第19話 社長と説明


「え、えい!」

 ゴブリンは消滅する。


 まぁ、吐いた人もいるがだいぶ人数が減って来たな!


 外では父さん以外にもゴブリン退治をしている人が増えた。


「次の人!」

「ワシの番じゃな!」

「はい!お願いします」

「エェイ!」

 と袈裟斬りにゴブリンを倒してしまうと、

「ほぉ、これが!ワシは剣術じゃった!」

「そうですか!良かったですね!」

 お爺さんはにっこり笑って。


「西園寺君の息子さんだね?」

「はい!西園寺健人と言います」

「聡明そうな子だ!武器は余ってないかね?」

「ありますよ?」

「それでは買い取りたいのだが?」

「はい、じゃあここに出しますね」

 と、オークの武器や防具を出していく。


「ぉ、おぉ!凄いな」

「収納ってスキルなんですよ」

「そうか!では買い取り金は西園寺君の給料と一緒でいいかな?」

「え?社長さんですか?」

「そうじゃよ?」

 にっこり笑う社長さん。


「はい!それでいいです」

「じゃあ明細にもちゃんと書いておくから貰ってくれよ?」

「はい!」

 防具の付け方を教えて、社長は剣を持って外に出る。


「あ、社員に貸し出すからそれは連絡してもらえるかな?」

「分かりました!」

「では行ってくる!」

 と言って社長は飛び出して行った。


 その後も社員さんにゴブリンを倒してもらい、秘書さんが貸し出しを手伝ってくれた。


「はい!もうみんなステータスはとったみたいですね!」

「分かりました!ありがとうございます」

「こちらこそありがとうございます」

 と秘書さんと会話して外に出ると、みんなやりきった顔をしている。


「あはは、お疲れ様です」

「お、健人君か、おかげで助かったよ」

「それは良かったです!」

「健人!あ、社長!お疲れ様です!」

 と父さんが頭を下げると、

「こちらこそ君の息子が来てくれなければ危なかった!ありがとう!」

 と握手をしている。


 何か話をしているのでファフを探すと、

「何してるの?」

「いやな、建物が高くて凄いのぉ!」

 ここはビルばかりだからファフが驚くのもしょうがないか。


「そう、ここでドラゴンになったら壊しちゃうでしょ?」

「そうじゃな」

 とこちらをみて笑うファフ。


 他のビルからも人が出て来ている。


 ゴブリンはとりあえずいないがまた出てくるかな?

「健人、その人は?」

「ファフって言う俺の友達だよ!」

「ファフさんか、よろしくね」

「健人の父、よろしくなのじゃ」

「母さんが心配だな!早く帰らないと」

「ここにくる前に寄って来たから安心していいよ」

「そうか!でも今日はみんな帰るからな」

 今日はみんなもう帰るそうだ。


 まぁ、家が心配だろうしね。


「車を取ってくるからここで待っててくれ」

「わかったよ」


 父さんが乗って来た車に乗り方を教えてファフを乗せる。俺も乗り込んで発進すると、

「おぉ!動くのぅ!楽ちんじゃ!」

「あはは、ファフは興奮しすぎだよ!」

「凄いのぅ、馬がいないのに早いのぅ」

 ご機嫌なファフに、

『凄いですね!車?ですか』

 とセレネも興奮しているな。


「あっ、病院に寄って!」

「ん?あぁ」

 と総合病院があったので寄ってもらい、

「エリアヒール」

 と広域魔法をかけてまた車に戻る。


「ありがとう」

「あれか?あの治すやつか?」

「そうだよ、怪我してる人もいっぱいいたみたいだからね」

 父さんは頭を撫でて、

「よし、帰ろう!」

 車は発進する。


 家の近くになるとまだゴブリンがいると思ったが見当たらないなぁ。


「ただいまぁー!」

「母さん!無事か?」

 と、父さんが中に入って行くと母さんが2階から降りて来て2人で抱き合っている。

「良かったのぅ!」

「だね!ファフもありがとう」

「なーに、たいした事はしておらん」

 

 そして、リビングで今までの話をする。

 2人とも真剣に聞いてくれる。


 まぁ。こんなモンスターの出る国になったんだから、荒唐無稽な話も信じてくれる。


「そうか、悟君がそんな事を」

「あはは、まぁそんなやつだったんだよ」

「辛かったね、でも頑張って偉いわ」

「まぁ、ファフって友達もできたし、セレネも出て来ていいよ」

 セレネが出て来ると2人ともビックリしている。


「え?あ!精霊の?」

「そう、月の大精霊でセレネって言うんだ」

「初めまして!よろしくお願いします」

 とお辞儀をする。


「あはは、2人とも美人だな」

「そうね、美人さんだわ」

 2人とも照れている。


「しかし、ダンジョンか!そんなのができるなんてな!」

「2人とも上級をつけたから負ける事はないと思うよ?」

「健人がつけてくれたのか!自分の力だと思ったが、そうか」

「父さんは他になにが増えたの?」

「風魔法だな。職業が魔術師だ」

「すごいね!母さんはまだだもんね?」

「そうね!私もゴブリンってやつをやっつけなきゃ!」

 と言ってダガーを胸に抱く。


 家族が揃って無事だったことが本当によかった!

 皆でリビングでテレビをつける。

「うぉ!な、なんじゃこれは?」

「なんですかねぇ?ホビット?」

「テレビって言って遠くのものを映し出す機械だよ」

 いちいち驚く2人に俺たち親子は笑って教える。

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