第2話
驚いてそちらに視線を向けると、なんとルシアンが立っていたのである!それを見た瞬間、私の心臓は跳ね上がった。
なぜなら、彼は今まで一度も私の部屋に来たことがなかったからだ!(どうしてここに来たの!?)と思っていると、彼は私の方へと近づいて来た。そして、私の手を取ると言ったのだ
「一緒にお茶でもいかがですか?」
(え、これは一体どういう状況!?)
混乱しつつもとりあえず頷くと、彼は嬉しそうな顔をして私の手を引いたのである。
そしてそのままカフェへと連れていかれてしまう...............というところで、ガーベラちゃんが「待ってください!兄上!」と叫んだ。
すると、彼は足を止めて振り返りながら言ったのだ。「どうかしましたか?」
すると、ガーベラちゃんはルシアンをキッと睨みつけると、口を開いた。「兄上はレイラ様に近づかないでください!」
しかし、ルシアンは涼しい顔で答えたのである。「どうしてですか?」
(え!?ちょっと待って!一体、何が起こっているの?もしかして、兄妹喧嘩?)と私が動揺していると、今度はガーベラちゃんが私の方を見た後で言った。「レイラ様、兄上が嫌になったら、いつでも私に言ってくださいね!」
(何言ってるの!?ちょっと不穏な空気に.............?)と思っているうちに、2人は言い合いを始めてしまった。(私どうしたらいいの!?誰か助けてよ〜!)と心の中で叫びつつも、結局どうすることも出来なかったのである。
それからカフェにやってきた私とルシアンは、向かい合って座っていた。(なんか緊張してきた..............)と思っていると、ルシアンはいきなりこんなことを言い出したのである。「ガーベラはああ言っていましたが、私はあなたを困らせたいわけではないのですよ」
「え?」
私は思わず聞き返してしまったのだが、ルシアンは優しい笑みを浮かべながら続けた。「ただ、あなたのことを知りたいだけです」
(知りたいって、どういう意味?)
そう思ったのだが、聞くことが出来なかったのである。すると、ルシアンは私の目を見ながら再び言ったのだ。
「私に教えてもらえませんか?あなたのことをもっと」
(私のことをもっと知りたいって............)
私はますます混乱してしまい、何も言えなくなってしまった。すると、ルシアンは私の手を握りながら更に続けたのである。「レイラ、あなたは私の妃になってくださるんですか?」
(いやいや、そんなの無理に決まってるでしょ!)
心の中でツッコミを入れていると、彼は寂しそうに笑った後で言った。「それとも他に好きな方がいるんですか?」
(えぇー!なんでそうなるの!?)と思いながらも口には出さなかったが、代わりに顔が真っ赤になってしまっていただろうことは間違いなかっただろう。
その後もルシアンは毎日のように私の元へやって来た。そして、何かと理由をつけてはプレゼントを渡そうとしてきたのである。正直言って困るので、やめて欲しいと思ったものの、彼には強く断ることが出来なかったのである。というのも、彼の目があまりにも真剣だったからだ。だから私は断れなくなってしまったのである。
(うぅ............どうしたらいいんだろう?)
そう思いながら日々を過ごしていたある日のこと、今日もルシアンがやってきていたのだが、その時ふと気になることがあったのだ。
それは、彼の表情がいつもより暗いように見えたことである。
彼はハッとしたような顔をした後で言った。「どうかしましたか?」
(いや、どうかしたのはそっちなんですけど!?)
と思いながらも、口には出さなかった。なぜなら
、私は自分の気持ちをはっきりと伝えることが、苦手だったからだ。だから、この時も私は何も言わなかったのである。すると、彼は私の手を取りながら言ったのだ。「あなたには私のことを知って欲しいのです。これからは、たくさん出かけましょう」
(えぇー!突然そう言われても!?)と思ったが、今度も口に出さなかった.............というより、出せなかったと言った方が、正しいかもしれない。なぜなら、彼の手が熱かったからだ。
もしかしたら熱でもあるのだろうかと思い、彼の顔を見ると、彼の顔も真っ赤に染まっていたのである。
(もしかして..........これって................)
