第25話 内藤大吾の決意


 内藤は戦士の職業を返してもらって、西園寺に感謝していた。


 俺はまだ強くなれる!


 家に帰ると母親が襲われそうだったのでゴブリンを倒して救うと、戸締りをして母親には隠れていてもらう。


 ゴブリンを見つけると倒して周りダンジョンを見つけると入っていく。

 初ダンジョンは5階層までしかなかったが、宝をもらいそこにはプライドアックスと言う大斧が入っていた。


 それを手にどんどんゴブリンを倒しダンジョンでスキルや宝を取る。


 装備も手に入れてスキルも増えた!

「俺もこれで」

 と思っていた。

 

 家に帰ると親父が怪我をしたと病院から連絡があったらしく、母親を残して街の方の総合病院に走ると親父が胸に大きな傷を負い苦しんでいた。


「親父!大丈夫か!なんでゴブリンなんかに」

「イッッ…あれは化け物だぞ?」

「そうか。そうだな」

 一般人からすればただの化け物だ。


「エリアヒール」


 とその時声が聞こえてそちらを向く、自分が嘲り笑って虐めていた西園寺が帰っていくところだった。

「あいつは無償で…」

 金を取ってもいいくらいのことだ。

 だが、誰の感謝も受けずに振り返らずに帰って行く。


 今の自分には眩しく映った。


「怪我が治ったぞ!大吾!治った!」

「あぁ、よかったよ!」

 と言って病院の手続きを断って、外に出る。

 親父にアックスを持たせてゴブリンを倒してもらうと、親父は剣士の職業を手に入れた。

 喜ぶので母親にも手伝ってやり、母親は調理師だった。


 少し不貞腐れる母親を宥めると俺はこうやって他のやつを助けて行こうと思う。


 そこから毎日誰かを助けてはステータスを取るのを手伝い、若いやつはそれを感謝して俺なんかについて来る奴が増えて来た。


「家で飯でも食っていけよ」

「「「「はい」」」」

 と仲間に飯をご馳走し、また明日と別れる。


 あっちにいる時は自分1人でレベルを上げる苦しみを知っているから仲間にはそんな苦しみを味合わせたくなくて、毎日みんなと集まってダンジョンに入って行く。


 そうやってステータスを授かる人間を増やして、仲間が増えていく。


 別に俺だけが強くなってもしょうがない。

 仲間と分けてみんなとの絆が出来て来た。

 弱い奴もいるが俺はもうそんなことは気にしない。


 怪我をしそうになると庇いどんどん敵を倒して行く、俺の仲間は俺が守る!

 仲間はまた増えて行く。


 3ヶ月後にはクランを設立すると、俺がトップだと皆が言うのでやる事になった。

 皆が俺について来る。


 トップに立っても驕ることなく最前線で戦う事はやめない。仲間と一緒にレベルを上げ、トップクランとして登って行く。


 俺は西園寺にした事を悔やみ、自分がいかにその場の雰囲気で流されていたのかを知った。だから別に偉くなる、そんなことはどうでも良かった。

 皆が強くなって自分も強くなる。


 どんなことがあっても裏切ることのない大切な仲間としてみんなを導いて行く。


 昔の俺はもういない、そこには俺が変わり、仲間と切磋琢磨して築き上げた信頼がある、自分を戒め今日も先頭に立ってダンジョンに潜って行く。


「俺は俺であり続ける!」


 内藤大吾のアックスは今日も唸ってモンスターを消滅させて行く。




 他のクラスメイト達はと言うと、大学に進学をする奴もいれば、冒険者としてレベル上げをしながら金を稼ぐ奴もいる。


 峰川、長内、篠宮の三人は学校にセクハラを訴えて、臼井をクビにする。

 大学に進学しても三人で行動するようになり、ダンジョンでもなんとかやっている。

「デヤァ!」

「峰川!前出過ぎ!」

「くそ!」

 峰川はシーフの職業が貰えたが、元々はハイシーフだったのですこぶる機嫌が悪い。

 長内は剣士、篠宮は魔法使いだ。

「だってよ!こんなん俺らは余裕だったはずだ!」

「そうね、西園寺に言って返してもらえないかしら?」

「無理だろ?」

 長内が言うと、

「お前が言えよ!俺は無理だったんだから!」

「あれ見て言えるやついるかよ!」

 峰川は一撃で死にかけたのだ。

「はぁ、これでなんとかやるしかないか!」

「篠宮はいいのかよ?」

「あー、あれはこっちでは使えないからいいかな」

 ネット通販は別にどこでも使えるがこっちでは普通に買えばいいだけだ。


「くそ!」

「まぁ。そう荒れんなよ」

「そうそう、しょうがないと思ってレベル上げしよう」

 そう言うと魔法を唱える篠宮。

 三人は地道にレベルをあげていた。


 他のクラスメイトで進学をしていない組の、落内、斉藤、森下、今野の4人組は聖騎士、拳闘士、賢者、魔剣士だ。

 だが初期スキルがないため苦労していた。

「いつになったら新しいスキルが取れんだよ!」

「くっ!知らねーよ!」

「やっぱり初期スキルが強すぎたんだ」

「だな!これじゃあ低階層でバテちまうな」

 とやはり西園寺に取られたスキルは破格だったのだ。


「ちょ、誰かツテは無いのかよ?」

「ん?どう言うことだ?」

「あいつに弱みがあったりさ?」

「親とかに言ってもらうとか?」

「それやったらあいつキレるだろ?」

 とやはり何も決まらずに西園寺に手は出せないでいる。


 その他のクラスメイトも同じだった。


 西園寺はそれほど怖かったのだからしょうがない。


 みんな西園寺健人にした事を後悔していた。

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