第10話

結局、何も言い返せないまま力ずくで、ルシアンから引き離されて連れていかれてしまったのだ!(このままじゃダメだわ...........!)と思いながらも、必死に抵抗するものの大人数に勝てるはずもなく、そのまま強引に連れて行かれてしまったのである。

それからしばらく経った頃、気づいたら私はどこか見知らぬ部屋にいた。そこで待っていたのは、リーシーさんだった..........。

彼女は、私がここにいることを知っていたようで、満面の笑みを浮かべながら、近づいて来たのである。

「あら、レイラちゃんいらっしゃい!ここは、私のお城よ!」と言って近づいてきた彼女からは、香水の香りが漂ってきたが、私には嫌悪感しかなかった。

すると、彼女はニヤリと笑うと口を開いたのである。

「ルシアン殿下には近づかないでって忠告したはずだけど、逆効果だったみたいね..........!」と言った後、怒ったような表情を見せた。

「そう、今後ルシアン殿下に近づかないと言うなら、解放してあげてもいいけれど」

と言ってきたのである。

私は迷った末に、彼女の提案を受け入れないことにしたのだが、不安は尽きなかった。というのも、また何か企んでいるような気がしたからである。

すると、彼女は再び笑みを浮かべながら言った。「ふぅんそうなの、わかったわ。でも、今回のように済むとは思わないでね。」そう言うと、彼女は部屋から出ていった。

私はその場に座り込んでしまい、しばらくの間動くことができなかったが、何とか落ち着きを取り戻すことができたのである。

(大丈夫、ルシアンは必ず助けに来てくれるはず..........!)と心の中で、自分に言い聞かせながら待つことにしたのである。

しかし、いつまでたっても彼が来ることはなかった。(ルシアンは大丈夫かしら...........?)という不安な気持ちに襲われながらも、必死に耐えたのだった。

その夜は、眠れぬ夜を過ごしたのだが、翌朝になるとまたリーシーさんがやってきたので、私は身構えたが、予想に反して彼女は優しい言葉をかけてくれたのである。

「レイラちゃん、昨日はごめんなさいね。」と謝ってくる彼女の様子を見て私は首を傾げたが、次の瞬間私は自分の耳を疑った! なんと、彼女から信じられない言葉が出てきたからである..........!「実は私たちもう会わないことにしたの!」と言われた時は、一瞬思考停止に陥ってしまったのだが、すぐに我に返って聞き返した。「どうしてですか?」と尋ねると、彼女は微笑みながら答えてくれた。

「ルシアン殿下の婚約者には、あなたの方が相応しいと思ったのよ」と言って、ウインクをしてきた彼女に呆然としていた私だったが、ここで我に返ると慌てて口を開いた。「どういうことですか..........?」と尋ねると、彼女は笑みを浮かべながら答えた。「言葉通りの意味よ?」と言う彼女の言葉を聞いて、頭が真っ白になったが、それでも何とか声を振り絞って尋ねたのである。「ルシアンはどうしたんですか?」と尋ねると、彼女は微笑みながら答えた。

「もちろん、ルシアン殿下には報告済みよ!レイラちゃんのことを愛しているなら、迷わず選んでほしいって伝えたら快諾してくださったわよ、そろそろ来るんじゃない?」と嬉しそうに語ってきたのだが、私はまだ信じることができずにいた。

すると、ちょうどその時ドアが開きルシアンが入ってきた。

私は、思わず彼に飛びついていったが、彼は優しく受け止めてくれた後に、そっと頭を撫でてくれた。「レイラ、遅くなってすまない..........」と言うと、ルシアンは私に微笑みかけてきたのだった。

その笑顔を見た瞬間、涙が溢れ出してしまいそうになったのだが、何とか堪えて笑顔を見せることができたのである。そして、改めて彼の顔を見た時に今までとは違う感情が生まれた気がしたのであった。(あぁ..........私はやっぱりこの人のことが好きなんだなぁ............。)と思った次の瞬間、ルシアンはリーシーさんの方を向いて言ったのである。「僕は、レイラを選んだ」と言ってくれたのである。

