最後まで読み終え、あまりの楽しさに頬が緩みました。
見事な叙述トリックで、ミステリー好きとしてもホラー好きとしても猛烈に楽しめる一作でした。
そして、叙述トリックと言えば、ミステリー好きの中では常識となっている「ある弱点」が存在します。
それは、「叙述トリックが使われていると知られること」です。
これがわかってしまうと「騙される楽しみ」が半減してしまい、そのために叙述トリックは具体的にどの作品で使われているか、などを紹介しづらいというジレンマがあります。
ですが、この作品ではあらかじめ叙述トリックの存在を示しつつも、見事にその弱点を克服しているのです。
「ああ、なるほどなあ!」と、読後は何度も頷かされました。
叙述トリックの弱点は、「この方法」を使えば一気にに緩和できる。むしろ、ブービートラップで安心させた後に本命を食らわせるがごとくの強烈さを醸し出せると、しみじみ感嘆させられました。
本当に勉強になって満足すると共に、「シリーズもの」としての面白さまで高めてくれるころが素晴らしかったです。
とても充実した読書体験でした。