第3話

(はぁ.............)自室でため息をついていた私は、昨日の出来事を思い出していたのだが、未だに忘れられずにいた。

シャルロッテさんは、リリアナさんの妹さんだと言っていたけど、本当にそうなの?と疑問に思ってしまうほど驚きの出来事だったが、確かに姉妹そっくりな顔をしていたのである。

(それに、彼女もすごく美しかったわ)

私がそんなことを思っていると、突然部屋のドアがノックされた。(誰だろう.............?)と思いながら扉を開けると、そこにはガーベラちゃんの姿があったのだ。

私は驚きつつも、彼女を部屋に招き入れたのである。

そして、彼女が言ったのだ。「レイラさん............失礼だとは思いますが、聞きたいことがありますの」と言った後、彼女は真剣な表情になって言ったのである。「リリアナ・アルベール様のことについて、何かご存じではありませんか?」と聞かれた私は、一瞬言葉を失ってしまったが、すぐに平静を取り戻して答えた。

「いえ............何も知りませんよ」と答えると、彼女はホッとしたような表情を浮かべた後で、言った。「そうですか.............なら、彼女について今から詳しくお話します」と言った後で、続けたのだ。

そして、彼女が語り始めた内容は驚くべきものだった。

なんとリリアナさんは、ルシアンのことを愛しいと思っているようだ。

そして、王太子妃の座を密かに狙っているだとか..............。

その話を聞いた途端、私は頭が真っ白になってしまった。

リリアナさんは、ライバル(?)なのだろうか。

そう思っていると、ガーベラちゃんが再び口を開いた。「レイラさん、もう一つお聞きしてもよろしいですか?」と聞かれた私は、迷わず頷いた。すると、彼女は私に言ったのであるーー。

「貴女は、兄上のことを愛しておられますか?」

その問いかけに、私は答えることができなかった..............ただ、黙って俯くことしかできずに居たのだが、その様子を見たガーベラちゃんが、気遣うように言ったのだ。「そうですか.............まだ時間はたくさんありますし、ゆっくりで大丈夫ですからね。私にできることがあれば、なんでも仰ってください」と言うと、部屋を出て行ったのであった。

残された私は、まだ信じられずに呆然としていたのである。


そんなこんなで、また舞踏会の日がやって来た。

会場には、沢山の貴族達が集まっており、煌びやかなドレスや宝石を、身に着けている者ばかりだ。そんな中に、私は一人ぽつんと佇んでいたのだが、まだ慣れていない緊張のためか、無意識に体が震えてしまっていたのである。すると、そんな私を気遣ってくれたのかルシアンが声をかけてくれたのである。「レイラ、大丈夫ですよ!私が傍に居ますから安心してください」そう言って優しく微笑んでくれた彼の笑顔を見て、私は安心感を覚えたのだ。

すると、不思議と震えが止まった気がしたのだ。そして私達は舞踏会を行うパーティー会場の中へと入っていった。

様々な貴族の方と目まぐるしくお話を続けてほっと一息ついた時、リリアナさんがこちらにいらっしゃった。

彼女は、何かを決意したかのような表情で、私に話しかけてきたのである。「ねぇ、レイラさん............」「はい?なんでしょう?」(まさか!?また宣戦布告とかじゃないよね!?もう注目を浴びたくないわ)と思って身構えていると、彼女は予想外のことを言い出したのだ。

なんと彼女は私にだけに聞こえる声で、こう言ったのである。「私に協力してくれるかしら?」とーー。

私は、一瞬固まってしまったのだが、すぐに我に返った後で冷静さを取り戻そうと試みたのだが、上手くいかなかった.............。

なぜなら、この時の彼女の目は真剣そのもので有ったからだーー。

(.............どうしよう?)と心の中で思い悩んでいると、突然横から声をかけられたのである!その御相手は、シャルロッテさんだった!「お姉様............いい加減にしてくださいまし。」シャルロッテさんは微笑みながら言うと同時に、彼女を睨みつけていたのだ! それを見たリリアナさんは「ごめんなさい」と言って、目を伏せてしまった。その様子を見た私は、思わず呆気に取られてしまっていたのだが.............ハッと我に返ると、慌てて謝罪の言葉を口にしたのだ。