その言葉を聞いた瞬間、私の心は幸福感で満たされたのだった。

こうして私は、もう一度晴れてルシアンと結ばれることができたのである。

リーシーさんの取り巻き達には、恨みを買ってしまったものの、ルシアンが守ってくれたおかげで、危害を受けることはなかったのであった。

(ルシアンありがとう...........大好きだよ!)と思いながら彼に抱きついたのだが、彼は優しく受け止めてくれた。

その温もりを感じながら、私は幸せを噛み締めていたのであった。


それからというもの、私とルシアンは2人で一緒にいる時間が増えたのだが、以前のように不安を感じることはなかった。ルシアンが、私を守ってくれるのだから安心であるし、何よりも彼の愛情を感じることができるようになったからかもしれない。(私も、負けないくらい愛してるからね!)と思いながら彼の横顔を見つめているうちに、思わず笑みが溢れてしまう私なのだった。


ある日のこと、私はルシアンとお出かけをすることになったのである!(どこに行くのかなぁ.........楽しみだなぁ)と思いながら、ルシアンに手を引かれて歩いていくと、到着した場所は王都の外れにある大きなグランピング場だった。そこでは様々な遊具があり、子供連れの人々で賑わっていた。(うわぁ〜楽しそう!!)と思った私は早速遊び始めることにしたのだが、最初は上手くいかなかった。というのも、私の運動神経はあまり良くない方なので、ボルダリングといった遊具に挑戦すること自体が大変だったのだが、それでも必死に頑張った結果、何とか楽しむことができたのである。その後はルシアンと一緒に手を繋いでグランピング場を散策していたのだが、途中でアイスクリームの移動販売車を見つけたため、買ってもらうことにした。「はいどうぞ」と言って渡されたアイスクリームは、とても甘くて美味しかったので、あっという間に食べきってしまったほどだった。

その後も、色々な遊具で遊びながら楽しい時間を過ごした私とルシアンは、夕方近くまで過ごしてから帰路につくことになったのだった。(あぁ、今日も楽しかったなぁ..........!)と思いながら、家へと帰る途中だった私は、あることに気づいたのである。(あれ?これってもしかしてデートじゃない?)と思うと、急に恥ずかしくなった私は思わず赤面してしまったが、同時に嬉しさも感じていたのである。

(ルシアンも、楽しんでくれたかなぁ)と思いながら彼の横顔を見つめると、彼も私を見つめ返してくれたので、幸せな気持ちになったのだった。

その後、家に帰ってきた私たちは、夕食を食べお風呂に入った後はゆっくりと過ごしていたのだが、寝る時間になるとルシアンにベッドに誘われたため、一緒の布団で眠ることになったのである!「おやすみなさい」と言って目を閉じた後、しばらくするとすぐに眠りについてしまったのだったが..........。

その時私は、あることを思い出してしまっていた。

もちろん、ルシアンの眩しい笑顔についてだ。

自然とニヤけてしまう顔を、枕で隠すようにしながら眠りにつくことにした。


翌朝目が覚めると、隣にはルシアンの姿があった!私は思わずドキドキしてしまったが、同時に安心感も覚えていたのである!(これからもずっと一緒なのね)と思いながら彼の顔を見つめているうちに、自然と笑みが溢れてしまった。

そんな幸せな日々が続く中、ある日のこと私はルシアンとお城で開催されるパーティーに参加することになったのだ。

パーティーということでおめかしをしたのだが、あまり着慣れないドレスだったため、少し手間取ってしまったものの何とか準備することができた。

そして、パーティー会場に到着した私たちは早速中に入っていったが、その瞬間周囲から注目を浴びることになったのである。

「ねえ見て!あのお姫様、凄く綺麗じゃない...........?」「本当だ!それに隣にいる男性はルシアン殿下じゃないか」といった声が聞こえてくる度に私は恥ずかしくなってしまうが、ルシアンは堂々とした様子でいた。

その後ルシアンにエスコートされながら色々な人と挨拶を交わしていったのだが、途中で気になることがあったのだ……!

というのも、ルシアンは何人もの女性に囲まれていたのだが、どの女性も私の顔をチラチラと見てくるのである。(もしかして私、何か変かな?)と思って不安になった私は、思わずルシアンに尋ねたところ、彼は微笑みながら答えてくれた。「大丈夫、レイラは可愛いよ」と言ってもらえたことで、ホッとしたものの、今度は別の問題が発生したのである。

それは、会場の一角に集まった女性たちだった。彼女たちは、私の存在に気づくなり近づいてきたかと思うと、一斉に話しかけてきたのだ。「はじめまして!あなたが、噂のレイラ様ですね!?」

「是非お話ししてみたいですわ!」と言って、グイグイ迫ってくるものだから困ってしまったが、それでもなんとか笑顔で対応していたものの、内心ではビクビクしていた。そんな中、ルシアンと仲良くしている様子に嫉妬した他の女性たちが、嫌がらせをしてきたのである。

私は、動揺しつつも必死に堪えていたが、そこに助けに入ってくれたのは、なんとルシアンだった!「ちょっと失礼」と言って、私を庇いながら助けてくれたことで、少し冷静さを取り戻した私は、周りの人達に向かって、毅然とした態度で接することにした。

(ここは、パーティー会場だからあまり荒波立てたくないけど、ルシアンに迷惑をかけるわけにもいかないものね...........!)と思いながら、笑顔で対応することにした。


その後も、ルシアンと他の女性たちとのやり取りが続いたのだが、突然ルシアンが私の手を取りながらこう言ったのである。「レイラは僕の大切な人なんだ!だから、これ以上ちょっかいをかけてくるなら、容赦はしない」と言い放った瞬間、会場内に静寂が訪れたのだった...........。

そして、その後すぐに誰かが拍手し始めるとそれは徐々に広がっていき、最終的にその場にいた全員が手を叩くほどの大歓声となった。

中には、感動のあまり涙を流す者までいたのだが、それも仕方のないことだろう。それほどまでに、ルシアンは格好良かったのである。

その後パーティーが終わった後、私たちは手を繋いで帰路につくことになった。ルシアンは、私のことを心配していたようで、しきりに大丈夫かと尋ねてきたのだが、私は笑顔で答えていた。(大丈夫だよ!ルシアンのおかげで楽しく過ごせたから...........!)と心の中で思っていたのである。

(ルシアン、いつもありがとう!)と感謝しながら、彼の横顔を見つめるのだった。

やはり、彼は素敵だなと思い改めて惚れ直してしまったのであった。

しかしそれと同時に、あの笑顔が他の人にも向けられているということに嫉妬心を覚えてしまったのも、事実である。(どうすれば私に向けてくれるのかな?)と考えているうちに、一つのアイデアが浮かんだのだ!

(そうだ!いいこと思いついたかも..........!!)と心の中で思った私は、早速実行に移すことにした。


次の日、私はルシアンが仕事で出掛けている間に準備を始めた。

まずは、鏡の前で笑顔の練習をしてみることにし、普段より明るい表情を心掛けるようにした。次に、ドレスに着替えてみると、やはり自分に似合っている感じがして嬉しくなったのだが、ここで満足してはいけないと思い、改めて気合を入れ直した。

そして、最後に髪をセットしてもらった後、ルシアンの帰りを待つことにしたのである。(喜んでくれるかな?)と、期待に胸を膨らませながら待っている間は、とても楽しかったなと思いながら微笑んでいたのだった。

しばらくしてルシアンが帰ってきた音が聞こえたため迎えに行こうとしたのだが、その前に私はあることを直前に思ったのだ。

(実際に、この姿を見られたら照れて恥ずかしい...........!)と思い直した私は、慌てて寝室へと戻っていったのである。

それから、しばらくしてルシアンが部屋に入ってきた時、私は何事もなかったかのように笑顔で出迎えることにした。「お帰りなさいませ!今日は随分と早かったですね」と言って、彼の顔を見るとなぜか驚いている様子であった。

理由は分からないけれど、何か様子が変だと思いながらも話を続けていった。「どうかしましたか?何かあったんですか?」と尋ねると、彼は我に返ったようで、慌てながら慌てながら返事をしてくれた。「いや、何でもないよ!ただちょっと..........レイラが綺麗で」と言った後、すぐに食事の準備をするために部屋から出ていったが、その際彼の顔は赤くなっているように見えたのである。

