第12話

「わかりました...........それでは、私と一緒に来てください」と言ってくれたので、私は素直に従い屋敷内を案内されることになったのだ!

(やっぱり、公爵家に来たのは間違いじゃなかったんだわ!)と思いながらも、必死に彼の背中について行くことに集中した。

すると、ある扉の前で立ち止まったギルバードさんが、振り返った後で言ったのだ。「ここが、噂をされている部屋です。と。

私は、思わず息を吞んでしまいそうになったが、ここで立ち止まっているわけにはいかないと思い、覚悟を決めて部屋の中に入ったのである!中に入ると特に変わった様子はなく、至って普通の部屋だったが.............。

次の瞬間「ひっ............」という小さな悲鳴が漏れてしまった。

なぜなら、壁に誰かが立っているように見えたからだ。しかし、目を凝らして良く見てみるとそれは絵画だということが分かりホッとしたのだが、その瞬間再び寒気を感じ始めたのである!!

私が身震いしていると、ギルバードさんが「レイラ嬢、大丈夫ですか?」と心配して声を掛けてくれたので、少し冷静さを取り戻すことができた私は「大丈夫です、少し寒気を感じただけですから」と答えた。すると彼は私を安心させるように微笑みながら言ったのだ。「そうですか、それならよかったです............では、改めて調査を始めましょうか」そう言って部屋全体を見回すと、私は何かに気付いた。

「これは一体.........」そう尋ねると、彼は答えたのだ。

「壁に染みがありますね、かなり古いもののようですが...........」と彼が言った後、私は再び尋ねたのである。「この染みは、いつからあるのですか?」ギルバードさんは戸惑いながらも、思い出すように答えてくれた。

「かなり昔に、ここで何かあったとか聞いたことありますね」と教えてくれた。私は、彼の言葉を聞いてゾッとしながらも、更なる情報を得るために行動することにしたのである!

「え..........?これ以上調べるのですか.........?」ギルバードさんは私の提案を聞いて驚いていたが、私は構わず部屋の中を歩き回ることにしたのだ。

するとら壁の一部に小さな隙間があることに気付くことができたのである。

「この隙間は、一体何なのでしょうか?」と私が聞くと、彼は困ったような表情を浮かべながらも答えてくれたのだ。

「これは隠し通路に続く扉ですよ..........」と言いながら扉を開こうとしていたのだが、鍵がかかっているようで開けることができなかったようだ。「おかしいな、以前は開いていたはずなのに..........」と呟く彼を見ていて、申し訳ない気持ちになってしまったので、私が代わりの鍵を探しに行くことにしたのである!

(部屋の中に隠し通路なんて...........不思議な構造ね、一体どういうことなのかしら?)と思いながらも私は屋敷内をくまなく探し回った結果、1本の小さな鍵を発見できたのだ!早速ギルバードさんの所に戻って、彼に見せることにした。

彼は驚きながらも私にお礼を言ってくれた後、鍵を扉に差し込んで回すが、開かなかった。

「...........どうしてだ」

と困惑していた彼だったが、ふと何かに気付いたような表情を浮かべて、私に聞いてきたのだ。「レイラ嬢、また夜にここへ来てみましょう。時間帯を変えたら、開くこともあるかもしれません。」

彼の提案を受けて、私は今夜再び隠し通路の扉がある部屋へと来ることを決めたのだ。

それからは、夕食の時間までルシアンやリリアナさんへお手紙を書いて、すぐに届くように配達員の方へ受け渡した。

夕食の時間になると、豪勢な料理が机の上に並んでおり、私は手を拭いていただくことにした。

特に、甘辛いタレがかかったローストビーフは絶品であり、思わず顔が綻んでしまった。

ぺろりと私は平らげ食事を終えると、私は自分の部屋へ戻り、お風呂に入る準備をしていたのだが、途中でギルバードさんとばったり遭遇したのである。

「レイラ嬢、ご入浴ですか?また1時間後にお迎えにあがりますね」

と言って彼は立ち去っていったのだが、私は意思を固めて入浴を済ませることにした。

入浴を終えたその後、明日の予定を考えながら待っていると、再びギルバードさんがやってきたのだ。「レイラ嬢、お待たせしました」と微笑みながら言う彼に続いて、私は隠し通路の扉がある部屋へと向かった。