「申し訳ありません、そのお話はお受けできません」と言って深々と頭を下げると、彼女は首を横に振って言ったのだ。

「いいのよ、気にしないでちょうだい。.............私こそ、ごめんなさい」と言ってくれた後、彼女はそのまま立ち去ってしまったのだ。

その後は、特に何も起こらず舞踏会は無事に終了したのである。


後日シャルロッテさんから聞いた話では、リリアナさんはここ数日、塞ぎ込んでしまっているのだという...............。

私は心配になりつつも、声を掛けることができなかったのである。

(リリアナさん.............)心の中で彼女のことを心配していたのだが、結局彼女と直接言葉を交わす機会は、無くなってしまったのだ。

舞踏会の後も、私とルシアンは連絡を取り合い続けており、私は彼とデートを重ねていったのである。彼はいつも優しく接してくれており、そんな彼と一緒にいると心が安らぐような気がしていたのだ。

そんなある日のこと、突然彼から相談を受けたのである。「レイラ、実は折り入ってお願いがあります」と言われた私は、思わずどきどきしてしまったのだが、続く彼の言葉を聞いた瞬間、拍子抜けしてしまったのである。

(え!?それってどういうこと!?)と驚きながらも聞き返してしまったのだ!「それは、一体どういう意味なのでしょうか............?」

すると、彼は真剣な表情のまま答えたのだ。「リリアナさんとお話していただけませんか? 彼女の妹である、シャルロッテさんにい言われてしまって」と言われた私は、思考が停止してしまったかのような錯覚に、陥ってしまったのだ。

(え?今なんて言ったの?お話してほしい?聞き間違いじゃないよね............?)と思っていると、彼はさらに続けたのである。

「もちろん、今すぐにというわけではありませんし、お互いのことをもっと知ってからでもいいと思っています」

私は頭がパンクしてしまいそうになり、何も考えられなくなってしまったのだが、辛うじて返事をすることができたのである。「はい............わかりました」と返事をした後で、ハッと我に返った私は慌てて言ったのだ。

「あ、あのっ!お返事するのに少し考える時間を、頂いてもよろしいでしょうか?」と尋ねると、彼は笑顔で頷いてくれたので、ホッと胸を撫で下ろしたのであった。

後日、改めてルシアンとリリアナさんのことについて話をすることになり、その時に彼女から衝撃的な事実を聞かされることになるとはこの時の私は知る由もなかった。

(あれ?リリアナさんってルシアンのことが好きなんじゃ...........?)

と考えていた私だったが、今はとにかく自分の感情を整理したかったので、その日は早目に解散する事になったのだった。


次の日から、私はリリアナさんにどのように話を切り出すか考えながら過ごしていたのだが、なかなか良い方法が思い浮かばず、頭を抱えていたのだ...............しかし、いつまでもこのままではいられないと思い立ち、行動を起こす事にしたのである。

