第11話

翌日からも、ギルバードさんが散歩しているところに出くわすことがあったため、一緒に過ごす機会が増えていた。

初めは緊張していたのだが、彼の笑顔を見るうちに段々気持ちが和らいでいき、今ではすっかり打ち解けられるようになっていたのだ。


そんなある日のこと、私はギルバードさんとお話をする約束を取り付けることができたのである。待ち合わせ場所に着くと既に彼は待っており、微笑みながら手を振ってくれていた。その表情を見た私は、思わずとても癒されたのだが、平静を装いつつ挨拶をしたのである。 それから、しばらく世間話などをした後、私は思い切って彼のことを尋ねてみることにしたのだ!

すると、意外な答えが返ってきたため驚いてしまった。なんと、ギルバードさんはとある国の公爵家の出身であり、次期当主だというのだ!つまり、彼はこの国における権力者の一人ということであり、そんな人が私なんかと一緒にいて良いのだろうか?と、不安になってしまったのである。

しかし彼は「あなたとだから、一緒に過ごしているんだ」と言ってくれて、とても嬉しくなった反面、ますます緊張してしまったのである。

それからも、私たちは度々会うようになり、お互いのことについて色々と話したりしていくうちに、次第に親密になっていったのである。

そんなある日のこと、私は思い切って彼と一緒に散歩することを提案してみたのだ!彼は喜んで承諾してくれ、二人で一緒に出かけることになったのであった。

しばらく街を散策した後は、ベンチに腰掛けて休憩することにしたのだが、そこでギルバードさんが私の手を握ってきたため、驚いたと同時にドキドキしてしまったのである。そして、そのまましばらくの間沈黙が続いた後、彼は突然私に質問してきたのだ。

「レイラ嬢、噂でお聞きしたのですが...........貴女は、ルシアン殿下と仲良いのだとか」

私は少しドキッとしたのだが、なるべく平静を装いつつ返答した。

「はい、仲良くさせて頂いております」

私が答えると、ギルバードさんは何故か悲しそうな表情を浮かべていたので不思議に思ったのだが、すぐに気を取り直したように話を続けた。

「そうですか............もしかして、」

そう言って口籠もってしまったので、私はどうしたのだろうと思ったのだが、次の瞬間彼からこう言われたのである。

「レイラ嬢、貴女はもしや王太子妃なのでは?」

突然のことに、頭がパンクしてしまいそうになった私であったが、何とか気持ちを落ち着かせると彼に言葉を返した。

「ええ..........隠していてごめんなさい。驚かせてしまうかと思っていて..........」

すると、彼は驚いた表情を浮かべつつも私をじっと見つめていた。その表情は、まるで何かを見透かそうとしているかのような感じさえしていた。私は不安になったのだが、それ以上にギルバードさんがどのように思っているのか知りたくて、仕方がなかった。

「レイラ嬢、実は私もルシアン殿下と面識があります」

私は心臓がドキドキしていたが、彼の言葉を待つことにしたのである。

「ルシアン殿下は、私のことを覚えてくださっているようで、たまに気にかけて頂いています」

その言葉を聞いて、安堵したのも束の間だった。ギルバードさんは更に言葉を続けると、衝撃的な発言をしたのだ!

「殿下は、貴女を心から愛しておられるように見受けられるのですが..........もし私がレイラ嬢を好きだと言ったら、どうされますか?」

私は頭が真っ白になってしまったが、それでも必死に考えた末こう答えた。

「ルシアン殿下が、私を大切に思ってくださっているように、私もギルバードさんのことを大切に思っています。しかし、それは友愛的な意味です。」と伝えると、彼は嬉しそうな笑みを浮かべていたのである。

「レイラ嬢、ありがとうございます..........とても嬉しいです!私も、同じ気持ちです。」

私はホッとしつつも彼に微笑みかけると、彼も微笑み返してくれたので心が和んだ。その後私たちは街を後にした。

(それにしても、ギルバードさんとルシアンが顔見知りだなんて、すごいことだわ)