中へ入ると、早速ギルバードさんが鍵穴に向き合い、慎重に鍵を差し込み回し始めたのである!すると、カチャリという音が鳴り響いた瞬間、扉がゆっくりと開き始めたではないか!私たちは、思わず顔を見合わせてしまったが、ここで怖気づいてはいられないと思い先へ進むことに決めたのであった.............。

そしてしばらく歩くと、目の前には小さな扉が現れたので、恐る恐る開けることにしたのだが.........その先には、さらに地下へと続く階段があるだけであった。

(どうしよう、このまま降りていくのはちょっと怖いけど...........でも、ギルバードさんは私のためにここまで連れてきてくれたんだし、勇気を出して進まないと!)

私達は、地下へと続く階段を下って行ったのである。

階段を下り終えると、目の前には古めかしい扉があったのである。「レイラ嬢、この扉の先です」私はら彼の言葉に頷きながら、ゆっくりと扉を開けたのだった。すると、そこには大きな部屋が広がっていたのだ。 部屋の中に入ると、思わず息を吞んでしまう程の光景が広がっていた。なんと、部屋中に夥しい数の時計が置かれており、異様な雰囲気を漂わせていたからである!!

(何なのここは............??)と思っていると、ギルバードさんが説明してくれたのだ。「ここは、昔時計工場として使われていた場所なんですよ」

(え?どういうこと??)と疑問に思ったが、彼は続けて説明をしてくれたのである。「昔の公爵様は、かなりお金を持て余していたようで............時計に興味を持っていた方だったようで、たくさんの時計を作らせていたのです。

そこで出来上がったのがこの時計たちで、趣味で集めておられたようですが...........私自身、初めて見ました。」という話を聞いて、私は納得したのだ!確かに、これだけの数の時計があれば目を引くのは間違いないだろう!

(でも、こんな大量の時計を持ってて本当に楽しいのかしら?)と思いながらも、ギルバードさんと一緒に再び探索をすることにしたのだが............。

私は夢中になって時計を見ていたのだが、その時ふと視線を感じると、ギルバードさんが固まっていた。

「どうしたんですか?」と聞くと、彼はハッとした表情を浮かべた後で言ったのである。「いえ...........、何でもありませんよ」と答えたので、私は再び時計の観察を始めたのだが、その後もギルバードさんはずっと落ち着かない様子でキョロキョロとしていたのだった……。

(一体どうしたんだろう?)と不思議に思ったものの特に問題は無かったためそのまま探索を続けたが結局何も見つからなかったのである……。

そろそろ2人で戻ろうとしたその時、異変は起こった。

部屋の中にある時計たちが突然全て壊れてしまったのだ!

「きゃあ!」と叫びながら私はギルバードさんに抱きついたのだが、彼は受け止めてくれて「早く出ましょう」と慌てて私の手を引いて階段を上って行った。

しばらくしてから私達は脱出したのだが……結局今回の出来事は何だったのか分からずじまいだったのである……。


そして翌日、私はあまり眠れず寝起きの瞼をこすりながら机を見ると、二通の手紙が届いていた。

ルシアンとリリアナさんからだ。

早速私は2人の手紙の封を開けて読んでみることにした。

『親愛なるレイラへ 昨日は手紙ありがとう。とても嬉しかったです。ところで、クレイヴン公爵から連絡がありましたよ。明日の朝にここを出て、夕方頃にクレイヴン家に着く位になります。その時リリアナさんとラルフも連れていくことにしたので、安心してください。無事を祈っているよ。』

と優しく書いてくれていた。さらにリリアナさんからの手紙には『大好きなレイラちゃんへ

ルシアン殿下からお話を聞いたわ!なんだか冒険みたいでわくわくするわね、準備が出来次第ラルフとルシアン殿下と合流してそちらへ向かうわね!』と丁寧に書かれていたのだ。