それから、しばらくして食卓に並んだ料理を食べ始めたのだが、やはりルシアンの反応が鈍いように感じられたため、心配になった私は思い切って尋ねてみることにしたのだ。「何か悩み事でもあるんですか?私で良ければ、相談に乗りますが...........?」と言うと、彼は少し悩んだ様子を見せた後、話してくれたのである。

その内容を聞いた瞬間、私は驚きを隠せなかったのだが、同時に嬉しさも感じていた。というのも、ルシアンがいつもと違う雰囲気の私を可愛いと思ってくれることは、それだけ私のことを想ってくれているということだからだ。

「本当にすみません、レイラが可愛すぎて...........」と申し訳なさそうに謝る彼に、私は笑ってしまいながら「気にしないでください」と答えた後、こう続けたのである。

「だって、私たちは夫婦じゃないですか」という言葉を聞いた瞬間、彼はりんごのように顔を真っ赤にしながら、俯いてしまう様子は愛らしくもあったけれど、それ以上に愛おしさを感じずにはいられなかった。

その後はお互いに照れながらも、幸せな時間を過ごしたのであった。


翌日、私はリリアナさんと2人でお出かけすることになっていたのだが、その際こんなことを言われたのである。

「レイラ、今日はいつも以上に綺麗だね〜!ルシアン殿下と、上手くいっているの?」と言われ、ドキッとしたものの平静を装っていると、さらに問い詰められてしまったため、素直に認めることにした。

「実は昨日、おしゃれについて考えていて..........」と話すと、彼女は興味津々といった様子で聞き入ってくれたのである。

そして、私は一通り話し終えた後、改めてリリアナさんの顔を見たのだが、彼女はなぜかニヤけ顔になっていた。(これはまさか?)と思いながらも、恐る恐る尋ねてみたところ、予想外の答えが返ってきたのである。

「レイラってば可愛いなぁ〜!本当にルシアン殿下のことが好きなんだねぇ〜!」と言われてしまったことで、一気に恥ずかしくなりつつも、何とか反論しようとしたものの、上手く言葉が出てこず黙り込んでしまったのだが、その様子を見たリリアナさんは、再び笑い始めたのである。

その後しばらく笑っていたものの、ようやく落ち着いたようで、改めて私のことを褒めてきたのだ。「でも、レイラは本当にすごいわ!だって、ルシアン殿下について真剣に考えてあげられるんだもん!一途で可愛らしいわ!」と言われ、嬉しくなった私はつい舞い上がってしまいそうになる自分を抑えるために、深呼吸をしてみた後、彼女に対してこう言ったのである。

「ありがとう!」と、満面の笑みを浮かべながら答えることができたことで、自信がついた私は、今度は逆に彼女のことを褒めることにした。

しかし、私が思っていた以上にリリアナさんは完璧な女性で、何を言っても褒められるような素晴らしい人だった。(本当にすごいなぁ..........)と思いながらも、負けじと私が思っていることを口にしてみたところ、思わぬ反撃を受けることになってしまったのである。

「レイラは可愛いだけじゃなくて頭も良いし、それにルシアン殿下のことをしっかり支えてるし、難しいことがいっぱいできちゃうんだから、いつも尊敬しているわ!」と言われてしまい、私は嬉しすぎてどう反応したらいいのか、分からなくなってしまったのだ。(うぅ、嬉しいけどちょっと恥ずかしいかも...........!)と思いつつも、平静を装うことにした私は「いえいえ、私はただルシアンのことが好きなだけですから」と返事をした後、恥ずかしくなってしまったが、それと同時に嬉しさも感じていたのであった。

その後、リリアナさんと別れた後もしばらく悶々とした気分が続いていたものの、家に帰ってきたルシアンの顔を見た瞬間に、吹っ切れてしまい彼に抱きつくことにしたのである。「ただいま〜!」と言いながら、彼の胸に飛び込むと彼は驚きながらも、優しく受け止めてくれた上に、頭を撫でてくれたため幸せな気持ちになったのだった。


