三章 山での攻防 後編

三章 山での攻防 後編 1

 激しい轟音鳴り響く。

 その方角に、俺と少年は早足で近寄っていく。

 ようやくして、目的の場所の近くまで辿り着く。

 そこには、テッドがいた。

 すぐ側にも、ノイマンや他の皆もいるみたいだ。

 「あぁ、良かった!…皆さんと合流が出来た!」

 と少年は言い、喜びの余りに駆け出す。

 俺も続いて、後を追いかけようとした。

 「え?」

 「は?!」

 だが俺達は途中で足を止め、驚きのあまりに声を漏らす。

 さらに目の前で信じられない出来事が起きていた。

 まずノイマンが背中から刺されて倒れてていく。

 彼の背後には、細身の男が立っていた。邪悪な笑みを浮かべながら、手には血のついた刃物を持っている。

 そのままテッド達と対立してしまう。

 俺達も動かず、様子を伺う。

 今いる場所は然程は離れておらず、切れ切れとした雑音の様に飛び飛びで、会話が伝わってきた。

 「ボアから逃げるんだろう。…だったら簡単だ。…アニキを動けなくして、囮に使えばいいじゃん。」

 「何を、馬鹿な事を言ってんのよ!!…非常事態なのに、冗談止めてよ。」

 「はぁ?…馬鹿って何だよ。…俺はフォン支部長から言われたんだよ?…こいつの邪魔をしろって。」

 と美女と細身の男が口論しているようだ。

 隣ではテッドが顔色を青くして立ち尽くしている。

 訳が分からない。と俺は思いながら、凝視したまま固まってしまう。状況は察していたが頭で理解が追い付かない。

 隣でも少年が此方の身体にしがみつく。全身を恐怖で震わせて怯えているようだ。

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