(ルシアンだけじゃなくて、リリアナさんとラルフも来てくれるのか…心強いな) と思った私は嬉しくなって思わず笑みを浮かべてしまったのだ。

早速手紙を返すことにした私はさっそくルシアンへ手紙を書いたのである。『親愛なるルシアンへ 嬉しいお知らせです!ルシアン殿下やリリアナさんとラルフもこちらへ向かってくださっているようですし、とても心強いです!楽しみにしていますね!道中お気をつけて』と書いた手紙を封筒に入れ、封をしてから配達員の方へ渡したのだった……。

それからはウキウキした気持ちのまま、屋敷内を見回っていたのだが、ふと1人のメイドが目に付いた。

(あれ?あの人って……)そう思ってメイドの元へ駆け寄り声を掛けると、彼女は驚いた表情を浮かべながらも返事をしてくれたのである!「あの……どうしてここに……?」私が尋ねると彼女は微笑みながら答えてくれた。「実は私、ギルバード様からレイラ様のお世話をするように仰せつかっているのです……」彼女がそう言ってくれた瞬間、私は目を輝かせながら感謝の気持ちを伝えたのだ!すると彼女も一緒に喜びながら喜んでくれたのである。

(あぁ良かった……!これで少し安心できるわ!)

そう思いながらも彼女と会話をしていたのだが、しばらくすると彼女は用事があると言って部屋を出て行った後、私は1人になって暇を持て余してしまったため、どうしようかと悩んだ結果、その後で再び屋敷内を探索することにしたのだが……結局何も見つからずじまいだったのだ……。

(う~ん、やっぱり見つからないかぁ……)と落ち込んでいたその時であった……。

突然私の部屋の扉が開いたのだ!驚いて振り返るとそこにはギルバードさんの姿があったのである。

「レイラ嬢、体調はいかがですか?」と言う彼の言葉を聞いて私は咄嗟に大丈夫だと言った。

だが、ギルバードさんは私の顔色を見て

「今日はお昼寝でもいかがですか?あまり時間がございませんが、夕食時に起こしに伺いますよ」と言ってくれたので、私は早速お願いすることにしたのだ。

ベッドに横になるとすぐに睡魔が襲ってきたため、そのまま眠りにつこうとしたのだが、なんだか室内が冷えているような気がして、温度調節をしようとしたが室内の温度は正常であった。

おかしいなと思いつつもそのまま眠りにつこうとしたのだが、途中でふと気付いたことがあったのだ……それは部屋の中に誰かがいる気配を感じたということなのだが、私は怖くなって咄嗟に体を起こして周囲を見渡したのだ!

(誰もいない……よね……?)

もう一度確認するがやはり誰もいなかったのでほっと一息ついた時であった。

突然背後から何者かに抱きしめられたのである!!恐怖で声も出せず固まっていると、耳元で「レイラ様」と囁く声が聞こえたのである!(嘘でしょう!?誰か助けてよ……!)と思いながら後ろを振り向くと、先程のメイドが笑顔で私を見つめていた。

私が目を丸くしていると彼女は微笑みながら言ったのである。「驚かせてごめんなさい、やっと用事が終わったので戻ってきたのです。少し寒いですか?」

と言いながら私に毛布を掛けてくれる彼女を見た私はつい涙ぐんでしまったのである……。

その後、私は彼女に先程感じた疑問を聞いてみたところ「風邪のひき始めでしょうか...........あたたかい格好でお眠りくださいね」と気を利かせてくれたのだ!それを聞いて安心できた私は「ありがとう」と言って彼女に感謝を伝えたのであった……。


「レイラ嬢…レイラ嬢、夕食のお時間ですよ」

と優しく声を掛けてくれたギルバードさんによって私はようやく目を覚ました。

(あれ……?私いつの間に寝ちゃったんだろう?)

そう思いながら体を起こした時、不意にお腹の辺りに温かさを感じたのである。不思議に思って布団を捲ると、そこには猫が眠っていたのだ!驚いて思わず声を上げると、その声に気付いたのか猫はゆっくりと目を開けた後、小さく鳴いたのだ。そんな可愛らしい姿を見て、微笑むと同時に安堵したのだが...........一体、この猫はどこからやって来たのだろう??

