第38話

『お外きたよ』

『料理をするんでしょ?まずは何をするの?』

「料理っていっても、バーベキューだから、まずは火かな。薪を拾うね」

 森の中なので、木ならいっぱい落ちてるよね?

 と、もう一度周りを見ると、なんだか、さっきよりも木が遠くにあるように感じる。

 気のせいかな?

 うん、寝ぼけてたんだよね。

 私がいる場所は森の中のちょっと開けたところっていう感じだ。

 10mほどの空間がある。

 さっきは見上げれば木って感じだったのは気のせいだよね?

 さて。じゃあ、枝を拾おう。

 開けた場所なので全然落ちてない。

「森の中に入らないと拾えないかなぁ」

 歩いて木の生えているところに入る。下を見ても枝が全く落ちてない。枯れ葉すらもない。

「あれ?おかしいなぁ?」

 私の後ろを雪月花ちゃんが付いてくる。

『どうしたのじゃ?』

「うん、バーベキューをするための枝とか拾おうと思ったんだけど、落ちてなくて」

 月ちゃんが頷いた。

『枝じゃ、枝をよこせっ!』

 それから上を見て声をあげると、ぼとぼとと上から枝が落ちてきた。

「ひゃーっ!」

 え?どうして?

 上を見上げるけど木しか見えない。

 けど、もしかしたらリスみたいな小動物が隠れていて、どんぐりを落とすみたいに枝を落としてくれたってこと?

 雪月花ちゃんって森の動物のリーダーみたいな感じなのかな?

 両手いっぱいに枝を抱えて開けた場所の真ん中あたりに戻る。

『それをどうするの?』

 大小の枝を組んで、円錐っぽい形を作る。

 空気の通り道を作って、えーっと、それから……。

「火……って、どうすればつけられる?」

 小学校や中学校のキャンプのときはライターから新聞紙に火をつけてそれを組んだ木に入れて……。

 今、何もないよ。

 どうしよう……いや、待って。こういう時、なんかテレビで無人島生活みたいなので火を起こすのやってたよね。

 人気のある番組だった。

 そっか!キャンプ系の動画の人気の秘密はそういうところなんだ!

「よし、がんばって火を起こすよ!」

 そして、人気ジャンルの配信を見せることで、フォロワー増やして勇樹に自慢するのだ!って、フォロワー数ってどこで見るんだろ?

 ま、いっか。増えたか減ったかこれが終わってから勇樹に聞けば。

『あたちたちは、なにすればいい?』

 えーっと、雪月花ちゃんは犬だから、手作業は無理だよね?なんだろう……。

 火を起こしたら、ふーふー息を吹きかけてもらうとか?

 うん、それなら出来そう。

「後で手伝ってもらいたいことがあるけど今は……って、あああっ」

 肉を焼く予定なのに、肉がないっ!

「大変、雪ちゃん、月ちゃん、花ちゃん、肉を持ってくるの忘れちゃってるっ!」

『ぬ?確かにな、妾としたことが失敗であった』

『とりにかえる~』

『せっかくですし、あの辺で新しく取ってきましょ』

『そうじゃな。では行ってくるぞ、マイン』

 うんと頷く。

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