第23話 義弟サイド
義弟視点になります。
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時計の針は、日本時間で朝の7時か。
「義姉ちゃん起きられたかな……」
いつもスッキリ時間通り起きられる俺と違って、義姉ちゃん寝起きが悪いからなぁ。
昨日スキルガチャコイン集めるのに、何百回もジャンプしてたから疲れて起きられないんじゃないか?
目覚まし時計が鳴っても起きてこなかったら、いつものように俺が起こしてあげるのに。
……ぼんやりとした寝ぼけ眼の義姉ちゃんのかわいいことといったら……。他の誰にも見せたくないというか、絶対見せないけどな!
「はぁー、会いたいなぁ。アメリカなんか来るんじゃなかった。1か月なんて……」
いやいや、大事な作戦のためだ。いつまでも義弟の立場に甘んじるつもりはない。そのための距離だ。
半年前からコツコツと準備を進めてきたんだ。
アメリカと日本の時差は13時間。およそ半日。
義姉ちゃんが会社に行っている間はこっちは夜。その間に俺は寝る。会社から帰ってきてダンジョロイドの操作を義姉ちゃんがする時間はこっちは朝。それを見終わったら俺はこっちの学校。
学校に俺が言ってる間は義姉ちゃんは寝てる。あまり生活に支障がないためにわざわざアメリカにしたんだが……。
遠い、遠いよ、義姉ちゃん。
なんて嘆いてる時間はない。
米国に設置してあるはずのコックピットへ行き、ダンジョロイドの設定をしなければならない。
家族は知らないが、俺は現在3体のダンジョロイドを使っている。1体は自宅のコックピットから捜査してるスターマイン。残り2体は企業のダンジョンラボにあるコックピットから操作しているものだ。コックピットのモニターのアルバイトだ。金銭的にはそれほど美味しくはないけど、ダンジョンの最新の情報が得られるので続けている。あと、今回の計画も実行できたのはバイト先の伝手があったおかげ。
それはともかくとして……。
スマホを確認。
【富士山麓初心者ダンジョンまとめ見た方が早いぞ】
【いやいや、刻一刻と変わっている状況を見逃すわけにはいかぬ!】
【イクシオ様の到着はよぉ】
ふぅーん。まだイクシオのやつは現れてないのか。
昨日、すぐに行くみたいなこと言ってたが……。
初心者ダンジョンのライブ配信中の動画の一つを見る。
「ああ、これは……仕方ないとはいえ……」
GW中の潮干狩りか!
お盆休み中のプールか!
といった様子。とにかく、人、人、人。いや、ダンジョロイド、ダンジョロイド、ダンジョロイド!
剣を振れば隣の人に当たってしまうような数だ。
そりゃまぁ、そうだろうな……と、何度目かのつぶやきを漏らす。
せっかく誰もいないダンジョンで、義姉ちゃんと一緒にのんびりダンジョロイドデートを楽しもうと思っていたのに!
くそっ。
……とはいえ、姉ちゃんが本物かどうか分からないけれど大量のスキルガチャコインをゲットしたのが原因だもんなぁ。
欲しくて来る気持ちは分かる。
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ダンジョンでダンジョロイドデートって……wwwwこじらせ義弟ww
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