「レイラ嬢?」ギルバードさんが再び呼んでいる声に気付いた私は、慌てて飛び起きた。

「ああ、猫ですか。何故かこの子は、昔からこの屋敷にいるんですよ。居心地がいいのかな。」

そう言いながら、優しそうに笑う彼を見ていたら、何だか私も和やかな気分になった。

それから食事をとった後は入浴し、ベッドに入った後はあっという間に眠りについてしまったのだが、今度は不思議な夢を見たのである............。

夢の中で私は真っ暗な空間にぽつんと佇んでいた。何も見えない真っ暗闇の中に取り残されるような感覚に陥っていると不意に背後から誰かの気配を感じた!恐る恐る振り返るとそこには1人の女性が立っていたのである!女性は私に向かって何かを言ったようだが全く聞こえないのだ……すると次の瞬間、突然景色が一変したのだ! なんと私の目の前には巨大な時計があったのである!

その文字盤には時計の針ではなく数字が表示されており、よく見ると0から9までの数字がランダムに変わっていたのだ!私は驚いて呆然としていると突然声が聞こえてきた!「これは君の運命だ……」その言葉を聞いた瞬間、私の意識は遠のいていき……再び目を覚ました時には既に朝を迎えていたのであった……。


「っ!!!」

ばっと布団から起き上がると、メイドが不思議そうな顔で駆け寄ってきた。

「お目覚めですか?何か怖い夢でもみられましたか?」

私は首を縦にふるとメイドは安心したように微笑んだ。

(なんだ……夢だったのか……)と思いながらもふと窓の外を見ると外はまだ薄暗く、もう少し眠っていても良かったかな?なんて思ったが、そういえば猫はどこに行ったのだろう??そう思ってキョロキョロと見回していると、何と私の足元で丸まっている姿を見つけたのである!どうやら私に寄り添うような形で眠っていたようだ。

(ふふっ可愛い寝顔だなぁ……)

と思っていると不意に猫が目を覚ましたため「おはよう」と言って頭を撫でてあげたのだ!

すると猫は気持ち良さそうに目を細め、ゴロゴロと喉を鳴らしていた。

(それにしてもあの夢は一体何だったんだろう……?)

と疑問に思いながらも、猫を撫で続ける私なのであった……。

そして朝食の用意をしてもらったのだが、美味しいエッグベネディクトと香り立つ紅茶の組み合わせが疲れた体を癒してくれた。

食事を終えた後は早速街へ買い物に出掛ける事にしたのだが、メイドも一緒に行くことになったのだ。

(今日は何を買うのかな~楽しみだなぁ!)とワクワクしながら馬車に乗り込むと、御者が微笑みながら挨拶をしてくれた。

「いってらっしゃいませ」という声と共に馬車はゆっくりと動き出したのである。

窓の外を眺めながら街の風景を楽しんでいるうちに目的地に着いたようで馬車が止まったので降りようとした時、不意にメイドが話しかけてきたのだ。「レイラ嬢、私たちの屋敷に不思議な噂が流れているということは、ご存知ですか?」突然の質問に驚いてしまった私だったが、思い当たる節があったため首を縦に振った。すると彼女は微笑みながら話を続けたのである。「実はその噂というのは、私たちが元々住んでいたお屋敷に幽霊が出るというものです……」

「えっ!?」思わず声が出てしまった私にメイドは優しく微笑みつつ話を続けた。

「それで……レイラ嬢にお願いしたいことがあるのですが……」と言う彼女の言葉を聞いて私は首を傾げたが、話を聞いているうちに納得したので了承することにしたのだ! 買い物を済ませた私達は、屋敷に戻ると早速調査を開始した。まずは1階の部屋を1つずつ調べることにしたのだが、どの部屋も綺麗に整頓されており特に変わったところは見られなかった。次に2階を調べ始めたのだが、こちらも同じような状態で特に変わったものは見つからなかったのである。

しかし3階を調べている時にメイドが私に話しかけてきたのだ。「レイラ嬢、実はこの階段の先には開かずの部屋があるという噂を聞いたことがあります……」と真剣な顔で言われてしまったため私も少し緊張しながら階段を下り始めたのである……。

そうしてついに噂の扉の前にたどり着いた私は、震えが止まらなかった。

なぜだか、本能がもう一度扉を開くなと訴えかけているような気がしたのだ……。

しかしメイドはドアノブに手をかけると、ゆっくりと扉を開けた。

するとそこには大量のお札が貼り付けられ、昨日見た大量の時計があった!驚いて言葉を失っていると、

突然メイドが私に向かって話しかけてきたのだ!「レイラ嬢、この時計は実は呪われた時計なのですよ……」と言われてしまったため私は驚いたと同時に納得してしまったのである。

(確かにこれは呪われてるよね……)と思いながらも恐怖で震えていると、メイドは微笑みながらこう続けた。「実はこの時計たちはとある魔術師によって作られたものなのですが……ある日、その魔術師が呪いをかけてしまったのです……」

という話を聞いている間もずっと震え続けていた私に彼女はさらにこんな話をしたのである。

その内容はとても信じられないものであったが、私は驚きながらもその話を真剣に聞いていた。「実はこの時計たちはある秘密を抱えているようで……それが呪いの発動と関係しているようなのです……」

という話を聞いているうちに、私はだんだん興味が湧いてきたため思い切って聞いてみたのである。

「それってどういう秘密なんですか?」と聞いてみると彼女は微笑みながら答えてくれたのだ。その内容はとても信じられないものであったが、私は驚きながらもその話を真剣に聞いていた。

すると彼女はさらにこんな話をしたのである……。「レイラ様も見たのではありませんか?突然壊れたり動いたり…」

不敵な笑みを浮かべるメイドの言葉にハッとなった私だが、同時に疑問が浮かんだのである……。「どうしてそれを貴方が知っているの?」

と言うと彼女は微笑みながら答えてくれた。「実は私も以前この場所に来たことがあったのです……その時は4人でしたけどね……」と意味深なことを呟いた後、メイドは私にこう言ってきたのである……

「でも、ある時このお屋敷のメイドは私しかいなくなったんです」

という衝撃的な告白を受けた私は言葉を失ってしまった。

「そんなことが…」

「ええ、先に進んでみましょう。」

そう言って歩き出したメイドの後に続くようにして私も歩き始めた。

そしてついに私たちは部屋の最後までやってきた。

お札が貼り付けられていた時計であるその中の1つを手に取り見つめると、突然時計の針が進み始めたのである!慌てて手を離した私は部屋の隅に走り込むと同時にメイドが私を庇うように前に出た。するとその瞬間、時計の針の動きが止まったのである……!

そして、驚いている私に向かって彼女は話しかけてきたのだ……。

「レイラ様、お知り合いに魔術を扱える方はいらっしゃいますか?」

(確か、ガーベラちゃんが専門分野じゃなかったかしら?)

「……います。」

そう答えると彼女は思案顔で「そうですか……やはり……」と呟いていた。

(もしかして、魔術を使わないとずっとお屋敷はこのまま?)と思った瞬間、私は恐怖のあまり逃げ出してしまったのだ!

「レイラ様!?」

というメイドの声を振り切るように走った私は急いで階段を駆け上がり、自分の部屋の扉を勢いよく閉めたのであった。

(一体何が起こってるの……?)と思いながらも、深呼吸をして心を落ち着かせた。

後にメイドも追いついたようで、2人で先程の出来事について話していた。

そして昼食時、ギルバード様とご一緒した時のこと。

「今日の夕方頃、ルシアン殿下がいらっしゃるようだね。」

と微笑みながら仰っていたので、私は頷きつつ「そうみたいですね、心強いですね……!」と答えた。するとギルバード様は微笑みながら私を見て言った。

「彼がいると安心だね。今日はどこかおかしなことはなかった?」

そう聞かれ、私はメイドとあの部屋に入り、そこで起こった出来事を全て話した。

するとギルバード様は悩んだ顔で、、私にこう仰ったのだ。

「呪いについては僕も気になっていたんだ……。でもまさか時計が関係しているとはね……。やはりレイラも危険な目にあっているようだし、メイドも1人しかいないとなると少し心細いな……。」

