第27話 記録班準備オッケー
あ。もう開始直後なのに同時接続2万人……常連さん以外にも多いんだろうな。そりゃスキルガチャコインらしきものが大量に出たダンジョンとなれば世界中で話題にならない方がおかしい。
まぁ、あれが偽物のコインだと分かればすぐにその波も引くだろう。
もし、本物ならば……?
うん、めんどくさいことは後で考えよう。
接続人数はぐんぐんと上がっている。
【まず、立ち止まってきょろきょろしてるぞ?】
【何かをサーチしてるんじゃないか?】
いや、物珍しいだけだろう。
【あ、角兎が出たぞ】
【マインちゃんなら瞬殺だろう!】
……どうかな。義姉ちゃんかわいーって手を伸ばして攻撃受ける未来しか見えないんだが……。小動物好きだもんな。
でも、うちのマンション飼えないもんな。撫でようとするだろうな……。
まさか、それにも「この撫でようとして攻撃を受ける手順にも意味があるに違いない!」って物知り顔で誰かがマネするのかな。
って、あれ?
【マインちゃん、角兎には目もくれないぞ?】
【そりゃザコいくらやっつけても肥やしにもならんってことじゃ?】
【いや、今はそれよりも大きな目標があるんだろう】
【目標?】
【三階層に進むと言う目的だ!そしてのちのちはボスを倒してダンジョン制覇】
……そんな目標を義姉ちゃんが持つはずない。
なんせ義姉ちゃんの目的は、ダンジョロイドを維持するために3日に1度はログインして1時間過ごすことだけだもんな。
……昨日ログインしたから、今日はしないかと思ったけど、義姉ちゃんのスイッチが入ったかな?
……かわいい義弟のためにってやつ。
俺のためってのは嬉しいけど、「かわいい」と「義弟」はそろそろ卒業してほしい。
それにしても、角兎かわいいっ!ってやらなかったのはなんでだ?
【マインちゃんしゃがんだぞ】
【立ち上がった】
【移動した】
【またしゃがんだ】
【立ち上がった】
【移動した】
【何してるんだ?】
本当に、何してるの、義姉ちゃんっ!
まさか、草原だから、薬草とか生えてないかと探してるのか?
薬草知ってるのか?
角兎にかわいいと手を伸ばさなかったし、勉強した?
【分からんが、マインちゃんには凡人の俺達には見えない何かが見えているんだろう】
【記録班は?】
【場所の記録は始めてる。入口からの方角、距離、1ミリ単位で記録済だ】
特定班といい、記録班といい、動画配信見ながら使うだけなら惜しい才能だよなぁ。
だけど、たぶん……義姉ちゃんの行動を記録しても意味ないと思うんだよなぁ。
【ん?走り出したぞ?】
【何かに気が付いたんだ!いったいなんだ?】
【……え?】
【花冠編み出しただと……?】
何してるんだよ、義姉ちゃん……。
【マインちゃんかわいい】
【マインちゃん最高】
【マインちゃん、中身男だと疑ってたが女だった!】
鋭いな。普段は男の俺。今は女の義姉ちゃん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます