第二章 2回目のダンジョン
第14話 会社にいる後輩
■■■主人公視点
「ふわぁー。よく寝た。おはよう~」
朝、寝ぼけ眼で起きて朝食を食べ会社へ向かう。
「うーん、体のあちこちが……いや、主に足が筋肉痛」
昨日調子にのってジャンプしすぎたか。500枚コインを集めたから500回は飛んだよね。
ところで、あのコインは何だったのかな?
電車を待つ間にメッセージアプリを起動する。
弟の勇樹からメッセージが届いてる。
『昨日はログイン』
の文字と、ありがとうと猫と牛が混じったような変なキャラクターが頭を下げている画像。
え?それだけ?
配信見てないの?飛行機で移動中だったから見れないか。
そう言えば、時差ってどれくらいあるんだったっけ?こっちの時間とあっちの時間……もしかして毎日時差で勇樹は配信見られないのかな?
配信っていうくらいだから、生放送みたいなものなんだよね?
何をしているのかまでは確認できないんだね。
と、いうことは……。
『何か手に入れたよ!何かは内緒。鞄の中に入れたからね』
コイン500枚。喜んでくれるかな?
あんまり価値のないものだったらがっかりしちゃうかな?
うーん、他にも手に入るといいんだけど……。基本的には魔物を倒して手に入れるんだよね?魔物を倒すのはいやだなぁ……。
こんなにアイテム集めてくれたの?お義姉ちゃんすげー、ありがとう!っていう顔を想像する。
頑張りたい!
通勤。会社のビルの入り口で社員証をピッとする。
「おはようございます星野先輩」
新入社員の塩田君だ。
茶色の細い髪に光の加減で時々金色に見える茶色の瞳。白い肌。中世的な整った顔立ちをしている美少年だ。いや、大学出た新入社員なのだからもう22歳なはずだから少年はおかしいって分かってるんだけども。20歳の勇樹よりもずっと若く見える。身長が165くらいと、180はある義弟と比べて小柄だからそう思うのだろうか?
ニコニコの笑顔で姿を見ると話しかけてくれる。
「おはよう塩田君。今日は会議の司会を任されたって聞いたよ?大丈夫?」
「はい。星野先輩が作ってくれた資料で勉強したので大丈夫だと思いますっ!」
ニコニコとかわいい笑顔を見せる塩田君。
「そ、それで、何かお礼をしたいんですけど、えっと、ご、ご飯とかその……」
律儀!
「気にしなくていいよ。新人指導は先輩の仕事だから!」
「そうじゃなくて、食事、あ、えっと僕とその……」
「ふふ、がんばってる姿を見せてくれるのが何よりのお礼だよ?だから、今日の会議は頑張ってね!」
会議の司会は通常ならそれほど難しいこともないのだけれど、時々白熱しすぎて時間を切ることが大変なことがある。そんなときの魔法の言葉……私も先輩たちから伝授されたいろいろをまとめたものだ。
「あの、がんばるので、無事に終わることができたら、食事に行きませんか?」
おや?お祝いに?でもお礼としておごってくれるつもりなんだよね?本当律儀だなぁ。塩田君。お礼なんていいのに。
「お礼は気にしなくていいからね?……あ、そうだ」
2人で並んでエレベーターを待ちながら会話を続ける。
「そういえば、塩田君、ダンジョロイド持ってるっんだよね?」
「え?ど、どうしてそれを?」
「ごめんね、盗み聞きするつもりはなかったんだけど、会社の子に一緒に飲みに行きませんかって誘われたのをダンジョンに潜るからって断ってたでしょう?」
塩田君はとてもよくモテる。女子社員たちから誘われることも多いし、なんならこうしてエレベーターを待つために立っているだけでも女子たちが見ている。男性社員までこちらを見ているような気がするけれど、中世的できれいだもんね。
「あー、はい。そうですね……えっと……」
塩田君がこちらの反応をうかがうような不安そうな目で私を見る。
「ゲームばっかりやってるオタクなんだと、がっかりしました?」
「え?塩田君そんなこと言われたの?何が好きだっていいじゃない!酷いよっ」
勇樹を馬鹿にされたような気がして怒る。
塩田君が嬉しそうな顔をした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます