第15話 塩田郁郎という男

「あは……やっぱ好きだな……マインちゃんに似てるからじゃなくて、そういうところ……」

「ん?何か言った?」

「あ、いや、あの……星野先輩はダンジョロイドの配信とか見ないんですよね?その、有名なダンジョロイドとかも知らないですよね?その、イクシオだとか……」

 塩田君の言葉に苦笑いする。有名な人すら知らないなんて恥ずかしいけど……。

「うん。魔物が倒されるのとか苦手だから見てないんだ……。あ、でも魔物を倒している人がひどいなんて思ってないよ?ダンジョンからあふれ出たら大変なことになるんだもん。私たちを護るために頑張ってくれてるって感謝してる」

 塩田君が手で顔を覆ってしまった。

「やっぱ好き……」

「え?ダンジョロイド塩田君そんなに好きなの?」

 ちょうどエレベーターが来たので乗り込む。朝の時間はエレベーター利用者が多いため満員電車のようだ。塩田君と腕が触れるような距離。

 他の人の迷惑にならないように会話は控える。

「あの、それで突然ダンジョロイドの話って、もしかして聞きたいことがあるんですか?」

「うん、ごめんね、突然……迷惑じゃなければ教えて欲しいんだけど……」

「何も迷惑じゃないですっ。配信してるの?とかダンジョロイドの名前は?とかチャンネル登録数は何人?とか配信の収入はいくらあるの?とか、星野先輩になら何でも教えますっ!聞いてくださいっ!」

「あはは、そういうのは聞かないよ~。興味ないから……」

 勇樹もどれくらい配信で収入あるのか父も義母も気にしてないし。ダンジョロイドにお金がかかるから多少収入合ってもすぐに消えちゃうだろうし……。

「じゃあ、レベルとか?僕のダンジョロイドはレベルは999で装備してるのは」

 え?

 レベルが999?

 勇樹のスターマインも999ですごいと思ったけど、もしかして大してすごくもないのかな?9999とかの人もいるってこと?だって、もし999がめちゃくちゃすごい数字なら、そんなにいるわけないよね?

 なんだ。勇樹はすごいと思ってたけど義姉馬鹿だった。普通よりちょっとはすごいくらいだったんだ。

「あの、レベルとか装備とか全然分からないので……えっと、魔物を倒す以外でアイテムとか手に入ったりするの?あると嬉しい物とかある?」

 装備の話を続けようとしていた塩田君の言葉を遮る。希少な装備をしていても「すごいですね!」とか気が付けないので。

「そうですね、スキルガチャコインは今までボスを倒さないと手に入らないと思われていたのが壁を叩くと落ちてくると判明しましたね。あれはあると嬉しいですね。あとは薬草類でしょうか。ダンジョンの中でも決まった場所にしか生えてないものや何かの条件が重なった時にしか生えないものもあるので、手に入れるには運の要素が高いので」

「薬草?」

「はい。大葉のような物やリンゴのようなもの、まぁ大体食べられそうなものは薬草です」

 そこまで会話を続けていたら別の同僚に声をかけられ、話題は別のことにうつっていった。



======お知らせ====

1、第一章の====以下の部分いくつか削除しました

2、第二章始めました

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