12.同人誌みたいな逸話ってあるんだよ【2】
前回は「ゼウスはスーパー攻め様」のお話だったので今回もギリシャ神話から関連した同人誌のような話をしましょう。
〈アキレウスは少年時代女装をしていた超絶美少年〉
今回もなかなかクセが強いですが、公式です。詩人ホメロスが書いた世界三代叙事詩の一つ、「イリアス」から。
大体のあらすじとしては、アカイアとトロイアのギリシャ屈指の大規模戦争です。この戦争が終結した後のとある英雄のスピンオフが「オデユッセイア」になりますがこれは割愛。
アキレウスはアキレス腱の語源にもなったほどの俊足の持ち主で、これは母テティスが死を予言されたアキレウスに生きてほしい一心で冥府の川テュクスに漬けた時に、アキレウスを持っていた踵が弱点だったことが由来してます。
ここでも書いた通り、アキレウスは生まれた瞬間から「英雄となれば戦争で死ぬ(ダイジェスト)」と予言されていました。母は我が子が死ぬ未来を恐れ、あらゆる手段を講じて息子を死から遠ざけようとします。不死身の体から最強の盾と鎧、その他諸々……
最も簡単な対策として「我が子を戦場から遠ざける」というものがありました。これを思いついたテティスは、息子を女装させてスキューロス島の後宮に入れました。(この時しれっとアキレウスは後宮の女の子との間に子供作ってます)
息子を娘と偽るのはかなりの力技ですが、これが通用してしまうほどの美少年であったという証拠でもあります。
実際アキレウスを探しにきたオデュッセウスが、女装したアキレウスを見分けることができずに別の方法で炙り出すほどです。(変装したアキレウスを誘き出すために行商として潜入。後宮の娘たちの中で唯一持ち込んだ短剣に反応したアキレウスを発見し、スカウトしてます。)
でもアキレウスは女装癖に目覚めることはなかったんだよなぁ……(戦争でそれどころではなかったかも知れない。でも短剣に反応するあたり心もちゃんと男の子だったかも知れない。)
この話だけで男の娘と女の子の恋愛模様まで完成するあたり、古代ギリシャ人から大概性癖は変わんねえなとしか言いようがないですが、歴史とは偉大なるマンネリなのです。
次回からは日本やインドなどからちょっと面白い逸話を持ってきましょう。興味の間口は広ければ広いほど楽しいですからね。
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