間章 合間の出来事 9
ノイマンが力を振り絞り、身体を起こそうとする。
もうボアは、二人の眼前にまで迫っていた。
避けるには、間に合わない。
その時、視界の外から人が飛び出してきた。勢いよく飛び蹴りを放ち、魔物の目を攻撃する。
見事に命中した。
ボアは不意打ちされて怯んだ。
その拍子にボアの軌道がズレていき、テッドとノイマンの真横を通過すると、最も近くの樹木にぶつかったのだった。
そのままボアは痛みに悶えており、地面をのたうち回る。
一方でノイマンは、呆然となっている。
テッドも目を丸くして、魔物の方を見ていた。
彼等は、何が起こったか理解が追い付いていない。
すると目の前に、人が着地した。
其方にテッドとノイマンが振り向くと、見覚えのある後ろ姿に、揃って驚きながら声を漏らした。
「はぁ!?……」
「…ヒルフェ君…!」
そこにいたのは、ヒルフェである。立ち上がると呑気に、独り言を呟いた。
「おぉ、体重かけて思いっきり行ったら、うまく軌道がズレたな。」
ほぼ同時に大きな咆哮が轟くと、またボアは立ち上がって振り返り、より怒りを露にしながら臨戦態勢を取ってきた。
対してヒルフェも戦いの構えを取りつつ、
「来いよ、…この猪風情が。……」
と煽っていた。
ボアも負けじと、咆哮を挙げて威嚇する。
再び生死をかけた戦いが始まろうとしていた
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