そう思った瞬間、私は急に胸が締め付けられるような気持ちになった。そして、同時に彼に対しどドキドキしていたのである。それからしばらくの間、私たちは見つめ合っていたのだが、やがて彼が口を開いた。「レイラ、あなたは私のことをどう思っていますか?」
その問いかけに、私は黙って頷くことしかできなかったのである。
(あぁもう!恥ずかしくて死にそう!)
「わ、わからないわよ...............!」
思わずそう叫ぶと、彼はキョトンとした顔になった後で言った。「わからないとは、どういうことでしょうか?」
(そ、それは...........)私は言葉に詰まってしまったが、それでも必死に自分の気持ちを伝えようと努力したのだ。
そして、やっとのことで口にしたのは次のような言葉だったのである。
「私、あなたのことが好きなのかもしれないけど...........まだよくわからないのよ............」
するとルシアンは大きく目を見開きながら固まってしまったのである。(やっぱりダメだったかな?)と思っていると、彼はハッとしたような顔をしてから言った。「そうですか............」
悲しませてしまっただろうか。
咄嗟に謝ろうとすると、ルシアンはこの上ない太陽のような笑顔で言った。
「よかったです。これからレイラも一緒に知っていきましょう!」
そう言ってくれたことが嬉しくて、思わず涙が溢れてしまった。そして、それを見たルシアンは慌てた様子でハンカチを取り出すと涙を拭ってくれたのである。それから私たちはお互いに微笑み合いながら、幸せな時間を過ごしたのであった。
「あついー!!」私は暑すぎて叫んだ。
海に来たのはいいものの、汗だくだし喉はカラカラだし..........もう最悪である。そんな私の横では、同じ状況のはずなのに、何故か楽しげな笑顔を浮かべているルシアンがいた。彼はビーチパラソルの下で優雅にクリームメロンソーダなど嗜みながら微笑んでいたのである。「レイラは泳がないんですか?」と聞いてくるが、正直言って今は動きたくない気分であった。
するとルシアンは私の手を引きながら言ったのだ。「さあ行きましょう」
(えぇ..............)と思いつつも、私は立ち上がるしかなかったのである。
海の中は思ったより冷たくて気持ちよかったが、やはり体力的に限界があるようで、すぐに疲れてしまった。
(うぅ、もう疲れたよ。帰りたい...........)と言いながらも、ルシアンはまだ元気そうで楽しそうに泳ぎ回っている。そんな彼を見ていると、なんだか羨ましくなった私は思い切って海に潜ることにした。(よし!行くぞー!)そう思いながら、海の中へ潜っていくと、不思議なことに水の中でも呼吸ができることに気がついたのである。
「え!?」私は驚いて思わず声を出したが、その声は水中で響くことはなかったようだ。
そこで周りを見回すと、魚やイルカなど海の生き物たちが見えるようになったのである。
(うわぁ...........!すごい!)と思いながら、その光景に見とれた後、浜辺に上がった。
すると、突然ルシアンが私の元へ近づいてきた。そして私の体を包み込むように抱きしめてくれたのである。その途端、私は急に心臓が高鳴り始めたのだ。(あ、あれ?おかしいな.............なんでこんなにドキドキしてるんだろ?)
疑問に思っていると、ルシアンは私に優しくキスをした後で言った。「レイラ、愛しています」
その言葉を聞き終わった瞬間から、私の心は不思議と落ち着いていったのである。
そして、自分の想いを伝えようと必死になって言葉を紡いだ。
「ありがとう、まだ私の気持ちはわからないけど、素直に嬉しいわ」
すると彼は私の頭を優しく撫でてくれた。「今はそれでいいのですよ」
(本当にそうだろうか..............?)そう思いながら、彼の顔を見る。彼の顔は、とても穏やかで優しい表情をしていた。それを見ていたら、不思議と心が落ち着くような気がしてきたのである。
それから私たちは、浜辺でのんびり過ごした後、帰る支度をして帰路につくことになったのであった。
家に帰った後、私は自分の部屋に入るとベッドに倒れ込んだ。(今日は楽しかったなぁ...........)と思いながらも、今日一日の出来事を思い出していたその時である。不意にドアがノックされたのだ!
