第13話 イクシオin移動中


【うおおお!早速ダンジョン込み合ってるな!配信見たらわちゃわちゃやぞ】

【超初心者で見向きもされなかったのに!】

【そりゃマインちゃんが大量コインゲットしたから】

【それだけじゃないだろ?イクシオ様やマイン様を一目見たいって言う人もいるっしょ】

【ああ、配信に二人の姿がちらっと映るだけで再生回数増えるしなぁ】

【いやいや、そんなハイエナと一緒にすな!純粋に会いたいだけや!】

【おまえ、まさか】

【お主、まさか】

【移動中~】

【報告頼む!】

「あー。そりゃそうだよな」

 イクシオは移動中の新幹線の中でため息をついた。

「どうするかなぁ。なるべく早くダンジョンに入りたかったけれど、少し様子を見てからの方がいいかな?」

 ダンジョロイドをダンジョンの安全地帯に置いたら、すぐに家に帰ってコックピットに入るつもりだったけれど。

 とんぼ返りせずに、観光してから返るかなぁ?

【富士山麓のダンジョン周辺の観光地情報求】

【む?おまえ、まさか】

【む?お主、まさか】

【あ、先に言われた。お前も行くのか?観光しに行くだけなら、悪いことは言わん。別のところにするがよい】

【なんもないよな、あるとしたら、富士の樹海?】

【いやいや、観光地じゃないだろ、樹海】

【なぁ、あの噂聞いたか?】

【突然の聞いて聞いてちゃん登場!】

【いやいや、あの噂だろ?そうそう、あの噂。聞いてないな】

【富士の樹海にモンスターが出るって話か?初心者用ダンジョンはあんまり人が行かないからダンジョンからモンスターがあふれ出てるって話だろ?】

【ああ、なんだ。その噂か。聞いたことあるわ。あまりにも有名。本物のモンスターが見たいって、樹海に入って遭難騒ぎとかあったよな】

【あったな。惜しい人を亡くした】

【死んでないわ!勝手に殺すな!】

【おまえ、まさか】

【お主、まさか】

【俺じゃない。捕まえて見世物にすれば一攫千金とか言い出した、俺のクズ伯父だ】

【あ、ああ……】

【ところでな、モンスターって、ダンジョン出ても生きてるって不思議じゃないか?】

【ん?】

【だから、ダンジョンの外には魔素だかなんだかがないから、ダンジョン産のものって3日~10日で消滅しちゃうんだろう?】

【確かに!】

【モンスターが魔素が必要な生き物なら、消滅するよな。でも、消滅しないのか?】

【ああ、するな。実験では魔物の強さによって消滅までに差があったらしいぞ。スライムとか最弱モンスターは1日もたなかったらしい。強いもので2週間くらいだったか?】

【強いって言っても、ドラゴンやフェンリルレベルじゃなくて、討伐ランクがBくらいのやつ】

【ほーほー、ということはドラゴンレベルなら1年くらい消滅しない可能性?】

【やめろ!また叔父がドラゴン捕まえてくるとか言い出すから!1年で稼ぎまくってやるとか言い出すから!】

【いやいや、叔父さんどうして、ドラゴン捕まえられると思ってんの?】

【小さいから平気だと思ってる?】

【いや、人が猫サイズだったら、ドラゴンは猫サイズになっても、熊くらいはあるだろ】

【まだ目撃情報ないけど、肩ノリドラゴンを想像して熊出てきたら無事死亡】

【火を吐いて空を飛ぶ熊……遭遇したくないな】

【遭遇はしたくないが、ドラゴンは見たい】

【いってよし!】

【なぁ、なぁ、まだダンジョンでドラゴン遭遇例ないんだよな?もしかしたらさ……初めて出るかもしれないよな?】

【え?】

【富士山麓のダンジョンだよ。超初心者用だと思ったら、大量のコインは出るし、隠しとびらはあるし……】

【お、おお!ドラゴン!次のマインちゃんの配信いつだ?】

【ってか、今ダンジョンにいるやつの配信も見逃せないだろ!】

【イクシオ様が一番にドラゴンスレイヤーになるかもしれない!】

【お、おおおお!ドラゴンスレイヤー!!】

 新幹線の中で、富士山麓ダンジョン周辺の観光情報を見ていたイクシオが配信掲示板に戻る。

「ドラゴンスレイヤー……」

 やはり、ダンジョンにダンジョロイド置いたら速攻で帰ろう。

「私が、世界初のドラゴンスレイヤーになる」




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