そう言って考え込むギルバード様を見ながら、私は言ったのだ。

「でも大丈夫です!解決してみせますから!」

と力強く答えたつもりだったのだが、何故かギルバード様は泣きそうになりながら、私の頭を撫でてくれたのである……。

その後食事をいただき終えた後、私はアフタヌーンティーセットを用意して庭で1人ティータイムを過ごしていた。

(さて、これからどうしようかな……)

と思いながら紅茶を口にしていると、メイドがたくさんの本を持って駆け寄ってきた。

「レイラお嬢様、この本は呪いに関する本です。屋敷内に置いてあったものを全てお持ちしました」と笑顔で手渡された本を見て、私は思わず驚いてしまった。

(まさかこんなにたくさん!?)と思いながらも、私はその1冊を手に取り読み始めた……。

するとそこに書かれていたのは驚くべき事実であった!

そして読み進めていく内に、時計が呪われているのではなく、時計の持ち主の魂が封じられているかもしれないという考察に私は至ったのだ!

「あの時計はこのお屋敷の先代の方が大切にされていたとお聞きしたわ。もしかしたら、彼は心残りがあって魂が封じ込められているのかもしれない!」

そう叫んだ私に、メイドも同調するように強く頷いた。

そして私たちは早速調査を始めることにしたのである……。

早速私はギルバードさんにお話をして、時計以外にも先代の方の身の回りのものを探して行った。

そしてついに見つけたのである! それは一通の手紙であった。そこにはこう書かれていた……。「娘と息子とメイド、そしてあの時計たちを残そうと思っている。時計を解くには、針を3時の方向に2回、10時の方向に3回。」と書かれている手紙を手渡すと、ギルバードさんは驚きながらも興味深そうに読んでいた。

(この方はきっと家族を守りたいと思っていたのね……)

そう思いつつも、私たちはそのメモを大切にとっておくことにした。

「それにしても、このメモの通り時計の針を回したらどうなるのか予想ができないな」

ギルバードさんは眉間に皺を寄せながら呟いた。

「確かにそうですね……でもきっと悪いことでは無いと思うんです!試してみる価値はありそうです」

私が言うと、ギルバードさんは微笑みながら「そうだね」と言ってくださったのだ。

そして夕方になり、ルシアンがやって来ると私たちから事情を聞いた彼は頷きながら言った。

「おおよその事情はわかった。夜にまたその時計の部屋に行くということで、皆ちゃんと休んでおいてほしい。」

ラルフとリリアナさんも長旅で疲れているのか、いつもより元気が無いように見えた。

それと、このお屋敷の独特の雰囲気で緊張しているということもあるのだろう。

私は少しでも皆の気が休まるように、あたたかいホットミルクを用意して配って行った。

(これでやっとお屋敷の謎が解けるのかしら…)

そんなことを考えながら見守っていると、あっという間に時刻は16時半になっていた。

各々部屋に戻ると、私は1人でベッドに横たわっていた。

私、何か忘れてる気がする……)

と少しモヤモヤしながら考えていたものの、特に何も思い出すことはなかったのでそのまま眠りについてしまったのだ……。


「レイラお嬢様、起きられますか?」

メイドに揺すられ私は目が覚めた。時刻は18時である。どうやら想像以上にぐっすり眠ってしまっていたようだ。

(いけないわ!)と思いながら急いで準備して皆がいるであろう食堂へと向かった。 するとそこには既にギルバード様やルシアンなどが集まっており、みんなわいわいと談笑を交えていた。

「レイラ、やっと目が覚めたか。」とルシアンに言われてしまったため私は慌てて謝った。

するとリリアナさんが優しく笑いながら言った。

「大丈夫よ、まだ時間もあるから安心してね」と言ってくれたので少し安心しつつ席についたのであった。

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