第2話 特別な収納とスキル


「…」

 僕は確かに収納したみたいだ。

 僕の中にゴブリンがあるのがわかる。

 そして使い方もわかってしまった。

「排出」

『グギャ』

 僕はゴブリンを殺した。


 排出したのはレベルを奪ったレベル1のゴブリンだから。


「あは、あははは!そうか、これが収納の使い方なんだな」

 僕は久しぶりに心から嬉しくなった。

 僕の収納は何でも・・・収納出来る。

 これでみんなに追いつける?違うな、僕、…俺は好きに生きようと思う。


『お前友達だと思ってたのか?』


 その答えがこれだ。

 俺はみんなのところに戻る。

 まずは誰からだ?


 忍者の長内オサナイからだな。


 俺は顔を洗ってきてみんなより遠くに座る。


 みんなが寝る時は交代で夜番をたてる。

 僕はもちろんずっと起きていなくちゃいけない。

 これくらいしかできないと言われたからだ。


 みんなが寝静まる頃、長内を収納した。

『レベル、スキル、職業を置いて排出』

 まぁまぁのスキルだな。

 隠密を使って俺は隠れる。


 さぁ、明日から楽しみだ。

 必要なスキルを取っていこう。


「お、俺」

「どうした長内?」

「いや、何でもない」

 目覚めた長内は自分に起きたことを隠している。身長175の俺が横にいても気づかない。

 スキルは面白いなぁ。

「あ?西園寺がいないぞ?」

「お前らがやり過ぎたんだろ?」

「まぁ、いなくてもいいがな!」

 と教師の山内と昨日俺に屈辱を合わせた内藤が喋っている。


「そこら辺探したけどどこにもいないぞ?」

「まぁ、いなくなったもんはしょうがない」

 次は瞬歩の使える峰川だな。

 朝飯を食って出発するクラスメイト、長内は何食わぬ顔でついて行く。


 俺は隠密で先回りしておく。 

 ゴブリンがいたのでちょうどいいな。

「前方にゴブリン十匹!行くぞ!」

 と斥候役もしている峰川が来たので収納し、排出する。

(へぇ、ハイシーフか、瞬歩も使いやすそうだな)

「え、へ?は?」

「峰川!危ない!」

 と助けに入る内藤。

「どうしたんだよ峰川」

「い、いや、ちょっと調子悪くてさ」

「そうなのか!なら後ろにいろ!」

「おう…」

 とその場を任せ後ろに行く。


 レベルもスキルも職業まで取られたのにどうやってこれから過ごして行くのかが楽しみだな。


 ゴブリンを十匹討伐し、もうマジックバッグがパンパンだと言うことで、一度王都に帰る。

(あと1人くらい収納しておこう)

 女生徒の俺を笑っていた篠宮を瞬歩で収納して排出する。

「ん?」

「どうした?」

「んーん、何でもない」

(篠宮のスキルはネット通販だったのか!だから女達は篠宮に逆らえないわけだ)


 一週間ぶりの王都に入り、国王の元へ行く。

「1人欠けましたが無事に戻りました」

「誰が欠けたのだ?」

「西園寺です」

「ふむ、まぁ、問題なかろう」

 と言ってクラスメイトは自室として与えられてる部屋に行く。

 俺は王を収納し、排出した。

(ハハッ!レベル低いし、このスキルは何だ?威厳、王の証、マナー、性欲増強、と職業の王か)


「ん?」

「王よ、西園寺とはあの収納の小僧のことです」

「なら良いではないか、必要ない」

「はい!」

 一緒に宰相も収納して排出する。

(まぁまぁのレベルだな。スキルは政治学、経済学、方便、教育か、職業は宰相)

「ん?何か忘れているような」

「なんだ?」

「いいえ、何でもございません」


 さて、王城の中を彷徨くと宝物庫があったので守っている兵士を収納して鍵を排出する。

「これで開くよな?」

 宝物庫の鍵で扉を開ける。

 中には金貨や財宝が置かれていたので全て収納して行く。

 空っぽになった宝物庫に王の紋章がある場所があり、それに王の証を使ってみると扉が開く。

 中に入って行くと大きな魔石があり、それも収納すると王国を守っている守護壁が解けたようだ。

「まぁいいか」

 と宝物庫の鍵を閉めて兵士を排出する。

「ん?あ、あるな!よし!」

(兵士のレベルもまあまあだったし、剣術、槍術、体術共に優れたスキルだな)


 まぁ、今日はこれくらいにして宿にでも泊まるかな。

 俺は王城を出て王都に向かう。

 王都は活気があって人がとても多く歩くのでさえ困難なほどだ。

 だが俺は隠密に瞬歩を使い人に当たらずに目的の場所に行く。

 服屋で服を買う。流石に昨日吐いたのと血肉で汚いからだ。

 それからパンや食い物を買って宿屋に泊まる。

 宿屋はオーソドックスな藁のベッドにテーブルと椅子があり、窓がある部屋だ。

 明日のことを思うと笑いが堪えられないが下の酒場で晩飯を食って自分の部屋に戻る。

 久しぶりにちゃんとした飯を食べた。

 

 次の日は武器屋に行って自分にあった剣を選ぶ。そして防具屋で革鎧とブーツを新調する。

 これで綺麗になったな!

 それから少し狩りをするために外に出る。

 やはり収納は有能だな。

 あと要らないのは外すことができる。

 収納に溜めておく。


 昼飯を食いながらステータスを見ているといらないのもあるな。性欲増強なんか要らないし。

 まぁ、誰かにつければいいか。


 ステータス、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

西園寺健人サイオンジケント 18歳

レベル 59 職業 収納師 忍者 ハイシーフ 通販業者 

スキル 剣術 身体強化 隠密 火遁 水遁 土遁 瞬歩 索敵 短剣術 二刀流 ネット通販 威厳 王の証 マナー 政治学 経済学 方便 教育 上級剣術 上級槍術 上級体術

ユニーク 収納 排出

称号 スキルホルダー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 さて、王城がどうなっているかを見に行こう。

 誰もスキルがなくなったなんて言えないだろうがな。


 隠密で瞬歩を使い俺を扱いてくれた騎士団長の元にいくと、収納、排出をする。

 性欲増強は騎士団長につけてやった。

「?ほら!そこ弛んどるぞ!」

(さすが騎士団長、剣術、槍術、どっちも極めてるな、職業は王国騎士か)

 もう一度収納、排出して剣術をつけてあげる。

 

 俺が必死に覚えた剣術だ。


 まぁ、せめてもの情けだな。

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