まずは、手紙で彼女に相談することから始めてみようと思ったのだ。

「リリアナさんへ」と書き出し、彼女に対する感謝の気持ちや、舞踏会での出来事について書き綴っていく中で、自分が抱いている想いについてもも包み隠さず書いたのである。

最後に「お会いして、お話ししたいことがあります」と一文を添えておいた。

手紙に封をすると、私は深呼吸をして覚悟を決めた後で王宮へと向かったのだ。

向かっている途中で偶然にもシャルロッテさんと出会い、部屋に招かれると、彼女は喜んで出迎えてくれたのである。

そして、私をソファーに座らせてくれた後で彼女も隣に腰掛けたのだ。

すると、私は緊張してしまい上手く話せなくなってしまったが、彼女が優しく微笑みながら話しかけてくれたおかげで、少しずつ冷静さを取り戻すことができたのであった。

(よしっ!)心の中で自分に気合を入れると、話し始めたのである。

「...............実は、ルシアン王太子殿下と私は、確定ではないのですが婚約関係にあります」

そう話したら、シャルロッテさんは驚きを隠せない様子で、手に持っていたティーカップを落としそうになっていた。

私は慌てて受け止めると、彼女にカップを手渡した後で、再び話を続けたのであった。「ルシアン王太子殿下から結婚を申し込まれたのですが、まだお互いのことをよく知らないため、返事を待ってもらっている状態なのです..............」

そこまで話したところで、シャルロッテさんは真剣な表情になり、私に向かって問いかけたのだ。

「つまりレイラさんは、ルシアン王太子殿下のことを想っていらっしゃるということですか?」と聞かれた私は、思わず頬を赤く染めてしまった。

そんな私を見た彼女は笑みを浮かべながら、さらに続けて聞いてきたのである。

「それでしたら、何故迷っておられるのですか?結婚すれば、幸せになれると思いますよ」

そう聞かれた私は、思わず黙り込んでしまったのだが、しばらくしてから小さな声で返事をしたのである。「私は.............ルシアン王太子殿下のことを愛しているのかと問われれば、正直なところ自信はありませんが.........」そう言うと、彼女は不思議そうに首を傾げた後で、尋ねてきた。「では何故迷ってらっしゃるのでしょうか」と聞かれた私は、正直に答えることにしたのである。

「実はですね.............リリアナさんのお気持ちを知ってしまったからなのです」そう話すと、彼女はハッとした表情を浮かべて、固まってしまったのである。

どうやら思い当たる節があるようだと思い至った私は、続けて問いかけることにした。「リリアナさんとルシアン王太子殿下は恋人同士なのでしょうか?」と聞くと彼女はしばらく考え込んだ後で、ゆっくりと迷いながら頷いた。

「リリアナお姉様の一方的な好意に近いですが」

(やっぱりそうだったんだ!)と思っていると、彼女は語り始めたのだ。

リリアナさんは、元々貴族の生まれではなく、孤児だったということらしい。

そんな彼女を引き取ったのが、アルベール公爵で、彼女が15歳の時から王太子妃教育を受けてきたというのだ!つまりルシアンと同い年なのだという.............

(それにしては若く見えるけど)と思いながら話を聞いていると、彼女はさらに驚くべきことを話してくれたのだ!

「隣国の王女様と婚約をするとお聞きして、お姉様もかなり辛い思いをされました。私自身、そこで諦めをつけて前に進んだもらいたいと思っていますが..............」

そこまで言った後で、彼女は俯いてしまったのである。

そして顔を上げると、私に向かって微笑みながらこう言ったのだ。「こちらのことはお任せ下さい、レイラ様はいつも通りお過ごしいただければ。姉に代わりまして、今回の件は本当に申し訳ございません」と言われた私は、大きく頷いた後に答えたのである。

「はい、もちろんです。どうぞよろしくお願いいたします」と答えた後、彼女の手を取るとお礼を言った後で、ルシアンともう一度会って話をしようと決意したのである。

それから数日後のこと、私とルシアンは再び王宮の庭園で落ち合って話し合った。

「リリアナさんが、私のことを好き............?」

そう聞いたルシアンは、困惑していた。

ああ、彼はきっと鈍感だから気づかなかったのだろう...............。

でも、私がしてあげられるのはここまでだ。

あとは自分で何とかお願いしよう。

そんな気持ちを胸に秘めつつ、私はルシアンに別れを告げて、帰ることにしたのだった。

舞踏会から数日経ったある日のこと、リリアナさんから手紙が届いたのである。内容は簡潔に纏めると「先日の手紙で伝えたいことがあるから、王宮の庭園で会いたい」というものだったので、私はすぐに向かうことにしたのである。

