2.必要なのは、教養
さて、前回「小説を書くということは、文化を知ること」と偉そうに語ってました。これも私の一意見ですので「偉そうなこと言ってるな」で流してください。
Q.「文化を知ること」ってなーに?
A. 教養に決まってんだろ
今回も思想強めに行きます。いや、多分今回の話は首を縦に頷く方結構いると思いますが。
では「教養」とは何か。
・教え育てること。
・社会人として必要な文化的な知識。また、それによって養われた品位。
どんなツールを使って調べても大体こんな感じです。
ではここに出てきた「品位」とは何か。
・見る人が自然に尊敬したくなるような気高さ、厳かさ。
これも大体こんな感じです。
これはざっくり言葉の意味を調べたら出てくることですが、「じゃあ一般常識があれば小説書けるじゃん」とはなりません。私からすればその「一般常識」程度では小説の中身スカスカです。
常識というのは変化します。日本でもかつて存在した身分制の中の常識なら、「家業を継ぐのが常識」になります。でも現代では必ずそうとはなりませんよね?
世間には一般「常識」があるように、どんな業界にも「常識」があります。
例えば会社に勤めるサラリーマンと家で活動する自営業者は仕事の常識が違います。仕事の失敗はサラリーマンなら会社が解決しますが、自営業者は自分で失敗をカバーしなければなりません。これだけでも「常識」が違いますね。
ではこれを小説に落とし込んでみましょう。
小説を書くのは一般企業に勤める20代サラリーマン。順風満帆に新卒で第一希望の企業に就職できた人としましょう(こんな奴が小説書くのかってツッコミは今は無しで)
このサラリーマンがイラストレーターを主人公にした小説を書き始めました。
・イラストレーターが必要な道具、全部調べてます。
・主人公がどんなキャラクターか、全部できてます。
・主人公は誰の手も借りずに一人で活動する孤高の存在です。
・物語の展開、プロット全部できてます。
では書いていきましょう。物語には起承転結が必要です。これもプロットの中にあるので全然大丈夫です。
さあ!主人公がスランプに陥り、依頼を完遂できませんでした!仕事失敗です。そこで仕事で発生した保障をどうにかしなければ!おっと!主人公がスランプ解決して新しい仕事をこなしました!
待ってください。保障をどうにかすると言っていたのに、保障の話ありませんよね?え、誰かが解決してくれた?主人公は孤高って書いてたじゃん!作者がサラリーマンだったから知らない?そんなの知らないよ!読者から総ツッコミ入りますね。作者のサーチ不足です。
これは現実に即した例です。じゃあ次、よくある中世貴族に転生したお話にしましょう。
・専門知識が無いからファンタジーで経験値不足を隠す!
大変結構。知識不足を工夫で補うのは様々な業界で推奨されます。全然構いません。
・貴族の暮らしとか歴史苦手だからオリジナル貴族文化を書いちゃう!
どうぞどうぞ。現実でも国によって文化は違いますから、そこで独自性は生まれるでしょう。
・貴族の階級とか、全部わからないから序列ぐちゃぐちゃ!マナーもテキトー!
おそらくこれで一定層の読者が離れます。めちゃめちゃツッコミが入ってしまうでしょう。
貴族という身分の中でも階級はもちろん存在しますし、その慣例というものが必ずあるからです。読者の方々も通っている学校にスクールカーストがあったのでは?
マナーが適当というのは、わからないから書けないというのがあるかもしれません。格式高いテーブルマナーなんて誰かから教えられない限り自分で調べるしかありませんから。
何故知らないといけないの?という疑問にお答えするために、少し例題を作りましょう。
・主人公はあまりの怒りに、持っていたナイフとフォークを音を立てて置いた。
音を立てただけ?これに何の意味が?と疑問に思った方もいるでしょう。西洋のテーブルマナーでは、音を立てるのはマナー違反とされます(日本人の麺を啜る文化が時々言及されるのもこれ)。そのため、貴族社会で育った完璧な主人公が食事時に音を立てるのは異常事態である、とこれで表現できます。
もちろん、「音を立てたから何?」という方もいるでしょうから更に補足する文があったほうがいいかもしれませんが。
これこそが、教養が必要たる所以です。メラビアンの法則を知っていますか?この法則では、コミュニケーションを測った際に言葉で伝わるのは7%しかないとされています。
自分の小説の世界観を知ってもらいたい!登場人物の魅力を知ってほしい!と思っても、読者は単純計算で筆者の熱量の7%しか理解できないと考えてください。
自分の伝えたいことを伝えるためにも、文章の中身は豊かであるべきでしょう。どんなジャンルを書くにしても、膨大な資料が必要になってくるのです。
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