第39話

「気をつけてね!」

 と、手を振り、私は火起こしだ。

 火を起こすには、あれよね。

 火打石を使うとか、摩擦熱を使うとか。あとは太陽の光を虫眼鏡で集めるとか……。

 なんか、ないかな?

 不思議なたくさん入るポシェットに手を突っ込む。

「コインが全部入っちゃったこれ、きっと収納鞄というやつだよね。漫画とかだと口にしたり念じたりすると好きなもの取り出せるみたいだけど、出てくるかな?えーっと、火打石っ」

 ……だめだ、何も出そうにない。火打石は入ってないのかな?

 うーん、何か、石、石、石、固くてカンカン打ち合わせられる石、ぶつかると火花が出る固い石っ。

 手に何か握った感触がある。これは!

「てっててー、火打ち石―っ!」

 思わず青い狸型ロボット超の口調でポシェットの中から手を抜き出す。

 そして、カメラに向けて手で握っているものを見せる。

 あ、そうだ。動画で何か物を見せるときは、手に持っている反対の手を広げて後ろに添えるんだ。

 アイラインはどこどこの何々を使います、みたいな……。あれはメイク動画か。

 ここではやらないよね、失敗失敗。

 手元に火打石を引き寄せて見る。

「あ……これ、無理だ」

 キラキラ輝いてる。

 赤くて透き通ってキラキラ輝いてる手の平のテーンと載ってるの……石は石でも、宝石だ!

 宝石を火打石代わりにして打ち付けるなんて無理、無理だよっ!

 もし欠けちゃったり、割れちゃったりしたら……。

 うわわわっ!考えただけでも……。

「やっぱり虫眼鏡にしようかな、出てこい虫眼鏡……」

 再びポシェットに手を入れる。

 虫眼鏡は出てこない。

「えっと」

 レンズがついてて、持ち手が合って、あんなかたちのやつだよ~。

 と念じると、手に何か触れた。

「てっててー……は、もういいや。虫眼鏡」

 早速太陽の光を集めるぞ!

 と、まずは地面に向けて虫眼鏡を構える。

 ……虫眼鏡、だよね?形はまんまだよ。丸いレンズのはまった先っぽに、持ち手がついてて、覗き込む感じ。

 ……あれ?

 光が集まらない。

 焦点を合わせて一番小さく明るく……とかなんない。どうして?

 レンズの形が違うの?凸レンズとかそういうのになってない?

 首を傾げて顔に近づけてレンズを除く。

 すると、まだ左手に持っていた宝石に文字が浮かび上がった。

「火の魔石?」

 お、おおおっ!

 魔石だ!これ、魔石なんだ!宝石じゃなくて、魔石!

 ってことは、これは虫眼鏡じゃなくて鑑定眼鏡?

 すっごーい!

 え?じゃあ他のも説明出る?

 いろいろな物を見てみた。

「?」

 あれれ。全然文字が出ないよ?

「もしかして、魔石専用鑑定眼鏡?これは火の魔石って出てたから、他にも水の魔石とか魔石によって種類があるとかそういうことかな?」

 なんだ。そっか……。


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