翌朝、目覚めると隣にはルシアンの姿があったのだが、私は彼よりも早く起きることができたため、寝顔を眺めることにしたのである。

普段はかっこよくて、大人な雰囲気のあるルシアンが、寝ている姿はとても可愛らしく感じられ、思わず見惚れてしまった。


今日は調合も終わっていたので、ゆっくりと郊外へと歩いてみることにした。というのも、最近薬草採取ばかりしていたので、自然の中でリラックスしたいと思っていたからだ。

目的地へ向かう道中も、自然が豊かで心が洗われるような感覚を覚えた。普段とは違う環境で過ごすことで、リフレッシュできた気がするなぁと思いつつ歩いていると、突然背後から声をかけられたのである。

驚きつつも振り返ると、そこには見知らぬ男性が立っていたため、警戒していると彼は笑顔でこう言ったのだ!「驚かせてすみません!僕は、この辺りに住んでいる者なんですけど、散歩していた時にあなたの姿が見えたもので、つい声をかけてしまいました!」

と言う彼の丁寧な口調に安心感を覚えた私は、警戒心を解き彼に話しかけることにした。「そうだったんですね!こちらこそ、勝手に逃げてしまって申し訳ありませんでした...........」と言いながら頭を下げると、彼は慌てた様子で謝罪してくれた。

それから少しの間会話を楽しんだ後、私たちは一緒に行動することになったのである。

道中で見かけた植物について、教えてもらいながら進んでいくと、やがて目的の場所に到着したのであった。

そこは、一面に色とりどりの花々が咲き乱れている美しい場所で、まるで絵画のように美しかったため感動してしまったほどだ。

それから、しばらくの間この場所で過ごすことになり、時折お互いの顔を眺めながら談笑していると、時間が経つのを忘れてしまうほど、楽しい時間を過ごすことができた。

その後、日が暮れる前に帰ることにしたのだが、帰り際に彼から「また会えるといいですね!」と言われたことが嬉しかった。私は、笑顔で手を振って別れ、再び家路についたのだった。

眠りにつく時も、今日出会った彼のことを考えた。

今まで見たことの無い方だったけれど、一体どなただったのだろう?

またお会いできる日が、来るといいけれど..........。

そんなことを考えながら眠りについた私は、幸せな夢を見ることができたのだった。


今日は天気が良かったので、朝から庭園でのんびりと過ごすことにした。テーブルの上には、ハーブティーと焼き立てのクッキーを用意してあるため、準備は万全である!早速椅子に座りながら、お茶を飲むことにしたのだが、一口飲むたびに身体の疲れが取れていくような感覚を覚えるほどだった。

(あぁ、幸せだなぁ...........)と思いながらリラックスしていると、突然背後から声をかけられたのである。

振り返ると、そこにはラルフの姿があったため、安心して胸を撫で下ろしたのである。

「ラルフじゃない、騎士団の訓練はもう終わったの?」

「あぁ、終わったよ。だから、ゆっくりお茶にでもと思って来てみたんだ」と、彼は少し照れ臭そうな様子で言った後、私の向かい側の席に腰を下ろした。その後、しばらく他愛もない話をした後、私たちはお互いの近況を語り合ったのである。

「ねぇラルフ、昨日出会った人がいるんだけど、知っているかしら?」

私は、昨日の彼の特徴をラルフに伝えてみたのだが、彼は首を傾げた後「うーん..........ごめん、分からないな.........」と答えたのである。

「そう........残念ね.........」と肩を落とす私に、ラルフは慌ててフォローしてくれたのだが、どうしてもあの男性の顔が忘れられなかったのだ。

その後、しばらく庭園で過ごした私たちは、 お開きとすることになったのであった。


しかし翌日、再び郊外に訪れた私の目に映ったのは、あの男性の姿であった。私は、嬉しくなって彼に駆け寄った後、すぐに話しかけてしまったのである。すると彼も笑顔で応えてくれたため、そのまま一緒にお茶をすることになったのだ!

