第21話 巨大化の代償
「魔物が私を狙ってたの?それをやっつけてくれたんだ!ありがとう、嬉しいっ!」
『いいこ?』
「うん、いい子!
『もっと褒めるのじゃ』
「すごい!強いんだね!」
『ご褒美ちょうだい』
「えっと、何が欲しい?こんなものしか持ってないけど……」
収納鞄から昨日取ったでっかいコインを取り出す。
『まずそう、いらにゃい』
え?食べ物がいいってこと?
でも、今持ってないし……。買いに行くわけにも……。
『人間はこんなものを集めて喜んでおるのか。ならば見つけたらスターマインにやろう』
「ありがとう……でも、私、お礼ができないよ……?」
『ご褒美もお礼も、かわいいものもっとちょうだいっこういうの!』
花ちゃんが、花の首飾りを見ようとして叫んだ。
『ああーっ!私の首飾りがっ!』
『あああああっ!しまったのじゃ!巨大化したせいでっ』
『うわーん、せっかくかわいかったのに』
……うん。巨大化したせいで弾けてばらばらになって残骸が足元に落ちてます。
そして、シュシュシュと空気が抜けるように雪月花ちゃんが元のサイズ……大型犬に戻った。
前足で踏みつけていて倒した魔物はひしゃげてひどいことになっているかと思ったら、そこには白身の肉の塊がころがっていた。大きさにして、鶏くらい。
『ふむ、肉がドロップしたんじゃな、食うか?』
「私はこの体じゃ食べられないから」
ダンジョロイドは機械だ。流石に食事はできない。
『じゃあ、妾たちで食べるとするかの』
『この味にも飽きちゃったわ』
『あたち、焼いてたべりゅ』
雪ちゃんが口からぼふぉと炎を出して肉を焼いた。
なんと!焼肉の出来上がりだ!焼き鳥かな?兎の肉は鶏に似てるって言うし。魔物はどうだろう?
焼き鳥なら、タレがあると美味しいのになぁ。でも塩でも美味しいよね?何も味がないと、ちょっと……。
『ああ、もう!勝手に何するのよ!私は生の方が好きなのに!焼くとぱさぱさして嫌なの!』
1つの肉の塊を雪ちゃん、月ちゃん、花ちゃんがかじっている。3つに切り分けて上げればよかった……。
『うむ、他にも狩りをしてくるかの。スターマイン、妾たちは行くが、一緒に来るか?』
「行くって?」
『扉のあちら側じゃ』
そう言えば、雪月花ちゃんはとびらから出てきたんだ。1ミリの厚さのペラペラなとびらから。
雪月花ちゃんが扉の前にたつと扉が開く。中をのぞくと、階段だ。
「あ、階段。ということは安全な場所だっけ?」
『安全?まぁ、妾たちの住処だからの』
『他の魔物は恐れて近づかないわよ』
「そっか。じゃあ、一緒に行ってもいい?そろそろ眠ろうと思うの」
ログアウトするという意味だけど、ダンジョロイド的には眠った状態になる……という説明で大丈夫だよね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます