24.性癖の話をしよう

 いつぞやの「フェチズム」みたいな話ですが、ここで語るのはシンプルな私の好みなので「こいつこんな性癖やったんか」みたいな話で大丈夫です。

 まず以前「神話は性癖が強い」的な話をしたと思います(フェチ知りたきゃインド行けと言った気がする)。なので、私自身が「好きだなぁ〜」と思った話をしようと思います。


 まずは「確固たる意志を持って愛する夫と死に別れる覚悟をする女性」です。正直好きです。

 これは古事記に記述があり、狭穂美媛さほびひめのお話は知っている方は知っているでしょう。私が好きな概念です。

 彼女は(前提は色々と吹っ飛ばしますが)兄と夫が対立してしまい、兄の側に着いてしまいます。ですが夫を愛しており、色々と葛藤していました。

 しかし兄と共に劣勢へと追い込まれ、いよいよ籠っている屋敷に火が放たれようとしています。そこで狭穂美媛さほびひめは最後の挨拶と共に我が子を夫の軍に預けることにします。

 ここで夫は何がなんでも妻に生きて欲しいので、子供を受け取ったら媛の髪や服を掴んでも構わないから彼女を引き摺り出すのだと命令しました。

 ですが彼女もそれはわかっていて、最後に門から顔を出して兵士に子供を預けると急いで顔を引っ込めようとします。兵士たちは案の定髪や服を掴みますが、それらが全て裂けてボロボロになり、彼女を引き摺り出すことができませんでした。

 彼女、実は前日に髪を切り落とし髷のようにして頭に乗せ、服は酒に浸けてボロボロにしていたのです。

 そうして彼女は「旦波比古多多須美知能宇斯王読めなくて大丈夫に兄比売と弟比売という姉妹がいます。彼女らは忠誠な民です。故に二人をお召しになるのがよいでしょう」と残し、兄に殉じてしまいました。


 ……正直大好きな概念です。某漫画の主人公の言っていた「覚悟とは暗闇の荒野に進むべき道を切り開くこと」ではありませんが、古事記はなかなか『覚悟』キマってる人が多いです。ここに挙げた狭穂美媛然り、まだ5歳程度の子供まで覚悟キメて養父を殺したりします。

 割と日本人卑怯な手段とか成功したら容認されるんですよね。インド見てみなさい、夜襲して3000年孤独に放浪させられるバラモンいますよほら。

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