14.同人誌みたいな逸話ってあるんだよ【4】

 前回は小休止的な逸話を書きました。じゃあ今回はどんなのが来るのかって?今回も女装の逸話です。舞台は北欧、トールが主人公です。


〈お前それでいいんですか?え、本当に女装するんですか!?〉

 まじで盛れるだけ胸を盛られたトールがウッキウキのロキに女装させられている絵があったりします。

 これには深い事情があるので決して「あのトールが女装趣味だったの!?」「ロキ何してんの!?」と言わないであげてください。ウッキウキのロキに関しては何も言えませんが。

 これはチートハンマーのミョルニルを盗まれたところから物語が始まります。ミョルニルを盗まれたことに気付いたトールは、ロキと共にフレイヤに鷹の羽衣を借りに行きました。この鷹の羽衣はシンプルに空を飛べるアーティファクトなので気にしなくていいです。

 フレイヤはトールの事情を聞いて鷹の羽衣を使うのをOKし、本格的にミョルニル探しが始まります。

 色々あって、ミョルニルを盗んだのは巨人の王・スリュムであることが判明。返せとトールが抗議すると「フレイヤと結婚させてくれたら返す」とのこと。(ちなみにミョルニルは地下9マイルに埋められていたそうです。それ東京タワー43個分以上の長さですが……)

 トールは事情をフレイヤに話しますがフレイヤが「は?嫌だが?」となったので急遽予定変更。色々な神様と一緒にミョルニル奪還作戦を立てます。

 その結果が女装です。

 トールといえば、某アメリカンコミックス映画のヒーローが集結する映画の彼が有名かも知れませんが、大抵ゴリゴリのマッチョなおじさんです。

 マッチョなおじさんです。

 まあ結婚式のお迎えに来たスリュムにはすぐにバレなかったんでいいでしょう。ここは一つクオリティが高かったということで。

 宴が始まるとフレイヤに変装したトールは牛一頭、鮭を八匹、食後のデザートを全て平げ、蜂蜜酒を三樽飲み干します。フレイヤに寄せる努力をガワだけしてどうする。

 これにはスリュムもドン引き。ですがここですかさずロキが「フレイヤはあなたと結婚できることで胸がいっぱいでご飯が喉を通らなかった」的なフォローをしてことなきを得ます。「いっぱい食べる君が好き」なスリュムだったかも知れませんが。

 さあ続いて誓いのキッスの場面になろうとしています。ここでスリュムがフレイヤ(トール)のベールを上げると、鋭いフレイヤ(トール)の眼光が。ここでもロキが「結婚が決まってから一睡もしていないのです」とフォローを入れて事無きを得ます。「鋭い視線の君が好き」なスリュムだったかも知れませんが。

 なんかかんやあって、先の発言通りミョルニルが返還されます。ここでトール覚醒、そのまま宴に出ていた巨人をことごとく鏖殺してしまいました。


 これ、まじで後年の画家が女装しているトールを描いていたりするんですけど盛れるだけ胸を持っているたくましいトールがいたりしてお茶飲んでる時に見たくない絵だったりします。


 参考文献を出したいのですが、何分多すぎるものと、手元に残っていない(図書館から借りた蔵書の一部)ことがあるので、これまでの民俗学の話題で出した話の文献は後々まとめてどこかで公開します。

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