第14話 西の森と聖教国


 西の森にやって来た俺たちは、巨大な昆虫達を相手にしていた。


「収納!ちょっとデカすぎてキモイよここ!」

「だがここにしかいないのだぞ?」

 と言いながら収納し、レベルとスキルを取り、排出しては解体してまた収納する。


 別に昆虫が苦手ではない俺でも大きな虫に苦手意識が芽生えてしまう。


 だがそれなりにスキルは溜まっていく。

『脚力上昇』『落下耐性』『手刀』『擬態』『視覚拡大』『糸生成』などである。


 それに甲殻などは防具や武器にもなるのでここで得るものは多い。


「でもキモイよー」

「えーい、我慢せい!」

『しょうがないですよ』

 と2人に言われればしょうがない。


 ようやくある程度収納し終わったら今度はファフが2匹の昆虫を持って来た。


『珍しい昆虫じゃ』

「げっ!ゴキに虹色のクワガタ?」

『受け取れ』

「うわぁ!収納!!」

 とゴキとニジイロクワガタを収納する。


 ゴキからはレベルと『衝撃耐性』『生命維持』『雑食』、ニジイロクワガタからは、レベルと、『挟む』くらいしか特殊なスキルはなかった。


 ゴキはすぐに排出して倒してしまう。解体もしたくないので放置だ。ニジイロクワガタは排出し、解体して収納する。


「よし、西の森はもう良いよ!」

『そうか?まだ探せば』

「俺の精神が耐えられないから他に行こう!」

 もう嫌だ!虫が嫌いになる!


『はぁ、わかった、背に乗るが良い』

 と空中に飛んで帝都へと行く。


 もちろん途中で降りて、歩いて帝都に入る。


「はぁ、流石に昆虫はもう良いや」

「ダメじゃのう、あれしきで」

「嫌なものは嫌なの!」

 デカい昆虫なんて恐怖の対象でしかない。


「わかったのじゃ、それで今日は何にしようかのう!」

 とセレネと2人で今日の晩飯をネット通販で見ている。


 2人ともすっかりハマっているな。


「いやぁ、食った食った!」

『美味しかったです』

「それは良かったよ」

 とベッドに寝転ぶファフに俺の中にいるセレネ。


「さて、明日はどこに行こうか?」

「そうじゃのぅ、あと行ってない森はあまりないのぅ」


 行ってない森なんか沢山ありそうだが、

「そうなんだ?」

「死の森がデカすぎるからのぅ、大半が死の森じゃ」

 まぁ、デカくていろんなモンスターがいたけどそうなんだなぁ。


「へぇ、で、国は王国と帝国?」

「あと聖教国じゃが、あそこはのぅ」

「なんかあるの?」


「神の名を使った、ただの守銭奴の国じゃからのう」


 神の名を使う?ニセ宗教みたいなものかな?


「んじゃそこはいろんなアイテムがありそうだね?」

 沢山貯めていそうだ。


「まぁ、あるじゃろうな」

「よし!明日はそこに行こう!」

「えー、まぁいいがのぅ」


 次の日はファフに乗って聖教国へ、

 気持ちのいい空の散歩だが、結構すぐ着いてしまった。


 ファフは行きたくないと言って1人で散歩して来るそうだ。


 街に入る為にお布施として1人金貨一枚払う。

 取りすぎだな。


 街の中は白一色で統一されていて道行く人も白い服が多いな。


 活気はないし、どちらかと言うと厳かな雰囲気をしている。


「じゃあ、隠密!で行動開始だな」

 1番でかい建物に入って行くとステンドグラスが綺麗で一瞬目を奪われたが、中を探ってみると大司教と言う人がいたので収納してみる。


 レベルはそこそこだが、『ヒール』『詐欺』しか持っていなかったので収納して詐欺をはたらかなくしてあげる。


 よし、これでこの国も良くなるだろう。


 また中を探して歩いていると宝物庫のようなところがあり、金貨が凄い数集められていた。


 収納して行くと投影機のようなものや拡声器の様な魔道具もあったのでそれも収納して空にする。


 まぁ、詐欺が働けなくなったんだから良いんじゃないかな?


 聖教国を後にすると、ファフを呼ぶ。

『ファフ、終わったよ』

『わかった、今行く』

 繋がってるからいつでも会話が可能だ。


 待っているとファフが降りてくるが、また何が捕まえたようで、

『あっはっは!龍がおったので取って来たぞ』


「え?龍?へぇ違うんだね?」

 中国や日本的な龍である。


『あぁ、違うぞ?我ら竜より少しだけ野生的じゃな』

「ん?どう言うこと?」

『龍は群れをつくらんから1ヶ所に集まることがないのじゃ』

「へぇ、あ、収納」

 レベルと、『空中移動』『咆哮』『龍の雷』を取り排出、倒して解体するとまた収納する。


「してそっちはどうだった?」

「ん?バッチリだよ?」

 聖教国がこれでまともになればね。


「そうか、ならいいな!あとは魔王領くらいじゃが」

 そうか、もうないのなら仕方ない。


「ならそろそろ魔王でも倒しに行きますか!」

「そうじゃの!」

『はい』

 

 俺たちは竜の巣に行き、サウザンドドラゴンに会う、

「え、もう行くんですか?」

「うん、もういいかな」


「わしらの世界は健人にはちと狭いようじゃな」


「そんなことないけど?十分だったよ」

 それなりに旅をして来ていろんなところに行ったしな。


「では私たちも準備します!」

 サウザンドドラゴンは外に飛び出して行く。


「うん!ゆっくりでもいいよ」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る