驚いて起き上がると、扉の向こう側からルシアンの声が聞こえてきた。
「レイラ?入ってもいいですか?」
(ど、どうしよう)私は迷ったのだが、結局開けることにした。すると、そこにはどこか困ったような表情を浮かべているルシアンが、立っていたのである。
「どうかしましたか?」私がそう聞くと彼は少し悩んだ後で口を開いた。「実は、相談したいことがあるのです.............」
どうやら深刻な悩みを抱えているらしいことが窺えたので、私は部屋に招き入れることにした。そして椅子に座ると、早速話を聞くことにする。
「それでどんな悩みなんですか?」私が尋ねると、彼は真剣な表情で話し始めた。「実は最近、舞踏会で悪い噂を聞いておりまして。............それで、ぜひレイラを連れて、調査に行こうと思っているのですが」
それを聞いて私は納得したのである。(なるほど)と思った直後のことだった............急に目眩がしてきたのだ。
それと同時に、意識が遠のいていくような感覚に襲われると、そのまま倒れ込んでしまったのである。薄れゆく意識の中で最後に見たものは、私の方を心配そうに見つめながら、手を差し伸べてくれているルシアンの姿だった.............。
目が覚めると、私はベッドの上に寝かされていたようだ。
上体を起こしてみると、そこにはルシアンがいた。彼は私が目を覚ましたことに気づくと、嬉しそうな顔をして駆け寄ってきたのである。「レイラ!目が覚めましたか?」
その声を聞いているうちに、だんだんと記憶が蘇ってくるのを感じた。(そうだ............あの時急に意識が遠のいて倒れたんだった...........。)と思いながらも、彼にお礼を言ったのである。「ありがとうございます」
すると、彼は微笑みながら首を横に振った後で言ったのだ。「いえいえ、当然のことをしたまでですよ」
(あ、あれ?なんだろうこれ、胸がドキドキする.............?)私は困惑しながらも、彼を見つめていることしかできなかったのである。
すると突然、ルシアンが私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「えへへ」と思わず笑ってしまう私を見ながら、彼は優しい笑みを浮かべていた。
それから私たちはしばらくの間、他愛もない会話をしていたのだが、急にルシアンが真剣な顔になったかと思うと、真面目な声で言った。
「病み上がりで申し訳ないのですが、舞踏会の件考えておいてください」
そう言われて、私は舞踏会のことを思い出してしまったのだが、正直あまり気乗りはしなかったのである。だが、断る理由も見つからなかったため承諾することにした。(まあ.............なんとかなるよね!)そう思いながら、私は覚悟を決めることにしたのである。
次の日から私たちの舞踏会への準備が始まったのだが、思ったよりも簡単に事は進んでいった。というのも、ルシアンが事前に情報を得ていたこともあって、スムーズに進むことができたのだ。(さすがだなぁ............)と思っていると不意にルシアンが言った。「レイラ、今回舞踏会に着ていくこのドレスについては、どう思いますか?」
そう言いながらルシアンの手にもっていたのは、白色の美しいドレスであった。
それに、とても上品で綺麗なデザインである。「素敵だと思います、私に似合うかわかりませんが...........」と、素直に思ったことを口に出した。
すると、彼は嬉しそうに笑った後で言った。「そうですか、それは良かったです!あなたに似合うデザインですよ。それでは早速仕立てに行ってきますね!」と言って、部屋を出て行ってしまったのだ...............。
一人残された私は呆然としていたが、慌てて彼の姿を追いかけた。そして、玄関で彼を引き止めると「私も一緒に行きます!」と言った。すると、ルシアンは笑顔で頷いてくれたので、二人で仕立て屋に向かったのである。
「レイラ、大丈夫ですか?」
ルシアンが心配そうな顔で尋ねてきた。私は大丈夫だと答えると再び歩き始めたのだが............結局、その日はお店に着くことはできたのだが、かなりの距離にあるところであった。
というのも、途中で迷子になったりして、ようやく目的地に着いた時には、夕方になっていたからだ。私たちは疲れ果てていたけれど、それでもいずれ完成するであろうドレスを見ると思うと、嬉しくて仕方がなかったのである。
「ルシアンのお陰で、素敵なドレスを着ることができる!ありがとう!」
そう言いながら彼に笑いかけると、彼もまた笑顔を返してくれた。
「はい!楽しみにしていてくださいね!」ルシアンはそう言って、私の手を取るとお店の中に入った。そこでは、既に店員さんたちが出迎えてくれており、私たちは早速ドレスのデザインについて話し合うことになったのである。
そして、試着することにもなったのだが............問題はそこからだった。なんとこのドレスはサイズを測っていないものだったのだ!