家に帰ってからも、そのことが頭から離れなかった私だったが、次第に眠気に襲われてしまい、そのまま眠りについたのだった。


翌日、早速ルシアンに話を聞こうと思っていたのだが、なんと彼は用事で遠方に行かなければならないと聞いた。

出発前に、彼とは少しだけ会話することができたため、彼に尋ねてみることにしたのである。

「あの............ルシアン、少しお尋ねしたいことがあるのですが..........」

すると、ルシアンは微笑みながら応えてくれたのだ。

「なんでも聞いて!」

私は、意を決して尋ねたのである。

「実は、お聞きしたのですが..........、ギルバードさんってルシアンの知り合いなのですか?」と尋ねると、彼から意外な答えが返ってきたのだ。そして、その内容を聞いた私はただただ驚くしかなかった。まさかそんなことがあったなんて!

驚きを隠せないまま、ルシアンと別れて食事をしながら私は、考えを巡らせながら一人悩んでいた。

(一体どういうことなの?ギルバードさんとルシアンにどんな繋がりが...........?)

しかしいくら考えても答えは出ないままだったため、今日も仕方なく眠ることにしたのだ。


翌日から、しばらくの間ルシアンと会える機会がなかったため、モヤモヤした気分が続いていたのだが、ついにその日が訪れたのである。

なんと、ルシアンと久しぶりに出かける機会ができたのである!久々に会えた喜びで、胸がいっぱいになっていた私であったが、同時に緊張もしていたのだ。というのも、二人きりで会うのは久しぶりだったからである。私たちは、馬車に乗って移動していたのだが、途中で休憩するために立ち寄った場所には美しい森が広がっており、私は思わず感動してしまった。ルシアンは、そんな私を微笑ましそうに見つめていたのだが、突然私の手をぎゅっと握ってきたのである。

驚いた私は、ドキドキしてしまったのだが、同時に嬉しくもあったため、自然と笑みが溢れてしまった。

それからしばらくの間、景色を楽しんでいた私達だったが、やがてルシアンは真剣な表情で私を見つめながら、話しかけてきたのである。

「レイラ、実は君に伝えたいことがあるんだ..........」と一言呟いた後、黙り込んでしまったので、心配になった私が声をかけようとすると、彼は更に続けてこう言ったのだ!

「レイラ、愛しているよ。ギルバードと何かあったのかもしれないが、君のことをずっと信じているよ」

突然告白された私は驚いてしまったが、それ以上に嬉しさが込み上げてきて、涙が溢れ出してきたのである。

「ルシアン...........私も貴方のことが大好きです!大丈夫です、安心してくださいね」と泣きながらも、なんとか応えることができた私に対して、ルシアンは優しく抱きしめてくれた。そして、私達はしばらく抱き合ったまま時間を過ごしたのだが、やがてルシアンは名残惜しそうにしながら、私からそっと離れると、改めて手を握り直してきたのである。

その温もりを感じたことで、私の心はますます幸せな気持ちで満たされていき、思わず笑みを浮かべてしまったのだ。

そして私たちはそのまま帰路についたのだが、その間ルシアンは終始ニコニコしており、私も彼と一緒の時間を過ごせていることが嬉しく感じられていたのだ............。


「レイラ様!レイラ様宛に、贈り物がございます!」

朝から、慌ただしそうにメイドが大きい荷物を持って、私の部屋に入ってきた。「何かしら?」

不思議に思い、尋ねてみる。

「クレイヴン公爵様からでございます」

まさかの答えに、嬉しさと同時に驚いた。

(クレイヴン公爵..........?ギルバードさんかしら?一体..........)

そう疑問を感じながらも、早速中を見てみるとそれはドレスだった!しかも、上品で素敵なデザインだったので、早く着てみたいと心が躍る!

(それにしても、なぜ私にドレスを贈ってくれたのかしら?)

私は、未だに不思議な出来事に考えを巡らせていたが、メイドたちに手伝ってもらいながら着替え終えた後、鏡の前に立つ。そこには普段全く着ないテイストのドレスだったため、いつもと雰囲気が違う自分の姿が映っており、思わず見惚れてしまった。

(これが私なの..........?)

