二章 ギルドとスキルと勝負 26
「ボルドー・ボアって、確か?」
「はい。…木を薙ぎ倒す程の力を兼ね備え、何処までも突進するモンスターです。…中堅レベルになる為の冒険者に対しての最初の難関ですね。」
すぐにリキッドは、内容の確認をしていた。
さらにダフネも、補足説明を付け加えている。
俺も話を聞いていたら、思わず怒鳴りながら、フォン支部長に詰め寄った。
「どうして、そうなるんだよ!!」
「何かありましたかいな?」
「何かじゃねぇよ!…俺はやるなんて、一言も言ってないぞ!」
「其ほどの才覚や能力を所有なのだ。…然るべき証を持つべきだとワシは思いますし、試験内容も問題ない筈ですわい。」
とフォン支部長は再び答える。ただし飄々とした言葉と態度で、ぬらりくらりと躱される。
「そうですね。…試験をやるのは結構です。しかしヒルフェ様に意思に反して行われるのは如何だと思います。…それにランクの無い者に対して、ボルドー・ボアは、適正な相手ではないですよ。」
続けてダフネも、話の途中で加勢に入り、鋭く指摘しだす。
「いやいや、ボアの牙は折れやすいです。それを手に入れれば大丈夫ですし、…もちろん、安全に配慮してますわい。」
それでも尚もフォン支部長との言い合いは続く。
全くの平行線を辿る。
次第に、この場の雰囲気が悪くなる。
ダフネはこめかみを抑えて、深い溜め息を吐き、
「これでは、只の押し問答です。…旦那様、如何いたしますか?」
と、判断を伺った。
「うん。…さすがに私も、少し強引だと思うんだがね。」
リキッドも見兼ねて、注意しようとする。
「つうかさぁ~、何?…揉めてんの。」
だが途中で、美女が話に割って入ってきた。
他の冒険者達も唇を尖らしだし、次々と文句を言い出した。
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