(えぇ.............!?)驚いて固まっていると店員の、お姉さんが優しく微笑みながら言った。
(そ、そういう問題なの!?)と内心ツッコミつつも、大人しく従うことにする。まずは、サイズを測ることになって恥ずかしくなってしまったが、我慢して耐え抜いたのである。そして、ようやく解放されたと思った私は、安堵のため息をついたのである。
しかし、これで終わりではなかった!なんと次は、ドレスのデザインに関する話が始まったのだ! まず最初に、ルシアンが店員さんたちに指示をした。「レイラさんのイメージに合った、デザインや生地をお願いします。図案はこちらです」
と言うと、店員さんたちは一斉に動き始めた。それからしばらくして、決まったデザインはというと、私好みのデザインでとても素敵なものだった。(わぁ..............すごい!あの短時間でこんなにも綺麗なドレスの予想図ができるんだ!)と感動していると、ルシアンが私の方を見ながら、微笑んだ。「気に入ってもらえましたか?」
私は満面の笑みで答えると、大きく頷きながら答えた。「はい!もちろんです!」すると、彼はさらに嬉しそうな顔になった後で言ったのである。「良かったです!では、早速取り掛かりますね」
それから数週間後、ついに完成したドレスを受け取った私たちは、家に帰ることになった。
(なにこれ.............!すごく豪華だ!)馬車から降りた瞬間、目の前に広がる光景に圧倒されてしまった私だったが、気を取り直して会場へ向かうことにした。(よし!行くぞ!)心の中で気合いを入れると早速中に入って行く。(こんなにも大規模なぱパーティーだったの..............!?)会場に入った途端、感嘆の声を漏らしてしまった。
煌びやかなシャンデリアや、壁一面に広がる絵画の数々に、目を奪われてしまったのである。
しばらく会場を散策していると、ルシアンの姿を見つけたので挨拶をしに行ったのだが、彼は私を見ると「ああ、レイラ!とても綺麗ですね!」と褒めてくれたのだった。私は嬉しさのあまり顔を赤くしながらもお礼を言ったのである。「ありがとうございます」
その後も、しばらく彼と話を続けた後で、他の参加者とも交流をすることに決めた。
ルシアンは、他の貴族たちと話すことに集中しているが、あれは情報収集のためだろう。
私も頑張らないと!と思って必死に話しかけていたのだが、途中から頭がボーッとしてきてしまったのだ。
そして気がつくと、意識が遠のいていき倒れそうになったところを、ルシアンが支えてくれたのである。「レイラ!」私は慌てて、彼に謝ったのである。
「ごめんなさい」と言うと、ルシアンは心配そうな顔になって、私の顔を覗き込んできた。「体調が悪いのですか?それならば、休んでいた方がいいかもしれませんね」そう言って優しく抱きしめてくれたので、私はそのまま身を任せることにした。
すると、なんだか安心して眠たくなってきたのだが、まだ休むわけにはいかないと思い直すと、背筋を伸ばしてもう一度会場内を歩き回ることにした。
そして、華やかなご令嬢達の輪に入っていった。
彼女たちの、美しいドレスやヘアスタイルに目を奪われながら、私も負けていられないと思い、必死になって自分を磨くことにしたのである。(よし!頑張ろう!!)と気合を入れ直したその時である.................不意に後ろから、声をかけられた。
「あら?あなたは............」振り返るとそこにいたのは美しい赤髪を持った見知らぬご令嬢がいらっしゃった。
彼女は、私の顔を見るなり笑みを浮かべた後で、言ったのだ。「先程、ルシアン王太子殿下とご一緒していたお方ですわよね?」そう言いながらも、彼女の表情はどこか余裕に満ちており、自信満々の様子であった。
(一体どなたなんだろう............?)と疑問に思っていると、彼女は続けて言った。「私はリリアナ・アルベールと申します。以後、お見知りおきを」
