第8話 ライブ動画視聴開始

勇樹(義弟)サイドです

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 飛行機に乗ってもソワソワしてしまう。

 義姉ちゃん……大丈夫だろうか?

 初級ダンジョン。レベル50もあればモンスターに一方的にボコられても傷一つつかないような場所だ。

 レベル999の俺の……いや、俺たちのダンジョロイドなら全く問題ないとは思うが。

 ピロリんと通知音が鳴る。

「お、ログインしたか。配信を見よう」

 ライブ配信では、横に視聴者のコメントが流れていく。

 自分の配信をアーカイブでチェックするのと違い、リアルタイムで見るのは始めてだ。自分の動画視聴は、苦戦したボス戦とかまで早送りしてみる、反省用だったからなぁ。

 ダンジョロイド。

 名前はスターマイン。4代目のダンジョロイドだ。だけれど、変わっているのは中身だけ。外側のカバーデザインはずっと一緒。あ、髪の毛の長さとかマイナーチェンジはしている。

 ちなみに、好きな写真や絵を持ち込んで、版権に抵触しないようにAIで加工しそれっぽいキャラや人物を作ってもらう。その画像を基に3Dにして女性素体ダンジョロイドのカバーを作ってもらうのだ。

 ちなみに素体には、グラマー女性素体、普通女性素体、幼女素体、ムキムキ男性素体、普通男性素体、ショタ素体がある。

 身長は素体オプションでシークレットシューズみたいなパーツを足につけて伸ばすことができる。筋肉は素体ではなくカバー側に詰め物をしてよりムキムキにすることができる。

 使っているのは普通女性素体。だって、義姉ちゃんグラマーとはいいがたいからね?あの顔にグラマー体形じゃぁアンバランスすぎるでしょう。

 あ、さっそくステータスを開いて見ているな。配信ではステータスの内容はモザイクになって見えない。

 ん?振り返った。

【お、おお!今日もマインちゃんかわいいにゃ】

【俺のこと見た!】

【いや、おまえじゃない、俺だ!】

【まてまて、もちつけ、目が遭ったのはワイやで】

 そうだろう、そうだろう。かわいい。うちの義姉ちゃん最高にかわいい。

 だが、お前らを見たわけじゃない。ドローンのカメラを見ただけだ。

 って、なんで?

 がっかりした顔してまたステータス画面に戻った。

 ん?まさか、顔を確認しようとした?やばい。

 そういえば、義姉ちゃんをモデルにしたって言ってない。勝手に写真使ったの、言ってない……。

 っていうか、もう3年も配信してるのに、一度も見てないとかありえないだろう?

 ってか、マジか?

 やっべぇ。……えーっと、言い訳考えないと。うーん……。

【あ、走り出したぞ!】

【超初心者ダンジョンで、マインちゃん何する気だ?】

【聖剣様だぞ。SS冒険者ですぞ。考えがあるに決まっておる】

【壁を気にしているぞ?】

 ……単に、VRの動かし方を確認してるんだろうな。壁に触れた感じとかも。

 こんな目的もない、動画配信でも、勝手に考えて楽しんでくれるのはありがたいが……。

【お?今度は飛び跳ね始めたぞ?】

【かわいいなぁ!】

【かわいいなぁ!】

【かわいいなぁ!】

 かわいいなぁ!

「あ!」

 思わず声が出て慌てて口を押える。飛行機の中だ。周りの人の迷惑になってはいけない。

 ……義姉ちゃんなにしてるんだよ……。天井に頭をぶつけるとか……。

 初級ダンジョンは天井が低いんだから、レベルカンストして伝説級装備つけてるんだから思いきりジャンプすりゃぶつかるって……。

 まぁ、知らないか。




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