しばらく、ボーッとしながら鏡の前で佇んでいたのだが、その時ハッと我に返った私は慌てて部屋から飛び出すと、そのまま廊下を駆け抜けて庭へ出た。そして門を開けて少し走ると、見覚えのある背中が見えた。

「ギルバードさん!!」

そう呼びかけると彼が振り返り、微笑みながら手を振り返してくれたので胸が高鳴った。

「レイラ嬢、ちょうど良かった。」私は、彼に近づくと話しかけた。

「素敵な贈り物を、ありがとうございました!とても嬉しいです!」

すると、彼は微笑み返しながら言うのだ。「喜んでいただけて何よりです。実は貴女のために作らせたのです。」

(え!?私のために作ったですって!?)私は、驚いてしまい言葉が出なかったが、それでも必死に感謝の気持ちを伝えることにしたのである。

そして、彼から贈られたドレスを着た姿を改めてじっくりと見つめる。

(本当に綺麗..........それに、とても動きやすいわ)

私は感動しつつ、ギルバードさんに問いかける。「これは、どういう仕掛けがあるのですか?」すると、彼は微笑みながら説明してくれたのである。「このドレスは、特別な生地で作られていて、魔法が組み込まれているんだ」

私は、驚きつつも興味津々だったので、もっと詳しく聞かせてほしいとお願いすることにした。

すると、ギルバードさんは快く応じてくれたため、彼の話に耳を傾けるのであった。それからしばらくの間、私たちは魔法について語り合ったのだが、話が盛り上がれば盛り上がるほどますます興味が湧いてきて、気がつけば夕方になっていた。私は名残惜しかったのだが、ギルバードさんと別れを告げる。

(またお会いしたいな)と、心の中で思いながら馬車に乗り込むのであった。


それから数日後のこと、今度はルシアンと一緒に過ごす日が訪れたのだ!ルシアンとは久々の再会だったので、とても嬉しく思っていたのだが、その気持ちとは裏腹に不安もあったためか、緊張した面持ちになってしまったのである。

すると、彼はそんな私に対して優しく微笑んでくれたおかげで、少し安心することができたので、ホッとするのであった。

そして、私たちは馬車に乗って出かけることにしたのだが、目的地に向かうまでの間はお互い近況報告をし合い楽しいひと時を過ごしたのである。

そして、到着した場所は美しい湖のほとりだった。ルシアンと私は早速レジャーシートを広げて、そこに座って景色を眺めながら、語り合うことにしたのだ!「ルシアン、ここはとても綺麗ですね!」

私が興奮気味に言うと、彼も微笑み返しながら同意した。「ああ、本当に美しいな..........」

(こんなに素敵な場所に連れてきてくれて、ありがとう!)と感謝の気持ちでいっぱいになった私は、ルシアンの手をそっと握る。すると、彼は微笑みながら握り返してくれたので、さらに幸せな気持ちになったのだ。

しばらくの間、私たちは寄り添いながら景色を楽しんでいたのだが、突然ルシアンが話しかけてきたのである。

「レイラは、最近何か悩み事があるのかい?」と尋ねられたので、一瞬ドキッとしたが平静を装って答えた。「いえ、特にありませんよ?」と答えたのだが、実際にはギルバードさんとの件で悩んでいることがあり、それについて相談できればと思っていた。

そんな私の胸の内など知る由もなく、ルシアンは更に尋ねてくる。「それならいいんだが............何かあったら、すぐに相談して欲しい。僕たちは夫婦だからね。」

(ああ!もう本当に大好き!)