そしてお辞儀をしてきたのだが、その所作はとても綺麗で上品であった。
すると、彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべながら言ったのである。「ところで、あなたはどのような方なのか、お聞きしてもよろしいですか?」私は、素直に答えることにしたのだ。(ルシアンの知り合いみたいだし、変な事は言えないよね)と思いながらら自己紹介したのである。
私の名前は、レイラ・シャルロットという事や、趣味について話しているうちに、リリアナさんとは仲良くなれそうな気がした。
その後も、しばらく話をしていたのだが、ふと会話が途切れると、リリアナさんが真剣な表情になって話しかけてきた。「ところでレイラさん、貴女はルシアン王太子殿下のことを、どう思われていますか?」と聞かれた私は、少し考えてから答えたのである。
「そうですね............とても素敵な方だと思います」と答えると、リリアナさんは納得した様子で頷いていたのだが、その後で意外なことを言い出したのであった!
なんと彼女は、私に宣戦布告してきたのである!これには私も驚いたが、それ以上に周囲の人たちが驚いていた様子だった。
「ルシアン王太子殿下の隣に立つにふさわしいのは、この私ですわ!」と言って、彼女は去っていったのだが、私はしばらくその場から動けなかったのである。
(はぁ.............)ため息をつきながら、家に帰るとルシアンが出迎えてくれたのだが、私の顔を見ると心配そうに声をかけてくれたのである。「レイラ、大丈夫ですか?顔色が悪いようですが............」と、心配そうな顔で見つめる彼に対して、私は苦笑いを浮かべてしまった。すると、ルシアンは私の手を取ると言ったのだ。「何があったのか話していただけますか?」と言われた私は、渋々ではあるが先程のリリアナさんとのやり取りについて、話したのである。すると、ルシアンは考え込むような仕草をした後に言ったのである。「なるほど...........そういうことでしたか」
私はルシアンに「すみません..........」と謝ると頭を下げた。すると、彼は微笑みながら言ったのだ。「いえ、レイラが謝ることはありませんよ」と言った後、さらに続けたのである。「彼女が言っていることは、気にしないでください」と言って苦笑した後で続けたのだ。「私も、あまり人の事を言える立場ではありませんから.............」そう言って苦笑する彼を見て、私は思わずドキッとしたのだが、すぐに思い直したのだった。
そうだ。彼にとって、私は婚約者だという思いがあると、考えたからである。
私は、ルシアンに微笑みかけると「お互い頑張りましょう!」と言って、握手を交わしたのだった。それからしばらくは、穏やかな日々が続いたのであった...........。
とある日、ガーベラちゃんに誘われて、一緒に街へとお出かけすることになった。目的地は、お洒落なカフェであり、そこで新作のケーキを食べるのだという。(楽しみ!)と思いながら、彼女の隣を歩いていると、突然声をかけられたのである。
振り返るとそこに立っていたのは、一人の美しい女性であった。彼女は、私を見つめながら微笑んでいるではないか!一体誰なのかと思っていると、ガーベラちゃんが紹介してくれたのだ。「こちらはリヌーイ・アルベール伯爵令嬢です」
その名前を聞いた瞬間、私は驚いてしまったがすぐに平静を取り戻して挨拶をしたのだが、その間ずっと彼女から視線を外さなかったのである
というのも、その名前はどこかで聞いたことがある名前だったからである。
(アルベール..............誰かいらっしゃったわよね)
そう考えていたら、ふと私は思い出した。
先日の舞踏会で宣戦布告をしてきたご令嬢のお名前は、確かリリアナ・アルベールだった気がする。
(まさか..............)と思いながら彼女の顔を見ると、やはりリリアナさんに雰囲気が似ていたのだった!