(何だろう?ちょっと緊張してきたな............)と思うと、深呼吸をしながら王宮の前までやってきた。

王宮に入ると、門番の人に招待状を見せると中に入れてくれた。そして、案内されるがままについていくと、庭園に到着したのである。

そこでは、既にリリアナさんが待っていたのだった。

彼女は、私に気がつくと笑みを浮かべて近づいてきたのだ。「こんにちはレイラさん」と言われた私は、頭を下げて挨拶をした後で彼女に向かって聞いたのだ。

「あの............私にお話があるとお聞きしましたが............?」すると、リリアナさんは真剣な表情になって、話し始めたのである。

その内容とは、驚くべきものだった!

なんとリリアナさんは、私がルシアンの婚約者であることを後から知ったというのだ!そしてその上で、宣戦布告をしてしまったというものだ。

彼女は申し訳なさそうに、謝罪を繰り返していた。

「本当に申し訳ございませんでした」

しかし、私にはリリアナさんの気持ちが痛いほど良く分かったのである。

私も同じ立場だったら、きっと同じことをしてしまったかもしれないと思ったのだ。だからこそ、私は彼女を咎めるようなことは、しなかったのである。その代わりに、私は自分の気持ちを伝えることにしたのだ。

「気にしないでください............というのも変な話ですが、私も同じ立場なら同じことをしたかもしれませんから」と言った後で苦笑したのだが、リリアナさんは、ホッとした表情を浮かべていたのだった。その様子を見ていた私も、ようやく落ち着きを取り戻すことができたような気がするのだった。

その後で、私達はお互いの気持ちを語り合った後で、笑い合ったのである。そして、改めて私達は友人になったのだった。

それからというもの、私とリリアナさんはよく一緒に遊ぶようになった。二人でお茶をしたり、ショッピングをしたり、といった他愛のない時間を、共に過ごすことが多くなったのである。

そんなある日のこと、ルシアンとリリアナさんが仲直りをしたという噂を聞きつけた私は、ホッとした気持ちになったと同時に嬉しく思ったのである..............。

リリアナさんが幸せになってくれることを、心から祈るばかりだ。

今回の件もあって、私は改めて結婚について考えていた。

果たしてルシアンのことが好きなのか、リリアナさんのことが引っかかっているだけなのか............未だに答えは出せずにいたのだが、それでも少しずつ前に進んでいこうという気持ちだけは、持っていたのである。

そして、遂に決意した私はルシアンと向き合うことにしたのだった!

「ルシアン」私は彼に話しかけた。

彼は、私の存在に気づくと微笑んでくれたのだ。そんな彼の笑顔を見る度に、胸が高鳴るのを感じるようになってきた私は意を決して言ったのである。

「........あなたに伝えたいことがあります.............実は、婚約について、私は前向きにか考えております」

(ああ、とうとう言ってしまった)そう思いながらも、後悔はなかった。後は彼の言葉を待つだけだったのだが、彼は黙ったままであった。気まずい沈黙が流れ始め、次第に不安になってきた私は俯いてしまったのだ。

そんな中で、ルシアンが口を開いたのである。

「僕もレイラに話したいことがあるんだ」

(何だろう.............?)と思いながら、顔を上げると彼は真剣な顔をしていた。

緊張しながら彼の言葉を待っていると、意外な言葉が返ってきたのだ!それは、驚きの内容だったのだ!何と彼は、私にプロポーズしてきたのである!!一瞬頭が真っ白になってしまった私は、しばらく呆然としていたものの、徐々に嬉しさが込み上げてきたかと思うと、涙が溢れ出てきたのだった。

(嬉しい............!本当に嬉しい.............!)

