29.童話と伝承の違い

 ここでたまには創作に役立ちそうな豆知識的な、そして今更すぎる解説をやって行こうと思います。

 これはタイトルを見てもらえれば今回のテーマがわかると思うのですが、「童話」と「伝承」がどう違うのかというお話です。民俗学にも関わってくるので、面白半分に読んでいってください。


 「童話」「伝承」この違いが何かと問われると、「起承転結の筋が通っているか否か」です。

 「童話」というものは記録としてしっかりと残すために、あるいは娯楽的側面を持たせるために話の筋が最初から最後まで通っています。

 以前も取り上げた赤ずきんで解説すると

起:赤ずきんが母親に言われて祖母の見舞いに行く

承:狼の甘言に乗って母との約束を破る

転:祖母の家に着いたら狼に食べられる

結:通りかかった猟師に助けてもらい、ハッピーエンド

 こんな形で起承転結がしっかりしています。かなり話の筋が通っていて、寝物語にも使えるため口伝でも残りやすいです。


 「伝承」は一方どうかと問われたら、この筋が通っていないものが多いのです。これは大昔に起きた事件などをただそのまま伝えただけのことがあるためです。

 これはいつの間にか忘れ去られるものが多いので、誰かが記録しないと消えてしまいます。というよりも、話の筋があまりにも通ってなさすぎて忘れ去られることの方が多いです。

 これに関しては柳田國男先生が遠野物語の編纂をしていた同じ時期に世界でも伝承を編纂する動きがあったため、現在でも保存されている伝承が残っています。探してみるのも面白いでしょう。私の個人的なおすすめは「メボウキの株」です。物語として話の筋は通っていますけど、話に脈絡が無さすぎて好きです。

 皆さんもぜひさまざまな文献に手を出してみてください。できればメボウキの株並に面白い文献あったら教えてください。

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自分のための創作論 佐藤吟 @satouginn

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