俺の収納は特別スキル!収納スキルで最強に
あに
第1話 クラス召喚と言葉の刃
森の中でクラスメイトが賑やかに今日も連勝していることを祝って宴をしている。
そんな中僕は宴の中心にいた。
「や、やめてくれよ、ご。ごめんなさい」
僕がなぜ謝らなきゃならないんだ。
「は!心優しい俺様が食べさせてやろうって言ってるだろ!」
誰の心が優しいんだ?このグロテスクな物を生で食べさせようとしているのにか?
「きゃー!マジで食べるの?」
周りは騒いで盛り上がる。
「ほら早く食べろよ!」
ハハッ!なぜお前が王様みたいなんだよ。小さい頃からの幼馴染じゃないか。
「ごめん!無理だから」
こんな世界に来たくなかった。
「うるせぇよ、お前に聞いてない」
なぜ僕にこんなことをさせるんだ!
「は、ハハッ!…ふざけんな!こんなのいじめじゃないか!」
と振り返ると僕より少し背の高い内藤が僕の頭を掴むと、
「いいから食えよ!」
「ガブウェぇぇ」
口の中にゴブリンの内臓が入って僕は吐きだした。
みんな笑っていやがる。
教師もだ。
なぜこんなことになったんだ。
一ヶ月前…僕たちはクラス転移をした。
もう大学入試も終わり後は卒業だけの時期。
呼んだのは王国、魔王を倒すための勇者だと言う。
僕たちは並んで鑑定の儀を受けた。
もちろん僕もだ。
喜ぶ奴が多い中僕は微妙だった。
ステータス、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
レベル1 職業 収納師
スキル
ユニーク 収納 排出
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スキルではなくユニークに入っているが、僕のできることは収納とそれを出すことだった。
「よぉ、親友!何だった!」
と僕と同じくらいの背で昔からの幼馴染の悟が聞いて来た。
「ハハッ、荷物待ちだな」
「へ?」
「収納だからな」
悲しい顔をする俺に、
「へぇ、でも当たりじゃね?
「そうだね」
「よし、俺は勇者だった!俺らで魔王を倒そうぜ!」
「うん!」
とここまではよかったが、王国の訓練は俺にはきつかった!
覚えたのは手の皮がズルりと剥けたが頑張った剣術のみ。
「こいつはダメだな!」
と騎士団長が言うと、
「そんなことないですよ、こいつには収納があるんですから!」
と2メートルはあるだろう騎士団長に言ってくれる悟。
「マジックバッグで事足りるだろう?」
「でもクラスメイトです」
と最初のうちはみんなも庇ってくれた。
僕も自主練して強くならなきゃと頑張って覚えたのが身体強化だ。
なんとか練習にもついていけるようになるとやはり差が浮き彫りになってくる。
「はぁ、はぁ、はぁ、あっ!」
走っているとぶつかってくるクラスメイト、もう次の訓練に移っているようだった。
「お前邪魔するなよ!もう走り込みは終わってんだからさ」
「ご、ごめん」
「わかったならあっちでやってくれ」
「分かった」
とみんなから外れて訓練するようになった。
一週間後には僕をウザがる人間が出てきた。
「いや、お前はそう言うけどさ」
「だからあいつは親友なんだって!」
とみんなに聞こえるように言う悟。
「あ、ありがとう、悟」
「いい、気にするなよ!やれば出来るさ!」
悟はいい奴だ。
僕がもっと頑張ればいいだけなんだからな。
二週間後、外にレベル上げに行く。
もちろん僕もだ!
レベルが上がれば僕だってやれるはずだ!
「健人!こいつにトドメだ!」
とゴブリンをこっちに回してくれる。
「うん!おりゃ!」
『グギャッ!』
「よし!ナイス健人!」
「ありがとう悟!」
ゴブリンを譲ってくれて僕のレベルも上がってきた。
三週間後、
「健人!何度言ったらわかるんだ!前に出ないでくれ!」
「ご、ごめん」
悟がどんどん遠くに行ってるような気がした。
「くそ、もっとレベル上げないと!」
僕にできることはそれだけだったんだから!
でも前に出るなと言われているのでこっちまでモンスターは回ってこない。
でも違った、明らかに僕に回ってこないようにしているのが分かった。
その日、僕は悟に聞きに行った。
「悟、何で僕にレベル上げのチャンスをくれないんだ?」
「はぁ…今はみんなのレベル上げをしているだろ?」
「僕だけまだ一桁だから」
みんなはもうレベル10は超えている。
「それは、お前が弱いからだろ?」
「それはそうだけど」
「俺はもううんざりなんだよ!お前弱すぎるんだよ!何でこんなこともできないんだ!」
悟から聞きたく無い言葉が出てくる。
「え?」
「だからこのクラスで一番弱くて役立たずなんだよ!」
初めて聞く悟の声だった。
「俺は勇者だ!お前とは違ってみんなを導かないといけないからな!だからお前は隅っこで隠れてればいいだろ!」
「そ、そんな!僕だって役にたつ「うるさい」えっ?」
僕の言葉を遮って一番僕の心に刺さる言葉が投げられる。
「もうお前の声も聞きたくない。…その前にお前『友達だと思ってたのか?』」
薄ら笑いを浮かべた悟からの言葉だった。
「え…」
「そんなわけないよな?本当に虫唾が走る」
と言って悟はクラスメイトの元へ戻って行った。
『友達だと思ってたのか?』
僕はその言葉を一生忘れない。
それからは何もやる気が起きなくて、ただついて回る日々だ。
モンスターは前のみんなが倒して、マジックバッグに入れていくので僕の収納も要らないから、本当にただついて行くだけ。
そして、みんなはどんどんエスカレートして行く。
僕が何もしないから、殴るのは当たり前で、回復魔法のために斬られたこともあったな。
で冒頭に戻る。
「うぼぇぇぇぇ…」
「きったねぇな!そんなの食うなよ!」
僕はどうしてこんな目に遭ってるんだ。
「おいおい、あまり虐めすぎると自殺するからやめとけよ?」
教師の言うことか?
「大丈夫でしょ?収納しか能がないんだから」
俺はフラフラと顔を洗いに行く。
「おいおい、自殺だけは勘弁な!」
悔しい?違うな、僕はあの言葉がずっと頭の中にある。
『友達だと思ってたのか?』
川に来て顔を洗うと目の前にゴブリンが迫っていた。
「し、収納!」
咄嗟に出たのがその言葉だった。
そして、ゴブリンは収納された。
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