私は、嬉しさのあまり涙が出そうになってしまった。ルシアンと過ごす時間は、私にとって特別なものであり、これからも大切にしていきたいと思ったのだった。

それからしばらくの間二人で話を続けていたのだが、ふと会話が途切れてしまったため沈黙が訪れることになったのだが、その沈黙は決して嫌なものではなく心地よいものだったため、私は心地良さを感じていたのだ。

「あの、ルシアン」

私が話しかけると彼は少し驚いた様子だったが、すぐに微笑みながら返事をしてくれた。

「どうしたんだい?レイラ」

「私は、貴方がいてくれて本当に幸せです」

そう言って彼の手を握りしめたままでいると、彼も強く握り返してくれたのだ!そして、私たちはそのまましばらく見つめ合っていたのだが、やがてルシアンの手が近づいてきたため、慌てて目を閉じた。すると、彼は優しく頭を撫でてくれて、それで私も幸せな気持ちになったのであった..........。

(あぁ、もう幸せすぎてどうにかなっちゃいそう!)と心の中で思いながらも、彼のことを愛しく感じていたのである。

それから、しばらくの間お互い無言で見つめ合っていたのだが、やがてルシアンが口を開いた。「レイラ、僕も君と一緒で幸せだよ」

それを聞いた私は、喜びのあまり涙が出てきそうになったがぐっと堪えた。

そして、彼を見つめ返しながら問いかけたのだ。

「ルシアン、これからもずっと一緒にいてくださいね」

すると、ルシアンは微笑みながら頷いてくれたので、私はさらに嬉しくなって抱きついてしまったのだ!彼は優しく抱きしめ返してくれたので、ほっこりとした気持ちになったのである。

(本当に大好きです)と心の中で呟きながら、ルシアンと過ごす時間を大切にしたいと改めて思ったのだった。

「ルシアン、私頑張ります!」

私はそう言って、彼に微笑むのであった。彼も応援しているよと言ってくれたので、とても嬉しくなったのである! その後私たちは帰路についたのだが、その間ルシアンは、私のことを気遣ってくれて常に優しく接してくれていたため、安心して過ごすことができたのだ。

(本当に素敵な人に出会えたな...........)と心の中で思いながら、満足感に浸っていたのである。


「レイラ嬢、これからお時間は?」

ある日、用事がありリリアナさんの付き添いで街に出ていたら、突然声をかけられ振り返るとそこにはギルバードさんがいたのだ!

まさかの登場に驚きつつも、彼に話しかけられたことが嬉しくてすぐさま返事をしたのだ。「はい。大丈夫ですが、何か御用でしょうか?」

と尋ねると、ギルバードさんは微笑みながら答えてくれた。

「以前お話した魔法について、もう少し詳しくお教えしたいと思っていて」

私は彼の提案に驚いたが、リリアナさんを見ると頷いてくれたので、思い切って了承することにした。するとギルバードさんは「ありがとうございます」と言ってから私の手を取り、歩き出したのだ。

(なんかドキドキしちゃうな)と心の中で思いながらも、彼に連れられて歩いた先は、広い庭園であった。

そこで、私たちはベンチに腰掛けて話を始めることにしたのだが、最初に彼が話してくれたのは魔法を使うための基本的なルールについてだった。「魔法を使用する際に大事なのは、イメージ力です」と言った後、続けて説明してくれた内容は非常に興味深いもので、私は興味津々で聞き入っていたのである。

そして、説明が終わった後ギルバードさんは実際に魔法を使って見せてくれたのだが、その光景はとても美しく感動的なものだった。彼の指の動きに合わせて、光の玉が出現してふわふわと浮遊し始めたのだ!その光景を見て思わず興奮してしまい、目を輝かせていたら彼は優しく微笑んでくれたので、さらに嬉しくなったのだった。

(本当に凄い人だわ............)と思いながらも、興奮冷めやらぬまま質問を投げかけたのである。

「どうすれば、貴方のような素晴らしい魔法を使えるようになるのでしょうか?」すると、彼は顎に手を当てて考え込んだ後、答えてくれた。「そうですね...........まずは、基本的な魔法を覚えることから始めましょうか」

私は、彼の提案に胸が高鳴るのを感じた。そして、早速教えてもらうことになったのだが、最初は簡単な魔法からということで、火を起こす方法を教わることになったのである。

まず最初に教わったのは、指先に小さな火を灯すというものだったのだが、これが想像以上に難しくなかなか上手くいかなかったのである。何度も挑戦した結果、ようやくコツを掴むことができたので、ホッと一安心することができたのだ。

(これから頑張って練習しよう!)

