第30話 ケルベロスとは?
【落ち着け、落ち着け!】
【落ち着いていられるか、黒い犬のようなみつ首の魔物……あれって】
【ケルベロス?】
そうだ。間違いない。ケルベロスだ。
【深層にいる魔物だろう?どうして2階層に……】
【扉を開けては駄目だったんだ……】
【記録とりました。ギルドに報告します】
【あー、マインちゃん……ここでおしまいか……】
不吉なことを言うな!
だが……。
ケルベロスはレベル999でも倒すのは難しい。なんせ一つの頭がS級といわれている。頭が3つあるから、SSS級だ。
せめてもう一人SS級ダンジョロイドがいなければ……。
【ケルベロスってあんな小さいんだな】
【知らないのか?戦闘中に巨大化するんだぞ?】
【戦隊ものの敵みたいなもんか?】
【どっちかいうとスーパー〇イヤ人みたいなパワーアップ系?】
そうだ。巨大化する前ならまだ何とかなる。
義姉ちゃん逃げてくれ!
スターマインはどうなってもいいんだ。
だが、義姉ちゃんのトラウマになるとダメだ。
襲われる前に……逃げて!そうだ、ログアウト。ログアウトするようにメッセージを送ろう。
いや、義姉ちゃんなら壊れるって聞いたら俺に悪いと頑張ってしまうかもしれない。
電話で話した方がいいか?
と、焦っている間に……。
【ケルベロスに花冠載せたぞ】
【いや、どういうこと?ケルベロスに花冠?どういう絵面だ……】
【なぁ、小さかったやつと大きかったやつまでケルベロスに渡したんだが】
【まさか、3つ作っていたのは初めからそのための?】
【流石だなマインちゃん】
【そうだよな、作るの失敗したなんて思ったオイラが愚かだったわ……】
いやいや、作るの失敗して作り直したで間違ってないと……って、違う、義姉ちゃんにログアウトするように電話をしなければ。
【あ、走り出したぞ】
ん?逃げてくれるのか?
【ケルベロスが追い付けないでいる】
ほっ。このまま逃げてくれ。
【あ、マインちゃんが立ち止まった】
【今度はシロツメクサで花冠を作り出した……】
【ケルベロスは襲ってこないぞ?】
えーっと?どういうこと?
【様子をうかがっているのか?ケルベロス……】
【うわっ、うなり声をあげた!】
【マインちゃんがしりもちをついたように見えたんだが?】
ケルベロスが頭を寄せているぞ?
【そうか、ケルベロスの頭を寄せさせるために座りなおしただけでしりもちじゃないのか】
いや、うなられてびっくりしてしりもちついただけだと思う。
【シロツメクサの首飾りをかけてるぞ……】
【なんでケルベロスは襲わない?】
【やはり、花冠に重要な意味があるんじゃ……】
【ちょ、今見に来たんだけど、どういう状況?】
【ああ、イクシオ様が動き出した!うー、あっちも気になるけどこっちも気になる!】
イクシオが?まぁいい。いけ好かないイケメンのライブ配信なんて後で録画を5倍速再生流し見で十分だ。
【やばいっ!ケルベロスが巨大化した!】
【マインちゃんっ!】
【逃げ……ん?】
【ん?】
【ん?】
【マインちゃんの後ろに足を踏み出しただけ?】
【拡大した。よく見ろ、アドレスはこっち】
はられたアドレスを見に行くと短い動画が再生された。
スターマインの後ろを拡大表示した動画だ。画質は悪いが、シロツメクサの間にちょろちょろと角兎の姿が見える。
次の瞬間、角兎は巨大化したケルベロスの足にふみつぶされていた。
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