だわ..........)と思いながらも、彼女が見えなくなるまで見送った後、私はルシアンに尋ねることにした。「ねえ、ルシアンはあのリーーシー嬢について、どう思ってるの?」

すると、彼は少し困った顔をしながら答えた。「うーん.........元気な子だと思うけど..........」と苦笑いを浮かべつつ答える彼だったが、それ以上は何も言わなかったのである。

(まあそうだよね、あの人とはあまり関わらないようにしなきゃ)と思い直した後、私たちは再び街を歩き始めたのである。


その後も、2人で色々な場所を見て回ったのだが、特に印象に残ったのは広場の噴水だった。そこで、ルシアンと一緒にダンスを踊ることになったのだが、私は緊張しつつも彼と踊りを披露した。

皆にお褒めいただいて思わずドキッとしてしまったが、何とか冷静を装って笑顔を返したのである。


そして日が落ちて夜になった頃、私たちは帰路につくことにしたのだが、そこで事件が起きたのである!人気のない路地裏に入ったところで、数人の人達が私たちを囲ってきたのである。

そのメンバーの中には、先日出会ったリーシーさんの取り巻きである者たちも、いたのである。

私は恐怖で、身体が固まってしまい動けなくなってしまったのだが、ルシアンが私を守るように前に立ち塞がった。

「ルシアン殿下、どうしてその子と一緒にいるのかしら?」と言って、リーシーさんが近づいてくるなり腕を掴んできた!その瞬間、私の背筋は凍りついた!(もしかして、狙われていたの..........?)と思いながらも、必死に抵抗する私だったが、取り巻きの方達によって押さえつけられてしまった。その様子を見ていたルシアンは「やめなさい!!」と言って、私を庇う姿勢を見せたのだが、その時彼は私にだけ聞こえるように囁いたのである。「レイラ、ここから逃げなさい」と言われた私は、彼を残して逃げることなどできるはずもなかった。私は、思わず首を横に振ってしまったが、彼は真剣な眼差しで見つめてくるだけだった..........。

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