26.印刷と読み方【2】

 今回は前回と少し繋がったお話をしていきます。前回は「印刷」に目を向けてお話ししましたが、今回は「読み方」についてお話ししていこうと思います。

 「読み方って何?本を読むのに読み方もクソもあるかい」と思うかもしれませんが、意外と大切だったりするのでお話ししていこうと思います。


 実は近代まで読書方法は「音読」が主流でした。そう、みなさん小学生の時にやらされた音読です。これは前回お話ししたルネサンスの時代でも変わりません。

 古代ギリシャの時代から音読は主流だったそうですが、今回は少し角度を変えてみてみましょう。


 少し印刷に話を戻しましょう。昔、本はとても高価なものでした。どれだけの富豪であろうとせいぜい生涯で買えるのは1冊程度、10冊もあればもう想像もつかないほどの大金持ちです。

 まず印刷をするのですが、小さな冊子をいくつも並べて連続して読めるものにし、それを製本にまで持っていくという気が遠くなる作業が入ってくるのです。(詳しくは海外のそういう工房が製本過程をyoutubeにアップしてます。調べてみてください)

 現代でもそうした製本過程を踏んだ本はお高いですし、現代の製本技術がいかに高度かつ安価で大量生産が可能なのかが伺えるでしょう。


 こうした背景もあり、本は貴重でしかも読める人間が限られていました。その結果、識字率は製本や印刷の技術の向上が見込めなければ上がらないのです。そのため「音読」によって「読める人」が「読めない人」と一緒に本を読む必要があったのです。

 「黙読」がメジャーになったのはかなり近代だと言われています。それは識字率の影響が強いでしょう。だってわざわざ誰かが読み上げる必要がなくなったのですから。

 親御さんがお子さんに寝る前に本を読み聞かせるというのは、お子さんが文字を習得するのにも役立ちます。「読み」「聞かせる」のですから。


 一方相変わらず色々と当時からおかしかった我が国は、庶民が文学を楽しんでおりました。知る人ぞ知る名作「南総里見八犬伝」は庶民の下地がなければ誕生すら難しかったでしょう。

 「南総里見八犬伝」が書かれた江戸時代、以前もお話ししましたが都市部での識字率は100%でした。このお話し、結構女性人気が高いのもあり、男女関係なく読み書きができたことが伺えるかもしれません。

 ではヨーロッパはというと、庶民の識字率は低いものでした。フランス革命の時代でも庶民で文字を読めたのはごく少数です。そのために、童話など口伝で語り継がれるものはありましたが、日本のように大衆文学が流行することは少なかったのです。


 「日本でも地方は識字率低かったんじゃないの?」多分都市部よりは下がりますが、村で一定の地位がある人間あるいは働く世代はあったのではないかと思います。

 理由は簡単。出稼ぎです。割と近代まで冬の農閑期は仕事がないため都会に出てきて出稼ぎをするというのは当たり前でした。私の祖父も出稼ぎをしていたようで、帰りに神保町で古本を買い漁ってお土産にしていたそうです。

 そんなこともあり、出稼ぎするにしてもある程度文字が読めなければ意味はありません。そのため、村でも簡単な読み書きはできたのではないでしょうか。


 さて、ここまで色々書いたはいいものの、ここから先をどう書こうか悩んでます。歴史のことを書き連ねたらそれは創作論ではなくなってしまうので。

 うーん、もう少し考えてみましょうか。

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