二章 ギルドとスキルと勝負 25
残りの冒険者達も、頷いて同意している。
対してフォン支部長は気にした素振りはなく、
「では職員諸君、…今から、こちらのヒルフェ坊っちゃんを含めて、冒険者ランク取得試験を執り行うぞい!!」
と大きな声で宣言していた。
次の瞬間に、ギルドの職員達からの歓声や拍手が辺りに響く。
冒険者達も、溜め息交じりながら参加している。
その騒がしさとは裏腹に、俺らだけが取り残されてしまっていた。
「フォン支部長?…どう言う事だね。…もしかして、さっきヒルフェ君が冒険者ランクを持ってないと言っていたからかい?」
先んじてリキッドが我に返り、問いただす。
「いや、何。…ヒルフェの坊っちゃんにも、この試験に出て貰おうと考えましてな。…冒険者ランクは、持っていて困る事はありませんからな。…街にいるついでに取得しても良いかと思いまして、職員一同で急いで用意しましたんですじゃ。」
だがフォン支部長は、自慢げに胸を張りながら答える。さらに山の方を指差して説明を続けだした。因みに、鉱山の山とは別方向である。
「試験内容は、簡単にしましたわい。…あちらの山に生息している魔物、…陸上のモンスター【ボルドー・ボア】の牙を取ってきてもらいます。…終わったら、今いる場所に戻ってきたら、合格ですじゃ。」
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