第17話 どこでもドアならぬ、ペラペラドア
草原のずっと向こう。
「ふふふーっ!蓮華畑だよね、あれ!」
走って蓮華畑へゴー!。
「やった蓮華だらけ!嬉しい!前からずっと憧れてたんだ。蓮華、蓮華、蓮華!」
蓮華の花を数本摘み、また数本摘んで茎をぐるりとはじめに積んだ蓮華に回す。それからまた数本つんで茎をぐるりと回していく。それを繰り返して……最後に輪っか状にして茎を一番初めのところのぐるりと輪にしたところに入れ込む。
「できたー!花冠!」
すごい!すごいよ!
作ってみたかったんだ。でも、私が住んでいるところでは蓮華畑なんてなかったから。早速かぶってみよう。
乙女チックすぎる行動だと思うけど、24歳の女が何やってるんだろうという気もするけど、今は私はダンジョロイドだからいいよね!
「あ、そうだ。配信中だった。見てる人いるか分からないけど、ずっともくもくと花冠作ってるだけの配信……つまらないよね……誰も見てないかもしれないけど」
マイクロドローンに向けて花冠を見せる。
それから、頭に乗っけて見せ……ようとして。
「うわーっ!!!失敗」
猫耳が、猫耳があったんだ!耳が邪魔で載せられないっ!
嘘でしょう!せっかく作ったのに!
は、配信ってカットとかできないよね……。意気揚々と完成した花冠をカメラに向けながら頭にかぶって見せたらかぶれないとか……!は、恥ずかしすぎるっ。
真っ赤になって顔を抑える。ダンジョロイドは赤くはなってないと思うけど。
やり直し、やり直し。
もう一度蓮華を摘み、花冠……さっきよりも大きなものを作る。今度は大丈夫なはず!
花冠をドローンに見せて、若干どや顔をすする。
今度はちゃんとかぶれるよと、花冠を頭に載せる。猫耳が邪魔になることはなく、するりと……頭を通り抜けて、首飾りになった。
うっ。こんなはずでは……。
いや、首飾りをはじめから作るつもりだったんだよって顔をしておこう。
……ううう。恥ずかしい。
さ、気を取り直して、もう一度チャレンジだ!
一番初めの花冠は小さすぎて、次の花冠は大きくしすぎたから、中間のサイズで作ればオッケー。
よし。今度こそ!
ドローンに向けて花冠を見せて、頭にかぶる。
「やったー!ぴったりサイズだ!」
へへへ。
って、何をやってるんだろう。
急に恥ずかしくなって、失敗した花冠をもって立ち上がり移動を始める。
「……どうしようか、これ……捨てるのもあれだし……」
とぼとぼと歩いていく。
はぁー。下を向いてとぼとぼと歩いていたらごちんと何かにぶつかった。
「いたっ」
痛くはないけど衝撃が……。
って、昨日もジャンプして頭ぶつけたし、今日は前を見ずに歩いていてぶつかるとか。
ごめん、勇樹……。勇樹のダンジョロイドのスターマイン、チャンネル登録者数減っちゃうかも……。ごめん……。
ため息をついて顔をあげると、扉があった。
あれ遠くから見ても見えなかったよね?と思って横に回ると厚みが1ミリくらいしかない。
「紙みたいなドアが自立してる……」
不思議な光景だ。こりゃ横から見たら見えないとかそういうことか……。
ぽんっと納得しつつも、首をひねる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます