第16話 代理ログイン2日目~薬草探し~

 夕飯を食べてからスマホをチェックすると勇樹からメッセージが来ていた。

『何かな。楽しみ。でも無理スンナ』

 えへへー。楽しみだって。

 うん。いっぱい集めて驚かせちゃうぞ!

 今日は教えてもらった薬草を探そう。大葉とリンゴって言ってた。

 VRスーツを身に着け、コックピットの中央の360度ランニングマシンのような場所に立ちVRゴーグルを装着。

「ステータスオープン」

 空中に現れた操作パネルのようなものでログイン。

 視界はダンジョンの中に切り替わる。

「えーっと……、配信は勝手にスタートするのかな?」

 勇樹はチェックしてるのかな?まだ移動中?いや、もう着いたかな?でも寝てるかもしれない……。時差どれくらいだっけ?うーん、分からないけど。

 配信用ドローンに向いて手を振る。

「勇樹~見てる?今日もお義姉ちゃんがんばるからねー!」

 さて。階段の踊り場でログアウトしたんだ。

 1階に戻る?

 それとも2階へ進む?

 うーんと、勇樹は初心者用のダンジョンで危険はないと言っていたから、進んでもいいんだよね?

 よし!2階へ行ってみよう。

 階段を下りる。

「ふおうっ、外に出ちゃった!」

 1階は岩に囲まれた空間……洞窟のようなところだった。

 2階は目の前に草原が広がっていた。明るい。

 見上げると、天井があった。

「あれ?外じゃないんだ……。こういう草原のようなダンジョンってことだよね?」

 きょろきょろと周りを見渡す。

 角の生えた兎がいる。

「知ってる。かわいいって近づくと、角で刺されるやつだ。小説とかにも出てくるよね。魔物なんだよね」

 かわいくて抱っこしたくなるのはやまやま、近づかないように気をつけながら草原を進む。

「あ!そうだ!薬草!」

 塩田君からの情報で、薬草をもらうと嬉しいって言ってた。

 勇樹も嬉しいかな?

 よし!薬草を探すぞ!

 確か、食べられそうな感じのって言ってた。

 あれ?でも、ダンジョロイドは物を食べないよね?どうするんだろう?ダンジョンの外に出せるのかな?魔物の死体はすぐ消えちゃうけど、ドロップ品は3~10日で消えるんだよね?薬草は?3日消えなければ食べられるよね?

 食べるのかな?

 だったら、美味しそうなのがいいよね。

 足元を見る。

 たくさん生えてる草。

 しゃがんで近くで見る。

 たくさん生えてる草。

 ……草にしか見えない。草、草、草。

 え?何が薬草なんだろう?

 食べられそうなものなんて何もないけど……。

 立ち上がって、少し移動してまたしゃがんで確認。

「草……だよね?雑草……」

 立ち上がって、少し移動。

「うーん、無理かも。なんか薬草辞典みたいなものがないと、分からないよ……」

 はぁ、仕方がない。

 さっきから気になってたんだよね。もう、薬草はいいや。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る