第11話 竜の巣と魔王の眷属


 大空を飛び、海を渡ると騒がしくなって来た。

 『竜の巣』と呼ばれるところに着いたのだ。

 一見針の山のように見えるが天辺は平らになっておりドラゴンが寝そべっている。


 襲ってくるドラゴンを、俺はファフの背に乗りながら触り、ドラゴンを片っ端から収納しレベルとスキルを集めていく。


 やはり種類が豊富でドラゴンのスキルは専用なことも多いが有用なスキルもあるため収納内に貯めている。


「あそこが長がいる場所だな」

「そうか、行ってみよう!」

 洞穴に入っていくと、

「何用か?」

「へぇ、人の言葉が喋れるようだね」

 とファフの背から降りるとファフも人型になる。


「こんにちわ、俺は健人で、こっちが」

「ファフニールだ」


「「「ファ!ファフニール!!」」」

「あ?」

 と額に血管を浮き出させるファフニール。


「まぁまぁ、で?そちらは?」

 黒髪の長い男が出て来ると。


「4代目サウザンドドラゴンで、妻と息子になります」

「4代目?1代目はどうした?」

「魔王との戦いで敗れました」

「は?なんだと!あやつが敗れた?」

 驚いているファフだが、1代目を知ってるんだ!?


「はい!それからも魔王は事あるごとにここへ来てはレベルを上げるために先代も先先代も」


 一体レベル幾つなんだろう?


「魔王め!力をつけているんだな!」

「はい!私もそろそろ来る頃かと思いまして」

 てことは勇者に三度はやられてるんだな。


「わかった、魔王は我が討ち滅ぼす!」

「ほ、本当ですか!」

「我とこの健人で必ずな!」

「ま、まさか、今世の勇者!」

 やっぱり勇者と勘違いするよな。


「違うけど多分倒せるよ」

「ち、違うんですか」

 といきなりガッカリされても困るが、

「まぁ、スキルでなんとかなると思いますよ!」

「そうじゃのぉ、健人のスキルは唯一無二じゃからのぉ」


「そ、そんな凄いスキルなんですか?」

「まぁね」

「なんせ我と契約もしているしな!」

「ファ!ファフニール様と!?」

 驚きを隠せないサウザンドドラゴン一家だな。

 

「よし!今夜は宴を開こう!皆を集めてくれ!」

「「はい」」

「あ、でも来れないのもいるかも」

「え?」

「あはは、俺がちょっとね」

「えぇ!…まぁ、向かっていってやられたのなら自業自得ですね」

 と言って他のドラゴンを呼びに行く。


「歓迎されてるのかな?」

「まぁ、我が来たんじゃからな!」

 と2人で待つと酒樽を持ったドラゴンとこれまた大きなベヒモスと言うモンスターを狩ってきたドラゴン。


 他にも食べ物を持ってドラゴンが集まってくる。


「さぁ、宴だ!」

「「「「「「おぉー」」」」」」

 とみんな人型になり宴を開始する。


 酒は飲めないのでネット通販から買ったジュースで乾杯して肉を頬張る。


「う、美味い!」

「だろ?ベヒモスが1番美味いんだ!」

「何を言うか!ケツァールこそ美味である!」

 と言い争う2人のドラゴン。


「どっちも美味いですね!」

「「でしょ!」」

 両手に肉を持って食うなんて日が来るとはね。


「ファフは飲んでるの?」

「あぁ、飲んでるおるよ!美味い酒に美味い肴で我はご機嫌じゃ」

 あはは、それはよかったな。


「して、魔王討伐はいつになさるつもりですか?」

「んー、一ヶ月はこの世界を見て回りたいな」

 一ヶ月あればファフと一緒に見て回れるだろう。


「と言うことだ!その時は声をかけるからな!」

「「「「「はい」」」」」

 と宴は進みみんな帰って行った。


 俺たちも出ようとすると、

「待ってください」

「はい?」

「本当に魔王が倒せると?」

 真剣に聞いてくるから、

「倒せる」

「そうですか…もうちょっと早く来てくれたら」

 と自らの胸を見せる。


 紋章のようなものが浮き出ている。


「これはドラゴン族を守るために私がとった結果です」

「魔王に寝返ったと?」

 ファフが聞く。


「そうです。私にはそうするしか…」

「…健人」

「できるかわからないよ?」

 と近づいていくと、

「えっ?」


 収納、


 あー、あるなぁ、スキルに『魔王の眷属』が、まぁ取って、最弱のモンスターにでもつければいいか。


 排出する。


「え?えぇ?」

「もう魔王の眷属ではなくなったよ」

 サウザンドドラゴンは涙を流し、

「ありがとうございます。このご恩は必ず!」

「一ヶ月後が楽しみだね」

「はい!」

 と言ってファフに乗り竜の巣から飛び立つ。


「酔ってないの?」

『我がこれしきで酔うわけなかろう』

「そっか、月が綺麗だからどっかで休もう」

『ならとっておきの場所に行こう!』

 と月明かりでどこを飛んでるかわからないが夜風が気持ちいい。


『ここじゃ』

 と言われて降りると、とても高い場所なんだろうな。月が、

「月が大きく見える」

「そうじゃろ?ここが我が住んでいた場所じゃ」

「へぇ、いいところだね」

「ふふん!そうじゃろ?」

 広い大地に2人で座り月を見ながら今後のことを語り明かす。


「では、まずは死の森に行こう」

「へぇ、おっかないなぁ」

「なぁに、竜の巣よりマシじゃて」

「ハハッ!そうかもね」

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