そう思いながらも、私は涙を堪えて笑顔で答えることができた。

「はい!喜んでお受けいたします!」と答えた後にそっと彼の手を取ると、彼は嬉しそうに微笑んでくれたのだ。

それから、私達は結婚式の準備に取り掛かることになったのである。リリアナさんも、招待して一緒にドレス選びなどをして盛り上がったのだが、ふとした瞬間にリリアナさんと視線が合うことが増えたような気がするのは、気のせいだろうか..............?そんなことを考えながらも、幸せな日々を過ごすことができるようになりそうだ、と思っていた。


しかし、そんなある日のこと、思わぬ事態に見舞われることになった。

「ルシアン様、これは一体どういうことですか...............?」リリアナさんが震える声でそう言うと、ルシアンは困った顔をしながら答えたのである。「これは...........その............!」

どうやら、何かトラブルが起きたようで、私達は急いで現場に向かうことにしたのである。

そして到着すると、そこには驚くべき光景が広がっていたのだ。

なんとパーティー会場には、丁寧に飾り付けが施されており、『Happybirthday』という文字が見えた。私も驚いてしまったものの、冷静に考えることにした。

しかし、地面を見ると大量のペンキが溢れて汚れてしまっている。

(え.............?どういうこと?)と思っているうちに、リリアナさんはため息をついた。

「使用人達が慌てた様子で呼ぶから、何事かと思えば............ルシアン様って、本当に不器用ね」

そう言いつつ苦笑いを浮かべていた。私は苦笑いしながら彼女を見つめていたのだが、ふと疑問に思ったことがあったので、尋ねてみることにしたのだ。「あの、これってもしかして、誕生日パーティーのご準備をされているのですか?」と尋ねると、彼女は微笑みながら答えてくれたのである。

「ええ、そうよ。レイラさんのお誕生日をお祝いするために企画したそうよ?でも.............本当にルシアン様は不器用ね...........」と言いながら、クスクス笑っていたのである。

私もつられて笑ってしまったが、やがて恥ずかしさが込み上げてきたせいか、顔が真っ赤になってしまった。

そんな私を、ルシアンが気遣うように声をかけてきたのだ。

「レイラ、大丈夫?顔が赤いよ?」

私は、慌てて首を横に振ると笑顔で答えたのである。

「はい!大丈夫です!」と答えた後に、深呼吸をして気持ちを落ち着かせることに成功した後で、リリアナさんの方を向くと、お礼を言ったのだ。

彼女は、ニッコリ微笑むとこう言ったのだった。「どういたしまして」と言った後、私の手を取るとそのままパーティー会場へと案内してくれたのである。

(あれ?ルシアンがいない..............?)

と思いながら辺りを見回すも、姿が見えないことに気付いた私は首を傾げたが、とりあえず席に座って待つことにしたのだ。

すると、しばらくしてからルシアンが花束を持って現れたのである。

そして、突然跪いてプロポーズしてきたのだ!私は驚きのあまり言葉を失ってしまったが、それでも必死に考えて答えを出したのである。

「ありがとうございます、喜んでお受けいたします」

と言った後に、彼の手を取ると微笑んだのだった。ルシアンは嬉しそうに笑ってくれたので私も嬉しくなった。その後は会場中から拍手喝采を浴びつつ無事に結婚式を行うことができた私達は、幸せな気持ちでいっぱいだった。

これからも、彼と二人仲良く過ごしていきたいと思っているのは、私だけではないはずだと信じている................。

ついに、この日がやってきた。私とルシアンの結婚式が、始まる日だ!この日をどれほど待ちわびていたことか。

朝早くから起こされたので少し眠かったものの、支度を終わらせると、ルシアンと共に馬車に乗り込んだ。目的地に着くまでの間、私たちは二人きりで話をすることにした。「いよいよね」と言うと、彼は微笑んでくれたのである............それだけで、幸せな気持ちになることができた。

しばらくしてから到着した場所は、貴族御用達の高級料理店であった。「レイラ様!ルシアン殿下!お待ちしておりました!」オーナーと思しき男性が出迎えてくれたことに驚いたが、それ以上に驚かされたのは、会場の豪華さだった。