もちろんその間も、彼の話は尽きることがなく、私もついつい聞き入ってしまっていたのである。

彼はこの近くに住んでいて、よく散歩をするのだという。だから、この場所にもたまに訪れるらしいのだが、今日は私に会えるとは思っていなかったため、かなり驚いたと語ってくれたのだ。

(なんだか運命的かも...........!!)と思いながらも、彼との時間はあっという間に過ぎてしまい、お別れの時が来てしまった。しかし、私はどうしても彼について知りたかったため、勇気を出して尋ねてみることにしたのだ。

「あの、もしよかったらあなたのお名前を聞かせてもらえませんか............?」と緊張しながらも尋ねると、彼は微笑みながら答えてくれたのである!

「僕の名前はギルバードと言います」と名乗りつつ、握手を求められてしまった私は、嬉しさのあまり舞い上がってしまいそうになりながらも、彼の手を握り返した後、別れ際にもう一度お礼を言うことにしたのだった。

「ありがとうございます!またお会いできるのを楽しみにしていますね...........!」と言い残してその場を後にした私だったが、その時から時間を見つけては、たまに郊外へ通うようになっていったのである。


それから2週間ほど経ったある日のこと、いつものように庭園でお茶をしていた私は、偶然ギルバードさんと再会することができたのだ。

「こんにちは!またお会いできて嬉しいです!!」と言うと、彼も笑顔で応えてくれたため、ますます嬉しくなってしまった私は、思い切って食事に誘ってみることにした。すると、彼は快く承諾してくれたこともあり、思わず舞い上がってしまった私は彼と一緒にレストランへと向かうことにしたのである! 彼がオススメだというお店は、路地裏にある静かな佇まいのレストランであった。店内に入ると、落ち着いた雰囲気で居心地が良く、心安らぐ感じが漂っていた。

料理を待つ間私たちは、他愛もない話をしていたのだが、時折見せる彼の笑顔につられてこっちも笑ってしまいながらも、幸せな時間を過ごせたのだ。

そうして食事を終えた後は、しばらく街を散策することにしたのだ。

一緒に歩くうちに、お互いの距離が縮まっていくような気がしていたその時、ギルバードさんが足を止めたのである。

不思議に思って見上げると、そこには大きな建物が佇んでいた。どうやらこの場所が、目的地だったようだ!中へ入ると、そこは様々な商品が陳列されているお店であり、特に薬やポーション類が多く取り扱われているようだった。

「いらっしゃい!ゆっくり見ていってくださいね!」と店主の男性が、元気よく挨拶してくれたため、緊張が和らぎながらも店内を見て回ることに決め、早速商品を見て回ることにした。

すると、私はある商品に一目惚れしてしまい、迷わずに購入することにしたのである..........。

ギルバードさんは、そんな私の姿を見て微笑んでおり、「あなたのお役に立てて良かったです!」と言ってくれたのである!その言葉を聞いた私は、ますます嬉しくなって頬が緩んでしまったのだが、それを隠すために背を向けてしまったのだ!

(うぅ、なんだかいっぱい買っちゃって恥ずかしいなぁ...........)と思いながらも、購入した商品を大事に抱えつつ、帰り道は彼と帰ることにした。

「そうだ、あなたにお声がけした時、どこかでお見かけしたようなお顔だと思っていたのですが..........」

と言われドキッとしつつも私は「気のせいですよ!初対面だと思います!」と答えたのだが。

「いえ、僕には分かるんです。あなたは以前街で迷子になった時に、助けようとしてくれた女性ではありませんか?」と言われてしまったのである! 私が驚き戸惑いつつ、確かそんな出来事があったなと思い出していると、ギルバードさんは優しい笑みを浮かべながらこう続けたのだ!

「あの時のお礼をしたくて、ずっと探していたんです」と言われた私は嬉しくなって、お礼を言うことにした。

そして、彼と別れた後自宅へと戻り一息ついた後に改めて思い返してみると、あの時の出来事が鮮明に蘇ってきたのである。

(そうだったんだ.........!確かに迷子の彼と出会ってたんだ.........!)

幸せな気持ちになりつつも、今日のことを思い出すと不思議な感覚を覚えたのだが、その理由は分からなかった。

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