第18話 か、か、かわいい……!

「この草原の真ん中に立ってるペラペラなドアなんだろう?」

 とりあえず、手を伸ばして触ってみる。

「あ、触り心地は普通にドアだ。っていうか、ぶつかったんだった。あはは。えっと、開けられる?」

 ノブを持ってひねってみる。

「……鍵がかかってる」

 開けゴマとか言ってみる?でも、違ったら恥ずかしいしなぁ……。

 とりあえずノックしてみる?

 コンコンコン。

 ガチャリと鍵が開いた音がした。

 おお!開く!っていうか、誰か入ってたんだ!誰が出てくるんだろう!

 ドアが開いたら、びゅんっと何かが飛び出してきた。

『誰じゃ!わらわの眠りを妨げる者は。容赦はせぬぞ!』

 キャンキャンキャンと3つの頭の犬が吠えている。

 か、かわいいっ!

『ふん、覚悟はいいか。今さら助けてくれと言っても無駄だぞ』

 キャンキャンと真ん中の頭が吠えている。右の頭が私の頭の上に載っている花冠をじっと見ていた。

「あ、これ?欲しい?どうぞ」

 頭から外して犬にのっけた。

「うわー、かわいい!キュート!」

 そうそう、サイズ違いでまだあったんだよね。

 犬の頭は3つ。小さなものは左の犬の耳にひっかける。大きなものは真ん中の犬の首にかけた。

「かわいい!めちゃくちゃかわいい!」

『うむ、確かに、かわいいの』

 犬の頭がお互いの顔を見合わせて嬉しそうにくぅんと鳴いた。

「そう、嬉しいの?よかった。あ、見て、あっちに白い花もある!今度はあの花で作ってあげる!」

 蓮華とは違う花が群生してるところが目にはいり走っていく。

『ぬ?待つのじゃ!』

 あわわ、なんか普通に走っただけのつもりなのに、スターマインの能力がすごすぎて一歩が飛ぶように進んでいく。

『なんというスピードなのじゃ!妾が全速力を出さねば追い付けぬとは!』

 ワンワン吠えながら追いかけてくる。

 あーっ!かわいい!撫でたいなぁ。撫でちゃだめかなぁ?

 頭が3つあるってことは魔物なんだよね。

 かわいいと思って手を出しちゃだめって……。角の生えた兎と一緒だよね。我慢だよ、我慢。

 白い花はシロツメクサだった。

 せっせとシロツメクサで花冠を作っていく。……えーっと、蓮華の耳飾りと冠と首飾りをつけたから、首飾りのない子たちには首飾り、首飾りの子には王冠を作ってあげようかな?

 よし、そうしよう。あ、ついでに自分の分もね。だから、大が2つに中が2つだ。

 私が作業しているのを、お座りしてじっと見ている。

 あー、もふりたい。もふりたい。

 我慢我慢。

「できたー!」

 1つ目の大のシロツメクサの花の首飾りができたところで、みつ首ワンちゃんに見せる。

「蓮華もかわいいけど、シロツメクサもかわいいよね!きっと似合うと思うんだ……つけてもいい?」

 と言うと、ワンっと大きく吠えた。

『もちろんじゃ!』

 うわぁっ!大きな声!びっくりした!

 思わずしりもちをつく。


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