まるで宮殿のような内装に圧倒されていると、ルシアンが話しかけてきたのだ。「さぁ、行こうか」そう言われて、私は彼の手を取ると店の中へと入っていったのである。

するとらそこには大勢の人々が待ち構えていたのだ!しかも、みんな笑顔で拍手をして出迎えてくれたので思わず泣きそうになってしまったのだが、何とか堪えることができたのである。

そして会場の中心には、純白のドレスに身を包んだレイラの姿があった。皆はそれを見て、その姿はまるで天使のように美しく思わず見惚れてしまったほどであった...............。


「レイラ、ルシアン、この度は結婚おめでとうございます」と声をかけてきたのは、王妃殿下であった。「ありがとうございます」と頭を下げるルシアンに微笑みかけながら、王妃殿下は仰ったのだ。

「これからは、レイラと共に夫婦として仲良く暮らしてくださいね」と言った後に、王妃殿下が手を差し伸べてきたので、私はその手を取ることにしたのだが、その瞬間に周りから大きな歓声が上がったのだった!

そして、どうやらこれから私たちの披露宴が始まるようだ.............

緊張しつつも、期待に胸を膨らませていると、テーブルの上に次々と料理が運ばれてくるのが、目に入った。どれも美味しそうなものばかりで、食欲を刺激するものばかりだった。

やがて挨拶が一通り終わると、今度はダンスの時間となった。

最初は緊張していたものの、段々と楽しくなってきた私は夢中になって踊っていたのだが、その時ルシアン様が私の手を取ったまま突然踊り出したのだ!突然のことで驚いたのだが、それでも何とかついていくことができたので、ホッとした。こうして無事に最後まで踊ることができた私とルシアンは微笑み合いつつ会場を後にしたのだった。

次の日からの生活は一変した..............私は今まで以上に幸せを感じることができるようになり、毎日が楽しくなっていったのである。そして、彼と過ごす日々の中で何度も思うことがあった。

ルシアンがそばにいてくれるだけで、幸せだと感じている自分がいることに、気付いていたからだ。

(ああ、何て幸せなの............!)そう思うと、胸が熱くなってくるのを感じた私は、思わず涙を零してしまった。

その様子を見たルシアンは、優しく抱きしめてくれたのだ。

その温もりに包まれながら、私はしばらくの間泣き続けたのであった..............。


やがて落ち着きを取り戻した私が顔を上げると、目の前には優しい表情を浮かべた彼の顔があった。

「ルシアン、ありがとう」と言って微笑みかけると、彼も微笑み返してくれた。

それから、私たちは互いに見つめ合った。その瞬間に、私は心の中で誓ったのである。

この人と、一生を共に歩んでいこうと。.............そしてこれからも、幸せな日々が続いていくことを願ったのである。

ある日の昼下がり、私は王宮の中を散歩していた。特に目的があるわけではなかったが、何となく気分転換をしたかったのだ。そんな時に、中庭で花を眺めているルシアンを見つけた私は、彼のそばまで行ってみることにしたのである。

「ルシアン、こんにちは」と声をかけると、彼は私の方を振り向いてくれたのだ。「あら、レイラではありませんか。今日は何か用事がおありですか?」という彼の問いに、私は首を横に振った後で、答えることにした。

「いえ、特に用事はないのですけれど、気分転換に散歩をしていたところなのです.............」そう答えながら、彼の隣に座ってみたものの、何を話せばいいのかわからないまま、黙り込んでしまった私であったが、そんな沈黙を破ったのは意外にもルシアンの方であった。

彼は、微笑みながら私に話しかけてきたのである。

「レイラは、普段はどんなことをして過ごしているんですか?」という問いに対して、私は「そうですね...........最近は、ルシアンと一緒に過ごすことが多くて、とても幸せです」と答えると、ルシアンは照れくさそうにしながらも嬉しそうに笑った。

「実は、僕もレイラと同じ気持ちなんですよ。あなたと出会ってから、毎日が楽しくて仕方がありません」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る