「もしかして、リリアナさんの妹さんかしら?」
私がそう言うと、シャルロッテさんはうんうんと頷き笑った。
「初めまして、私はシャルロッテ・アルベール。リリアナお姉様の妹ですわ」
それを聞いた瞬間、私は彼女が言いたいことを全て察したような気がしたのである。
彼女は間接的に私に宣戦布告しに来たのだろうか?(だとしたらまずいわ...............!どうしよう!?)と思いながら、助けを求めるようにガーベラちゃんの方を見ると、彼女もまた微笑みを浮かべていたのだが、やがて言った。「もしよろしければ、ご一緒しませんこと?」
そして、シャルロッテさんに向かって微笑むと続けた。「是非お話を伺いたいと思っていたところですの」
それを聞いたシャルロッテさんは、嬉しそうな表情を浮かべると、ガーベラちゃんに言ったのである。「ありがとう!じゃあ、行きましょう!」
こうして私たちは三人でカフェへと向かうことになったのだった............。
(謎展開すぎるわ!?)
お店の中に入った瞬間、思わず感嘆の声を上げてしまった私は周りを見回していた。(わぁ............!可愛い)と心の中で呟きつつも、メニュー表を眺めることにした。すると、シャルロッテさんが話しかけてきたのである。「レイラさんはどれを召し上がるのかしら?」私は、笑顔で答えることにしたのだ。「実はまだ決まっていないんです」と言うと、彼女は微笑み返してくれたのである。
何度も悩みながらも、私は注文するものを決めたのであった。
注文した後にしばらく待つことになったのだが、その間も楽しく会話をすることができた。(楽しいなぁ)と思いながら笑顔で話していると、あっという間に時間が過ぎていったのである。
そして、いよいよ運ばれてきたケーキを口に入れたその瞬間である。
あまりの美味しさに言葉を失ってしまったのだ!
(美味しい!!)感動しているとガーベラちゃんが嬉しそうに微笑んでいた。「気に入っていただけたようで嬉しいですわ」と言われた私は、何度も頷いていたのであった。
三人で紅茶を飲んでいたのだが、シャルロッテさんが積極的に話題を振ってくれていたおかげで、とても楽しい時間を過ごすことができたのである。
そして、シャルロッテさんが私の方を改めて向いて、突然頭を下げた。
私とガーベラちゃんは驚き、シャルロッテさんに頭を上げるように言うと、彼女は私の目を見てはなしだした。
「リリアナお姉様が、失礼を致しました。 先日の舞踏会の件についてお話は伺っておりました。それを聞いて私は、レイラさんに変わりに謝罪を申し上げようと思い、声をかけさせていただいたのです。」
シャルロッテさんの話を聞いた私は、少し考えてから答えた。「いえ、別に気にしていませんわ。それに...........」そう言って言葉を区切ると、続けたのである。「私も自分の力でなんとかしたいと思っておりますし」そう伝えると、シャルロッテさんは少し驚いたような表情を浮かべた後で、言ったのだ。
「そうなのですか?それは頼もしいですわ!是非頑張ってくださいね」
そして、彼女は微笑みながら私を激励してくれたのだった。
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