三章 山での攻防 後編

三章 山での攻防 後編 1

 激しい轟音鳴り響く方へ、俺と少年は近寄っていき、ようやくして目的の場所へと辿り着く。

 すると、そこにはテッド達がいた。ノイマンや他の奴らも、側にいるみたいだ。彼等を先に見つけられたのは幸運である。だが、ー

 「え?」

 「は?!」

 と途中で俺や少年は足を止めて、声を漏らした。目の前で、信じられない出来事があったからだ。

 それは、ノイマンが背中から刺されて倒れていき、ー

 血のついた刃物を持った細身の男と、テッド達が対峙しているところである。

 今いる此処から然程は離れていないため、彼らの会話が聞こえてきてくる。

 「ボアから逃げるんだろう。…だったら簡単だ。…アニキを動けなくして、囮に使えばいいじゃん。」

 「何を、馬鹿な事を言っているんだ!!」

 「はぁ?…馬鹿って何だよ。…アンタも言われただろう?…フォン支部長から、こいつの邪魔をしろって。」

 訳が分からない。と俺は思い、凝視したまま固まってしまう。状況は察したが、頭で理解が追い付かない。

 あまりの内容に、少年も此方の身体にしがみつく。全身を震わせて怯えている様子だった。

 そのままの状態で俺達は、彼らの話の続きに聞き入り、目を反らせなくなる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る