そう決意した私は、その後も色々な魔法を教えてもらったり、実践で使えるように練習をしたりして、充実した時間を過ごすことができたのであった。


そしてある日のこと、1人で魔法の練習を続けていた時であった。

突然リリアナさんがやってきて、声をかけてきた。「レイラ、なんだか最近楽しそうですね!」

そう言われてドキッとしたが、平静を装って答える。「そうですか?特に変わったことは、していないと思うのですが...........」

すると、彼女は微笑みながら言ったのだ。「はい!毎日イキイキとされていますよ!それに、表情も豊かになられて..........まるで別人みたいです!」

私は、そう指摘されて嬉しくなったが、同時に恥ずかしくもあったため、赤面してしまった。

そんな私を、リリアナさんは微笑みながら眺めていたのだが、その後急にハッとしたような表情を浮かべると、「もしかして、特別な感情を抱かれているのでは...........?」と尋ねられたため、慌てて否定したのだ。だが、その態度を見た彼女は確信を得たような表情を浮かべていたのである。

「相手はどなたです?」

興味津々といった様子で聞いてくる彼女に、私は観念して話すことにしたのだ。

「ギルバード様というお方で、以前郊外で偶然お会いしたんです。でも、特別な感情はありませんよ。」

そう答えると、リリアナさんは驚きつつも納得がいったというような表情を浮かべた後、嬉しそうに微笑んでくれたのだった。

「確か、以前街でお声をかけてくださった方ですよね、どこかで見たことあるような...........」

私は、彼女の発言を聞いて思わず動揺してしまったが、それを悟られないように平静を装って話しかけることにした。「覚えていてくださったんですね!」

そう言うと、彼女は微笑みながら答えてくれたのだ。「忘れるはずがありません、レイラの大切なご友人なので!」

その言葉を聞いた瞬間、胸がわくわくするのを感じた。

(どうして嬉しい気持ちになるのかしら..........?)と疑問に思ったが、その理由は分からなかった。

そんなことを考えているうちに、いつの間にか時間が過ぎていったようで、ふと我に帰ると彼女は既にいなかった。

「あれ?リリアナさん帰っちゃったのかしら」と思わず呟くと、背後から声をかけられたのである。振り返ると、そこにはギルバードさんが立っていたのだ!

「レイラ嬢、今日もお美しいですね」私は、突然現れた彼に驚いて固まってしまったが、なんとか言葉を絞り出したのである。「ありがとうございます、ギルバード様も相変わらず素敵ですわ!」

すると、彼は微笑みながら言ったのだ。

「光栄です」

(リリアナさんとの話題のあとだから、本人と話すの緊張するなぁ...........!)

と思いながらも、必死に冷静さを装って話を続けることにした。

「あの、ところで何か御用がおありなのでしょうか?」と尋ねると彼はハッとしたような表情を浮かべて言ったのである。「ああそうだった、実はレイラ嬢にお聞きしたいことがありまして」

(なんだろう...........?もしかして、魔法のことかな?)と考えながら彼の言葉を待つ。しかし、次に発せられた言葉は、予想外のものだったのだ!

「先程のご令嬢の方、どこかでお見かけしたことがあるんですよ、お名前をお伺いしても?」

(リリアナさんと同じことを仰ってるわね..........?)と不思議に思いながら、私は素直に彼女を紹介することにした。

「私のご友人である、リリアナ・フェルローシスさんですよ」

と答えると、彼は納得したような表情を見せた後、お礼を言ってくれた。

(あれれ、リリアナさんもギルバード様も、お互いのお顔を覚えていらっしゃらなかったのかしら?)

私は、心の中で疑問を抱きながらも、その場を立ち去ることにしたのだった。

後日改めて考えてみると、なぜギルバードさんが私を探していたのか理由が分からず、不思議に思ったのだが...........きっと大したことではないのだろうと思い、気にしないことにしたのである。


それから数ヶ月後のことだったのだが、突然ギルバードさんから旅行のお誘いを受けたのだ!

