27.歴史とは偉大なるマンネリ
今回は創作論というか、ファンタジーとか歴史物を書くために必要な「歴史の連続性」というものを解説しましょう。
「歴史は何度でも繰り返す」という言葉は誰もが知っているでしょう。これの出典はイマイチ私も知りませんが、かつて私に世界史を教えていた先生はよく「歴史とは偉大なるマンネリ」といっていました。
つまりは「二度あることは三度ある」というだけですが。
歴史が繰り返されるという事例、少し挙げていきましょうか。歴史を学ぶ意味とは何か、考えさせられることかもしれませんね。
では古代ギリシャと日本の少しセンシティブなお話をしましょうか。
古代ギリシャ、アテネでは民主政治が行われていたことはご存知でしょうか?時折違法な手段で統治を行った僭主と呼ばれる存在が出るほど、アテネでは市民権を持った人間が政治に積極的に参加していました。そのため、市民の主張が反映されやすい統治だったようです。
この時の政治を後の人間がどう評価しているかご存知でしょうか?
愚集政治です。
皆さんの古代ギリシャのイメージといえば、人間臭い神様達の神話に発達した様々な科学や数学の技術でしょう。しかし、民主政治が行われていたこの形態を後の人はこう呼んでいたのです。
というのも、市民は政治に参加できましたが政治に対する理解というものが少々浅かったようです。当時この政治形態だった頃、アテネはスパルタとの戦争を起こしていたそうなのです。
これは一例ですが、その戦争で戦果を上げた軍の将軍を当時の民衆は「大勢の兵士を死なせた愚かな将軍」として裁判にかけて処刑したそうです。優秀な人間の成果ではなく、失敗で民衆は判断したのですね。
これが原因でアテネは優秀な人材をどんどん失っていきます。そのせいでその後も続いたスパルタとの戦争で敗北します。だって優秀な将軍殺したから。
その結果、アテネはスパルタとの殴り合いで黒星を上げる数が増えてしまったというわけです。
こんな政治、覚えがありませんか?具体的には大体80年以上前に。
そう、太平洋戦争です。
皆さんはこの戦争についてどう教わりました?ドイツがポーランドに侵攻したから?確かにそうです。
しかし、これに日本が追随してしまったのは、日本の軍部の暴走ではありません。
新聞社が煽動したのです。新聞という当時の影響力の大きい媒体が、民衆に戦争への影響を与えたのです。ここら辺、ちょっと話が複雑になるのでここではあまり語り尽くせませんが、メディアの与えた影響が大きかったこと、開戦当時は民衆も戦争に肯定的あるいは否定的ではなかったことは理解できるでしょう。
誰だって自分の国が戦争で負けるなんて想像したくないじゃないですか。
現在某国が戦闘状態なため少しセンシティブなお話ですが、自国の歴史を知るということは大切なことです。私の曽祖父だって出兵したのですから、あまり遠い話ではありません。
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