一章 十年後の解放 2

 「居たぞ!…ヒルフェだ!…追え!!」

 しかし次の瞬間には、反対の方角から怒号が聞こえ、大勢の人達の気配を感じる。

 俺も慌てて振り返った。

 すると、やはり監視員の男達が怒りを露にしながら、武器を掲げて迫り来る。

 「ヤベッ!?」

 と、すぐさま俺も、形振り構わずに逃げだし、目の前の曲がり角へと向かう。

 だが、進んだ先には先程の監視員達がいた。出会い頭にばったりと会ってしまう形となり、さらに此方の存在に気づくと、行く手を塞いできやがった。

 俺は挟み撃ちの状態に陥ってしまう。

 「この!!」

 と、立ち塞がる男の一人が先頭に踏み出し、いきなり殴りかかってきた。

 すかさず俺も横に身体をずらして回避し、通り過ぎざまに足払いを喰らわす。

 先頭の男が体勢を崩して倒れると、残りの怯んだ。

 俺は一瞬の隙を見逃さず、

 「オラァァ!!」

 と勢いよく腕を振り下ろした。相手の隙を作り、強行突破を図った。しかし相手に当たる寸前に避けられ、足が縺れて倒れたのだった。

 「捕まえたぞ!!」

 そのまま監視員達が捉えにきて、地面に組伏せてきて、袋叩きにしてくる。

 此方も負けじと抵抗する。

 しばらく、激しい攻防が続いた。

 「この野郎!…日に日に、戦い方を覚えやがって!」

 と、さらに男達は文句を言いながら、激しく攻撃を続けてきた。

 「くそっ………。」

 やがて俺は、反抗が出来なくなるまで痛め付けられだった。多勢に無勢だった。

 不本意な結果である。

 また今日も失敗に終わった。

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