、特に断る理由もなかったため承諾したのである。

そして当日、待ち合わせの場所へ向かうと既に彼は到着していたようだ。私はら慌てて彼に駆け寄りながら挨拶をすると、彼も優しく微笑んでくれたのだ。

その後2人で馬車を走らせること1時間、景色が綺麗な海辺に到着した。私は、初めて間近で見る光景に感動してしまい、思わず感嘆の息を漏らした、

(こんな素敵な場所に連れてきていただけるなんて............嬉しい!)と心の中で呟きながら、ギルバードさんの方を見ると、彼も景色に目を奪われているようだった。

それから、私たちはしばらく景色を堪能した後、湖畔にあるカフェへと向かったのである。そこでは、美味しいスイーツを食べながら色々な話をしたり、楽しい時間を過ごしたのだが、ふと彼が真剣な眼差しを向けていることに気付いたのだ。

「レイラ嬢、実は貴女に大切なお話があるんです」

そう言われて、私は緊張しながら彼の言葉を待つことにした。すると、彼は意を決した様子で口を開いたのである。

「実は、今の公爵家では不思議な噂が流れているんです。使われていない部屋の電気が、勝手についたりなど............」

それを聞いて私は少し不安になったが、彼の言葉を聞いて安心することができた。「そうですか..........でも、どうして私にその話を.........?」と尋ねると、彼は微笑みながら答えたのである。

「レイラ嬢には信じていただけるかと思って」

そう言って、私の顔を見つめる彼の目は真剣そのもので、冗談を言っているようには見えなかったので、戸惑いながらも質問に答えることしかできなかったのである。

「えっと..........にわかに信じがたいお話ですが、少し気がかりな噂ですね。」私がそう言うと、彼は頷いてくれた後で言った。

「そこでご提案なのですが……しばらく公爵家に滞在していただけませんか?もちろん、ルシアン殿下に許可を取った上でですが……」

(ええぇ!?公爵家に滞在しろって言われても……)と困惑していると彼は続けて言った。「もちろん無理にとは言いません。レイラ嬢の安全を考えると、一度立ち寄るだけでも良いかと思います」

私は少し悩んだ結果、ギルバードさんの提案を受け入れることにしたのである!

そして、友人が困っていることがあれば手助けになりたかった。

「分かりました。お言葉に甘えさせて頂きますわ」と言うと彼は嬉しそうな表情を浮かべながら、私の手を取り感謝の言葉を述べてくれた。その姿を見て私も嬉しくなったのだが、それと同時に若干の不安を感じていたのも事実だった……。

(本当に大丈夫なのかしら……?)と心の中で呟きながらも、私は覚悟を決めて公爵家へと向かうことにしたのである……。

その前に、私はルシアンに許可を得ることにした。

王宮に戻ると、既にルシアンは執務室で業務をこなしているようだった。

「あの、ルシアン.........少しお話があるのだけれど」

私の言葉を聞いた彼は、作業をやめて私の話を真剣に聞いてくれた。

そしてしばらく悩んだ結果、うんうんと頷いた。

「そうか..........何かあればギルバードさんを頼るんだよ。最終日は私も行くようにするよ。」

と言った力強い言葉に私は安心し、早速公爵家に滞在するためのお泊まりセットを準備することにした。


公爵家に到着するとメイドさんに案内されて客室へと案内された。内装はとても美しく整えられており居心地はとても良かったが、なぜか1人になった瞬間寒気を感じ始めたのだ……!

(なんだろうこの寒気は……)と思いながらも我慢して過ごしていたのだが、ある夜から異変が起き始めたのである……! 最初は小さな物音から始まった。コンッ……コンッという乾いたような音が鳴り響いていたのだが、次第に大きくなっていくにつれて怖くなり始めていたのだ。

(一体誰が鳴らしているのかしら……?)と思っているうちに朝を迎えることになったのである……。次の日も同じ現象が続いたため気味が悪くなってしまった私は意を決してギルバードさんに相談することにしたのである!

すると彼は驚いた表情を浮かべながらもすぐに部屋に招いてくれたので感謝の言葉を述べた後、私は今までの経緯を全て説明したのである。すると彼は真剣な顔つきで考え込んでおりしばらく沈黙が続いたが、やがてゆっくりと口を開いたのであった。

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