第9話 仲間と約束


 ファフニールはファフと呼ぶことにして俺たちはまだ街の中にいた。


 街の中を彷徨きながら話をする。


「ファフはどれくらい人化してられるの?」

「ん?別にいつ迄でも人にはなっておれるが、なぜじゃ?」

「ん?いや。服とか買ってもドラゴンになれば破けちゃうからさ」

「まぁそうじゃのぉ、じゃが別に我は服に無頓着じゃからのう」

 と言う、ドラゴンはそうなんだろうな。


「そうなんだ、着たい服とかないの?」

「まぁ、そんなのがあれば着るが、別にこの服も人間を真似て作っておるしなぁ」

 ファフの着てる服はまぁ、膝下までのマーメイドドレスのような服だから結構目立つ。


 んじゃ、こっちに馴染むような服にして貰えばいいのか!


「んじゃ、あの人みたいな服は?」

「んー、嫌じゃ」

「じゃあ、あっちの人は?」

「嫌じゃのう」

 無頓着じゃないじゃないか!


「えー、どんな服ならいいの?目立ちすぎない服で頼みます!」

「そうじゃのぅ、これでどうじゃ?」

 と急に服装が変わって冒険者のような格好だ。ズボン姿で革鎧を着ている。髪も後ろで纏めてある。


「うん!いいんじゃないかな!」

「よし!これで解決じゃな!」

 まぁ、綺麗で目立つのは仕方ないか。


 ファフのギルド証を作りに行く。


 受付で名前なんかを適当に書いて水晶を触ってカードができる。


「ほぉ、ギルド証なんて初めて作ったのぅ」

「あはは、これでどこでも行けるね」

 と俺たちの前に男が三人。


「いいねぇ、俺たちと遊ぼうぜ?」

「ちょっと俺たちについてくればいいだけだからよ!」

「はぁ、馬鹿ばっかだな」

 どこに行ってもこう言う奴がいるな!


「あ?お前に入ってないイッ!」

 喉元に剣を突きつけると後ろに倒れ込む男。


「俺も流石に勘弁出来ないぞ?」

「はぁ?ちょっと腕が立つくらいじゃおま」

 収納してレベルとスキルで『短剣術』『生活魔法』を取って排出する。


「…え?そ、そうだ、お前1人でなブヘッ」

 ファフが手で頬を叩くと飛んでいった。

「はぁ、モテるのも考えもんじゃのぉ」

「ハハッ!そうみたいだな!」

 と笑うと最後の1人は倒れた1人を連れて逃げていった。壁にぶち当たったのはそのままだ。


「で?何をしたのじゃ?」

「ん?収納と排出」

「収納って、あの収納か?」

「どの収納かはわからないけど」

「収納は生きてるもの以外を収納できると聞くぞ?」

「やっぱり生きてるもの以外なんだ?でも俺のは特別で生きてても収納できる」

「は?そんなこと」

「あるんだよね」

 と言うとファフはビックリしていた。


「それではさっきのは?」

「収納してレベルとスキルを置いて排出した」

「…本当にチートという奴じゃの?」

「でしょ?でもこのおかげでファフにも会えたしね」

 と宿屋に入ると2人部屋を取る。


 流石にダンジョン攻略まで寝てなかったからベッドに倒れ込むと寝てしまった。


「…規格外じゃのぉ」

 ファフは健人の寝顔を見て笑うと自分もベッドに横になって、

「久しぶりのベッドじゃ」

 と寝てしまった。


「起きると夜中ってあるよね?」

「いや、寝過ぎたんじゃ」

「何食べようか?これ見える?」

「お、おう、見えるぞ!なんじゃこれは!」

 ネット通販の画面が見えるように出来てよかった。


「我は肉じゃ!肉が食べたいぞ」

「んじゃ焼肉定食で、俺は親子丼と」


 ドンッと段ボールが置かれると中に入っている弁当を渡して食べ方を教える。


「…美味い!美味いぞ!これならいくらでも入る!」

「あはは、おかわりを頼んどかないとね」

 とおかわりを頼んで、自分も食べ出す。


 ファフは焼肉定食だけ四つも食べ、デザートも食べたのでお腹いっぱいらしい。


「も、もう食えん」

「そりゃあんだけ食べればね、で?聞きたいことがあるんだけど」

「なんじゃ?」

 とベッドに横になって聞くファフ。


「俺たちが元の世界に戻ってもスキルはそのままなんだよね?」

「まぁ、そうだと思うぞ?消す必要がないからな」

「そうか、ならスキルを沢山取っておかないとな」

 あっちでも使えるなら尚更だ。


「我も連れて行ってくれ!収納なら入るんじゃろ?」

「ファフも?いいよ!」

「よし!約束じゃからな!」

「あはは、契約してるしね」

 と言って2人で帰ることになった。


 次の日はゆっくりと朝のコーヒーを飲む。

「ふむ、まぁまぁじゃの」

「コーヒーも飲めるんだね」

「まぁの!まぁ、飲めんことはない」

 と外を見ながらゆっくりした時間が過ぎる。

 

 それじゃ旅に出ようかと言ったところで、どこに行こうかと迷うな。


「なら行きたいところがあるなぁ」

「どこ?」

「竜の巣じゃ」

「げ!ファフみたいなのがいっぱいいるの?」


「げ!とはなんじゃ!我らも世代交代しとるから今のドラゴンがどうなっとるかはわからんのう」


「そうなんだ、知らないドラゴンのとこに行くの?」

「スキルが欲しいんじゃろ?」

「そう言うことね!じゃあ行こう!」

 そして外に出る。


 2人でテクテク歩いて街から離れるとファフはドラゴンに戻り、俺はその背に乗る。


「行こう!ファフ!」

「おう!行くのじゃ」

 大空に羽ばたくファフの背中は風邪を避けてくれているのかとても乗り心地が良かった!

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